きょうの料理 割合で味を決める!村田吉弘の春の献立「おもてなしの一汁三菜」 2014.04.24

(小林)
ほかほかご飯に3つのおかずそして汁物。
一汁三菜と呼ばれる日本伝統の献立スタイルです
ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」。
その一汁三菜がさまざまな食材を使いバランス良く栄養がとれると今世界から注目を集めています
ですが毎日作るとなるとそれぞれをおいしく味付けるのが大変ですよね。
そんな時これさえ知っておけば安心!
加える調味料の割合に秘密があります。
これで和食上手も夢ではありません
教えて下さるのは京都の料亭の三代目主人村田吉弘さん。
「料理は科学」との考えから生まれたシンプルで分かりやすい和食の方程式を教えて頂きます
これで今日から四季折々の食材で日々の献立とおもてなしの献立の両方が作れますよ

(テーマ音楽)「割合で味を決める!村田吉弘の季節の献立」。
春夏秋冬それぞれの季節の一汁三菜をご紹介しています。
村田さんよろしくお願いします。
はい。
よろしくお願いします。
今回は春を感じる「おもてなしの一汁三菜」です。
こちらにありますけれどもほんとに見た目に華やか。
これが出てきたらうれしいな〜と思いますね。
まあ季節の食材で料理屋に近いような料理ですよね。
ほんとにねお店で出てきそうなすばらしいお料理。
手間も普通よりは少しかかるんです。
そやけども割合さえ覚えといてもらうと結構簡単に出来ます。
そうですか。
そのポイントとなる割合なんですけれども前回の「日々の一汁三菜」よりも手が込んでいますし難しいのかなと思うんですが。
前回の基本の割合というのは…。
一緒です。
そやけどもちょっと細かいとこにね気を遣ってバリエーションが増えてる事は確かですね。
そうなんですね。
割合のバリエーションを増やしていく。
そうですね。
基本の割合を応用していくそんな考え方で臨めばいいですか。
それから一つの献立の中でいろんな味を楽しめるようにちょっといろんな割合を変えてますので基本は一緒ですからそう難しくないです。
分かりました。
そんなに構え過ぎずに臨んでいきたいと思います。
そうですね。
では本日の献立見てみましょう。
これきれいですね〜。
そうですね。
煮物って春の献立には欠かせないもんですね。
生臭もんと畑のもんが一緒に炊いてあるというほんで優しい味わいで炊けてますんでね。
幽庵地につける事によってうまみがグッと出てきますんでごちそう感覚になりますよね。
これが主菜となります。
黄身酢がかかるだけでお料理屋さんみたいな感じに見えますけども黄身酢ね簡単に出来ますからねこれ覚えて頂くといろいろ便利ですよね。
是非後ほど教えて下さい。
なかなか家で白みそを作る事は少ないと思うんですけどもこうやりますと非常においしい白みそが出来ますからね。
緑のものは?これはねせりですね。
せりですから春の匂いがしますね。
鮮やかにもなりますよね。
ふきってねこの季節だけしかないもんなんです。
ふきが出る季節ってほんとに短いんでね春の香り満喫して頂けたらと思いますね。
まさに香りも色も春満載の一汁三菜です!早速教えて頂きます。
あちらへ。
さあまずは「えびとかぶの炊き合わせ」です。
材料ですけれども…。
車えびです。
下ごしらえしたものがあります。
頭取ってね尾の先端を切って背ワタを取って2つに割ってますね。
6匹用意してあります。
そしてかぶです。
大きさにもよりますけども今日は6等分にして面取りをしてますね。
この面取りをするとかいうのがねちょっとしたおもてなしですね。
そこのね一手間が。
はい。
葉っぱ付いてますからね小かぶですから。
葉っぱは下ゆでして水にとって色止めをして5cmぐらいの長さに切っといてもらうといいですね。
これらを煮汁で味付けしていくという事になりますが割合ですね。
「割合」に簡単なんですけどもえびとかぶでは割合が違うんですね。
違うんですか?はい。
どっちか一つ考えてみましょう。
あの…基本の煮汁の割合が1:1:8でしたよね?ですからどちらかはそれでいけるのでは…。
すごい。
よく当たりました。
でもどっちがというと…。
えびの方はね1:1:8ですね。
えびが基本の割合で。
かぶはね1:1:15です。
この割合ですとね飲めるぐらいのだし加減ですね。
