警視庁捜査一課9係 2014.04.24

えっ?
(三島昇)どうしてます?彼は。
(加納倫太郎)「彼」とおっしゃいますと?
(三島)青柳君ですよ。

(浅輪直樹)ええ…西森飛鳥30歳。
青山の美容室THESWITCHのアーティストです。
でここはですね彼女が独立して開店準備を進めていた新店舗ですね。
(青柳靖)青酸性の毒物か…。
はい。
これをここで飲んで死亡したと思われます。
目立った外傷はありませんから自殺なんじゃないですかね。
(小宮山志保)簡単に決めつけない方がいいんじゃないの?えっ?新店舗開店前に自殺するなんておかしな話でしょ?
(矢沢英明)遺書らしきものも見当たらないわけでしょ?いやでもさっき工事関係者に話聞いたんです。
そしたら工事費用の支払い滞ってたらしいですよ。
資金繰りを苦にしての自殺って事?そういう事です。
(村瀬健吾)浅輪!はい。
係長どうした?あそれが今朝急に刑事部長に呼び出されて…。
(村瀬)刑事部長?はい。
(三島)主任を外されてちょうど1か月になる。
彼の勤務態度を含め問題は生じていませんか?全く問題ありません。
念のために申し上げますが青柳君は主任を外されたわけじゃなく自分から外れたんです。
どうしろという事でしょうか?それは君の判断に任せます。
君もわかるでしょ?捜査一課の主任という立場にある人間が覚醒剤の常習者と交際している事実を世間が許すかどうかぐらいの事は!垣内妙子さんは自ら覚醒剤を使用したわけじゃありません。
それに今は更生してます。
(三島)いや…たとえそうであったとしても不適切な関係である事に変わりはない!では…刑事を辞めさせて頂きます。
待て!預かります。
私に預からせてください。
(三島)私は…あなたの顔を立てた。
何か起こった場合はあなたの責任も問われる事を忘れない事だ!はい。
係長刑事部長となんの話なんですかね?知らねえよ…。
喜ぶかな?妙子さん…。
君が刑事辞めたら…。
なんなんですか?それ。
(青柳)メキシコ料理…。
(矢沢)お財布にそんなふうに入ってるって事は最近行ったって事ですかね?だな。
刑事部長の話っていうのは恐らく君の主任としての働きぶりに関してだろうな。
しかし心配はいらないよ。
君は主任1年生としてはなかなか…。
心配なんかしてないし!ちょっとどいて!どうですか?おかしいんですよね…。
あるべきはずの被害者のゲソ痕が一切見つからないんです。
そうですかありがとうございます。
ちょっと待てゲソ痕が一切見つからないって…。
ここで彼女を殺害した何者かが自分の痕跡を消したって事ですか?は?そういう事!つまり他殺。
お前さっき自殺って…。
余計な事して墓穴掘ったんだ。
間抜けな犯人だな。
しかしさすが主任だな。
目のつけどころがいいよ。
他殺と断定して捜査を進めましょう!
(一同)はい!あ係長。
ちょうど今解剖終わったとこです。
(早瀬川真澄)死亡推定時刻は昨日の21時から22時の間です。
胃の内容物の消化状態などから食後2ないし3時間ってとこです。
胃の内容物が豚肉玉ねぎトマトコリアンダーとうもろこしの粉を使ったパン生地のようなもの。
タコス。
あっ!やっぱりメキシコ料理?やっぱり?はい。
被害者メキシコ料理のショップカードを持ってたんですよ。
今その店に青柳さんたちが行ってくれてます。
特に目立った外傷はないんですが…ちょっと気になる圧迫痕がありました。
圧迫痕?うん。
首筋に2か所。
5センチほど。
なんの痕ですかね?それを調べるのは…。
我々の仕事です。
これは…靴擦れ?ええ。
ストッキングにもわずかに血が滲んでました。
(店長)この方でしたら…ゆうべいらっしゃいました。
(矢沢)何時頃ですか?うーん…7時頃ですね。
1時間くらいお食事なさってました。
お一人で?いえいえ…お二人で。
(矢沢)一緒にいたのはどんな人ですか?
