全8話の「YUZOさんの話」は、故柳沢雄造氏がインターネット上で公開していた話を、個人がネット上まとめたものを私が保存していまして、それをこの度まとめてアップいたしました。入手先のサイトも現在では不明な状態で、また著作権上も問題があるかもしれません。しかしこれらの話は、バイク専門誌に一部発表されたのみで、私の知る限りでは著作として世には残っていないと思います。日本のモーターサイクルレーシング史の中で、あまり世に伝えられてはいませんが、氏の功績は計り知れないものがあると思います。氏の遺志を世に伝えてのも我々の役目のひとつであると考えこの度の公開にいたりました。
なお問題がある場合は即刻削除いたしますので、ご一報願います。
さて、YUZOチャンバーで名を馳せた故柳沢雄造氏。コンストラクターとしての一面と、独自の理論も展開されてました。主にその話がメインとなり、実勢にそぐわなかったり難解な部分もあるかと思いますが、読者がイメージを膨らませて、それを噛み砕いて消化していただければと思います。
バイクのコントロールの話僕の考えをここいらで少し話しておこう。
まず、そもそも何を基準に上手い下手と云うのだろうか?
速い遅いはサーキットや一定の区間を競争や時間を計測すれば一目瞭然だが、上手いと言う定義は全く存在しないのだ。
しかるに下手と言う定義も存在しないことになるが・・・よく事故る奴は下手だからとはよく云われる
そう、事故るのは決して上手いとは云えないだろうー。何故か
1、経験 (多い 少い)
2、(状況)判断力
3、無謀運転
と書けばこれ以上に幾つも上げられるだろうが、上記の問題と上手い下手の判断は別のものだとも云える。
・まず旨くなるために、取り合えず一般の人たちは何をするだろうか?
◇教習所 これは免許をとるだけで上手くなったと云う話は聞いたことがない。
◇警察の指導 メーカーの安全運転教室なども・・・・・これも経験を積ませるだけで上手くはならない。時には間違ったことを教え、(仕事を増やすために?) ・・・・・間違った経験をさせる。特に、ブレーキの使い方などは、 止まらない、止められない、方法を教えている。
◇トライアル テクニックは一番旨くなるが、絶対速度に順応するのに時間を要す?
◇モトクロス走行条件と経験時間では充分に得られるが走りすぎて、順応し過ぎ。(頭を使う時間が不足?)体力の消耗と思考力のバランスが問題。
◇サーキット・ これも最近は走行時間が少なすぎるが、スピードに対する慣れを作れる。但し日本のサーキットで仲間と走っていると、突っ込みと危険に対する度胸が付くだけ?
鈴鹿サーキットの問題点 これはあとでUPするからお楽しみ!日本のサーキットは、フルブレーキングで止まるところがなく、必要ないので、バイクや車も止まらず、ライダーやドライバーが育たず、本当に止まるバイクや車のテストをせず(出来ず)止まるように作られていない。勿論、市販車もまったく同じで、ブレーキはそれなりに進歩したが、過去も現在も本当に止まる国産バイク、車は存在しない。
さてさて、何を云いたいのかって?
