(テーマ音楽)都心から西へ60km。
多摩川の源流域です。
冬清らかな流れには豊かな命が息づいています。
冷たい水の中で冬眠する変わったカエルナガレタゴガエル。
その営みは水辺に春の訪れを告げます。
早春の多摩川源流域で繰り広げられる命のドラマを見つめます。
雪の富士山を望む奥秩父山地。
東京埼玉山梨にまたがって標高2,000m級の山々が連なります。
この辺りが全長138kmの多摩川の源です。
深い山と険しい谷が続く源流域。
入り組んだ渓谷が続きます。
多摩川の源流の一つ山梨県小菅川です。
長さは17kmほど。
豊かで清らかな水が源流の自然を育んできました。
冬小菅川の風景は一変します。
一面の銀世界。
流域は雪に閉ざされます。
雪の日木の枝に止まるのはヤマセミです。
白と黒の模様が美しく大きさは40cmほど。
(鳴き声)後からやって来たのはメス。
ヤマセミは魚を狙うハンターですがこの時期獲物を捕らえるのは簡単ではありません。
源流域の水の中。
深いふちの底に魚が群がっています。
白い斑点があるのがイワナ。
大きな黒い模様が目立つのはヤマメです。
冷たい水を好む魚たちですが水温が0℃近くまで下がる冬は流れの緩やかな川底で静かにしています。
水面に虫などの食べ物が少なく危険なヤマセミも待ち伏せている厳冬期。
体力を温存しながらしのぎます。
この寒さの中冬眠から目覚める生き物がいます。
岩の下こちらをにらんでいるのは…。
大きさは5cmほど。
皮膚がたるんだ独特の姿は水中で冬眠するため。
体の表面積が大きくなると皮膚からたくさんの酸素を取り入れられるので長く水中にとどまる事ができます。
動きだしました。
このカエルは渓流に住むため指の間のヒレが大きく発達。
流れの速い水の中でも伸びやかに泳ぎ回れます。
厳冬期冷たい水の中でナガレタゴガエルはいち早く動きだします。
多摩川源流域の水を育むのは奥秩父山地南部の山々。
冬森は深い雪に覆われる事もあります。
この一帯は水を蓄える水源林として守られてきました。
これは樹齢200年のブナ。
源流の厳しい風雪に耐えてきました。
森ではさまざまな鳥が冬を越しています。
鳥たちが探しているのは木の中に潜む虫。
冬枯れの森を盛んに動き回ります。
(鳥の鳴き声)源流の森の日当たりの良い斜面。
落ち葉が積もる山肌に水音が聞こえる場所があります。
(水音)岩の隙間から湧き出す水。
源流の天然林が育んだ湧き水です。
川の水より水温が高く一年を通じてかれる事はありません。
多摩川の源流にゆっくりと水ぬるむ春が近づきます。
ナガレタゴガエルが冬眠から目覚めて10日ほど。
ふちの底にカエルが集まっています。
2匹が重なっています。
体の大きいメスにオスが上からしがみついているのです。
この時期オスにとってメスとの出会いは貴重です。
一度見つけたメスは離そうとしません。
やがてカップルが成立するとカエルたちは産卵のため流れの穏やかな場所を目指して泳いでいきます。
大きな岩が転がる川底。
その隙間に白い粒がありました。
卵です。
メスは200個近い卵を時間をかけて産みます。
親の体と比べると卵は一粒一粒が大きめです。
卵が大きいほどおたまじゃくしからカエルになるまでの時間が短くて済むと言われています。
川の魚たちが活発になる前に少しでも早く旅立たせるため厳冬期に命をつなぎます。
ナガレタゴガエルが産卵を終える頃源流域では気温が上がり雪解けが始まります。
水の中にも春の気配が訪れます。
元気に泳いでいるのはヤマメです。
岩陰にはカジカがいました。
こちらはオス。
よく見ると背びれの縁が金色に染まっています。
繁殖の時期を迎えた証しです。
水辺では花々が競い合うように咲いていきます。
岩の上を飛び回る鳥がいます。
カワガラスです。
くわえているのは虫。
もう子育てが始まったようです。
親鳥はヒナのためにたくさんの食べ物を集めます。
水の音に負けないほど大きな声で鳴くのはミソサザイ。
メスをめぐりオスたちは自慢のさえずりを響かせます。
(鳴き声)源流域の多くの生き物が動きだす春。
ナガレタゴガエルはどうしているのでしょう。
産卵で体力を使い果たした親たちは春眠についていました。
新緑の季節を迎える頃皮膚のたるみは消えて普通のカエルの姿に戻り森へ向かいます。
親たちが春眠についている間卵からはたくさんのおたまじゃくしが誕生します。
他の種類のおたまじゃくしと違いふ化してしばらくは真っ白です。
カエルとなり陸に上がるのは新緑の頃。
親ガエルと同様源流を森へ向かいます。
多摩川源流域。
春を迎える小さな命のたくましい営みがありました。
2014/04/20(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「多摩川源流域」[字]
雪に覆われた冬の多摩川源流域。水辺ではヤマセミが舞い、ヤマメやイワナは川底でじっと過ごす。水の中でナガレタゴガエルが恋の駆け引きを始めるとやがて川に春が訪れる。
詳細情報
番組内容
大都市・東京を流れる多摩川。源流の一つが山梨県の小菅川だ。雪に覆われる厳冬期、ヤマメやイワナは川底でじっと過ごす。一方、水中で冬眠する変わったカエル、ナガレタゴガエルはいち早く、この時期に活動し、恋の駆け引きを始める。水辺に春を告げる花が咲き、ミソサザイが高らかにさえずるころ、産卵を終えたナガレタゴガエルは春眠に入り、卵からオタマジャクシがかえる。多摩川源流域で春を迎える小さな命の営みを見つめる。
出演者
【語り】中村慶子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:19259(0x4B3B)