朝の体操はこの辺で。
どうぞ良い日曜日をお過ごし下さい。
「NHK俳句」新年度第3週の選者は櫂未知子さんでいらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
どうぞよろしくお願い致します。
今日からスタートですけれども抱負といいますとどういう事でございましょう?抱負というほど立派な事ではないんですが失われてしまうかもしれない季語あるいは忘れられそうな季語そういうものを実物を使ってじっくりと学んでいきたいと思っております。
とても楽しい時間になりそうですけれども。
今日の兼題も「石玉」ですね。
はいそうです。
石玉というのは風車ですとか風船と同じように春の季語なんですがただ1つ違うのは消えてしまうという事ですね。
風船は残りますからね。
風船や風車はちゃんと手元にある訳ですが石玉は必ず消えるという。
そういう点ではちょっとユニークな季語だと私は思っております。
石玉を詠まれた冒頭の句ご自身の句ですけれども。
ちょっとてれくさいような句ですが。
やはり空に行きたいけれども行けない。
一種の片思いのような句ですね。
片思い。
ご自身のお気持ちも投影されて?いいえそんな片思いなんてした事ありません。
だんだん櫂さんのお人柄も拝見できると思います。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
では今日のゲストをご紹介致します。
今日のゲストは詩人の八木忠栄さんにお越し頂きました。
ようこそお越し下さいました。
よろしくお願いします。
八木さん詩のほかにエッセーですとか落語に関する著作も多いんですけども句集も3冊出されたんですね。
櫂さんの前じゃ恥ずかしいんですけども。
もともとは詩ですけども俳句を20年ぐらい前から知ってそれで俳句の面白さ難しさみたいなのを知ってこれはまた詩と違うんでいまだに続けてるというありさまでございます。
その俳句の難しさ面白さってどういう事になりますか?やっぱり律でしょうね。
十七文字でピタッと言っちゃう。
現代詩では1行ではなく何行かで言うという。
それは全然違う訳ですね。
しかも俳句は約束事がいくつかありますから。
約束事がある…不自由じゃなくて自由なんですね。
僕は自由を感じるんですね。
詩の方がずっと不自由なんです。
それは面白い。
確かに俳句の方が決まりがいっぱいあるから作りやすいですよね季語もあるし。
そうそう。
そうおっしゃる八木さんのまず1句をご紹介頂けますか?これは今年の春作ったんですけれども。
人生にも落とし穴がいろいろあるけれども「石玉さんよ空だって危ないよ気を付けなさい」というそんな気持ちですね。
これは何か身につまされるような句ですね。
面白い句だと思います。
また後ほどお話よろしくお願い致します。
よろしくどうぞ。
それでは入選句ご紹介してまいります。
まず1番です。
この句は児童の「児」という字を使ってこの子どもさんが小さいって事が分かるようにできてますね。
何か寂しげに吹いてるのかもしれませんけれども吹いた事によってその「児」が独り占めできる空になった感じが致しました。
ホント独り占めですよね。
僕この句大好きなんですけど。
しかも空という未来がこの句にいっぱいあるようなこの児童に。
そんな感じがします。
では2番です。
この句中七を読んだ時にぎょっとしましてね。
びっくりませんか?これ。
子どもがバタバタ多く何人か座ってるんですね?普通だったら足が10本とかあるいは子どもさんが何人かいるというのが普通だと思うんです。
それを「足の多さよ」ってタコじゃないんですから。
ちょっとびっくり致しましたこの句は。
楽しいですよね。
見た事のない句ですね。
では3番です。
この句も学校から帰ってきてすぐにかばんを放り投げてせっかくだから石玉やろうというね。
何かはやる気持ちが「あとでやります」という丁寧な言い方に出てましてこれ面白いですね。
これ俳句の気持ちがよく分かるなって感じですね。
小さい頃そうだったんですか?自分でもそんなだったんですね。
後でやらないですけどね。
やりませんか?やりませんね。
それがいいとこじゃないですか子どもは。
見た事のないタイプの句ですよね。
丁寧でね。
今度は4番です。
今どきの妊婦さんというんですかね。
性別分かりますよね?多いですよね。
生まれる前に分かるというのが多いんですがこれ多分お兄ちゃんになる子なんだろうなと思うんですよ。
どんな妹が生まれてくるのかわくわくしながら今は石玉を吹いていると。
