尖閣明記「必要ない」 日本側提案に米政府 共同文書で温度差
【ワシントン共同=木下英臣】24日の安倍晋三首相とオバマ米大統領の首脳会談で、沖縄県・尖閣諸島に対する米国の防衛義務を明記した共同文書を発表するよう日本側が提案したのに対し、米側は日本の施政権の及ぶ範囲は防衛義務を定めた日米安全保障条約の対象とするにとどめ、具体名を盛り込まないよう求めていることが17日、分かった。日米関係筋が明らかにした。
「尖閣諸島と書かなくても安保条約の適用範囲であることは十分伝わる」との判断だが、尖閣諸島の領有権を主張する中国を過度に刺激したくないとの思惑もあるとみられる。尖閣をめぐる日米の微妙な温度差が浮き彫りになった形だ。
日米は一時、環太平洋連携協定(TPP)協議の難航などを背景に、共同宣言や共同声明の見送りを検討。しかし、オバマ氏が米大統領としては18年ぶりに国賓として2泊3日で訪日する日程が固まったことから、首脳会談後に共同文書を発表する方向で再調整している。内容はなお流動的。
尖閣諸島をめぐっては、ヘーゲル米国防長官が8日に北京で行われた中国の 常万全 (じょう・ばんぜん) 国防相との会談で、安保条約に基づき日本防衛義務を果たすと明言。これに先立つ6日の小野寺五典防衛相との会談でも、艦船派遣など力を背景とした現状変更の試みに断固反対することで一致、中国を強くけん制した。
ラッセル米国務次官補も3日の米上院公聴会で、軍事圧力を背景としたロシアによるウクライナ南部クリミア編入を「手本」とみなさないよう中国に警告した。
日米関係筋はこれらの米高官の発言を踏まえ「あえて首脳レベルで尖閣を名指しする必要性はないのではないか」とも指摘した。
(共同通信)
2014/04/18 13:49
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