参院選挙制度改革:22府県を11選挙区に 座長案示す

毎日新聞 2014年04月25日 20時16分(最終更新 04月25日 23時33分)

参院選挙区・座長案が示した合区・改選数の変更
参院選挙区・座長案が示した合区・改選数の変更

 参院選挙制度協議会の座長を務める自民党の脇雅史参院幹事長は25日の協議会で、参院選挙区の「1票の格差」を是正する選挙制度改革として、「鳥取と島根」や「福岡と佐賀」など22府県を隣接する府県同士で合わせて11選挙区とする「合区」などの座長案を示した。実現すれば、昨年7月の参院選で最大4.77倍だった格差が1.83倍に縮小する。秋の臨時国会で関連法案を成立させ、2016年参院選実施を目指す。しかし合区対象となる選挙区の議員を多く抱える自民党から反対論が続出しており、実現は不透明だ。

 座長案はまず▽現行の選挙区と比例代表の枠組みを維持し、それぞれ全体の定数は削減しない▽選挙区の1票の格差を2倍以内に抑える−−などの原則を設定した。

 その上で、選挙区については、日本の総人口(1億2800万人)を選挙区全体の改選数73で割った175万人を「標準人口」と定義。標準人口の3分の4〜3分の2(234万〜117万人)の範囲で改選数1を割り当て、県人口が標準人口の3分の2(117万人)以下の県は隣接府県と合区するとした。

 具体的には、鳥取と島根、徳島と高知、石川と福井をそれぞれ合区し、3年ごとの改選数を2から1に削減。新潟と富山、山梨と長野、宮城と山形は合区して改選数を3から2に減らす。岩手と秋田、大阪と和歌山、香川と愛媛、福岡と佐賀、宮崎と鹿児島は、合区した上で、元の2選挙区を合計した改選数を維持する。人口が多い北海道、埼玉、東京、神奈川、愛知、兵庫の6都道県は現在の改選数からそれぞれ1増員する。

 個人名の得票数などで当選者が決まる比例代表は、各党の比例名簿で候補者に順位を付ける選択肢を新設する。個人名の得票が少なくても、名簿上位なら当選が可能となる仕組みで、自民党参院幹部は「合区の結果、選挙区から出馬できなくなった候補の救済策」と指摘した。

 脇氏は協議会で「合区で地元に相当な混乱が生じるのはやむを得ない。(12年の)最高裁の判断は『格差是正の方が大事だ』と読める」と理解を求めた。また各党に対し、5月30日までに案を示すよう要請。その後は座長案を含めて各党が協議するとし、一致できない場合は複数の改正法案を国会に提出・採決する可能性にも言及した。

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