(テーマ音楽)大竹先生。
今日は僕この格好をしてくれと言われたんですけど…。
「オイコノミア」ちょっと3年目に入って軸がブレまくってないですか?いやそんなことないですよ。
これ何か理由があるんですか?はい。
今日は又吉さんに経済学の実験に参加してもらおうと思ってるんですよ。
実験…。
はい。
あっそれで先生も白衣を着てるんですね。
そうなんですよ。
やっぱり実験と言えば白衣ですからね。
なるほど。
はい。
皆さんと一緒に実験に又吉さんも参加してもらうんです。
皆さんも一緒に?はい。
今回はスタジオに20人の皆さんに実験参加者として集まってもらいました。
一体どんなことが起こるんでしょう。
経済学でねさまざまな政策の効果を調べたいとき例えばその増税の純粋の効果を調べたいというときに増税される前とされた後の景気の動きを調べただけじゃ増税の効果ってわかんないんですよ。
なるほど。
どうしてかわかります?え〜まあ増税しなかった場合がわからないからですよね。
確かに増税した日本と増税しなかった日本を比較すれば増税の影響がわかります。
でもそんなことは到底不可能。
そこで登場するのが…。
「実験経済学」。
例えば実験空間で日本を再現しある政策を導入した場合としない場合の影響を比較・分析するのです。
ということで今日はねこのスタジオに小さな日本というのを用意したわけですよ。
これが皆さん。
そう小さな日本なんです。
で男女合計20人。
又吉さんにも参加していただくと。
僕もちっさい日本の一部になれるんですね。
そういう事です。
わかりました。
それで今日は実験をしていくわけですけれども。
私の同僚で経済学者の犬飼先生に来てもらってます。
(犬飼)よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
日夜実験に没頭している新進気鋭の実験・行動経済学者犬飼佳吾さん。
今日は指導の方よろしくお願いします!まあ今回はね私たちの生活の中で価格がどのように決まっていくのかを実験を通じて調べていこうと思うんです。
なるほど。
犬飼先生今日はどんな実験やるんですか?今日はまず初めにオークションの実験をやってみたいと思います。
今やインターネットなどで身近になったオークション。
そこに潜むある罠を実験で見てみます。
はい。
初めにこの実験では又吉さんにオークションの主催者になっていただきたいんですよね。
僕が?わかりました。
それでこれを皆さんに落札していただきたいんですよね。
これはあっ5円玉ですね。
そうですね。
ビンの中に5円玉が入っています。
(犬飼)どうですか?重さは。
かなり重いですね。
高さ12cm直径7cmのビンにぎっしり詰まった5円玉。
でもいくら入っているかはわかりません。
あなたならいくらで買いますか?これを一番高い値段を付けた人が買い取れると。
買い取りたい値段をそのフリップに書いて頭の上に上げてください。
これはかなりあると思いますよ。
落札できたら得するかもしれないですね。
そうですね。
皆さんじゃあ一斉にフリップをお上げください。
どうぞ。
あれっ!?250円の方もいれば一番高いのは5,555円の方が今のところ一番高いですね。
4,500円の方対抗しません?はい。
大丈夫です。
いいですかねじゃああちらの…。
おめでとうございます。
おめでとうございます。
(拍手)5,555円払ってもらわないと駄目ですよ。
そういう事ですよね。
5,555円って書いたんですけど財布見たら4,000円しか…。
(笑い)4,000円しかないっすか!?そうなると後ほど1,555円は。
お支払いさせていただきます。
わかりました。
はい。
こちらどうぞ。
ありがとうございます。
はい。
(拍手)ところでビンの中にはいくら入っていたのでしょうか?いっぱい入ってますね。
12345…。
又吉さん事前に数えていました。
96979899…300。
300枚ということは1,500円分ですね。
今4,000円頂いてますからあと1,555円…。
これもらうの申し訳ないですね。
又吉さんは「勝者の呪い」という言葉は聞いたことがありますか?「勝者の呪い」。
この番組で一度聞いたことがあります。
実は今皆さんにやっていただいたオークションの実験又吉さんも主催者になってやっていただいた実験はこの勝者の呪いを調べるための実験だったんですよね。