もしかしたらその子が生まれてきたらその子に対しても石玉を吹いて見せてあげるんじゃないかなという感じは致しました。
優しいお兄ちゃん?そうですね優しい句でした。
それにしても「宿題はあとでやります」「妹が生まれるんだよ」。
しゃべり言葉といいましょうか口語体でこういう俳句が2句続きました。
たまたまなんですけれども石玉はどうしても子どもさんのイメージが強いようで話し言葉で作られた句が結構応募作に多かったですね。
ですからたまたまなんですけどね。
では次は5番です。
ほかの応募作は姉が吹き妹が追うというパターンの句がとっても多かったんですよ。
それに対してこの句は2人が仲良く小さな器を使ってそこにせっけん液を入れて交互に吹いていると。
非常にありそうでない句ですね。
かわいい句だと思います。
今度は6番です。
ほかの応募作を見てますと他人を描写している句って結構あったんですよね。
この句はちょっと違っておりましてあくまでも自分に引き付けて詠んでいると。
そういう点では珍しい句だったのではないかなと思われます。
大変頼もしい力強い俳句ですよね。
こういう俳句ってあまり見かけないんですけどどうなんですかね?ありそうでない。
先ほど申し上げたとおり。
「息余った」というのがすばらしいなこの俳句は。
余って「まだまだ大丈夫」何かご自身で喜んでいらっしゃるような。
伝わってきますよね。
今度は7番です。
この句も見た事のないタイプの句ですね。
少女が老いるなんて事は普通ないんですが。
私どもでしたらどんどん老いてく訳ですけども。
少女が老いを深めていくという何か寂しそうでとてもいい句だなと思いましたね。
寂しさがこの句の売りといいましょうか特徴だと思います。
物語を感じるような。
そうですね。
映画にしたいようなドラマにしたいようなそんな感じが致しました。
今度は8番です。
この句は普通は屋根まで飛んで屋根まで届かなかったという句が多かったんです。
あるいははじけてしまいましたと。
ところがこの句の場合は「まだはじける力があるよ」という辺りは珍しい句だなと思うんですね。
はじけてしまう悲しさを言うのではなくてはじける力と言った辺り。
ほかには全く例はありませんでした。
力強いホントに頼もしいような句が今回多かったと?結構あったというかそういうの好きで私は選んだという事ですね。
では今度は9番です。
「見えぬ何かに突き当る」というここだけ見ますと「何の事かしら?」とは思うんですが「石玉」がつく事によって「ああ」と皆さんが分かる句だと思うんですね。
このあとの事は何も言ってないんですけどね。
この辺り非常にこの季語もよく利いてますね。
かわいい石玉も飛んでいって何にぶつかるか分からないというね。
そういう不安感不気味さというのかな。
そんな感じが読めてこれも僕は好きな俳句ですね。
何か人生の意味もちょっと言ってるような感じもしますね。
何か身につまされているんじゃないでしょうか?いえいえ。
以上が入選句でした。
では特選三句をご紹介する前に「俳人のことば」をご覧頂きます。
(能村)お盆が近づくと子どもたちも白い絣の着物を着せられます。
「うつせみの子」というのは今生きてる子どもの事で私の家の三男にあたります。
「黄泉の子」というのは小さい時に亡くした2人の男の子でその子もきっと青年になったら白絣の着物を着ているんじゃないかなという子どもの事を思い出した句でございます。
能村登四郎は30代半ばで生後間もない次男そして6歳の長男を相次いで失いました。
登四郎はとても子ぼんのうで知られ子どもを詠んだ作品を数多く残しています。
この句が詠まれたのは昭和26年登四郎40歳。
貧しい教師としての生活を背景に子どもを詠みました。
日本画を描くなど手先の器用だった登四郎は子どもを思って人形を作る事もありました。
それでは特選句です。
まず第三席はどちらでしょう?島田五十鈴さんの句です。
二席の句です。
居ノ内寛子さんの句です。
一席はどちらでしょう?佐瀬はま代さんの作品です。
この句は例えば風船の句だったら駄目なんですよ。
つまり風船ですと息は大体足りなくなります。
余らない。
駄目というのはおかしな言い方になりましたが。
結局石玉だからこそ息が余るのだというね。
絶対にこの季語は動きませんね。
石玉という季語は。
ですからこれを一席に致しました。
こういう詠まれ方をした例もあんまりないので珍しいと思いました。
普通は石玉を描くんですよね。
これは息に集中した辺りが面白かったです。
以上が今週の特選でした。
