弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜 #2 2014.04.19

(田茂青志)無駄でも勝ちたいんですよ。
(峠)野球をナメるな!でも勝ついやむしろ弱いまんまで勝つその方法を考えよう。
そのためにまず今日から俺がお前らの監督になってやる。
弱くても勝てるんだっていうのを一緒に証明してみせようじゃないか。
(部員達)はい!
(目覚まし時計のアラーム)あぁ…。
(白尾)監督?おぉ感心だな。
朝練の前に自主練か。
監督はこんな早くにこんなとこで何を?目を覚ますために歩いてたらこんなとこに来てしまった。
(白尾)目を覚ますために?人は社会的な生物だから手っ取り早く目を覚ますには人前に出るのが一番だ。
(白尾)そういうものですか。
あぁじゃあ学校で。
また。
この店からあそこの屋上は見えんのか?
(樽見柚子)あそこで朝練前に素振りをするのは白尾君の日課なの。
一日だって欠かしたことないんだから入学以来。
(樽見楓)えっ?さすがに雨とか雪が降ったら休むんでしょ?休まない。
どうして分かんの?白尾君なら絶対休まないの!まぁ辛うじてうちが野球部に見えんのは白尾のおかげですからね。
これでもしあいつがいないって考えるとあとの連中は…。
何部だお前ら!
(赤岩公康)野球部です。
おい!野球っていうのはただボールの行方をボ〜っと見届けるためのスポーツなのか?それ何が楽しいんだよ!お前らの手にはめてるそれ何だ!使わないんだったら外しちまえそんなもん!
(璃子)…ったくこれじゃあ弱い高校について「弱い」と書くだけの誹謗中傷の記事になっちゃうわ〜。
だったら書かなきゃいいじゃないですか。
そういうわけにはいかないでしょ?私はもう『城徳』野球部のルポを書くって決めちゃったんだから。
そんな勝手に決められても困るんですけど。
監督何かありませ〜ん?「目指せベスト8」とか何かそういう目標が欲しいんです。
だったら「目指せ『甲子園』」でお願いします。
そう!そのくらいのハッタリが欲しいのよ。
ダメだよ『甲子園』なんてイメージできない。
だったら…。
だったらイメージしてくださいよ。
あのなぁひとに言われてイメージするなんて目標が遠過ぎるだろ。
(光安)やめてください!
(岡留)待てこら〜!
(伊勢田)江波戸さん!
(伊勢田)岡留さんがケツバットさせろってしつこいんです!
(岡留)野球部っつったらケツバットだろ。
(光安)時代錯誤です。
(江波戸)赤岩キャッチボールしよう。
(伊勢田)えっ…江波戸さん?後輩の助けを明らかに無視してるな。
いや岡留が入部してからあいつ何かおかしいんですよ。
(璃子)部員同士の確執ねそういうドラマが欲しいのよ〜。
何を興奮してんですか?おいお前ら何やってんだそれ!なぁキャッチボールはボールをキャッチするんじゃないのか?意志が欠落してんだよ捕る意志が!
(増本)田茂先生?ですよね増本先生。
つまりこれがイメージできる目標ですよね。
(増本)何を訳の分からないことを。
この僕から野球部監督の座を奪っておいて。
人聞きが悪いなあれは辞令ですよ。
辞令だ?栄転ですよ増本先生は部長に昇格したんですよ?えっ?部長に?おめでとうございます。
(拍手)
(教師)おめでとうございます。
あっあっ…ありがとうそうだったのか。
知らぬ間に部長に…。
そうとは知らずすいません。
お気になさらず。
ところで部長って何やんの?監督ごときの僕は分かりませんよ。
そっか…いやこりゃ失礼。
フフフ…。
フフフ…。
(白尾の声)本気です!野球に集中するために今学期から勉強もやめました。
(どよめき)日本一の進学校で勉強しないというのは相当な覚悟だな。
別にやめることはないだろお前なら両立できるはずだよ。
かもな…でももしできなかった時「勉強してたからだ」なんていう言い訳はしたくないんだ。
しかし可能性で言えば『東大』に最も近いこの『城徳』はメジャーリーグから最も離れてる場所ともいえないか?そんなことはないですよ。
スカウトマンは学校じゃなくて選手を見てるわけですから。
(江波戸)でもこの学校にスカウトマンなんて…。
だからスカウトマンが注目するような学校と試合すりゃいいんだよ。
つまり試合に負けてもお前さえスカウトマンの目に留まりさえすればお前の目標には近づけるってことだな?
