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「慰安婦の代理人」マイク・ホンダが中国に切られた

元慰安婦と抱きあうマイク・ホンダ氏 Photo:EPA=Jiji

 アメリカ議会で中国ロビーと一体となって2007年に日本非難の慰安婦決議を成立させたマイク・ホンダ下院議員(民主党)が今年の選挙で同じ民主党の新人候補の挑戦を受けている。強大な中国ロビー組織「世界抗日戦争史実維護連合会」(抗日連合会)はすでにホンダ氏を捨て、新人支持を表明したのだ。

 7期14年の議員歴を誇る72歳のホンダ氏にカリフォルニア州第17区で挑戦するのは、37歳のロー・カンナ氏。アメリカ生まれのインド系でエール大学出身、ハイテク産業の知的財産専門の弁護士だ。20代から民主党の活動家となり、オバマ選対にも加わった。第1期オバマ政権では商務次官補代理を務めた。

 同選挙区はシリコンバレーを抱え、アジア系住民が5割強という特色に加え、IT企業最大手のグーグル、ヤフー、アップルなどの本社がある。カンナ氏は、これらIT各社の特許関連法務をも請け負ってきた。今度の選挙でもIT企業の利益擁護を公約し、グーグル社などから正式支援を得ている。

 一方のホンダ氏は教員出身の古いリベラル派で、カンナ氏とはまさに新旧対照的だ。さらに興味深いのは、ホンダ氏を20年来支えてきた抗日連合会の支持を、カンナ氏が奪ってしまったことだ。

 同連合会は中国政府と共闘して日本を叩く政治団体で、この選挙区内に本部をおき、国際的な活動を展開する。カンナ氏はいち早く同連合会の最高幹部との連名で、尖閣問題で中国を全面支援する寄稿論文を地元有力紙に載せた。「尖閣は中国領であり、オバマ政権は中国と共闘せよ」という趣旨の論文だった。

 カンナ氏は同連合会に資金や組織の面でも支援され、選挙戦用に中国語サイトまで設けた。同連合会が長年の代理人だったホンダ氏を切り捨てた理由は、同氏が尖閣問題においてまで中国を支持することに躊躇したためのようだ。

 両候補は6月の民主党予備選で激突するが、負けた側は11月の本選でも再挑戦できる。オバマ大統領や議会民主党幹部はホンダ議員支持を表明しているが、カンナ氏の集金力は凄まじい。この戦いは今年の中間選挙でも全米の注視の的となってきた。

古森 義久 (在米ジャーナリスト)

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2014年5月1日号
2014年5月1日号
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2014年4月24日 発売 / 定価400円(税込)
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