そう。上手くなるとか、上手いと判断できる定義を提案したいのだ。
まず体の使い方の基本を教えよう。これでメーカーの出荷時のバイクセッティングもチェックできる。
指、手、手首、肘、脇、肩、腰、膝、足首、つま先 とあるが、
基本的にこれらの使い方が、バイクに乗るために説明されたものは儂は今まで見たことない。
あっても間違っておった。
例えば脇を絞めろ!何のことだか解らないどころかバイクの構造には当てはまらず、脇を絞めて肘を胸に付けたら、ハンドルのセンターにある、ステアリングポストを中心にステアリングを動かす為には、体ごと上半身を(立っていれば全身を)動かさなければならない。
こんなことは誰でも知っているが、バイクの教習や白バイの講習でもこうやっているのを見たことがある。云われるとその気になってしまうのが恐いネー。
もっとも、過去のリヤサスペンションがマトモに動作せず大したギャップでもないのに、ステアリングを左右に振られる時代のバイクでは、体で押さえ付けないとマトモに走れないバイクが多かったのも確かだが、バイクが大型化してきて200kg前後からオーバーする時代では、どんな体で押さえつけても先は見えている。それをステアリングダンパーを付けて誤魔化したり、締め上げたら曲がらなくなって当たり前なのだが、今でもこのような事がまかり通っている節がある。
そしてステアリングダンパーを付けた方が乗りやすくなるなんて輩もいるが、前後のホイールの重さと重心のバランスが悪いバイクを、ステアリングを無理矢理コジるのに微調整ができず、大蛇角を与えタイヤに負担をかけてキャンバーを付けるので軽くなると錯覚しているのだ。倒し込みや起こしが軽くなっても、旋回はしないので結局曲がらない。
そんな時代の名残を今に残しているのもバイクの世界の不思議なのだ。
現在でもステアリングダンパーを付けないと真っ直ぐ走らないバイクがある事に比べたら、[RZ]はズーッとまともなバイクなのだ。
脇を絞めてはいけないと云う説明は半分はは解ったかな、脇を絞めないためには、指の使い方に決まりがあるのだ。「エーっと思うだろヘーでもいいがまあ読んで見なさい。
指:人間の体の構造上、人差し指と中指でクラッチレバーやブレーキレバーを握ると脇が締まり、肘が開かなくなってしまうのだ。だから止めた方がよい。
手首:レバー位置で手首の角度が決まる。公道ではフルブレーキングを避けたいので、お奨め出きる話ではないのだが、最近のレーサーのレバー角度を見ると手首に負担がかかる位置に設定されているモノが多い。
では手首に負担のかからないレバー位置とは何処なのか。例えば腕立て伏せをさせると一番手首に負担をかからない位置は子供でも知っている。ブレーキング時の姿勢から考えてみよう、通常体を起こす前にブレーキングするのだが、何処で感違えしたのか体を起こしてからブレーキングする位置にブレーキやクッラッチのレバーがセットされているモノが多いのだ。肘の延長上に手首があり、真っ直ぐ伸ばした所に指がくれば手首に負担をかけずにレバーの操作が出きるのだ。伏せた状態で体を起こす前の肘と手首の角度は、先ほどの腕立て伏せのように、バイクのハンドルバーに対して水平に力をかけられるので、肩や上腕にも負担が少なく、手首と肘が水平になる位置で、延長上にレバーがあれば、手首にも負担がかからないレバー位置が得られる。
クリップオンなどのDOWNハンドルでない一般のアップハンドルでは、必然と自然にハンドルを握れば、手首と肘は水平になる。このようにアップハンドルでも極端な絞りハンドルやチョッパーのアップハンドルは、手首や腕、肩に負担がかかるだけでマトモでないことが解るだろう。市販車のストックやアフターマーケットのハンドルの位置が心臓より高いモノもあるが、これもマトモとは言えない。第一腕がしびれて長時間乗らなくてもまともな操作ができないのだ。
このように、レバーの位置はバイクの操作で重要なのだが、ストックの状態でマトモではない位置に固定されているモノがあるのが困ったモノだ。
肩 :肩の向き、これもバイクの旋回能力に大きな影響を与える。
腰:例えば、リーンウイズのような状態で、バイクのキャンバーが付いたとき、目線を水平にするためには、首に角度をつけて首を曲げる。これを首を傾けず、曲げないで首を回すだけで、路面に水平な目線を作る事が出きるのだ。 ワールドカップスキーのスラロームなどを見て貰えると良くわかるが、胸がコーナーの外側を向いており肩は進行方向を向いていると首は回っているだけである。そう勿論上体だけでなく腰から向きを作る必要があるのだ。
膝:腰の向きが決まれば自ずと膝の向きも決まるのが、もうお解りかな。
足首:つま先:よくコーナーで踏ん張るために内足外足荷重だと云われたときがあったが、実際に荷重を必要とするのはブレーキング時とコーナーリングに進入の為の体重移動のために必要なのだ。コーナーで荷重を必要とするのは進入ミスや旋回ラインの選択ミスの結果であり、無事通過出きれば運が良かったと思った方がよい。マトモなライディングでは必要としない。
