賃料滞納で今年2月に閉鎖された大須演芸場(名古屋市中区)の建物を所有する舞台装置会社や弁護士らは25日に記者会見し、演芸場の年内再開をめざす方針を明らかにした。耐震診断の結果、築52年の大須演芸場の耐震改修費用として、数千万円が見込まれるという。今後、新たな運営者を募っていく。
名古屋では、経営再建中の老舗劇場、御園座が地元経済界の協力で御園座会館(名古屋市中区)を建て替え、2018年の新劇場開業を目指している。大須演芸場も演芸の拠点として、再開にこぎ着けられるのか、行方が注目される。
建築士によると、1962年に建てられた大須演芸場は柱や屋根などの老朽化が進み、震度6強の地震で「倒壊する可能性が高い」と判定。耐震補強や劣化部分を補修する必要があるという。
会見した異相武憲弁護士によると、大須演芸場の地主とは建物の存続が前提となっており、建て替えはしない。新たな運営者を8月までに決めた上で、改修工事を始めたい意向という。工事は4カ月程度とみられる。舞台装置会社は次期運営者の条件として、「大須演芸場を愛し、若手を育てて家賃を払ってくれる人」をあげた。
大須演芸場は65年から落語や漫才、曲芸などを披露する名古屋唯一の常設寄席として、新人時代のビートたけしさんら多くの芸人が出演。新たな演芸場の運営内容としては、寄席以外の芝居や歌舞伎に広がる可能性については未定とした。演芸場で活動していた大須芸人にも活躍の場を与えたいという。
異相弁護士は「(演芸場への)思いを理解してくれる人を優先する。現実的に資金面で協力できるか、希望する運営の仕方を聞き、大須(商店街連盟)の意見を聞いて最終調整したい」と語った。
再開の方針について、地元大須商店街連盟の今井富雄会長(58)は「大須演芸場は大須の核となる物。芸の灯を絶やさないよう、商店街としても協力が必要ならば積極的に支援したい」と話した。
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