科捜研の女11 2014.04.24

(パトカーのサイレン)
(権藤克利)被害者は免許証と名刺を所持していました。
(土門薫)山岸史朗36歳。
この近くでフリースクール青葉を主宰する教師だ。
(榊マリコ)頭部数か所に打撲痕。
それに後頭部に擦過傷がある。
ここまで引きずってこられたのかもしれない。
(吉崎泰乃)マリコさんこれ。
人間の毛じゃなさそうね。
(泰乃)鑑定してみます。
(宇佐見裕也)マリコさん!ありました!血痕です。
(乾健児)こっちです!
(宇佐見)血痕はここと…。
(乾)あとここです。
ここが殺害現場か。
おそらく…。
(風丘早月)角膜の混濁が強くて瞳孔が見えにくくなってる。
ああ…硬直も強度だし死後約20時間から22時間ってとこね。
死亡推定時刻は昨日の午後3時から5時前後。
では解剖しましょう。
お願いします。
あっはいこれ。
被害者の打撲痕に付着してた微物。
ありがとうございます。
頭頂部側頭部後頭部に2か所ずつ計6か所の打撲痕。
死因は頭部打撲による外傷性の脳内出血で間違いないですね?ああ…。
ええ。
そう…この6つの打撲痕で気になることあるんだけど。
それぞれ2つの打撲痕の間の距離がどれも5.8センチ。
これは6回殴られたんではなくうーん…あっこう先端が2つに分かれた凶器で3回…殴られたんじゃないかと思う。
先端が2つに分かれた凶器…。
発掘現場で発見された血痕と被害者の血液型が一致しました。
(日野和正)被害者の衣服の背面全体に発掘現場の土が付着してた。
後頭部の擦過傷に生活反応はなかったんですよね?ええ。
犯人は被害者を発掘現場で殺害したあと河原まで引きずって移動させた可能性が高いわね。
河原のほうが発見が遅れると思ったんですかね。
うーん…。
凶器は特定できたのか?
(乾)ああいいえ。
先端が2つに分かれてる凶器で調べてみたんですが…。
(宇佐見)あの凶器鉄製じゃないでしょうか?被害者の打撲痕に付着していた微物の中に酸化鉄が含まれていました。
酸化鉄…?赤さびですね。
ええ。
あっそれともう1つ。
河原の土とはpH値が明らかに異なる土が付着していました。
(乾)その土凶器に付着してたと考えるのが自然ですよね。
アルカリ性の土ね…。
(日野)日本の場合は酸性が多いし海外の土って可能性もあるね。
土壌サンプルが集められている地質研究所に問い合わせてみます。
被害者に付着していた毛はなんだったの?はい。
やはり人間の毛ではなく馬の毛でした。
馬の毛…。
鹿毛…つまりこげ茶色のサラブレッドです。
馬の毛?ええ。
被害者に乗馬の趣味とかなかった?いやまだわからないがかなり熱心な先生だったらしくてほとんど休みなく子供たちの指導をしてたそうだ。
乗馬なんかしてる時間はなかったんじゃないかな。
そう…。
馬の毛が河原で付着したとは考えにくいしそれなら犯人に付着していたのかも…。
あの…事件当日現場近くの洛北小学校で平安騎馬隊がパトロールしていたようですが。
平安騎馬隊…?
(宮内)葵祭や時代祭の先導で我々の存在をご存じの方は大勢いらっしゃるのはいらっしゃるのですが…。
まあその他にも交通安全のパレードに出動したり府内小学校の通学路で騎馬パトロールも行っています。
(泰乃)へぇ〜同じ京都府警の人間なのに全然知りませんでした。
(権藤)見学自由なんですね。
(宮内)ええ。
我々はできるだけ府民の方と触れ合う機会を持ちたいと思っています。
ああ優しい目してますね馬って。
そうね。
心理療法でホースセラピーっていうのがあるのよね。
(泰乃)馬に人を癒す力があるのよーくわかります。

(泰乃)マリコさん!