(店長)常連のお客様です。
TESERAというエステ会社の山下社長です。
山下紗登美?あはい。
そうですけど…。
知ってるんですか?いや雑誌で見た程度じゃねえか。
(志保)西森飛鳥さんはこちらのトップアーティストだったんですよね?
(田所邦夫)ええそうです。
彼女が独立するのは店長さんとしても痛手ではなかったんですか?痛手ではありますが…自分の店を持つ事は彼女の夢だったんです。
私は喜んで送り出すつもりでいました。
すいませんがちょっと顧客名簿を拝見出来ますか?どうぞこちらです。
随分厳重に管理されてるんですね。
(田所)大切なお客様の個人情報ですから…。
どうぞ。
西森君が担当してたお客様のカルテです。
ありがとうございます。
拝見します。
(村瀬)あっ!
(志保)うん?妙子さんもお客さんだったのね。
またかよ…。
「またか」って?隠してたんだよ青柳さん。
妙子さん絡みになるといつもこれだ。
隠してたわけじゃないんじゃないの?知らなかっただけよ…。
そんなわけあるか!とにかくこの件は私に任せて。
いいだろう。
主任としての君の腕の見せどころだからね。
ルームシェア?ええ。
西森飛鳥さんは男女4人で暮らしてたんですよ。
ああの…ルームシェアっていっても今全然珍しくないんですよ。
下宿みたいなものですからね。
男と女が一つ屋根の下に暮らしてるからといって不健全な事なんて一つもないんですよ!むしろ僕には健全なイメージがありますけどね。
いや…僕にも不健全なイメージないよ。
あっ…そうですか?そうですよね!ああ〜!あそこです。
ここが皆さんの共有スペースですか?
(榎本勝)ええ。
リビングやダイニングはみんなで使っています。
そうですか…。
で西森飛鳥さんのお部屋っていうのはどちらですかね?そこです。
え?あ係長…。
では皆様のお名前それからご職業それから昨夜の行動についてお聞かせ願いますか。
(四宮知世)なんでそんな事まで聞かれるんですか?昨夜の行動って…。
アリバイってやつ?私たち疑われてるって事?よせよ!協力出来る事は協力しようよ。
変に疑われてるんだったら身の潔白を証明してもらった方がいいだろ。
それはそうだけど…。
じゃあ俺から。
はい。
榎本勝です。
榎本さん…。
ここでファッション誌の編集やってます。
編集?
(榎本)ゆうべは会社で同僚と一緒に徹夜で仕事してて今朝8時頃戻って来ました。
塚田敏明です。
この店のフロアで働いています。
イタリアンレストラン?
(塚田)はい。
ゆうべは11時の閉店まで働いていて深夜12時過ぎにここに戻りました。
それからはずっとこちらに?ええ。
すぐに自分の部屋に入ってしばらく本を読んだりしてました。
四宮知世ファッション系のモデルやってます。
モデルさん…。
昨日はえーっと…撮影の仕事が横浜であって遅くまでかかったから…そのまんま横浜のホテルに泊まって戻って来たのは今朝の10時過ぎくらい。
10時過ぎ…。
という事は皆さん昨夜の西森飛鳥さんの行動はご存じないって事ですか?ええ。
ああ…。
係長何やってるんですか?これなんだろう?
(塚田)ガラスの破片ですか?それ私が割っちゃったグラスかも!お前かよ!いつだよ?一昨日かな…?ちゃんと片づけろよ。
危ないだろ?ごめん。
2人…付き合ってるんですか?ペアリングでしょ?ええまあ…。
それが何か…?いえ別に…。
いけなくないです。
(矢沢)西森さんとはどのようなご関係ですか?