だいたい大雑把に僕の提案したい基本的なライディングを書いたが、転倒しないで速いライダーには、それなりの基本的なライディングスタイルがあることがご理解頂けたかな。
最近F-1やルマンを見ていて遅いドライバーやクラッシュするドライバーの多くがハンドルを握っている位置を見ると日本の教習所で教えている位置なのだ。
ステアリングのセンターに対して何処を持って回せば一番効率が良いか、ハンドルでなく輪っかを持たせ、一般の人たちに質問したことがあったが、殆ど全員センターポストに対して対角上に持つと返事が返ってきたが、ハンドルとなると教習所になってしまうのだった。
教習所が何故あの位置を(10時10分)を教えるのか定かでないが、ポジションを変えられない(決められない)昔の車などで取り合えず掴み易い場所なのではなかったのか、恐怖心が多くなるとステアリングに近ずき、上部を持つ傾向にあるという報告もある。
昔はハンドルにしがみつくのは、お姉ちゃんの代名詞だったけれど、最近の胸が大きいネエチャンはあまりハンドルにしがみついてない。
※マトモな日本人のライダーやドライバーが育たないとマトモなバイクや車ができないことは世界の歴史が証明している。
(中略)
こうして見てくると、いろいろ書いたが国産各車他社と比較すればYAMAHAの各車の方がマトモな部分が多い。ヤマハと他社の違いは、ドライバビリティの良さ、STDの部品のクオリティなど優位な部分が多い。最近はサーキットでの比較テストや0-400mのテスト記事などなくなって来たので問題ないが、YAMAHAの新車はナラシが10,000km位充分に必要であり、他社が1,000km位で軽くブンブン回り10,000kmも走ると終わりに近くなってしまうものが多い中で特殊なメーカーだといえる。
RZやTZRだけでなく、YAMAHAの各車は部品レベルでもクオリティが高い。
マスターシリンダーやフロントフォークなど他メーカーと同じパーツメーカー製を使用している場合のものや独自なオリジナルな製品でも精度や耐久性品質がワンランク違うレベルにある。これは想像だがYAMAHAに納品しているメーカーもYAHAMAの為に、時にはコストも度外視?して一生懸命造ってきたのではないだろうか。
例えばフロントフォークのインナーチューブの精度や製品完成度の違いは、他社と比べ一目瞭然なのだ。具体的に云うとヤマハのバイクのインナーチューブが一番錆びないのです。
一年ほどまるっきりガレージに寝かしたバイクを久しぶりに引っぱり出しても、インナーチューブの作動部分はまるっきり錆が発生せず、作動部分以外でも油脂を含んだ布で拭いてやれば表面の軽い錆は落ちてしまった。他の3社のバイクを同じ様な状況で保管して置いたが、作動部分まで錆が発生してしまい、酷いものはメッキがはがれ落ちてしまいインナーチューブを交換せざるを得ないほどであった。
また、メッキの強さもあるが、錆の発生は内部から起こるので、鉄の材質の違いそのものに起因していると思われる。さらに、先日その他社の10年以上のバイクであるが、「フロントフォークのインナーチューブからOIL漏れが発生したのでオイルシールを交換して、やっと直った」と本人は思ったのだが、数キロも走行しない内にオイルが漏れだし、よくよくチェックしてみると、新品のオイルシールではオイル漏れを止めるとができない程、インナーチューブの外径が痩せてしまっていたのだ。YAMAHAの場合はこんな経験は儂にはない。
・フロントフォークだけでなく個々の部品の精度、管理がヤマハと他社とは比較にならない位違う事が沢山ある。
ブレーキのマスターシリンダーなども、YAMAHA純正と他社の同一製造メーカー品で、同じマスターシリンダーの径でブレーキのタッチが大きく変わる。これはマスターシリンダーの径や精度だけの問題ではないと指摘されるだろうが、ブレーキレバーの長さやレバー比、取付角度の問題も勿論考えられる。そしてあまり進められる話ではないが、基本的にマスターシリンダーのインナーキットやブレーキオイルは一年或いは二年一万キロ程度が交換の推奨になっているが、YAMAHAの場合、(儂が)通常使うと使い方次第と前提が有ったとしても充分それ以上対応してくれる。他社の場合ほとんど推奨通り交換しないとマトモに機能しなくなるか、場合によってはマスターシリンダーごと交換する羽目になる。
以上は、なにも 僕がYAMAHAから金を貰って宣伝しているワケでなく、マトモなバイクが少ない現状を憂いえて何とか現状を救済出きるよう願っているのだ。
こんなことをあまり書くとYAMAHAも他社と同レベルになってしまうと困るのであんまり言いたく(書きたく)ないのだけど、僕だけの危惧であれば良いのですがネー!