今回の場合1,500円が入っているビンをそれより高い価格で落札したということは勝者の呪いが起きたのです。
ずっとその場の雰囲気に飲まれてしまって実際の価値以上の値を付けてしまった事すごく後悔してます。
やっぱり後悔されています?はい。
最初のあの5円玉が入ったビンやっぱり多く見えますもんね。
見えました。
100枚かな。
もしかしたら1,000枚いけるかと思ってどんどん値を自分の中でつり上げていってしまって最終的には大損ですね。
なるほど。
犬飼先生今勝者の呪いの実験やってみたんですけれども実験やることで何が見えてくるんですか?実際今までの経済学ですと紙とペンを使って一生懸命理論を考えていたんですがそういった理論が本当に人々の行動をちゃんと忠実に捉えてるかどうかないしはそこで考えられてるような理屈やモデルがうまく本当に動くかを実験室で確かめてみようというのが実験経済学ですね。
…とわかってきました。
実験をすることでね経済学が日常生活にどんなふうに関わってるかはっきりしてきますよね。
先ほどのちょっと多めに払ってしまった男性を皆さん見てるんでちょっとふだんより臆病になると思いますけどね。
その辺は皆さんもう一回こうゼロの状態で。
もうお金無くなってますけど大丈夫ですか?
(笑い)次にどんな実験するんですか?犬飼さん。
次は市場でどういうふうに価格が決まってくるかを調べるための実験をやってみようと思います。
私たちに身近な価格。
その決まり方を実験で見てみましょう。
この実験で…ただし…ヌフフフフフフッ…。
又吉さんには今回は買い手役になっていただこうと思います。
買い手に?はい。
なので又吉さんはなるべく安い値段で買ってくださいね。
わかりました。
「安く」で買えばいいんですね。
ということは僕は帽子も白ですね。
はい。
そういうことになります。
はい。
やっぱり僕今日この格好じゃないと駄目な理由ありました?
(笑い)それでは用意スタート!例えばこちらの2人。
売り手は700円で仕入れたマグカップを900円で売ろうとしています。
買い手は1,000円の予算のうち600円で買おうとしています。
予算と仕入れ価格は自分しか知りません。
そのためよ〜く見ると成立する見込みがないにもかかわらず取り引きをしようとする組が出てきます。
ふむ。
うふむ。
この2人も同じですねぇ!ちょっと資金力に今難ありなのでもう1回教えていただいて。
おいくらぐらいで?1,000円ですか?僕はね300円ぐらいなんですよね。
(売り手)もう少し。
それ以上ちょっとね。
難しいですか?400円とかぐらいまではなんとか。
おいくらでお売りになりますか?こちらとしては…どうですか?そうですね。
じゃあ。
もう時間もあれなんで。
そうですよね。
いきます?300円でじゃあ。
又吉さんついに買えました!すいません。
成立しました。
はい。
はい。
はい。
確かに300円頂きました。
はい。
ではこちら。
はい。
いただきました。
これで取り引きは成立です。
はい。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
又吉さんが手に入れたマグカップ価格は300円になりました。
今の実験の結果を経済学で検証してみましょう。
上のカメラわかりますか?はい。
上のカメラから見るとこんな形にはい?なってます。
又吉さん。
この画面を見て何か思いつきませんか?これは経済学でよく見る需要と供給のあのグラフみたいですよね。
そうですね。
この需要曲線と供給曲線から考えると今回の取り引きではマグカップは1ついくらの金額で取り引きされるべきなんでしょうか?え〜とこのグラフでいうと交わってる所ですから僕の辺りですかね。
そうですね。
500円600円辺りですか?500円と600円の間ですね。
はい。
それが市場価格ということになるはずです。
なるほど。
価格は需要と供給で決まること皆さんはご存じですよね?需要曲線と供給曲線が交差したポイント。
ここの価格が市場価格となり売買が行われるようになるんですよね。
おわかりですよね?まあそういう理屈から言うと500円や600円で皆さん取り引きが成立したはずですよね。
はい。
じゃあみんながそこで本当に取り引きをしたかどうかを確認したいと思うんです。
はい。
