韓国客船沈没:逮捕11人に 殺人罪適用も検討
毎日新聞 2014年04月24日 20時43分(最終更新 04月25日 01時16分)
【ソウル澤田克己】韓国南西部・珍島沖での客船セウォル号沈没事故で、24日もダイバーによる船内の捜索が続けられ、死者は180人となった。干満の差が最も小さく潮の流れが緩い「小潮」はこの日で終わったが、なお122人が行方不明だ。捜査本部は同日、乗客を置いて逃げた遺棄致死容疑などで、あらたに1等機関士ら4人を逮捕。これで逮捕者は計11人になった。捜査本部は、救助された操船担当の15人全員を立件する方針だ。
沈没事故をめぐり、捜査本部は船長のイ・ジュンソク容疑者(68)を業務上過失致死傷や遺棄致死などの疑いで逮捕。最高刑が無期懲役となる加重処罰規定も適用した。
さらに、韓国の捜査当局関係者は24日、殺人罪の適用も検討していることを明らかにした。救護義務を果たさなかった「不作為」によって乗客が死亡したことを立証できるかどうか、慎重に調べている模様だ。
こうしたケースでの殺人罪の適用について、日本の司法関係者は「避難させなかったことと死亡の因果関係を立証するのは困難だ。日本だったら適用は、かなり難しい」と話す。
ただ、朴槿恵(パク・クネ)大統領は21日、「容認できない殺人のような行為」と船長らを強く非難した。捜査や公判の方向性に影響を与えかねない発言だが、韓国では問題視されておらず、実際に殺人罪が適用される可能性も否定はできない。