このだしですとうどんのだし汁に使えるようなもんですね。
優しい味わいなんですね。
かぶが「15」です。
だしというのはかつおと昆布のだしでよろしいですか?そうですね。
かつおと昆布のだしで結構ですけども。
それぞれ煮汁を分けて煮るというのはどうしてなんですか?おんなし味に煮てますとアンジュレーションがないというか均一感で食材が違うだけという話。
味に変化がない。
そうですね。
おもてなしだからそこは一手間かけて。
「あっ手間かかってるな」と思われる方がやっぱりおもてなしになりますよね。
味でその辺を感じてもらえればと思います。
さあでは味付けしていきましょう。
はい。
かぶなんですけれども…煮汁を作っていきましょうね。
かぶがこれですね。
はい。
そうです。
これ15です。
だしが15の割合で入ります。
みりんですね。
うす口。
ここにかぶを入れましてこれでラップをして電子レンジで5分〜6分かけます。
そうしますとね柔らかくなってね。
電子レンジにかけたものがこちらにありますが。
簡単でしょう?鍋使わなくてもいい。
このように柔らかくなってますからここである程度粗熱が取れて人肌よりちょっと高いぐらい50〜60℃になったらこの葉っぱかぶの葉を入れてこのまま冷ましといて下さい。
そしてもういっぺんお出しする時にあっため直して下さい。
はい。
またこれも電子レンジでいいでしょうか?そうですね。
あっため直す時はね。
味っていうのは冷めていく時に入っていきますからこれでほっとく事で入っていくんですね。
さあそして車えび。
下ごしらえしたものにかたくり粉がまぶされています。
かたくり粉まぶってますけどもこれでこの煮汁で炊きますと味が周りにからんでおいしくなります。
煮汁の分量確認していきましょう。
煮立ってるとこにこうやってえびをどんどん入れていくわけですけども…。
かたくり粉をまぶしてから煮るっていうのはなかなか…。
あんまり普通のうちではしませんけどもこれ吉野煮っていいましてね葛粉でもいいんですけどもこうやってすぐ赤くなるでしょう?味がからんで上下をひっくり返しますとみんな赤くなってますよね。
赤くなっていくと同時に煮汁がトロッとしてきましたね。
トロッとしてきますでしょう。
もう全部ひっくり返したぐらいでこれでいいんです。
これで火を止めときます。
しっかりと煮汁がからんでますね。
盛りつけたものご覧頂きましょう。
こちら盛りつけたもんですね。
木の芽があしらってありますね。
木の芽季節ですからねやっぱり春の香りですよね。
では材料の復習していきます。
かぶとえび煮汁を変えて別々に調理します。
「幽庵」というのはね江戸時代の茶人で北村祐庵という人が考えた料理なんです。
そこが名前の由来になってるんですね。
今回はさわらを使っていきます。
たれの割合ですけども…。
はい。
また割合ですが…。
今度は…。
ちょっと複雑なんですけどねしょうゆとみりんが1:1ですよね。
はい。
それは基本でした。
今度はね8をね4:4に分けてるんです。
煮物の基本の1:1:8を8の部分を4:4に分ける。
何と何で4:4なんでしょうか?酒と水で4:4に分けてるんですね。
酒ばっかり8やったらねちょっと…飲みたいでしょう?そういう理由ですか?もったいないですから。
酒と水を4:4。
みりんとうす口を1:1。
これで幽庵地を作りまして…。
これうす口って言いましたけどしょうゆですね。
間違えました。
こうやってつけときます。
これで24時間つける。
そうすると味がグッと入っていきますでしょ。
つけたものを焼いていっています。
今焼いてますけども。
これ焼く時のポイントは?みりんとかお酒が入ってますから焦げやすいんです。
それから弱火でねふたをしてね中まで火が通るようにゆっくり焼いて下さい。
ここがポイントになりますね。
では盛りつけたものご覧頂きましょう。
おいしそうでしょう?はい。
「さわらの幽庵焼き」木の芽をあしらって完成です。
これねさけとかぶりなんかでも大丈夫ですね。
幽庵地活用できますね。
では材料確認していきます。
酒と水を合わせて「8」と覚えると覚えやすいと思います。
今度はね黄身酢ですけども。
はい。
いろいろな食材で応用できる酢の物の割合をお伝えしていきます。
またちょっと食べてみて下さい。
はい。
ちょっと頂いてみます。
ほんとにトロッとしているこの黄身酢なんですけれどもちょっと一口頂きます。
