覚えていますか?真っ白な画用紙に思いっきり好きなものを描いていた子どもの頃の気持ちを。
大胆で自由奔放。
カラフルな色使い。
ワクワク楽しくなってきませんか?絵の作者はダウン症候群や自閉症の若者たちです。
図書館や病院など全国各地で展示されています。
例えば「モナリザ」の複製画が飾ってあるとかルノアールが飾ってあるとかというのと比べるとやっぱりお友達が描いた絵みたいなとてもほっとした感じというのがありますよね。
次々と生み出される作品はお母さんたちの希望です。
子どものように素直な心で絵を描く事を楽しむ。
森の中の小さなアトリエに集う画家たちの物語です。
国立公園に指定された美しいリアス式海岸が続く港町…魚市場には一年を通して豊かな海の幸があふれています。
森を抜けて海へ続く道を行くと小さな看板が見えてきます。
木々のトンネルを抜けると…ありました。
「これを自動で動くようにしたらいいですね」とかね。
「そこまでしなくていいです」ってね。
すし屋みたいになっちゃうから。
版画家の佐藤肇さんと画家の敬子さん夫婦です。
2人は23年前アトリエを作り創作活動をしながら絵画教室を開いています。
こんにちは。
月に4回ダウン症の若者たちが絵を描きに集まります。
いつも一番乗りは…
(敬子)ありがとう来てくれて。
すいませんいつも。
ありがとうございます。
次にやって来たのは…カメラクルーにびっくり。
康展さんとてもシャイなんです。
こんにちは。
佐藤さん夫婦もこの教室を楽しみにしています。
おっ!お〜!今日はみんなで一つの作品を作ります。
あれ?それは好きなアニメの名前?
(敬子)来た来た。
20分遅れてやって来たのは北内那奈さんです。
どうもすいません。
お願いします。
大きな声で怒った康展さん実は那奈さんとは大の仲良し。
ずっと待っていたんです。
(肇)何色がいい?この教室では絵の描き方を教える事はありません。
佐藤さん夫婦はそばでそっと見守っています。
いつもは陽気な康展さんですが今日おとなしいのはどうして?
(敬子)きつすぎた?実は遅れてきた那奈さんにきつく言ってしまった事をずっと気にしていたんです。
康展さんの様子を察していた那奈さん。
話をするきっかけを作ってくれました。
よっ!あ〜!康展さんようやくいつもの調子が出てきました。
みんなマイペース。
心に感じたままを素直に表現します。
ひらめけば人が描いた絵にだってこのとおり。
上手に描こうなんて考えない。
子どものように絵を描く事を純粋に楽しみます。
一体どんな作品が出来るのでしょうか。
茶色。
おおすごいね。
引っ掛からないように。
教わってもいないのに次々とアイデアが湧いて新しい表現が生まれていきます。
(肇)お〜すごいね。
(肇)感じがいいんだ?うん。
集中する事2時間。
本日の4人の共同作品が完成しました。
すご〜い!隣で待っていたお母さんたちにお披露目です。
ゆうちゃんどこ描いたの?この辺描いたの?やったで!やだくすぐったい!やだ。
こんなすてきな絵描けないですよ。
波動っていうかあるでしょ魂の伝わり方っていうかそういうものがないと人を感動させられないもんね。
今から33年前佐藤さん夫婦は東京で子ども向けの絵画教室を開いていました。
厳しい受験戦争の中で子どもたちが教わりたがったのはよい点数が取れる絵の描き方でした。
「先生何分で描けばいいんですか?」って聞かれた時はちょっと寒気がしたね。
そういう制約の中で生きてんだなっていう事をいろんな場面で感じていったんですね。
ですからもっともっと心が自由になるには制約を外していかないとという事は感じてましたね。
佐藤さん夫婦は決断します。
長女のぜんそくの療養もあり自然豊かな志摩に移住して新たな気持ちでアトリエを開いたのです。
絵を描く事を純粋に楽しんでほしい。
そんな願いから始めた絵画教室。
ある日「ダウン症の子どもたちに絵を教えてほしい」とお母さんが訪ねてきました。
子どもたちが描く絵を初めて見た時の衝撃を佐藤さん夫婦は鮮明に覚えています。
何のためらいもなくどんどん描きだしちゃう訳ですよ。
それを見てこの子たちすごいなと。
いなりずし。
エネルギッシュに次々と作品が生み出されていきます。
この絵はある日の大冒険を描いたものです。
「どか〜ん」や。
絵の作者…この教室に21年間通い続けています。
ある日友達の住む和具の町に遊びに行った裕之さん。
自宅から10km以上離れた町へ自転車で向かいました。
しかし初めての1人旅。
途中で道が分からなくなってしまったのです。
次第に日は暮れ家々に明かりがともり始めました。
心細くなった裕之さん。
ある留守宅に上がり込みテレビを見ていました。
そして帰ってきた家の人と鉢合わせしたのです。
その時の様子を表現したのがこの色鮮やかな作品「和具の町の物語」です。
明かりがともった家々。
裕之さんを見つけ驚きの声を上げる家の人々。
楽しく感じた事ばかりを絵にしていくからね。
楽しく感じた事がこの色彩に変わってくるから。
だから僕たち見ていて何か幸せなものを感じるんですよね。
おはようございます。
(敬子)おはようございます。