皆さんに取り引きをして頂いたときに成立した価格の場所に一列に並んでいただこうと思います。
売買が成立した人たちにグラフの中に残ってもらい売り手が実際に売った値段の所に移動し買い手もその横に並びます。
本来なら市場価格つまりオレンジのラインに並ぶはずですが随分安く取り引きをしていたり随分高く取り引きをした人たちがいますね。
結構バラバラじゃないですか。
ばらついてるかもしれないですね。
市場の予測は500〜600円だったわけですよね。
でも皆さん取り引き成立した価格随分バラバラですね。
そうですね。
まあ真ん中にも3組ほどいましたけど高い所にもいますし僕も安い所にもいますしちょっとばらついてますよね。
ってことはこれは実験失敗ということですか?これって初めから失敗することが実はわかっていたんですよね。
この実験…。
え!?それは負け惜しみじゃなくて本当ですか。
負け惜しみじゃないですよ。
失敗する事がわかってたんですか。
はい。
この実験は「ピットマーケット」って皆さんが参加して頂いた実験は言います。
ピットマーケット?でこの実験は経済の実験の中ではほぼ初めにされた実験の1つでうまくいかない事がずっと前からわかっていた事なんですよね。
そうなんですか?はい。
イェーイ!自分の情報はあるけれども相手がいくらなら売ってくれるのかが交渉するまでわからないっていうのは難しいですよね。
僕の手元にあるお金でいうとこれぐらいで買いたいというのはあったんですけど人に「いくらで売りますか?」って言ったら全然自分の持ってるお金より高いお金を言われるんであっそんな高いんやっていうふうに思いましたね。
これに近いような状況って何か思い出しません?こういう取り引きをするっていう。
例えば古道具屋とかに行って知識の無い昔の壷とか何かそういう掛け軸とかは結構言われるままですよね。
なるほど。
恋愛も似てませんか?あっ恋愛も似てます。
ねえ。
でしょ?恋愛も似てると思ってました。
思ってました?でも恥ずかしくて言わなかった?恥ずかしくて言えませんでした。
だからあまり情報が無い男子校とか女子校とかの人は自分が社会からどれぐらい評価されるとかがあまりわかってないと誰とでもつきあったりとか自分で考えてて恥ずかしくて言えませんでした。
(笑い)なるほど。
ええ。
だからあまりいいものを望み恋愛においても理想を求めすぎると成立しない事がありえるみたいなところでも共通点あるんですかね。
そうですね。
そこまで共通点を探さなくてもいいですか?
(笑い)似ているところは情報が不完全なところで相手を探す取り引き相手を探すというのが恋愛と似てるんじゃないかということだったんですけどね。
ピットマーケットではね売り手だったらどんな買い手がいるかそれからいくらで買い手が買いたいかわからなかったです。
買い手も同じように売り手の情報がわかんなかったです。
どんな取り引きがなされてるかもわからないでやってました。
では売り手も買い手も全ての取り引きの情報が開示されてたら実際の取り引きはどうなるんでしょうね。
もう少しスムーズになりそうな気がしますが…。
そうですね。
そういう実験をやってみようと思うんですよ。
はい。
では。
画面の方に集中して頑張って稼いでくださいね。
それでは用意スタート!次の実験はコンピューターを使います。
誰がいくらで買いたいか売りたいか参加者全員の金額がわかるようになっています。
又吉さん考えていますね〜。
この取り引きは「ダブルオークション」と言われ…今回の実験の需要曲線と供給曲線は実はこんな形になってました。
需要と供給が均衡するのは大体700円ぐらいの所になってますね。
ではどんな形で成立したかっていうのを今からやってみたいと思います。
まず取り引きが成立しなかった人はグラフの外に出ます。
続いて売り手が売った価格まで移動しその隣に取り引きした買い手が並びます。
すると…。
需要と供給から導き出される価格にみんなが並んでいます。
理論どおりですね!近いですねみんな。
みんな近いですね。
700円〜800円辺りにそろってますよね。
ですからこれはやっぱり情報が完全だったということでほぼ同じ先ほどの需要曲線と供給曲線が交わった辺り700円ぐらいの価格で全ての人は取り引きをしてたということですよね。
情報が完全な状況で価格が決まるメカニズムということですね。