(亀沢)そういう考えは団体競技には向いてないんじゃないか?目立ちたがり屋のお前に言われたくねえよ。
亀沢お前目立ちたかったのか?その割に存在感がまるでないな。
まぁまぁ…そんないっぺんに質問されても困るよ。
順を追って説明するからさ。
うるさいな勝手に立つな座れ。
白尾俺が言いたいのはなお前の目標を叶えるためには強豪校と戦えばいいわけで何も『甲子園』にこだわることはないんじゃないのか?
(生徒)『甲子園』?
(生徒)うちの学校が?
(生徒)それは無理。
(生徒)いやいや…ないでしょ!
(ざわめき)いや!それでも『甲子園』には行きます!
(楓)・え〜公康君まだ帰って来ないの?・
(赤岩晴敏)そうなんだよ野球部には戻って来たっていうからその勢いでこっちにも戻って来ると思ったんだけど。
まぁそりゃ野球部は関係ないけど。
高校生にもなって家出なんて…。
あっ。
やっぱりこういう時必要なのは…。
は…母親なのかな?楓さん!
(楓)野球部といえばちゃんとやってんのかしら青志君。
青志って誰よ?だから田茂先生よ。
私の目に狂いがなければ彼はきっと『城徳』野球部に革命をもたらすはずなんだけど。
革命って…何を根拠に?勘よ。
あ…。
(白尾)じゃあ監督は筋トレをするなと?…とは言っていないよ。
ただ週1しかグラウンドを使えないことを考えると他の日も比較的実戦的な練習をしたほうがいいとは思う。
でもこいつらはまだまだ体力づくりが必要です。
赤岩なんていまだに懸垂もできないんだから。
いやお前そんなこと言ったらな江波戸なんて腹筋5回しか…。
ちょっと待ってよだったら樫山なんて…。
もういいよ!できないことよりできることを教えてくれよ。
すいません。
とにかく圧倒的に他校より練習時間が少ない中でみんなで同じ練習をするのはこれ非効率なんだよ。
だからおのおの自分のポジションに見合った練習をしたほうが俺はいいと思う。
(岡留)お〜確かに。
そこでだ確認なんだけどお前達のポジションを教えてくれ。
じゃあ牛丸。
(牛丸)僕はレフトかセンターかたまにセカンドです。
樫山は?
(樫山)僕はライトかファーストかキャッチャーです。
おぉ…随分バラエティーに富んでるんだな。
試合ごとに俺が決めるからです。
その時々の部員達のフィジカルとメンタルの両面から考えて。
白尾こないだの試合はごめんな。
お前からの送球ほとんど捕れなくて。
江波戸お前は?はい僕は大体ファーストです。
あとキャプテンな。
おい無視かよ。
キャプテンも白尾に?