佐藤さん夫婦のアトリエはお母さんたちにとっても大切な場所になっています。
この日は得意料理を持ち寄っての昼食会です。
今日は先生ごちそうですよ。
アワビ入りのてこねなんて食べた事ないよ。
おいしい…先生まあ食べてみて下さい。
はい頂きま〜す。
アワビにサンマ新鮮な海の幸満載の郷土料理が並びます。
(高山)ワサビなど。
おいしいですね。
ありがとうございます。
いやいやホントに。
目がパチ〜ンと明くわ。
この細い目が。
いつも笑顔が絶えないムードメーカーの…高山さんの娘敦子さんの作品「海がきこえる」。
この絵は高山さんにとって特別な一枚です。
青を大胆に使い力強いタッチで表現した海と空。
真夏の太陽をダイナミックな構図で表現。
美大の学長や海外の芸術家の目に留まり高く評価されました。
(高山)「この絵を見ると360度真夏の太陽がギラギラしてホントに海の音が聞こえるいい絵だね」って言ってもらったの。
その時に震えた震えた。
もうホントに何と言うてええんでしょうねこんな驚きはなかったですもんね。
3歳の時に自閉症と診断された…子育ては高山さんにとってつらいものでした。
敦子さんが周りに迷惑をかける度に謝って回る毎日。
娘が褒められる事など考えられませんでした。
そんな暗闇の日々を少しずつ変えてくれたのが佐藤さんのアトリエでした。
人が怖かったですもんね私は。
人に会うのが。
いつも後ろ指さされとるような気がして。
「あんたとこの子な」って言うて…。
中学校の時は一番つらかったしね。
「あの子がおるよってうちの子らが勉強できん」ってもろに言われよったから。
学校へ行ってもこうやって人と人の陰にこうやって隠れて隠れるちゅう訳じゃないけどいつもこう…人の顔をまっすぐよう見れんかったもの。
いつも肇先生が「子どもたちは天使だね」って言わしたでしょ。
だけどあの時に先生に面と向かって「先生私とこ天使なんかおらへんもん。
悪魔はおるけど天使おらへんわ」っていつも言いよったの。
先生は「でも天使だよ」って言わはるんやけどその言葉がものすごい重かったんですよ。
(敦子)お昼ごはん食べようか。
(取材者)こんにちは。
(敦子)こんにちは。
娘の敦子さんです。
32歳になりました。
佐藤さ〜んこんにちは!絵を通して多くの人たちを楽しませている敦子さん。
今娘の事が心からいとおしいと高山さんは言います。
(敦子)佐藤さん博物館明治村行きたいし。
何でこんな子って思うとったけど今はホントに敦子でよかった。
この子が今ホントに私らに幸せいっぱい運んできてくれるもんで。
国際的な展覧会で入選した作品です。
作者の高木健一郎さんのお母さんです。
美しい志摩の海の夕暮れ時を描いた作品です。
太陽が沈むにつれ真っ赤に染まっていく海の表情。
その様子を健一郎さんは太陽が海の中に入っていくと感じたのです。
そして夜空に昇っていく三日月。
海の中からキラキラと浮かび上がります。
作者の…入選した作品を見て友達が褒めてくれた事がうれしくてますます絵に夢中になりました。
友達を描く事が大好きな上田幸絵さんの作品。
カラフルな色彩で一緒に遊んだ楽しい気持ちを表現しています。
ところがある時から絵が変わり始めます。
次第に暗い色が多くなりそして色を失ってしまいました。
(取材者)こんにちは。
こんにちは。
(上田)幸絵さん!幸絵さん!8年前働いていた作業所で仕事についていけなくなり心を病んでしまいました。
小学生の幸絵さん。
人懐こくおしゃべりが大好きな女の子でした。
(笑い声)現在幸絵さんは少しずつ元気を取り戻しています。
お母さんたちに見守られながら働く事ができるようになりました。
大丈夫?これ置いて。
2つの手で持ってってよお茶わん大事やから。
熱うない?正座して。
アトリエには幸絵さんがいつ描き始めてもいいように席が用意されています。
くつろいだ。
くつろいだの?ホントにもう。
ありがとう!またね。
佐藤さん夫婦のアトリエにはこの21年間の作品が全て保管されています。
その数は7,000枚にも上ります。
一枚一枚に色あせない驚きと喜びが詰まっています。
はい。
みんなを幸せな気持ちにしてくれる。
心優しい画家たちの物語です。
2014/04/17(木) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV「幸せ運ぶ画家たち」[解][字][再]
三重県志摩にダウン症候群の若者たちが集うアトリエがある。カラフルで自由奔放、ここで生まれる優しい作品は、アール・イマキュレ(むくの芸術)と呼ばれ注目されている。
詳細情報
番組内容
美しいリアス式海岸が続く港町。三重県志摩市に、ダウン症候群の若者たちが集う小さなアトリエがある。大胆で自由奔放、カラフルな色使い。ここから生まれる温かく、優しい作品の数々は、「アール・イマキュレ(むくの芸術)」と呼ばれ、各地の病院や図書館にギャラリーが作られ、見る人を幸せにする絵として注目を集めている。
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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