(宮内)事件当日は2人の隊員がパトロールに出たんですがそのうちの1人平井は今日は奥さんの出産で休みをいただいておりまして。
もう1人の隊員の瀬田歩美は…。
あっいたいた!おーい!瀬田君。
(いななき)
(瀬田歩美)あっ…危ないです!
(歩美)馬の視野角度は350度なんです。
ですから背後から近づくと驚いて蹴られることもあるんですよ。
ごめんなさい。
(宮内)表に回りましょう。
捜査一課の権藤さんと科捜研の榊さん吉崎さん。
早速ですが洛北小学校近くの河原で殺人事件があったのはご存じですね?はい。
あなた方が騎馬パトロールに出ていた時間帯と被害者の死亡推定時刻が重なってるんですが…。
特に変わったことはなかったですね。
当日パトロールに出た馬は?私が騎乗したのがこちらの昴号。
でこちらが平井隊員が騎乗した北斗号です。
洛北小学校へはどうやって?馬で直接向かいました。
馬で行けるんですか?はい。
道路交通法で馬は軽車両扱いになってますから道路を歩いてもいいんですよ。
ああそうなんですか。
では一応昴号と北斗号の毛を採取させてください。
それはまたどうして?被害者の衣服に馬の毛が付着していたんです。
当日こちらの馬も殺害現場近くをパトロールされていたので。
うちの馬のものか犯人に関係するものかを鑑定なさりたいっていうことですね。
はい。
あっそれとパトロールのルートを記載された日誌などありましたらコピーさせてください。
わかりました。
じゃあ瀬田君お願いします。
あっはい。
あれは…?ああ装蹄といいましてね…どうぞ。
(宮内)ひと月に一度馬の蹄が伸びる間隔に合わせて蹄鉄の付け替えを行うんです。
これ見て。
これ馬の蹄鉄ですね。
どうしたんですか?平安騎馬隊から使用済みのものをお借りしてきたんです。
先端が2つに分かれてて鉄製…。
マリコさんもしかして?これなら十分凶器になりそうよね。
5.8…。
(乾)5.6…。
5.8…。
外幅11.8。
深さ2.2。
凶器ですが蹄鉄で間違いないと思います。
犯行で使用された蹄鉄はどこで使われてた蹄鉄なんだろうね。
競馬関係が一番多いのかな。
(乾)いや鉄製の蹄鉄は現在は競馬関係では使われていないみたいです。
「現在は」っていうことは昔は使われてたの?はい。
といっても調教の時だけですけど。
現在はすべてアルミ製を使っているみたいです。
(日野)それじゃ今鉄製の蹄鉄を使っている馬は?乗馬クラブ大学の乗馬部など主に競馬以外の馬は鉄製の蹄鉄を使っているみたいですね。
平安騎馬隊で採取してきた馬の毛の鑑定結果が出ました。
どうでした?あそれが…。
被害者に付着していた毛は瀬田さんが騎乗していた昴号のものでした。
えっ…?
(泰乃)あの…ちょっとこれ見てください!現場周辺の防犯カメラの映像です。
拡大鮮明化。
はい。
瀬田さん…?はい。
(泰乃)事件当日の午後3時49分の映像ですから山岸さんの死亡推定時刻の午後3時から5時までと重なる時間です。
瀬田さんの日誌には洛北川沿いの道を通ったっていう記載はない。
もしかして瀬田隊員が…!?それじゃよろしく。
(泰乃・乾)はい。
(足音)瀬田さん…。
こんなところで何してるんですか?ここが殺人現場だということご存じですよね?嫌になりませんか?そうやって人を疑わなければいけない自分がどうしようもなく嫌になったことありませんか?瀬田さん…?私は…あります。
あっちょっと待って!
(携帯電話)
(携帯電話)はい。
マリコさん!蹄の跡…。
洛北川の河川敷で発見された蹄の跡と昴号の蹄の跡が一致したぞ。
(権藤)あなたは山岸さんが殺害された日一緒にパトロールに出た平井隊員に別ルートで帰ると断って1人で洛北川沿いの道へ行ったそうですね。
なぜ1人で別行動をとったんだ?
