昨日アップル(ティッカーシンボル:AAPL)の決算発表に合わせて7:1の株式分割が発表されました。

普通、ある企業が株式分割をする際、2:1とか10:1という、きりのよい比率が多いです。

7:1というのは極めて異例で、なにかを狙っている感じがプンプンします。

その「なにか」とは、ずばりダウ工業株価平均指数(Dow Jones Industrial Average)への採用を狙っているに違いありません。

その理由ですが、ダウ工業株価平均指数は、いわゆる「単純平均」だからです。言い換えればダウ平均は、単純に採用銘柄30種の株価を足しあげて、それを一定の除数(divisor)で割ることによって求めているのです。

するとこの指数に採用された企業の株価によって指数に占めるウエイト(比重)が決定してしまいます。だからIBM($190.84)のように値嵩な株は、シスコ($23.46)の8倍も指数に対するインパクトが大きいのです。

昨日の決算発表前のアップルの株価は$525前後だったので、これをそのままダウ工業株価平均指数に採用したとすると、他の採用銘柄に比べて一挙に6倍も指数に対するウエイトが重い構成銘柄になってしまいます。

それではアップルひとつにダウ工業株価平均指数が振り回されてしまうことになります。

このような理由から「値嵩過ぎるアップルは、とてもじゃないけどダウに採用できない」という考え方が定着してきました。

今回、アップルが7:1の株式分割に踏み切るということは、株価を$75前後にリセットすることを意味します。

いまダウ工業株価平均指数に採用されている30銘柄の平均株価は$85.8ですので、7:1の株式分割をすることで「和を乱さない」株価に持ってゆくことができるというわけです。

アメリカを代表するブルーチップ指数であるダウ工業株価平均指数に採用されるということは、もちろん栄誉です。でも逆に言えばダウ採用銘柄というのは伸び盛りの企業というより、少し「落ち目」になった企業の場合が多いです。

すごくうがった見方をすれば、ダウ採用を視野に入れた株式分割をアップルが考えているということは(もうこのへんで、いいかな?)という経営陣の闘志の萎えを象徴しているともいえます。