(山下紗登美)数年前から彼女の美容室に通っていました。
プライベートでも親しくなってたまに食事を一緒にするようになりました。
(紗登美の声)新しいお店のオープンにあたって随分悩んでいるようでした。
悩んでたのは資金繰りの事ですかね?今のお店の店長と揉めていると…。
揉めてた?理由は?飛鳥さんお店を辞める事最近になって急に店長に告げたらしくて…。
ああそうなんですか。
あそれからルームシェアしている女の子とトラブルが生じているとかなんとか…。
ルームシェア仲間とですか?ええ。
ああ…。
その後店を出たのは何時ぐらいですか?8時過ぎだったと思います。
社長さんはそのあとどちらの方に…?アリバイですか?うちに帰りました。
それを証明出来る方っていらっしゃいます?ごめんなさい。
私一人暮らしなんです。
ありがとうございました。
矢沢君行こうか?えぇ…。
ありがとうございました。
(矢沢)社長のアリバイもうちょっと突っ込んどいた方がよかったんじゃないですか?そんな事より美容院の店長とルームシェアの女だな。
ルームシェアしてる女性と揉めてたっていうんですか?
(青柳)うん。
(志保)モデルの四宮知世さんね。
彼女そんな事言ってなかったですよね?自分に都合の悪い事を簡単に言わないんじゃないの?
(矢沢)それから美容院THESWITCHの店長。
これ彼女と独立の時に揉めてたみたいですよ。
いやそんな様子なかったぞ。
それは観察眼の問題じゃないかな?は?
(志保)って事は…あの田所店長嘘をついてたって事ね。
そうかもしれませんね。
美容院の独立に際して最も問題になるのは…顧客を連れて行かれる事。
田所店長あの顧客カルテの管理やコピーの使用にやけに神経質だったのはそのせいかもよ?西森飛鳥が顧客カルテを持ち出したりコピーしたりしたんじゃないですか?さすが主任さんは観察眼が違いますよね。
青柳さん報告する事それだけですか?はいそれだけですけど?じゃあこちらから…。
村瀬さん…!いや…わかってるわかってる。
(青柳)何?これ西森飛鳥の顧客カルテなんですけど…。
あれ?何?妙子が西森飛鳥の客じゃまずいわけ?いや別にまずくはないですよ。
なんだよ…?妙子が事件に関係してるとでも言いたいのかよ!そんな事ひと言も言ってないじゃないですか。
私が問題にしてるのはこういった事実をあなたが隠してたって事ですよ!そういった隠蔽体質の人間と私はこれから仕事やっていく自信がないんです。
隠してたわけじゃねえよ!隠してただろ!知らなかったんだよ!知らないっておかしいだろ!知らない…知らないのは普通だと思いますよ!僕だって倫子ちゃんが行ってる美容室どこだか…。
どこの美容室行ってるかはわかりませんけど…。
僕だって早苗ちゃんがどこの美容室に行ってるかなんてわかりません。
それにほら妙子さんもう半年以上も通ってないじゃないですか!あ〜もういいわかった。
この話はここまでだ。
これ以上議論しても無駄だこれ!自分でまいた種でしょ…。
とにかくこの2人に関して調べ直しましょう。
はい。
はい。

(石川倫子)ええ〜!なんで言わなかったの?だってルームシェアの話題になったんでしょ?私たちのルームシェアを報告する絶好のチャンスだったじゃない!チャンスとか言うけどさ捜査中だったんだよ?ただでさえややこしい捜査中にさそんな事言ったらもっとややこしくなっちゃうじゃないよ!そうだよねえ…。
うん。
じゃあこのまま報告なしでいっちゃおうか?いや無理無理!絶対無理!だって倫子ちゃんたまに係長と会うからいいかもしれないけど俺毎日会ってんだよ?あーもうめんどくさーい。
どうした?痛いの?ケーキ作りって意外と肩凝るのよ。
それに余計な悩み事まで出来ちゃったし…。
よしわかった!じゃあ肩揉んであげよう。
そっち座って。
本当に?え?タダ?タダ!タダ!