このヤマハだから作れた[RZ]だと言うことが、[RZのみが生き残ってきた]現在のバイク業界のキセキ(貴跡=奇跡))と呼んでよい。
今後2サイクルは排気ガスなどの問題で消滅する方向にあると言われているが、本当に将来はないのでしょうか?
RZのようにもっと基本に立ち返って将来を見据えれば可能性は開けてくると、
希望だけは捨てないようにしているが現実は無理が多いカナ!!
でも、なんで日本のメーカーはマトモなモノを作れないのでしょうか?
「日本製品は壊れない」と言うが最初から壊れかかってるので、ある時期までは進行しないだけで、壊れたら直らないし修すと、買うより高い?(PHSや携帯電話でも表現している)。
「完成」不完全と言う以前に製品には何が必要か考えて作られてない!”
作る側が何を”欲しい”か本当に考えてないので、”Race”のように、相手よりチョットマシなだけ(金を多く払うだけ・・・?)で、用を足らしてきた。
トヨタやホンダがF-1に出て技術の勝負だというが結果はごまかし技術の向上で、本質の勝負、本当の製品 Raceそのものを否定するのではなく、フィードバックがないので意味がない。
”ゴルフとカローラ”の違いには、たどりつかないカナー・・・。
動かないより動いていた方がよい機械と場合によっては動かない方がよく利益の損失(被害)が、少ないものもある。
日本製は動き出したら止まれない!
だから、止まらない止められないBIKEや車を平気で作っているのだろ!!!。
動く動力性能性より以上に必要な止まれる性能(ブレーキの効き?じゃない)を満たしてない。 どうして・・・・・・
[ 2007/03/02 19:23 ]
YUZOさんの話 |
TB(-) |
CM(-)
全8話の「YUZOさんの話」は、故柳沢雄造氏がインターネット上で公開していた話を、個人がネット上まとめたものを私が保存していまして、それをこの度まとめてアップいたしました。入手先のサイトも現在では不明な状態で、また著作権上も問題があるかもしれません。しかしこれらの話は、バイク専門誌に一部発表されたのみで、私の知る限りでは著作として世には残っていないと思います。日本のモーターサイクルレーシング史の中で、あまり世に伝えられてはいませんが、氏の功績は計り知れないものがあると思います。氏の遺志を世に伝えてのも我々の役目のひとつであると考え、この度の公開にいたりました。
なお問題がある場合は即刻削除いたしますので、ご一報願います。
さて、YUZOチャンバーで名を馳せた故柳沢雄造氏。コンストラクターとしての一面と、独自の理論も展開されてました。主にその話がメインとなり、実勢にそぐわなかったり難解な部分もあるかと思いますが、読者がイメージを膨らませて、それを噛み砕いて消化していただければと思います。
我々、農耕民族たる日本人は、アイアンホースを自在にコントロールし、スポーツとして楽しむということに関しては、根本的に歴史的背景を持ち合わせない。
日本人とアイアンホースとの関係は、他の近代文化同様に西洋文明の移入にある。 故に、数十世紀にわたり馬との関わりを営んできた狩猟民族は、そのバックボーンの大きさによって、捉えかたにも日本人とは大差が出てくる。
であるにもかかわらず、勤勉な日本人はニュアンスの異なる捉えかたをしつつもひとつひとつ理解し、研究し、そして具体的な形として作り上げてきたのである。