(権藤)このまま何も話さないつもりですか。
(佐久間誠)今日のところは帰したらどうだ。
瀬田歩美は重要な容疑者の1人です。
現在あるのは状況証拠だけだろう。
警察官が容疑者の1人だとマスコミに嗅ぎつけられたら大変なことになる。
慎重に行けということですか。
わかってるなら聞くな。
瀬田は平安騎馬隊に異動になる前少年課の刑事だったそうですね。
うん…?それがどうした?瀬田は少年たちの更生に力を尽くそうと人一倍頑張っていたと聞きました。
それがなぜ平安騎馬隊に?ああ3年前のことだがな万引きで瀬田が補導した少年が家に帰されたあと自分はやっていないと遺書を残して自殺した。
まあ瀬田が強引な取り調べを行ったわけでもなかったし処分対象にもならなかったが瀬田はその後自分から異動を希望したと聞いている。
土門さん!おう。
瀬田と被害者の山岸がつながりました。
えっ…?3年前瀬田さんが補導してその後自殺を図った少年がフリースクール青葉の生徒だったっていうの?ああ。
その少年が補導された時身元引受人として警察にやってきたのが山岸さんだった。
それが今回の事件とどうつながるの?山岸さんが殺害される1週間前そのフリースクールを瀬田が訪ねてきたらしく…。
スタッフは2人がもめていた原因がなんだかわからないと言っている。
しかし瀬田が山岸さんと面識があり殺害される1週間前に会っていたのを隠してたことは極めて不利な材料になる。
瀬田さんは黙秘したままなのね?ああ。
実は昨日山岸さんの殺害現場で瀬田さんに会ったの。
嫌になりませんか?そうやって人を疑わなければいけない自分がどうしようもなく嫌になったことありませんか?瀬田さんがそんなことを?もしかしたら彼女…誰かを必死で信じようとしているんじゃないかしら。
誰かを信じようとしている…?何も話そうとしないのは誰かを信じたいからじゃないかって私にはそう思えて仕方ないの。
(宇佐見)ああマリコさん!乗馬クラブや大学の乗馬部で鉄製の蹄鉄を使っているところの土を鑑定したんですが一致するものはありませんでした。
(日野)それでね依頼していた土の分析結果が届いたんだけどもこれ…。
「フランスブローニュの森」…?
(泰乃)あのパリのですか?そこって確か凱旋門賞なんかが行われる競馬場があるところだよね?ここ閉鎖になるんですね。
ええ。
教員免許持ってたの山岸先生だけやったし。
まあ誰も引き継ぎとうなかったんでしょうね。
あのそれはどういう…?先生お金の面で苦労してはったみたいで3か月前にとうとう家賃を待ってくれと言いに来はりまして。
家賃を…。
ええ。
でも亡くなる3日前にこれからは迷惑をかけることもなくなると思うって言いに来はって。
まあてっきり支援してくれる人でも見つかったんやと思ってたんですけど。
先生を支援してくれる方ってご存じですか?支援ですか?ええ。
聞いてませんけど。
土門さん。
ん?これ…。
あの…これ山岸先生の本ですか?ああそれなら今度スクールに入校する予定だった子の父親が装蹄師さんでその人について書かれた本だからってお読みになってました。

(武豊)大倉さん。
(大倉敬)あっ豊。
(大倉)どうだった?あの馬は。
走りが変わりましたよ。
大倉さんに装蹄してもらうと馬も喜ぶみたいですね。
これなら凱旋門賞いけますよ。
能力の高い馬の足元は繊細だから装蹄するのも神経使うよ。
あああの子…。
よくうちに遊びに来るんですよ。
まだ高校生だと思うんですが学校のある時間に来たりするんでうちの隊員も気にして話しかけたりするんですが何も話してくれないそうです。
瀬田さんが彼に話したりしたことは?ええ。
何度か見かけたことがありました。
でも瀬田が一方的に話しかけてる感じでした。