(青柳)ただいま!
(垣内妙子)おかえりなさい。
さっきニュース見たんだけど…。
うん。
亡くなった西森飛鳥さんって私が以前カットしてもらってた美容師さんなの。
あっそうなんだ…。
いやその事件俺らの担当でさ…。
そうなんだ…。
頑張ってね青柳主任。
おう!そういえばTESERAっていうエステ会社の社長の山下さん…知り合いだって言ってたよね?うん。
紗登美さんがどうかしたの?いや…その山下さん亡くなった西森飛鳥さんとも知り合いだったみたいでさ…。
そう…。
恩人だって言ってたよね?昔から色々お世話になった。
へえ…色々って?「青ちゃんを信じてついていけ」って…背中押してくれた。
へえそうなんだ。
あっどこでどんなふうに知り合ったの?話さなきゃダメ?いや…ダメって事はないけど…。
ま隠されるとそりゃ気になるよな。
そうだよね。
でも…。
話したくない。
俺…妙子の事を全部知ってるつもりでいたしさ…。
その隠し事っていうのは…。
だって俺隠し事してないでしょ?どうかな?まあいいか…ないない!ない!終わり〜。
ごめんなさい。
ごめんなさいとか言われるともっと気になるから…!あ…ごめん…。
俺大事な書類署に忘れてきちゃったかも…。
取りに戻んなきゃいけないから先に寝てて。

(ドアの開く音)あまだ帰ってなかったの?よかったら食べる?タコス美味しいよ。
いや結構です。
係長ちょっとお聞きしたい事があります。
あはい。
青柳さん…なんで主任から外されたんですか?問題?問題あります。
みんな理由のわからない人事で戸惑ってます。
そう?少なくとも私は納得いってません。
人事ってだいたいそんなもんでしょ?それ答えになってません。
青柳君や君より…小宮山君の方が主任としての適性がある。
そう判断した。
納得出来た?いや…。
はい…。
(ノック)はい。
失礼します。
あら珍しいツーショット。
(真澄)2人仲良くお食事ですか?そう見えますか?いいえ。
係長さんも大変ですね。
いやそうでもないよ。
あ食べる?タコスですか…。
結構です。
これ…。
係長さんが気にしてたかかとの靴擦れ調べてきました。
僕が気にしてた?気にしてましたよ。
そう…。
だから調べたんです。
両足の靴擦れとストッキングにもわずかに血が付着してましたが遺体発見後の履いてた靴には血は付着してませんでした。
死後何者かが靴を履き替えさせた可能性があります。
なんのために?あっあっ…はい。
はい…。
こっちで調べます。
お願いします。
飛鳥さんと知世さんの関係ですか?はいそうです。
確かに仲がいいとは言えませんでした。
2人ともプライドが高いせいでつまらない事でよく口論してました。
(知世)掃除は当番制なんだからちゃんとやる事やってよ。
(西森飛鳥)ごめんなさい。
私忙しくって。
忙しいのは私も同じよ。
(飛鳥)へえ忙しいんだ。
どういう意味?仕事がそんなにあるように思えないんだけど。
この前は本人を前にしてたんで言いにくくてすみません。
それからこれはあんまり関係ないかもしれないけど…。
(飛鳥)ふざけないでよ!支払いの期日過ぎてるのよ?山下さんが全面的に援助してくれる約束だったでしょ?飛鳥さん資金援助の事でTESERAの社長と揉めてましたよ。
TESERAの山下社長ならこっちも調べてるところ。
そうですか。
わかりました。
じゃあ僕は四宮知世を調べますので。
はい。
出まーす。
係長?はい。
行きましょう。
はい。
お疲れさまです。
(紗登美)お疲れさま。
(携帯電話)
(呼び出し音)お疲れさまです。
(矢沢)お疲れさまです。
青柳さんは?ああなんかちょっとおなか痛いとかで遅れるそうです。
まあすぐ来ると思うんですけどね。
おなか痛いって子供か。
大人でも痛くなりますよ。
矢沢。
はい。
お前山下紗登美から話聞いた時様子おかしいと思わなかったのか?あの…ちょっと思いました。
ちょっとでも思ったんなら突っ込めよ!西森飛鳥さんのお店の開店資金ほぼ全額山下紗登美さんから提供されてたらしいの。
そのうえ2人の間にはその事が原因でトラブルが生じてたらしい。
はい。
あのさっき係長に聞きました。
すいません。
(ドアの開く音)おなかの具合どうですか?
