生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは、10時5分になりました。
きょうは子どもの奪い合いを防ぐために、というテーマです。
担当は出石直解説委員です。
子どもの奪い合いというと穏やかではありませんがきょうは以前にもこの番組でお伝えしたハーグ条約について、ということですね。
出石⇒国際条約についてなんですが、これは非常に身近で深刻な話なんです。
岩渕さんに質問です。
子どもがいる夫婦が離婚してしまいました、子どもはどちらが育てるのがいいと思いますか。
父親か母親かどちらかですね。
難しいですね。
状況にもよると思いますが母親が育てているというのが多いですよね。
日本ではそうですよね。
母親が育てるというのが日本ではどちらかというと多いと思います。
実は欧米では違います、母親が育てるのは当然という考え方はありません。
たとえ夫婦が別れても親子であることには変わりません。
両方の親が子どもとあって遊んで育てるのが当然だそれが子どものためになるんだという考え方です。
実は、子育てについての日本と欧米の考え方の違いこれが深刻な国際問題にもなっているんですね。
今オバマ大統領が日本に来ていますが、日米の首脳会談が開かれるたびに安全保障とかそれとともにハーグ条約に日本が入るか入らないのか首脳会談のテーマになるぐらい欧米諸国というのはこの問題を重要視しています。
国際問題だけではなく実際にトラブルも起きています。
例えば外国で離婚をした日本人の母親が相手の合意を得ないまま日本に子どもを連れ帰ってきた。
母親としては自分で日本で子どもを育てましょうということですが、相手の合意がない場合、母親が子どもを誘拐したと受け止められてしまいます。
自分の子どもを連れ帰ったのにそれが誘拐だと。
実際に日本人の母親がアメリカで誘拐罪で起訴されたというケースもあります。
それは困りますね。
アメリカに行くと逮捕されてしまうので海外旅行もできないこういう深刻なトラブルも起きています。
こうしたトラブルを防ごうということでできたのがハーグ条約という国際条約です。
日本はずっと入っていなかったんですがこの4月1日から91番目の加盟国として条約に加わりました。
ちょっと遅かったですね。
ずいぶん遅いですね。
子どもの奪い合いを防ぐために条約に日本も参加することになったということですね。
どんな条約なのか簡単におさらいします。
Aという国に住んでいた子どもがBという国に連れ去られてしまった、この場合Aという国とBという国が協力して子どもが元いたAという国に戻しましょうというのが基本的な仕組みです。
子どもを戻されてしまった親は納得ができないんじゃないでしょうか。
実はこの条約は子どもをどこで誰が育てるかを決めるものではないんです。
まずは子どもが、もともといた国この場合はAという国に戻してそこで相談をして決めてください。
話し合いで決まらなければ裁判をして裁判で決めてくださいというのが条約です。
いったん元の状態に戻すんですね。
そうです。
子どもを奪い合いから守る、子どもの人権を最優先しましょうというのがハーグ条約の精神です。
子どものための条約というふうに言ってもいいですね。
まさにそうです、子どもを奪い合いから守りましょう、それが子どものためになるという条約です。
日本がハーグ条約に加盟したことで、これから何が変わるんでしょうか。
2つのケースをご紹介したいと思います。
まず子どもを日本人が連れ帰った場合。
例えばアメリカ人の男性と結婚してアメリカに住んでいた母親が離婚をしてしまいました。
そして相手の合意を得ないまま子どもを日本に連れ帰った。
この場合アメリカにいる男性が子どもを返してほしいと申請します。
アメリカの国務省から日本の外務省に申請が届きます。
外務省は自治体や警察の協力を得まして子どもがどこにいるのか探します。
この時点で母親が子どもをアメリカに戻すことに合意しない場合日本の裁判所日本の場合は東日本では東京の家庭裁判所、西日本では大阪の家庭裁判所になります。
その裁判所で子どもを返すのかどうか裁判をします。
裁判所が子どもを戻すべきだと判断した場合には子どもはアメリカに戻されます。
そしてアメリカで子どもをどちらが、どこで育てればいいのかということを決めましょうということになります。
アメリカでの裁判になるんですね。
子どもを返してほしいという申請がある場合、必ず連れ帰されてしまうんでしょうか。
そこは心配ですね。
必ずしもそうではありません。
この条約が対象になるのは条約が発効して以降の連れ去りです。
4月1日より前去年連れ帰った場合は条約の対象になりません。
3月31日までは対象外ですね。
そうです。
もう1つ4月1日以降の場合でも返還を拒否することができるケースがいくつかあります。
乳幼児の場合は意思表示ができませんが意思表示ができる子どもの場合は拒んでいれば、ノーといえます。
例えば家庭内暴力のおそれがある場合には拒否できます。
逆に子どもを連れ去られてしまった場合はどうなるんでしょうか。
逆のケースですね。
例えば日本で暮らしていた夫婦が離婚をしました。
そしてアメリカ人の父親が無断で子どもをアメリカに連れ帰ってしまった。
この場合、日本に残された母親はまず日本の外務省に対して子どもがどこにいるのか探してくださいそして返してくださいと申請を行います。
そして返還拒否のケースに当たらなければ、子どもは日本に戻されます。
そして日本で話し合いをする。
それがだめなら日本の裁判所でどこで育てるのかを決めます。
実際どのぐらいの申請がきているんでしょうか。
外務省に聞きましたら、条約が発効してからまだ2、3週間。
日本にいる子どもに会いたいという外国からの申請で外国にいる子どもと会いたいという日本からの申請、あわせて11件きています。
さっき紹介しました、返してほしいという申請はまだ1件もきていません。
4月1日以降を対象にしています。
まだゼロなんですが今後これからどんどん増えていくと思います。
国際結婚が増えているんですけれどもこれが破綻したいわゆる国際離婚は年間2万件近くあります。
日本はこれからハーグ条約の対象になりますので別れてしまった場合裁判になったりということが当然起こりえます。
夫婦は別れても親と子は、親子であることには変わりはありません。
こじれてしまう前にちゃんと子どもをどちらが引き取るのか誰が育てるのかということをきちんと話し合っておくことが何より大切じゃないかなと思います。
この件に関するお問い合わせや相談はこちらまでお願いします。
海外にお住まいの方は最寄りの日本大使館や総領事館の領事窓口にご相談ください。
またハーグ条約に関しての詳しい内容などについてはホームページでも紹介されています。
また弁護士費用などの相談はご覧の日本司法支援センター法テラスで受け付けています。
次回のテーマです。
担当は中村幸司解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2014/04/24(木) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「子どもの奪い合いを防ぐために〜ハーグ条約〜」[字]
NHK解説委員…出石直,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…出石直,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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