しかし、その発生点におけるバックボーンの違い、捉えかたの違いが近年如実に表れてきたように思われる。
単に人間のトランスポーターとしてのみ捉え過ぎたのではないだろうか。
この様に多少異なった捉えかたをしたにもかかわらず、勤勉かつ有能な日本人技術者の産物は、幸か不幸か世界を席巻し、NO.1の座に着いてしまったのだ。 この頃から世界のモータースポーツは、誤ったとまでは言わないが、なにか釈然としない方向性を持ってしまったようだ。
さらに危惧すべきことは、本来の狩猟民族的方向性の薄らいだアイアンホースによって育まれてきたライダーの現状である。本来のあるべき姿と彼らの持つ理想とギャップ、それによって生じる試行錯誤。ここに至って彼らの進歩は遅々として進まないのである。
これが現在、世界のモータースポーツ界のかかえる問題であろう。
技術者もライダーも、アイアンホースの本来の指向性を考え直す時期であると思う。
ライダーのあるべき姿、本来の指向性を持った人間もいる。キング、ケニー・ロバーツ。彼はモーターサイクルに接触するとほぼ同時に優れた先人であるケル・キャラザースによって正しい方向性を明確示されたのだ。
つまり、より速く、より安全にマシンを操るという指向性をあたえられたのだ。
より速く、より安全にという一見相反するふたつの課題は実はある一面とても似通った指向性を持っていて、おなじ事柄の表裏をなすものとも言えるほどの事なのだ。
現在のライダーは、誤解を含んだ源から発生したマシンを操り、間違った指向性をもってあえて危険を冒して究極を求めている。しかし、それではいかにマシン性能が向上しても物理的に限界が見えてしまう。その上加速度的に危険が増すばかりである。
ケニー・ロバーツと同様に、正しい指向性持つ、フレデディ・スペンサーと、試行錯誤を繰り返しつつも世界のトップレベルあるライダーのGPにおける具体例をあげよう。
トップスピード、コーナリングスピードとともに同じマシンでスペンサーより他のライダーが勝ったレースがあった。しかし、ラップタイムを見ると、スペンサーが2秒弱も上回っていたのだ。実に不可解なことだが、その答えはコーナーの進入スピードと脱出スピードの差にある。つまり、アクセルを開けるタイミングの差である。
スペンサーは、他のライダーより確実に早くブレーキングを始めマシンがバンクする以前に短時間に効果的にブレーキングを終了する。そして余裕を持って(といっても、とてもハイレベルであるが…)コーナーに進入すると瞬時に方向を変える。方向を変えると同時にアクセルを開ける。とにかくアクセル・オンが早い。しかもスライドもさせず向きが変わっているので確実に加速していく。
さてGPライダーを頂点として読者諸兄はどうであろう。全開の時間をかせぐために、コーナーの奥まで突っ込む。バンクさせながら、タイヤと相談しつつクリッピングポイントまでブレーキング。そして、そこからは、無理な突っ込みがたたり、マシンの異常な挙動に耐えながらのコーナリング。当然のようにアクセルが開くのは遅くなる。
コーナーの入口でコンマ3秒程のロスをして、出口でコンマ5秒程のロスをする。実に危険であり、大変なロスタイムである。
レースにおけるトップスピードの差など、コーナーの脱出スピードの向上で楽におつりが来るわけだ。
国内外のレースで良く見かけるのだが、ひとレース走り終えたマシンのスリックタイヤのトレッド中央にバリの残っているものがある。一体、いつブレーキングを行っているのだろうか?