これはいろいろ使い勝手がいいんです。
すっごくまろやか!お酢ツンとし過ぎてなくて優しい味わいですね。
これは和風のマヨネーズみたいなもんですからいろんな野菜をディップして食べて頂いてもいいですよね。
今日はねディップして食べてもらうような乱暴な料理と違いまして…。
おもてなしのお料理として。
おもてなしのお料理ですから。
黄身酢の割合こっちですけど。
教えて下さい。
これがまた…。
おしょうゆ1みりん1。
お酢も1。
この1:1:1で酢の加減がねこれで合うてるんです。
1:1:1でいいと。
これでねぶってもうんこれでちょうどやなぁっていうぐらいになってます。
これで三杯酢みたいなもんですからねここに「6」の黄身ですね。
割合が6という事で卵黄6つ分という事ではないのでお間違えのないように。
これをこうやってよ〜く溶いたものを湯せんにしたらだんだん固まってきてああいうふうになります。
先ほどのようなトロッとした。
あのぐらいまで加熱していくわけですね。
さあ合わせる具材はこちらです。
下ごしらえはうどの方は?乱切りにして酢を少々入れた水でゆでて下さい。
わかめは食べやすい大きさに切ってサッと湯をしてそれだけですね。
これに先ほどの…。
これを甘酢につけるわけです。
あっこれに黄身酢かけて終わりじゃないんですね。
甘酢で味付け…。
甘酢を覚えてもらうのもまたこれ割合ですね。
これがもう酢を合わしたもんですからこれにうどをつけときます。
はい。
つけとくだけで味が入りますんで。
うどをつける前に先ほどの甘酢…。
調味料ですね。
一度火にかけるという事なんでしょうか?1:1:1で合わしてもらって沸騰させたら駄目です。
酢の気とびますからね。
沸騰直前で火から下ろして冷めてからうどをつけて下さい。
そしてつける時間は…。
うど半日たったらねおいしくなります。
これは酢れんこんも一緒ですから。
酢れんこんとかブロッコリーなんかもゆがいてからつけとくとかね。
なますなんかもいけますかね?なますもそうですね。
一度覚えておくといいですね。
うどは半日。
わかめの方は?わかめの方は盛りつける時にサッとくぐらして下さい。
はい。
分かりました。
盛りつけたものがこちらです。
ほんとにきれいですね。
黄色が映えています。
上からかけてあるのは?黒こしょうをねちょっとアクセントに。
お好みですけども。
今回はうどでしたけれども…。
アスパラとかね他のお野菜でも全然大丈夫ですよね。
では材料見ていきます。
黄身酢はしょうゆみりん酢を酢の物の定番の割合で卵黄はその全量の倍と覚えて下さい。
みそ汁の割合覚えてます?はい。
基本の割合1:15。
はい。
そうですね。
白みそは分かります?白みそ割合が違うんですか?全然違うんですね。
どのぐらいでしょう?白みそはね1:5なんです。
白みその方がみそを使う分量が多いって事ですね。
普通京都の人も白みそはそんな毎日毎日飲みません。
これは特別な日に飲むもんで大体3倍のみそが要りますからね。
そうですね。
白みそ1:5だと3倍の分量と覚えればいいですね。
3倍の分量が要る割に白みそが高いですから。
だからハレの日に。
なかなかハレの日にしか飲めませんからね。
だしをあっためてから溶き入れてますけども溶き入れたら一回煮立たして下さい。
白みそはみそを入れたあとに煮立てていいんですか?そうなんです。
これはね豆臭みがまだ残ってる若いみそですから煮立たして上に出てくるアクみたいなものをすくい取ってあげて下さい。
今回は白みそ60mだし300m使いました。
具材は器に盛りつけてあります。
具材ご紹介頂けますか?新じゃがですね皮をむいて耐熱容器に入れてラップをして電子レンジ。
これが5〜6分間かけますと柔らかくなりますんで塩をねちょっとふっといて頂くと。
せりはねやっぱり春の野菜ですから小口切りにしてたっぷりと入れときましょう。
さあここに…。
ここにこれを注ぐわけですね。
きれいですねやっぱり。
せりの緑が映えます。
溶きがらし。
これがね白みそをキリッと引き締めておいしいんです。
ちょっとたっぷりめですけど。
新じゃがの上にのせますね。
練りがらし適量をのせまして「新じゃがの白みそ仕立て」完成です。
からしの黄色がまたほんとにきれいです。
新じゃがと違ったら菜の花とかね春のお野菜でもいいんですよ。