(青柳)えっ?なんの話?ああいや…痛いんですよ。
山下紗登美のアリバイは?ああ…自宅に戻ったそうです。
裏取ったのか?ええそれは…。
取れよ。
すいません。
俺の判断だから。
(村瀬)はあ?
(青柳)矢沢は気にしてたけど俺がいいって言ったから。
なんでですか?山下紗登美を疑いたくなかったから。
どうして?山下紗登美…妙子の恩人なんだ。
昔から世話になってる人でさ…。
出たよ…。
またですか。
あんたまたそれか!なあ…捜査なめてんのか?そんなんだったら刑事辞めちまえよ!!なあ!
(志保)村瀬さん!ああ…辞めようと思ったよ。
グダグダ言われるんだったら主任も刑事も辞めようと思ったよ。
けど…申し訳ない。
辞めたくないんだよ。
辞められないんだよ。

(電話)村瀬君電話。
(電話)
(電話)はい9係。
(女性)「もしもし」「青柳主任お願いします」青柳主任?いや青柳はもうすでに主任じゃありませんよ。
「えっ?そうなんですか?」ええ。
1か月前から主任は小宮山…。
あれ?ひょっとして妙子さん?えっ…。
もしもし妙子?
(妙子)「青ちゃん…」「ごめん携帯が繋がらなかったから…」ああごめん。
どうした?
(妙子)紗登美さんの事で話がしたいの。
すぐ近くの公園にいる。
会える?わかった。
すぐ行く。
(妙子)うん…。
山下紗登美の事で話があるって。
すいませんちょっと出てきます。
あの主任じゃなくなった事をばらしちゃった事私謝りませんからね。
大事な人に嘘ついてたあなたが悪い。
そうだよな。
(ドアの閉まる音)
(携帯電話)はい。
「浅輪です」四宮知世アリバイ崩れました!えっ?妙子!ごめん!ごめん妙子。
ごめん俺実は…。
青ちゃん…。
もう主任じゃないんだよ。
座って。
私が紗登美さんと出会ったのは覚醒剤でひどい目に遭った前の事歌手を目指してた時。
田舎が同じという事もあってとってもよくしてくれた。
えっ?田舎?山下さんって出身東京じゃねえの?それは違うの。
ある理由があって経歴を偽ってるの。
でもそのある理由だけは聞かないでほしい。
紗登美さんとの約束だから。
うん…わかった。
ごめんね。
ううん。
飛鳥さんの美容室を紹介してくれたのも紗登美さん。
でも半年前に急に言われたの。
飛鳥さんには近づくなって。
妙子さん…。
(妙子)はい。
飛鳥さんとはもう会わない方がいいと思う。
どうして?紗登美さん飛鳥さんに脅されてたみたいなの。
その…ある理由でかな?多分そう。
青ちゃん紗登美さんは悪い人じゃないの。
だから…。
わかってる。
ごめん…。
いや…。
俺の方こそごめんな。
俺ら昨日からごめんごめんしか言ってねえのな。
ハハッ。
(青柳)ハハハ…。
ごめんね…。
(紗登美)はい。
はい…。
わかりました。
会ってお話をしましょう。
横浜のホテルに行ってきました。
私何もしてない。
殺してなんかない!ああそれはわかってます。
あなたは12時過ぎに横浜にいた事が確認されてます。
ただあなたがなんでそんな嘘ついたのか知りたいんですよ。
東京に戻って男と会ってた。
男っていうのは恋人の榎本さん?違うわよ。
違うから嘘つくしかなかったの。
別の男と会ってたの。
その彼に渡すプレゼントを取りにここに来てそれから彼の部屋に行ったの。
あなたこの部屋に来たんですか?ええ。
何時頃?1時過ぎかな。
午前1時?ええ。
(知世の声)その時にグラスを落としたのよ。
これなんだろう?あの時あなたが破片見つけるから…焦ったわよ。
