
TPP交渉に反対する市民らは7日、東京・永田町の首相官邸前で、EPAで緊急行動を展開した。日本とオーストラリアとの首脳会談で、牛肉関税引き下げで合意する見通しとなったことを受け、「TPPでは各国からさらに強い譲 歩を迫られる」として怒りの声が相次いだ。農家や消費者ら50人が参加、「日豪EPA許すな」などと書いたプラカードを手にシュプレヒコールを行った。
「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」呼び掛け人の、醍醐聰・東京大学名誉教授は「日豪EPA合意はTPP全体に影響を及ぼす。聖域の一角を崩せば、TPP参加国はあらゆる分野で圧力をかけてくることは明白だ」と強調。「非常に危険な状況。日本政府の交渉姿勢を徹底的にただそう」と呼び掛けた。
特定非営利活動法人(NPO法人)アジア太平洋資料センターの内田聖子事務局長は「投資家・国家訴訟(ISD)条項はTPP同様、日豪EPAにも含まれている。農家や市民が打撃を受け、大企業が恩恵を受ける構図だ」と問題点を指摘した。緊急行動は全国食健連が呼び掛け、インターネットなどを通して都内の会社員や農家、市民らがプラカードを手に参集した。
東京都清瀬市の野菜農家、武藤昭夫さん(69)は「日豪EPAは牛肉関税だけが注目されているが、地域農業全体に及ぶ幅広い問題だ。関税引き下げを容認するような交渉は、けしからんの一言に尽きる」と拳を突き上げた。東京都杉並区の岡本敏則さん(66)は「このままでは“壊国”の道筋を作ることになる」と危機感をあらわにした。大阪府能勢町で産直に取り組む原弘行さん(68)は「日豪EPAで日本が譲歩したら、米国の要求はさらにエスカレートし、TPPでも日本は譲歩する以外に方法はなくなる。怒りでいっぱいだ」と憤った。