ご紹介しました入選句とそのほかの佳作の作品はこちらNHKの俳句テキストに掲載されます。
俳句作りのためになる情報も参考になさって下さい。
続きまして入選の秘訣です。
入選までのあと一歩を教えて頂きます。
俳句の字余りについてちょっと考えたいんですね。
やはり今回のようなシンプルな季語ですと特に音数がだらしないとちょっとおかしく見えてしまうと。
ですからちょっと例を挙げてみたいと思うんですが。
こちらの句です。
よくご覧になると中七が実は八音になっております。
8。
そうですね。
何となくそうすると緩んできますよね。
ですからここで一音削りましょう。
真ん中の「の」を削ります。
「内緒話をするように」これで十分通じますし作品のよさも伝わると私は思います。
字余りでも特に中の中七が大事という事ですか?私中七女といわれるぐらい中七を大事にしておりますので。
そうですか。
じゃあこれからも?これからも皆様中七女男になるように頑張って作って頂きたいなと思います。
参考になさって下さい。
それでは櫂さんの年間のテーマですけれども年間のテーマは「日本の季語遺産」という事で今日は石玉なんですね。
私はさまざまな季語の実物をコレクションしてるんです。
その中の一つがこの石玉なんですが。
部屋一つが季語部屋と呼ばれる部屋が。
竹馬から竹婦人もあるしかやもあるしはえ取りもあるという。
その季語部屋から今日お持ち頂いたのが昔ながらの石玉を作るものですね?今ですとせっけん液を使うと思うのですが。
これは古い時代江戸時代に遡る事ができるんですけれどもそのころ使われていたといいましょうかせっけん液ですね。
これが無患子という木の実なんです。
ホントはもっと淡い色をしていてもうちょっとみずみずしいのですがちょっとこれは乾いてしまってますけどね。
この皮をそぎましてといいましょうかお湯に浸してそして少し溶かしますと泡が出てくる。
せっけん液になる訳です。
ちなみに中の実みたいな黒い物は?これは羽根つきの真ん中の球になります。
ですから意外とこの無患子というのは役に立つ植物だなという事が分かりますね。
その皮をご自身がせっけん液にして下さったと?手製なんです。
お手製で?ありがとうございます。
では八木さんもやってみませんか?せっかくですから。
もう十数年…数十年ぶりです。
十数年なんて見え張っちゃいけません。
やってみましょう。
昔はやっぱり麦わらとかで吹いたんですね?そうです。
こういうものが売ってますんで。
ではできるかしら?できた。
八木さんやっぱり。
出ない。
八木さん頑張って下さい。
言う事聞かないな。
練習が必要です。
コツがあるんですか?あできた!出た大きいのが。
おめでとうございます。
いかがですか?童心に返られて。
こういう遊びはしなかった。
そうですか。
しなかったですか?うん。
大きい。
大きいね。
うまくなりましたね。
やっぱり練習あってのものですね。
練習します。
落語がとにかくお好きで造詣の深い八木さんですけども実は無患子が出てくる落語があるんだそうですね。
「茶の湯」という落語がありまして。
その中でムクと言ってますけども同じ無患子の事ですよね。
茶の湯をご隠居がやるんですけど青きな粉をやるんですね。
抹茶を忘れていてちっとも泡立たない。
「おかしいな泡立つはずだ」と。
それで無患子の皮を小僧が買ってきてそれを今度は煮込むんです。
そうすると泡が出て大変になるという笑いです。
初めて見ました。
実物を…。
お話では知っていたけれど実物は知らなかったという事ですね。
ホントに大きな石玉が出来ましたもんね。
自分でできた時は結構感動します。
「成功した〜」なんて拍手しちゃって。
季語はこんなふうに昔から身の回りにあったんですもんね。
これはうれしかったです。
是非とも皆さんに。
それにしても最初に俳句の面白さ…定型の律の面白さだとおっしゃいましたけどまだまだあるんだそうですね?そうですね。
約束事それから滑稽…滑稽というのは俳句にとって大事な事だと思うんですけども詩の場合もそうですね。
ところが最近はどうもその滑稽さが俳句も詩もちょっと減ってるような気がするんですね。
特に詩の方は何かみんなむきになってやってる感じで。
櫂さんの俳句はこれはやっぱり厳しい滑稽があって僕は大好き。
滑稽でも厳しさがあるんですか?そうですまぬけじゃないです。
例えば…これはもう櫂さんその人…よく知らないけども表しているんじゃないか。
特に「春は曙」という古典的な言葉のあとに「帰つてくれないか」ってずばりと言っちゃうというね。