論理と実際の実験の結果が一致したということですよね。
今回は需要曲線と供給曲線で交点よりも左側の人たちしか売り買いできない。
だけど売り買いした人たちはみんなほとんど同じ価格で売り買いしてたということで結果的にはみんなが実はよりハッピーにはなってるんですね。
不公平なことは起こってないでしょ。
実生活の社会の中では売り手の価格も買い手の価格もどっちかが見えないということはなくて皆さん見えている状況が多いですよね。
だからダブルオークションのように実生活と社会でも実際にはこういう形で価格の取り引きが行われてるということが多いとは思うんですよね。
実験することでいろいろわかることはあって新しい取引制度を作るとかっていうときにやっぱりやってみないとわからないんで実際に例えば大規模な取引市場というのを作ったと。
大失敗するかもしれないわけです。
だからその前に実験室で実験をしてああこういう制度だったらうまくいくとかこういうふうだったらみんなは間違った行動を取りにくいんだとかっていうことを確かめると。
サッカーとかでも新ルール試すときにまず17歳以下の世界大会でスローインじゃなくてキックインを試してみてアカンなとか。
バックパスやってみていいからじゃあ世界全部そうしましょうとかそれに近いかもしれないですね。
そうですね。
実験的にやってるわけですね。
海外だと携帯電話の周波数オークションというのをやったりとかそれから空港の離発着の権利の配分とかをオークションでやったりするんですね。
それもやっぱりいきなり実際の現場で使うっていう前に実験室でどういうオークションの仕組みだったらうまく理論的に一番いいところにいくのかを何度も実験してから実際の制度に適応するということが行われてるんですよ。
なるほど。
ピンポーン!今回番組でもピットマーケットとダブルオークションの実験で最ももうけた人に賞品を準備しました。
それはSさんです。
Sさん。
あっ!
(拍手)すごいですね!Sさんはふだんは何をやられてる方ですか?証券会社に勤めております。
(笑い)じゃあ得意なんですね。
特に2つ目のやつとかは。
間違いなく得意分野でしたね。
プロみたいなもんですもんね。
いやプロです。
プロですよね。
(笑い)なるほど。
じゃあもうちゃんと実験の…。
実験の信ぴょう性がちゃんとね保証されたような気がしますよね。
そうですね。
じゃあ商品私の方からお渡ししたいと思います。
何ですか?それは?これはですね最近ですねすごくいい経済学の本が出版されたんですよ。
最近ですか?はい。
それ言えないんですか?タイトルは。
言えないんです。
いろいろあるんですね。
いろいろあるんです。
おめでとうございます。
おめでとうございます。
(拍手)駆け引きとかは得意ということですよね。
苦手とは言えないかもしれません。
なかなか理論というのは実際とはですね一致しないことが多いかと思うんですが今回の実験を通じて「あっ理論がやはり実際にもこういう形で一致するんだな」と改めて実感したということで非常に楽しめました。
ありがとうございました。
2014/04/16(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「経済学の“実験”します」(前編)[字]
今日は何を食べどこに行くのか。毎日いろいろな選択をする私達。このときどんな意思決定しているか?それを実験して観察し、経済理論を見直す「実験経済学」に注目する。
詳細情報
番組内容
今回、視聴者に参加を呼びかけ、老若男女20名に協力いただき、「科学大実験」ならぬ「経済学の大実験」を行った。そのうちのひとつがオークション。5円玉がぎっしり詰まったビンがある。参加者はビンを開けたり持つことはできず、見るだけ。何枚5円玉が入っているのかは分からない。これをいくらで競り落とすか、実際にやってみるとビンの中に入っているお金より高い金額で落札された。どうしてこういうことが起こるのか?
出演者
【出演】又吉直樹,【解説】大阪大学教授…大竹文雄,大阪大学社会経済研究所助教…犬飼佳吾,【語り】朴ろ美
ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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