巨大掲示板「2ちゃんねる」が大揺れになっている。今月1日、創設者で元管理人の「ひろゆき」こと西村博之氏が同掲示板の所有権問題が起こっていることを暴露し、ネット上に「サービスとドメインを違法に乗っ取られた」との声明を発表した。
2ちゃんねる(以下2ch)は、ジム・ワトキンス氏が経営するレンタルサーバー会社のサーバーを長年利用してきた。だが、西村氏によるとジム氏側が「サーバのログインアカウントを変更して、2chの運営スタッフがサーバに入れないようにし、ドメインの登録名義を変更して、2chを乗っ取った」という。この声明の中で西村氏は「2chの諸権利は、西村博之ないしパケットモンスター社に帰属する」と断言している。
「西村氏は09年に2chをパケットモンスター社に売却し、運営から手を引いたと公言していた。今回の主張は、それとは完全に真逆。警察の調査などにより、パケットモンスター社はペーパーカンパニーだったことが判明しており、いわば2chの権利は今も自分にあると言っているようなもの。いつも飄々としていた西村氏がなりふり構っていられなくなったウラには、彼の最大の収入源が現在も2chだという事実がある」(IT系ライター)
今月14日、西村氏は2chの書き込みがそっくりそのまま反映される新掲示板「2ch.sc」を開設。同掲示板はトップページから中身に至るまで2chそっくりであり、古巣への当てつけのような行動に走っている。
そんな中、2chで西村氏のプライベート情報が晒される事態が勃発。交際相手の写真や氏名などが拡散され「子どもがいるのでは」との情報も飛び交った。かねてから2chでは、個人情報が勝手に書き込まれる問題が多発していたが、まさか生みの親である自分が被害に遭うとは思ってもみなかっただろう。西村氏は20日付の自身のツイッターで「昨日、4/19に、おかげさまで、入籍いたしました」と結婚を報告したが、これは“内縁の妻”の素性がバレたことで責任をとったのではないかと憶測が広がっている。
さらに、2chの書き込みを有償で削除するサービスの存在がユーザーの調査によって浮上した。上場企業や大手広告代理店と手を組み、法人向けサービス「風評被害バスターズ」で企業や政治団体に都合の悪い書き込みを有償で削除していたとの疑いが出ているのだ。
同サービスは、マザーズ上場のホットリンク社が大手代理店の電通や法律事務所などと手を組んで運営しているもの。ホットリンク社は「東京プラス」「未来検索ブラジル」の2社と、2chデータの法人利用について独占商用利用許諾契約を締結し、マーケティングや炎上防止などに活用している。未来検索ブラジルの取締役は西村氏であり、東京プラスも彼が設立した会社だ。
同サービスの顧客には、大手企業だけでなく政権与党の自民党が存在していたことが明らかになっている。であれば、自民党→ホットリンク社→東京プラス・未来検索ブラジル→西村氏というカネの流れがあったことになる。これだけでも不穏だが、それ以上に同サービスが「都合の悪い書き込みやスレッドを削除する」という内容であることが大問題になってくる。自民党がカネを使って都合の悪い書き込みを消していたというだけでなく、西村氏が大スポンサーである同党に都合のいい“情報操作”をしていた可能性も否定できないためだ。
現在、ネットの検索結果で2ch発の情報を目にしないことはほとんどない。2ちゃんねる系まとめサイトやNAVERまとめなど、人気サイトは2chの書き込みに依存しており、それを統制すればネット全体の情報操作も可能といえるほどだ。
「カネの問題だけではない。西村氏はサイバー犯罪撲滅を掲げる警視庁のターゲットにされ、何度も逮捕のウワサが流れた。しかし、結局は逮捕に至らず、書類送検後に不起訴が関の山。数々の裁判で敗訴し、賠償金を踏み倒し続けているのも不可解。そのウラには、西村氏と手を組んでいる政党の“配慮”があったとも考えられる」(前同)
一時は2chの匿名文化が「反権力」の象徴のように祭り上げられたこともあったが、もし特定の政党の手先に転んでいたとしたらネット文化の根幹を揺るがすような一大スキャンダルとなるだろう。所有権問題も含め、尻に火がついた西村氏がどのように立ちまわるのか、今後も目が離せなさそうだ。(佐藤勇馬)
画像引用元:西村博之 - Wikipedia (C)Joichi Ito
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E6%9D%91%E5%8D%9A%E4%B9%8B