午前1時にグラスを落としたの?だって明かりもつけなかったしこのテーブルがいつもよりこっちにあったからぶつかっちゃったのよ。
このテーブルがいつもよりそっち?こっちです。
はい。
このぐらいですか?いやもうちょっとかな?このぐらい?うんそのくらいかな。
ちょっとそれ私の靴なんですけど。
ああ失礼。
あの…飛鳥さんの靴は?その上の段だけど。
山下紗登美会社にいねえ!30分前に出かけたらしい。
行き先がわからないって事ですか?誰も知らねえんだってよ!こっちも調べたんですけど山下紗登美経歴全部デタラメでした。
ああそう…。
ここまで嘘で塗り固めてるとはどこの何者なんだ?逃亡した可能性もあるなぁ。
俺この辺捜すわ!わかりました!とにかくこの山下紗登美見つけ出そう。
いやちょっと待って。
山下紗登美の居所もうすぐわかると思うよ。

(塚田)「何か誤解してませんか?」「僕はあの女が飛鳥さんを殺したに違いないと睨んでこの手で捕まえようとしたんです」「それなのにどうしてこんな目に…」あの晩深夜1時過ぎ四宮知世さんはある事情があっていったん家に帰っています。
あなたは0時過ぎに家に帰ったんですよね?
(塚田)ええ。
知世さんが帰ってきたの気づきませんでした?気づきませんでした。
すぐに自分の部屋に入ったから。
知世さん家に帰ってきた時にグラスをテーブルから落として割ってしまったんだそうです。
あなたは部屋で本を読んでいた…。
気づきませんでした?あっそうか。
もしかして家にいなかったんじゃないですか?いましたよ。
でもそれがなんだっていうんですか?飛鳥さんが改装中の店で水飲んで死んだのって何時ですか?確か21時から22時の間って言いましたよね?
(塚田)「深夜1時過ぎに僕が部屋にいようがいまいが関係ないじゃないですか」「21時から22時の間僕店で働いてました」「証人も大勢います」もし彼女が他で水を飲んだとしたらどうなりますかね?知世さんの話によりますと西森飛鳥さんは家に帰ってくると必ず冷蔵庫からペットボトルを取り出して水を飲んでいたそうです。
それを知っている人間であれば事前にペットボトルの中に毒物を混入する事は可能ですよね。
そして彼女はいつものように水を飲んだ。
はあ…。
うっ…あっ…!うっううっ…!遺体の肩に圧迫痕が2つありました。
これマッサージチェアの肩を揉む部分。
これと同じ大きさだったんです。
恐らく彼女が座っている時に痙攣を起こしたためついた圧迫痕だと思われます。
1時過ぎにあなたが家にいなかったのは彼女の遺体を運んでいたからですよね!?まずあなたは彼女に靴を履かせた。
でもその靴間違ってたんですよ。
これが遺体になった彼女が…。
履いてた靴こちらが彼女が家に帰ってきた時に履いてた靴。
ここにちょっと血がついてますよね。
靴擦れ。
いくら僕が男だからってそんな簡単に死体を運べませんよ。
担いだりしたら死体になんかそういう痕が残るんじゃないんですか?彼女がグラスを落としたのはテーブルがいつもの場所と違ったから。
テーブルが動いてたんです。
マッサージチェアから玄関までの通路を作るために。
車椅子の通路を。
車椅子の通路?車椅子…。
あなたが働いてるレストランに置いてありました。
そしてあの晩あなたは最後まで店に1人で残っていた。
簡単に車椅子を運ぶ事が出来た。
そしてそのまま車に乗せ改装中の店に運び遺体をソファに寝かせた。
偽装工作をした。
ただ床をきれいに掃除したのはやりすぎでしたね。
マッサージチェアと車椅子今鑑識が徹底的に調べてます。