あの今日瀬田さんは…?上からの指示で休暇を取らせてます。
…そうですか。
榊さんはうちの瀬田が事件に関わっていると本当にそうお考えですか?えっ…?私は…どうしても瀬田が殺人なんかできるとは…どうしても…思えません。
(携帯電話)すいません。
(携帯電話)もしもし。
山岸が自分のスクールに入校させようとしてた生徒の中に…。
「父親が装蹄師の16歳の高校生がいた」「山岸とその高校生が…」言い争いをしていたという目撃情報もある。
これからその子の家に行くがお前も来るか?ええ行くわ。
あっ…ここだ。
高校生の写真あったな。
はい。
大倉諒16歳です。
えっ…?なんだ知ってるのか?ええ。
(多田大樹)それじゃお借りします。
(大倉智子)あなたもいろいろ大変だろうけど頑張ってね。
はい。
(多田)頑張ります。
京都府警の土門です。
ご主人は装蹄師をなさっていたそうですね?ええ。
1年前に亡くなりましたけど。
失礼ですが先ほどの方は?主人の最後の弟子だった多田さんです。
主人の使っていた道具を借りたいと訪ねてこられたんです。
あの…それで今日はどういったご用件で?山岸史朗さんご存じですね?ええ。
実は息子の諒が不登校で…。
それで山岸先生のフリースクールに入校させていただこうと相談していたんです。
諒さんはフリースクールに行くのを嫌がっていたそうですね。
(権藤)ご近所の方が山岸さんと諒さんが言い争いをしているところを目撃してるんですが。
確かにそのようなことはありましたけど…。
実は先ほど平安騎馬隊で馬を見ている諒さんを見かけたんです。
諒さんよく行かれるんですか?さあ…。
あの子このところ私とあまり話をしてくれないので。
でも諒は子供の頃から馬が好きで…。
父親が生きている頃将来はお父さんの跡を継いで装蹄師になるんだってよく言ってましたから。
あの…中見せていただいてもいいですか?どうぞ。
おお…。
ものすごい数だな。
カリスマ装蹄師って言われてた方みたいですから。
あのこれは?
(智子)主人が30年前手がけた競走馬が海外のレースに出た時調教で使った蹄鉄だと思います。
それってフランスの凱旋門賞じゃありませんか?はい。
確かそうです。
前脚後脚そろっていれば4つあるはずですが。
(智子)そうですね。
前見た時はあったんですけど。
どうだった?一致しました。
凶器の特定ができました。
大倉諒君の父親が手がけた蹄鉄で間違いありません。
そう…。
じゃあ犯人は大倉諒君…?まだ納得がいってないようですね。
ええ…。
ここに置いておきます。
(早月)毎度!
(日野)あっ風丘先生。
(一同)おはようございます。
ティータイム!残念今日は差し入れなし。
(日野)えーっ!所長が「えーっ!」って。
ああすいません。
はい!所長の大好物。
あっすいません。
やったー!
(乾)大好物〜!うるさいなもう。
これはこの間の死体検案書。
ありがとうございます。
あっ馬か。
かっこいいねぇ。
私も一度乗ったことあるんだけど馬の上って視界が変わって見える景色の違いでびっくりした。
そうか…。
(乾)はい。
泰乃さんお願いね。
(泰乃)はい。
(平井)はい。
(平井)おう。
(平井)はい手綱を持って。
はい。
(平井)鐙に足をかけて。
(泰乃)あっよいしょ。
それじゃ山岸さんが亡くなった日の瀬田さんと昴号のパトロールのルートでよろしくお願いします。
わかりました。
じゃ平井君頼むぞ。
はい!昴ゴー。
(宮内)いってらっしゃい。

(乾)これが瀬田さんが馬の上から見ていた景色なんですね。
ええ。
泰乃さんと瀬田さんの身長は変わらないからほぼ同じ景色だったはずよ。
この小学校で待機する場所は?