この取り合わせが見事ですね。
そうですかね?清少納言が現代に戻ってきたらというか来たらこんな感じじゃないかなと思って作ったんですねこの句は。
10秒ぐらいでできた。
そうですか。
「枕草子」の冒頭部分をジ〜ッと見ながらハッと気付いた句なんですね。
普通だと別れというと暗い…。
「帰らないでちょうだい」というのが普通の女性ですよね。
でもまあ私普通じゃないんでしょうかね。
本当は帰ってほしくないのかもしれない。
痩せ我慢でそれはね。
ああなるほど。
いかがですか?いや私本気だと思います。
「もういいですから!」という感じでね。
べたべたしたくありませんという感じが出てるかもしれませんね。
こういう滑稽さがやっぱり俳句には…。
大事だと思うんですよね。
落語とは違う滑稽さですよね。
やっぱり滑稽の味がちゃんとユーモアがないとつまらないと思いますね。
それはまた俳句の面白さにという事なんですね。
フッと笑えるって大事ですよね?そうですよね。
今日は詩人の八木忠栄さんにゲストにお越し頂いてお話しを伺っております。
ここで投稿のご案内をさせて頂きます。
ご自身の作品で未発表のものに限ります。
「水中花」という事なんで水中花というと私どもすぐあの歌の「水中花」。
(「愛の水中花」)これですよね。
華やかな水中花を思うんですが。
あのきらびやかな感じだと思うんですが皆さんが思ってるのは。
でも実際の水中花ってそんな派手なものではありませんで。
例えばですね…。
今日もお持ち頂いたんですね?私コレクターですから。
季語部屋から持ってまいりました。
これが水中花でありまして大変素朴なものなんです。
(桜井八木)そうですね。
これは紙で出来てるんですよ。
こちらはおもりですね。
本当シンプルな素朴な。
本当にシンプルで派手さのないものなんですがではこれを入れてみましょうか。
水の中。
そうですね。
私がまず先にやりましょう。
どうぞ。
ちぎれないかしら。
大丈夫かしら。
いきま〜す。
ああおもりですとんと落ちますね。
あっ八木さんもそちらで。
よく見てて下さい。
徐々に徐々に開いてくんですね。
ゆっくりゆっくり開いていくんですね。
なかなか…何て言ったらいいんでしょうね。
初めて男性とおつきあいするようになった田舎の女の子みたいな感じ。
そういう感じしませんか?初めて口紅をつけるようなね。
何か素朴でとってもいいですね。
水中花ってやっぱりそもそもこういうもの…。
特に俳句で詠まれたものはそうなんですか?そうですね。
俳句で詠まれてきたのはもともとはこういうものだったんですが最近は誤解している方が多くて。
やっぱり実物を見てないからなんですけどね。
どちらかというとけばけばしい句を作る方が多いですよね?派手なものが多いですね。
ですからやはりこういう実物をご覧になって作ってみるという事も大切な事ではないかなと。
八木さんもこういう素朴なもの初めて…?初めてですね。
さすがコレクターでしょ。
すごい!これからは是非そのコレクターのいい部分を発揮して頂いて毎回毎回楽しみにしておりますのでまた次回もどうぞよろしくお願い致します。
今日はゲストに詩人の八木忠栄さんをお招きしてお送り致しました。
石玉を吹かれたりだとかとても童心に返られた時間だったんじゃないですか?おかげさまでホントにそうです。
俳句を忘れました。
いやいや忘れないで。
これからもよろしくお願い致します。
どうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
それではまた次回お目にかかります。
今日はこの辺で失礼致します。
ごめんください。
(きてき)2014/04/20(日) 06:35〜07:00
NHKEテレ1大阪
NHK俳句 題「石鹸(しゃぼん)玉」[字]
選者は、今回から新たに登場する櫂未知子さん。ゲストは詩人の八木忠栄さん。季語の実物をコレクションしている櫂さん。今回はむくろじの実から作る昔のしゃぼん玉を紹介。
詳細情報
番組内容
選者は、今回から新たに登場する櫂未知子さん。ゲストは詩人の八木忠栄さん。季語の実物をコレクションしている櫂さん。今回はむくろじの実から作る昔のしゃぼん玉を紹介してくれる。【司会】桜井洋子アナウンサー
出演者
【出演】八木忠栄,櫂未知子,【司会】桜井洋子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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