(白尾)俺が決めました。
俺は選手業に専念したかったしその頃赤岩もいなかったしで。
他に誰もいなかったんです。
じゃあ…分かった!ポジションを絞るとこから決めよう。
だから絞れないんですよ。
こいつらみんな「特にここが優れてる」ってところが1つも見当たらないんです。
どうした?樫山。
いいぞ先輩だろうと反論があるんだったら遠慮なく言ってやれ。
えっ?いやあのただ勉強の時間が迫って来たんで帰りますよ。
塾の時間か?違います僕が独自に定めてるタイムスケジュールです。
そうかお疲れ。
(樫山)お疲れさまです。
全然ダメですね今のまんまじゃ。
白尾に言われたことをただ漫然とやってる感じで。
主体性がないってやつね。
そうですね。
ねぇ青志君が高校生の頃は?えっ?あ俺も漫然とやってたか。
でも…でも何でなんすかね?勉強のことになるといろいろ工夫してやるんすけど何かそれが野球になった途端ただセオリーに従順になるだけで。
でもセオリーは大事でしょ?普通は大事ですよ。
でも普通以下のうちにとって普通ってのは何の役にも立たないんですよ。
となれば『城徳』独自のセオリーを見つけなきゃならない。
そのカギがこれね?違いますよ。
これはこの町の地形図ですよ。
やっぱりねこの店からあの屋上はどうやっても見えないんです。
(楓)何の話よ青志君。
いい?私はあなたに投資してるんだからねアパートだって貸してあげたし。
だから家賃だってちゃんと払ってるじゃないですか。
期待を裏切らないようにね。
う〜ん…。
うんっと…。
(谷内田)ここは君のいるべき場所じゃない
(楓)何か気になる記事でも?谷内田健太郎。
あなたから野球を奪った男ね。
何言ってんすか。
その彼は故障して選手生命を絶たれた。
あらでもほら!こうやって指導者として戻って来てくれたのよ〜!だから何なんですか?これぞドラマじゃない。
いったんは野球を離れた2人が再びグラウンドで相まみえるのよ。
あのねこの人が指導するのはプロですよ。
「当面は母校『堂東学院』で特別コーチを務める」。
『堂学』で?
(楓)ちゃんとそう書いてある。
そ〜う!私が見たかったのはその顔よ。
熱い夏になりそうね。
(目覚まし時計のアラーム)
(白尾)ポジションは決まったんですか?ダメだサードのお前以外全く決まらん。
(白尾)苦労すると思いますよ俺も毎回悩んだんだから。
じゃあ俺は悩まない決め方にしようかな。
(白尾)監督はいつまでここに?いちゃマズいのか?いや…別にいいですけど。
何でそんなとこでやってんだよ。
バランスを鍛えるためです。
今日の練習はお前達のポジションを決める上でも重要な判断材料となるものだ。
センター試験のつもりで死ぬ気でやれ!はい!クソっ!まぁ分けるとすればこんなとこだろう。
よかったね安定してるって。
ま…まあね。
じゃあ…ポジションを発表する。
ピッチャー内野外野はい以上。
(戸の開閉音)
(白尾)何だ?あのざっくり感。
(亀沢)ホントだよ。
(樫山)「内野」とだけ言われたってどこ守っていいのか分かんないですよね。
いや…お前らはまだいい。
俺なんて「それ以外」だぞ!これではっきりした。
監督の言う「弱くても勝てる」なんてのは口だけだ。
いやそれは結論を急ぎ過ぎだろう。
そうよ。
そりゃピッチャーに抜擢されたお方はな!いや何だよ?それ。
(白尾)冷静に考えてみりゃそうだ。
監督は1年しかこの学校にいるつもりはないんだから。
(志方)「生徒達の青春をもてあそび面白おかしく過ごせればいい」そんなところでしょうね。
志方たまに口を開いたかと思えば何て嫌な言い方すんだ。
気持ち悪い!