そうなんですね。
材料のおさらいです。
みそ汁の基本の割合よりみそが3倍というのがポイントです。
さあ村田さん「おもてなしの一汁三菜」残るはご飯だけですね。
ご飯ですね。
ふきのご飯ですね。
今ふきの葉っぱを一緒に炊いてます。
ほんとだ。
葉が入ってますね。
これは食べるわけではなくて取り出します。
香りのためですか?ふきの香りがいっぱいしてますんでねここに青々としたふきをゆがき上げたもんを…。
入れていくんですが炊き込む時の合わせ地の割合も教えて頂けますか?そうですね。
これはねなかなか想像は難しいです。
塩が1酒が3水が120です。
塩加減で炊く時はこの割合ですね。
これは塩ゆでしといて下さいねふきは。
はい。
塩ゆでしたふきを…。
ここに入れまして。
炊き上がってからこうやって…。
炊きあがってから入れます。
そうしませんとね色とんでしまいましてせっかくのシャキシャキ感がなくなりますんでね。
ふきはねどうして食べていいか分からんていう悲しい話をよく聞きますんでね。
なかなか最近は調理法が分からないという方も。
こんなね春の香りのする野菜はないんでね。
これで盛りつけたものがそちらに…。
ほんとに緑がきれいな「ふきご飯」です。
「ふきご飯」がそろって「おもてなしの一汁三菜」完成という事になります。
でもほんとに和食でおもてなしってハードルが高いなぁと感じていたんですけれどもこれも割合を活用すれば挑戦できるかなという気がしてきました。
和食はねなんか知らんけど難しいように思われてるんですよね。
私の顔が難しいからかな。
(笑い声)こんなに優しいお顔なんですけれども特におもてなしというと身構えてしまう方が多いんじゃないかな。
ちゃんとした味を提供できなきゃと…。
日常の一汁三菜と違いましてお酒のさかなになるような感じのもんが多いですよね。
合いそうですねお酒にもね。
それからこんだけこう出てきたらよう気を遣っていろいろともてなしてくれたなという感じにはなると思いますね。
すごくその心が伝わると思います。
これだけ手も込んでいるのが分かりますし見た目もきれいで。
おもてなしと違っても別にご主人に出してあげても喜ばれると思いますよ。
家庭の中での特別な日に。
どうしたんやって言われるかもしれませんけども。
そやからこの「一汁三菜」。
昔から日本人がこういう食事形態で食事をしてきたんですね。
たんぱく質と野菜と糖質とバランス良くとってきて世界で一番バランスのいい食事をとってるというのが世界で言われてたんですけども今はやっぱり脂質が多すぎて脂をとり過ぎてるんですよね。
そやからちょっと脂を控えてこういう食事にすると日本人体にも合うた食事なんでこれは2,000年も続けてきてる食事なんでね。
是非ご家庭でもう一回自分らの文化の中から生まれてきた食事をみんなで見直すみんなで食べるという事をやって頂きたいですよね。
さて今日ご紹介した料理は「きょうの料理」のテキスト4月号にも載っています。
是非こちらも参考になさって下さい。
村田さん次は夏にご登場頂きます。
はい。
またよろしくお願いします。
(2人)ありがとうございました。

(テーマ音楽)2014/04/24(木) 11:00〜11:25
NHKEテレ1大阪
きょうの料理 割合で味を決める!村田吉弘の春の献立「おもてなしの一汁三菜」[字]

料理の味付けを「割合」で手軽に決めて和食の「一汁三菜」を!京都の料理人・村田吉弘さんが伝授する「和食の方程式」。今回は春の「おもてなし」に出したい「一汁三菜」。

詳細情報
番組内容
「和食の味付けは難しくて面倒」と思っているあなたへ!和食の世界文化遺産登録に奔走した京都の料理人・村田吉弘さんが、料理の味付けがわかりやすく手軽にできる「割合」を伝授。これで、料理の種類で異なる味付けが容易に!今回は「えびとかぶの炊き合わせ」「さわらの幽庵(ゆうあん)焼き」「うどとわかめの黄身酢あえ」の三菜に、汁は「新じゃがの白みそ仕立て」、それに「ふきご飯」という「おもてなしの一汁三菜」。
出演者
【講師】京都の日本料理店三代目主人…村田吉弘,【司会】小林千恵

ジャンル :
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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