当然マシンが直立している時のブレーキングが最も安全かつ有効であり、外乱にも強い。なおかつ、マシンに対しても実にコントラーブルであるのに,あきらかに間違った方向に可能性を求めている証拠である。 ケニーやフレディのタイヤの減り方は明らかに他のライダー達と違いトレッドのセンターが摩耗していた。
しかし、一概にライダーばかりも責められない。マシンそのものも現在のセッティングでは、そのようなライディングには対応出来ない。ケニーとスペンサーだけが、このような間違ったマシンを乗りこなし、自らの安全を考える余裕を持ちつつ限界を追求することが可能なのだ。それ以外のライダーは、ただ単に定常円旋回になってしまうことがとてつもなく多い。
誤ったサスペンションセッティング、そして誤ったライディング。まさにここに今後の課題が隠されている。さて次回は間違った方向性ということをもう少し詳しく、具体的に述べてみたい。ライダー諸君!今からでも遅くはない。・・・今でも ・・・
[ 2007/03/02 19:18 ]
YUZOさんの話 |
TB(-) |
CM(-)
全8話の「YUZOさんの話」は、故柳沢雄造氏がインターネット上で公開していた話を、個人がネット上まとめたものを私が保存していまして、それをこの度まとめてアップいたしました。入手先のサイトも現在では不明な状態で、また著作権上も問題があるかもしれません。しかしこれらの話は、バイク専門誌に一部発表されたのみで、私の知る限りでは著作として世には残っていないと思います。日本のモーターサイクルレーシング歴史の中で、あまり世に伝えられてはいませんが、氏の功績は計り知れないものがあると思います。氏の遺志を世に伝えてのも我々の役目のひとつであるため、この度公開にいたりました。
なお問題がある場合は即刻削除いたしますので、ご一報願います。
さて、YUZOチャンバーで名を馳せた故柳沢雄造。コンストラクターとしての一面と、独自の理論も展開されてました。主にその話がメインとなり、実勢にそぐわなかったり難解な部分もあるかと思いますが、読者がイメージを膨らませて、それを噛み砕いて消化していただければと思います。
最も速い男達が自分の持つテクニックを極限で競い合う世界のロードレースGP。その中でもセンシティブな展開を見せている。いや見せていたのが昨年までの500ccクラス、ケニー・ロバーツとフレディー・スペンサーの二人だった。現在ではケーニーが引退してしまった為に、フレディーはライバルを失い、全く緊張感のないレースを行なって、今年のレース内容は散々なものだった。
この二人が昨年のレースで見せたバトル、ドッグファイトシーンはモータースポーツ史上に記録されると共に多くのレーシングライダーに”どのように走るのか”のお手本を記憶させた。
スターティングフラッグが振り下ろされると同時に、真っ先に第1コーナーに飛び込んで行くのがフレディ。ケニーは数台に囲まれながら,2,3周後にはフレディーの背後に迫り、そして直線で抜く。その時にはすでに後続のライダーは遥か後方に置き去りにされ、以後、レースはこの二人だけがエンターティナーとなってフィナーレを迎える。
とにかく速い。共にヤマハ、ホンダのワークスマシンを駆るとは言っても同条件下にあるワークスライダーは他にもいる。それにもかかわらず、この二人はずば抜けて速くなおかつ危な気がない。
※この年二人共レース中に転倒するシーンは一度もなかった。
多くの読者諸氏は、MCショップや用品店で、世界GPのビデオでそのシーンをご覧になった機会をお持ちだろう。時に、ケニーもフレディーも前輪や後輪を滑らせてしまい,本来なら転倒してもおかしくはない挙動に陥っていながら、ごく自然なコントロールによって何事もなかったかのようにフルスロットルを継続してコーナーを立ち上がって行く。
この様を見ていると共通したライディングコントロ-ルに注視させらる。勿論其々のマシンの構成、パワー、そしてライダーの体型も異なるのだが、共に見事なリーンインスタイルを体得していることにある。
特に30歳を越えるケニーのスタイルで特筆すべきは、その長い経験の中から、誰よりも速くチェッカーフラッグを受ける事を狙いながら、常に大きな安全マージンを確保していることである.そこに完成されたのが、完璧なリーンインであり、ケニーがその創始者と言っても過言ではない。
それまでのリーンインは"リーンウィズスタイルのリーンイン"だった。ライダーがマシンを操っていない、言ってみれば本来のリーンインの形をなしていないものだ。
ブレーキングからコーナリングへのきっかけをつくるためのマシンの垂直状態維持、強大な遠心力とのバランス、そしてコーナーの立ち上がりでは、早くスロットルを開け、大きな駆動力を有効に後輪に伝えられるように、タイヤを早く垂直方向に立てることが目的であるリーンイン。この作業をケニーとフレディはいかなる速度域においても適切に行っていた。
