旅客船「セウォル号」が沈没してから最初の通報を受けた海洋警察庁が、1分1秒を争う状況で通報者の高校生から緯度と経度を聞き出そうとして時間を無駄にしていたことが分かった。KBSが21日報じた。KBSでは、同庁がこの「タイムロス」を隠ぺいしようと第1通報の時刻を遅く発表したのではないかとの疑惑を提起している。
同庁では「事故が起こった16日午前8時58分ごろ、セウォル号から『浸水が始まった』と木浦海洋警察庁に救助要請があった」と発表していた。ところがKBSによると、海洋警察庁にセウォル号乗船者が最初に通報したのは、同庁が発表した時刻よりも6分前の午前8時52分だった。
「船が沈没する」と最初に通報したのは修学旅行で乗船していた檀園高校(京畿道安山市)の生徒だった。この生徒は午前8時52分に消防・救急の緊急通用電話番号「119」に電話をかけて事故を通報した。通報を受けた消防・救急状況室は海洋警察庁に電話をつなぎ、3者間通話を開始した。
消防・救急状況室は海洋警察庁に事故現場の位置を珍島・鳥島・西巨次島一帯と告げたが、同庁は生徒に対して正確な緯度と経度を尋ねた。状況室職員は「通報者は船員でなく乗客だ」と伝えたが、海洋警察庁は緯度・経度、船名、商船なのか漁船なのかなどを生徒に聞き続けた。この過程で6分間という時間が無駄になった。
海洋水産部(省に相当)によると、海洋警察庁では管制センターに船名を言えば船の位置がすぐに分かるという。それでも海洋警察庁が船員でなく乗客の高校生に対し、乗客には知り得ない情報を尋ね続けた。KBSはこれについて「海洋警察庁はこうした対応のまずさを隠すため、通報時刻を遅く発表したのではないかとの指摘がある」と報じた。