(平井)ここです。
泰乃さんその位置から周辺を見渡してみて。
はい。
あっ!あそこ!わざわざ申し訳ございません。
あの…それで今日はなんでしょうか?どうぞ。
こちらをご覧ください。
事件当日パトロール中に昴号の上であなたが見ることができた映像です。
シートに覆われていた山岸さんの殺害現場も昴号の上のあなたには見ることができたことになります。
瀬田さんあなたは誰かを目撃したんじゃないですか?大倉諒君ですか?山岸さんの傷口に付着していた土と諒君の家にあった蹄鉄の土が一致しました。
違う!諒君はやってません!私は諒君を信じています。
あなたのお気持ちはよくわかります。
でも信じようとすることと事実から目を背けることは違います。
(携帯電話)もしもし。
えっ…?うん…。
わかった。
(電話を切る音)諒君がいなくなったそうです。
えっ…?本当のこと話してください。
(歩美)あの日小学校のパトロールで校門の前に立っていた時…。
(子供たち)さよならー!
(平井)さよなら。
さよなら。
さよなら〜。
さよなら〜。
(歩美の声)山岸先生と諒君でした。
そのあと2人の様子が気になって…。
それであなたはパトロールの帰り洛北川へ…。
はい。
でも山岸先生も諒君もいなくて。
だから見間違いだったのかと思って騎馬隊に戻ったんです。
でも次の日…ニュースで山岸先生が殺されたって知って…。
諒君には確かめなかったんですか?ニュースを見たあとすぐにメールを送りました。
でも山岸先生と一緒にいたところを見かけたとかそういうことは書かずに昨日の夕方は何をしてたのかって。
諒君からはなんて?家にいたとそれだけ書いてありました。
それ以上問い詰めることができなくて。
それで自分が見たことが本当だったのかどうか確かめてから諒君と話そうと思ってたんです。
だから河原に?でもそれから諒君と連絡が取れなくなって…。
とにかく一刻も早く諒君を捜さないと。
あの実は…ここに来る前諒君から一度留守電が入ってたんです。
それまだ残ってますか?ただいま!どうだった?
(泰乃)諒君は携帯の電源を切っていてGPSではたどれない状況です。
瀬田さん携帯お借りできますか。
はい。
乾君お願い。
はい。
(大倉諒)「瀬田さん心配かけてごめん」「俺自分で決着つけてくるよ」決着って一体何をするつもりなんだ?乾君背景の音もっと上げて。
抽出します。
(電車の音)電車の音…?これは鉄橋の上を走る音ですね。
(乾)検索してみます。
(乾)221系。
JRの在来線で使われる車両です。
(電車の音)今のところ遠くで別の電車の音が聞こえない?
(乾)抽出します。
(電車の音)
(乾)検索してみます。
(乾)東海道新幹線です。
(日野)鉄橋を走る在来線と新幹線が交差する場所は?
(乾)桂川沿いに1か所と鴨川の川端駅近くに1か所あります。
まさか…。
どうしたんですか?この路線郊外にある霧ヶ畑駅に通じてますよね?
(乾)あっええ。
(歩美)諒君霧ヶ畑駅の近くにある京北ファームに子供の頃よく行ってたって。
装蹄の仕事をするお父さんに連れられて。
泰乃さん京北ファーム。
(泰乃)はい。
(泰乃)ありました!京北ファーム…3年前に閉鎖してます!瀬田さん私たちはとにかくそこへ行きましょう。
はい。
(歩美)私…諒君の寂しげな様子が気になって声をかけたんです。
昨日も来てたわね。
馬好きなの?ねぇ!ここなでてみて。
昴はね人の気持ちがわかるの。
元気になってほしいって思う人の眉間に自分の眉間合わせてくれるのよ。

(歩美の声)そして半月ほど前メールで山岸先生からしつこくフリースクールの勧誘を受けているという話を知りました。
もうこれ以上諒君をしつこく勧誘なさるのはやめてください。
(山岸史朗)あなたよくそんなことが言えますね。
3年前私の生徒があなたのせいで死んだことお忘れになったんですか?まだ懲りてないんですか?物わかりのいい顔をして中途半端に関わって傷つくのは子供たちなんですよ!