ケニーは小柄なために、連動して素早く、フレディ-は大柄で長腕、長胴、長足を利して、まるでサイドカーの側車のようにバランサーとなって、マシンコントロールしている。
しかもそのテクニックは、決して自分の技量を超えたものではなく、何回でも同じ事を繰り返し行えることしかやっていないのだ。このことが努力と言うものであり、したがって安全性をより高いものとしている。
時折見かける前後輪ドリフトは、マシンが立った状態で行っているのであり、もっとも不安定なフルバンク中には発生させていない。どんなに激しいバトルを展開中であっても、決してドリフトを故意に誘発するような走りはしないことを、この二人から学ぶべきだろう。
また、不意(あるいは故意にも)にリヤタイヤドリフトしても、カウンターステア修正はごくか僅かで逆にハンドルを内側に切ってマシンを立て直すことに努力している。カウンターを切れば、マシンはさらに倒れこみ、そうするとスピードを落とすことになりグリップは回復する。しかし、次に起こることはレース用語で言う"ハイサイド"によって遠心力に負け、飛ばされてしまう。
対応策としては、寝かしてスリップをしたのだから、マシンを立てれば、ごく自然なグリップの回復を図れるわけである。二人共に、このことをよく心得ているために、ハイサイドによる転倒シーンなど決して演じはしない。
勿論、この程度のテクニックは、ケニーやフレディーだけでなく、片山やバリー・シーンなどのグランプリの一流ライダーなら体得している。長くレース活動を続けているライダーにとって、最低限の"コケナイ"テクニックなのである。
それでは、三流ライダーと貴君を含めた一般ライダーによく見受けられるライディングはどのようなものだろうか。簡単に言えばこうだ。
ライバルよりも速く走ろうと焦るあまり、アクセル全開を稼ぐことに本能的で、コーナー進入時に突っ込みすぎ、ブレーキングを遅らせすぎている。そのため、クリッピングポイントまで寝かせながらのブレーキング、クリップ通過後に始まるコーナリング。これではマシンが寝ている状態が長く、それは二輪車にとって最も不安定な体勢を作っていることに他ならない。
※この突っ込み過ぎの問題は鈴鹿サーキットにもあり、この問題は別の雑誌に掲載済み。
この不安定期には本来のパワーオンなどできるはずもなく、転倒シーンが見られるのはこの時だ。当然アクセルオンが遅くなるのだからスピードは乗らない。スピードに乗らないためにアクセルは必要以上にワイドオープンになり、エンジンはカブリ気味。
これではメカニックがどんなに必死にチューニング、セッティングしたエンジンであっても、常にマシンが遅いという不満ばかり鬱積(ウッセキ)してしまう。
エンジンテスターによるアクセル操作実験を行った結果、国際A級ライダーほどのライダーでも、(250ccで約)70~80馬力発揮するエンジンにもかかわらず、アクセル操作の誤ちによって、わずか30馬力、よくても50馬力しか発生させられなかった。
10年以上もの間、ワークスマシンをもってしてもラップタイムの向上が見られないのは、以上の基本テクニックがなおざりにされていた為でもある。世界GPでさえも、最近の傾向としては、特に今年など250、500cc共にトップライダー達が、ベストラップタイムを維持していない。そのため、常にトップを走るライダーはテクニックミスで入れ替わり、本来のレースをしていない状況が続いた。明らかにトップライダー不在の証明である。
その結果、人々のレースに対する興味が半減し、本場ヨーロッパにおいても観客動員数は低下する一方。日本ではなおのことだろう。
話がそれてしまったが、バイクのライディングとは、決して危険に向かって努力することが速く走れるようになるものではない。確実な減速と体重のあずけ方、スロットルコントロール(安全に早く開けること)とコーナー脱出時のグリップを保つことが、最も重要なことであることがわかって貰えるだろう。
最後に、ケニー、フレディーの二人だけが絶対的テクニシャンではないことを付け加えて置きたい。
最もスロットルコントロールが巧みなのは、実は片山敬済であり、フレディーでもかなわない。同じマシンに乗れば片山の方が加速、最高速共に優れているのである。このテクニックと、ケニーやフレディーのように、コーナリングラインに対しての安定した自由度が大きくなれば、そして、正しいマシン造りとその対応(精神的な領域を含めて)が的確に行えれば、ケニーやフレディーよりも速いライダーに成り得ることを断言しておく。
また、これらの問題点は走り出してからでは遅い。走る前にしっかりと考えをまとめておく事だ。メカニックでさえも、考えながら整備していたのではボルトの締め忘れ、というミスを犯してしまうのだから。
[ 2007/03/02 19:14 ]
YUZOさんの話 |
TB(-) |
CM(-)