サムスングループは創業以来、電子、化学、金融、建設・エンジニアリング、サービスなど幅広い分野に進出して、どの事業でも「業界ナンバーワン」を目指し、大抵は成功してきた。
公取委の指定する「グループ企業」だけでも74社になったが、今のままの総花的経営でよいという見方はグループ内にもない。
これ以上の成長が期待しにくい事業分野どころか、早急な手術が必要な事業分野も出てきている。
頼みの綱のサムスン電子にも不安
大ヒットした「ギャラクシー」シリーズに続く「次の収益源」が見当たらない〔AFPBB News〕
頼みのサムスン電子も将来を楽観できる状況ではない。過去数年間、サムスン電子の収益の牽引役だったのは、「ギャラクシー」シリーズの大ヒットだ。
だが、世界市場でスマートフォンは急速に普及し、これまでのような販売増加は期待できない。アップルとともに市場をほぼ独占してきたが、中国勢などライバル企業がシェアを伸ばすことも確実だ。
さらに「格安スマホ」の登場で、従来のような高い利益率を確保することも難しいだろう。
当面は、タブレット機器やテレビ、半導体メモリーなどで収益を支えることは十分に可能だが、2000年以降「携帯電話機、テレビ、半導体メモリー」という主力事業の顔ぶれはそのままで、「次の収益源」がない。大黒柱のサムスン電子にしても懸念は少なくないのだ。
1987年にグループ会長に就任して以来、李健熙会長は、節目ごとに大きな経営ビジョンを示してきた。
21年前の1993年には、「フランクフルト宣言」を出し、品質重視の「新経営」を打ち出した。「妻と子供以外はすべて変えろ」という強烈なメッセージで意識改革を促した。
2006年には、「危機意識を持て」と述べ、「創造経営」を唱えた。
「新経営」「創造経営」に続く「マッハ経営」とは?
今も李健熙会長は強い危機感を持っているという。
2014年の新年メッセージでも「もう1度、すべてを変えろ。時代の流れに合わないような思考方式や制度、慣行はすべて捨て去れ」と語っている。
では、今度は何を打ち出すのか。
「限界突破のマッハ経営」。サムスングループ内では、昨年あたりから、「マッハ経営」という耳慣れない用語を頻繁に使っている。