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格闘技コラム
ロープを背負い、真っ向の打ち合いを受けてたった長谷川穂積。7回でTKO負けを喫したが、長谷川のボクシングの集大成といえる試合を見せてくれたのではないだろうか。
photograph by Hiroaki Yamaguchi
格闘技特報

長谷川穂積、渾身の打撃戦で散る。
世界15戦目で見せ付けた“集大成”。

渋谷淳 = 文

text by Jun Shibuya

photograph by Hiroaki Yamaguchi

 世界3階級制覇をかけてIBF世界スーパーバンタム級王者キコ・マルチネス(スペイン)に挑んだ長谷川穂積(真正)が4月23日、大阪城ホールのキャンバスに沈んだ。

 公式記録は7回1分20秒TKO負け。WBC世界バンタム級タイトルを10度防衛し、フェザー級も制した長谷川にとって実に3年ぶりの世界戦。長谷川はいかにして戦い、なぜ3度目の世界タイトル獲得はならなかったのか─―。

 初回、長谷川は上々のスタートを切ったかに見えた。しっかり足を使い、ロングレンジからボディへ左ストレート、踏み込んでの左フック。動きは悪くない。スピードのある長谷川が背の低いファイタータイプのマルチネスを迎えたのだから、理想的な滑り出しに思えた。

 初回終了後のインターバル。テレビのマイクを通してセコンドに陣取る山下正人会長のアドバイスが聞こえてきた。

「コーナーに詰まらないようにしよう。打ち終わりに右のガードは必ず上げよう」

 4回戦選手に出すような当たり前のアドバイスに聞こえて、実は長谷川が勝つために最も重要なエッセンスがこの言葉に詰まっていたのではないだろうか。はたして青コーナーの心配は直後に現実のものとなってしまったのである。

ロープを背負い、打撃戦に応じた2回のダウン。

 2回だった。長谷川は初回と同じように左右にステップを切りながらマルチネスのプレッシャーを難なくかわしているように見えた。しかしである。ふと(不用意という言葉を使いたくなるほどに)ロープを背負い、懐に潜り込んでくるマルチネスと激しい打撃戦を繰り広げたのである。

 危ない! そんな声は聞こえなかったけど、だれかが叫んだような気がした。パンチの激しい交換からマルチネスの左フックがヒットし、続く右フックが長谷川のアゴをとらえると、長谷川のヒザがガクッと砕け、そのままキャンバスに崩れ落ちてしまったのだ。

<次ページへ続く>

【次ページ】 距離のキープが勝利の条件と考えるのがセオリーだった。

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