もう言い逃れ出来ませんよ。
あいつが悪いんだ。
あの女が悪いんだ。
俺はあいつを愛してたのに…。
お金って?あなたに今まで貸してたお金。
すぐにまとめて返してって言ってるの。
どうして急にそんな事言うの?俺たちいずれ結婚するんだし。
それ本気で言ってんの?えっ?どういう意味?それ。
あんたなんか努力して生きてきた?女に金もらって平気でいられるような男って最低の三流男よ!金もないような男は私にとってはただの足手まといなの!山下紗登美さんを呼び出したのは彼女を殺害するためですか?ああそうさ。
飛鳥の事で話がある。
秘密をばらされたくなかったら来いって呼んだんだ。
罪をかぶせて自殺に見せかけて殺すつもりだった。
(塚田)なんでこんな事になっちまったんだよ…。
あいつだ。
飛鳥のせいだ。
あいつは俺の愛を踏みにじった。
殺すしかないだろ!君に愛なんて言葉を使う資格ない!罪償って自分以外の人間を本当に愛せるようになって初めて口にしなさい。

(紗登美)私は20年前生まれ育った町で男を…殺しました。
キャーッ!どうしてお前は人の言う事が聞けないんだよ!やめ…。
ああーっ!あっ…!正当防衛は認められましたけど私がその町で生きていく事は無理でした。
だから名前も経歴も何もかも全て捨てて…生きてきました。
その過去を飛鳥さんに知られてしまったんですね。
(紗登美)自分から話したんですよ。
努力して苦労している飛鳥さんを勇気づけようと思って。
こんな私でも生きてるって…。
でも飛鳥さんはその事であなたを脅迫してきた。
はい。
社長となった今私には社会的な責任があります。
何度も何度も飛鳥さんに思い直してもらうよう説得しました。
でもその思いは最後まで届かなかった…。
飛鳥さんには幸せになってほしかったのに…。
妙子は幸せに生きてると思いますよ。
あなたとの約束を守ってあなたの秘密を最後まで口にしませんでした。
あなたが青ちゃん…?はい。
最初にお会いした時もしかしてって思ったんです。
妙子さんが言ってたとおりの人ですね。
妙子さんの事これからもよろしくお願いします。
はい。
矢沢…。
はい…。
妙子…。
ん?主任じゃなくなってた事黙っててごめんな。
ううん。
私の方こそごめんね。
青ちゃん私さこれからも迷惑かけちゃうかもしれないけど青ちゃんについてっていい?そりゃダメだな。
ついてくるんじゃなくてさ隣にいてくんねえかな?青ちゃん…。
フフフ…。
おうち帰ろう。
うん。
青ちゃん。
ん?チャック開いてるよ。
青柳さん刑事辞めたらその事を妙子さんに一生背負わせると思ったんですかね。
そんな青柳さんの気持ちわかってて係長は…。
浅輪君。
お疲れさまでした!お疲れさま。
2014/04/24(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
警視庁捜査一課9係[再][字]

「殺人美容室」

詳細情報
◇番組内容
規格外の捜査官7人で織りなす最強捜査チーム9係、ふたたび始動!先の読めない展開と、重厚かつ濃密な人間ドラマにさらなる磨きをかけた刑事・群像劇シリーズ第8弾!
◇出演者
渡瀬恒彦、井ノ原快彦、羽田美智子、吹越満、田口浩正、津田寛治、原沙知絵 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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