(歩美)何も言い返せなかった…。
だからメールを送りました。
「一度ゆっくり山岸先生と話してみたら」って。
そしたら諒君から「やっぱり瀬田さんも他の大人と一緒だね」って短いメールが来て。
そしてあの日諒君と山岸先生が言い争っているところを目撃したんです。
結局私は…。
私が諒君を追い詰めてしまったんでしょうか。

(足音)なんだよ?こんなとこ呼び出して。
(諒)多田さんだよね?山岸先生殺したの。
うちから父さんの蹄鉄持ち出してそれで殺したんでしょ?おいおい何言ってるんだよ。
山岸殺したのは…お前だよ。
お前は山岸を殺したことを後悔して今日ここで自殺するんだよ。

(諒)やめろ!土門さん!
(物音)多田!やめろ!
(歩美)諒君!頼む。
諒君!
(多田)ああくそー!ああ…!
(多田)ああー!
(咳込み)諒君!救急車。
あっはい!
(歩美)もう大丈夫だから。
諒君しっかり!大丈夫だよ。
お前の家から押収した蹄鉄から被害者の血痕が検出されたぞ。
大倉さんが死んで独り立ちしたんだけどまあ大倉敬の弟子ってだけで仕事がもらえるほど装蹄の世界も甘いもんじゃないしすぐにどん詰まって…。
(多田の声)そんな時思いついたんですよ。
大倉敬の手がけた名馬が使っていた蹄鉄を売れば金になるって。
なぜ山岸さんを殺したんだ?ネットでライドオンスカイの蹄鉄売りに出したら…。
あああのほらあの有名な馬の…。
山岸に気づかれたんですよ。
俺昔山岸のフリースクール通ってて。
それであいつ自分も一枚かませろって。
山岸さんが?自分がもっとうまい方法を考えてやるから売り上げの半分よこせって。
なんだよ。
2〜3枚持ってこいよ。
(舌打ち)ん?不満そうだな。
あのなお前みたいに頭の悪い奴が1人でやってたってどうせうまくいかないんだから。
(多田の声)俺が考えついた商売なのになんでこんな奴に…。
表ではきれいごとばっかり言ってる先公なんかになんで一生金むしり取られなきゃいけねえんだと思ったらカーッとして…。
(多田)ああー!
(殴る音)うわあー!
(殴る音)
(殴る音)俺は悪くねえ!山岸が悪いんだ。
(諒)あの日フリースクールの件ちゃんと断ろうと思って。
(山岸)何言ってるんだよ!結局逃げてるだけだろう。
離せよ!大倉…。
(諒)離せよ!
(山岸)大倉…!
(山岸)大倉!その時昴号の毛が山岸先生に付着したのね。
どうして逃げたりせず警察に事情を話そうとしなかったの?犯行に使われた凶器がうちにあった蹄鉄だって知ってもうみんなきっと俺がやったって思ってるってそう思ったから。
だから自分で多田を問い詰めようと思ったのね?諒君…瀬田さんねあなたのことを最後まで信じようとしてたのよ。
自分が犯人だと疑われても何も言わずに…。
ごめん。
瀬田さん俺のこと…。
ううん。
私がちゃんと諒君に問いただす勇気があったらこんなことにはならなかったのに。
ごめんなさい。
ごめんなさい…。

(歩美の声)「榊さんへ」「先日は何かとお心遣いいただき本当にありがとうございました」「信じようとすることと事実から目を背けることは違うっておっしゃった榊さんの言葉忘れません」「真実と向き合う勇気がない人間が信じるなんて言葉簡単に言ってはいけないんですね」「私もう一度少年課に戻りたいってそう思ってるんです」「今度はどんなことがあっても真実から目をそらしたりせず少年たちに向き合いたいって」「そんなふうに思えるようになったの榊さんのおかげです」「ありがとうございました」「瀬田歩美」おいなんだラブレターか?ううん。
もっといいもの。
えっ?2014/04/24(木) 15:05〜16:00
ABCテレビ1
科捜研の女11[再][字]

「疑惑の騎馬警官!京都〜パリを結ぶ殺意」

詳細情報
◇番組内容
沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所研究員の榊マリコが、事件現場に残された微細証拠を手がかりに真相を究明する科学捜査ミステリー。
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、風間トオル、斉藤暁、泉政行、奥田恵梨華、高橋光臣、若村麻由美、田中健 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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