(岡留)江波戸!お前キャプテンとして監督に何か言ったほうがいいんじゃねえのか。
いや…そんな…命令しないでよ。
別に命令はしてねえだろ。
(白尾)俺に任せろ!監督には俺が言う。
(三條)今年のチームはどうだね?監督。
今年しか知りませんから他と比べようがありません。
(三條)じゃあ君が高校生だった頃と比べて。
あぁ…どうでしょう…。
(三條)私は監督として君達にいい思いをさせてやれなかったからなぁ。
あっいや先生には何の不満もなくて…。
まぁあったとすれば全て自分です。
自分に?いや今のあいつら見てると当時の自分の間違いに気付かされます。
気付いたら教えてやる。
それが先輩の務めだね。
確かに俺が具体的に指名したポジションはピッチャーだけだ。
だからあとのポジションはお前達に立候補してもらいたい。
じゃあ自分達で決めていいんですか?いいよ。
じゃあピッチャーで。
ここは守れ。
ほ〜ら!みんなどんどん言いなよやりたいポジションあるんでしょ?たとえあっても果たしてそこが自分に向いてるのかどうかは分かりません。
そうだからやっぱり一番野球を知ってる白尾に決めてもらったほうが…。
そうやってまたお前達は「僕はライトです」とか「俺はレフトです」とか名乗るのか?はぁ…何かさぁお前達と話をしてると「僕は」とか「俺は」ばっかりで誰一人「俺が」と言い出さない!いや俺はさお前達から「は」じゃなくて「が」が聞きたいんだよ。
う〜んだってそうだろう?「僕は…ライトです」。
「俺がライトだ〜!」。
どうだ全然違うじゃないか。
それ言い方だけな気が…。
いやそうじゃないんだよ「は」にはこうどっかひとごとっぽいニュアンスがあるじゃないか。
「どうやら俺はライトみたいです」って感じがするだろ?でもそれが「が」に変わった瞬間に他人を押しのけて名乗るようなアグレッシブな感じがあるんだよ。
「俺がライトだ〜!」って。
それ言い方ですよね?だったらそれでもいいけど「は」じゃなくて「が」にはそういう言い方をしたくなるつまり…そういう気持ちにさせてくれる力があるんだよ。
だからこれからお前達には「は」じゃなくて「が」を使ってもらいたい。
常に自分を主役だと思え。
「俺が俺が」でいいんだ野球は。
じゃあ俺がレフトやります。
よし。
じゃあ俺がファーストやる内野の中では一番ボールに触れるし。
いいぞ。
(江波戸)じゃあ俺はあっ…僕は…あっ違う。
僕がキャッチャーをやります。
赤岩の緩い球なら練習すれば捕れそうだから。
よし。
ちょっ…キャッチャーはチームの要だぞ。
野球を知り尽くしてる上に強肩じゃなきゃ務まらない。
そんなのうちのチームどこにいるんだよ?そりゃいないけどでも江波戸なんかじゃ…。
しかもお前が今言ってるのは普通の野球のセオリーだよ。
そんなの普通以下の『城徳』には何の役にも立たない。
だから…だから少しでもその「普通」に近づこうとしてるんじゃないですか。
それを初めっからそんなふうに諦めてたらいつまで経ってもこいつらは普通以下だ!ちょっと白尾君。
別に普通以下のまんまでいいんじゃないのか?は?無理に普通になることないだろう。
参ったな…。
ホントに諦めてんだ。
白尾君!
(璃子)待ちなさい白尾君!
(白尾)璃子さん。
『甲子園』を狙うポジション発表があると聞き付けて駆け付けたけど…。
散々な結果だったわね。
今からでも遅くない。
あなたの実力なら十分『堂学』のレギュラーを勝ち取れるわ。
『堂学』?ついに『城徳』を見限った天才バッター白尾剛が強豪『堂学』に転校。
その屈辱をバネに猛特訓に励んだ『城徳』が再び『堂学』と相まみえ裏切り者のあなたに制裁を加えるのよ。
変な妄想はやめてください。
調べはついてるの!中学時代あなたは『堂学』からスカウトされていた。
でもあなたはそれを蹴りどういうわけか弱小校の『城徳』を選んだ。
プロ志望のあなたの選択としては妙だわ。
(白尾)「妙だわ」って言われても。
ねぇよかったら話を…。
練習中なんで。
(璃子)えっ?あっねぇちょっと!白尾君!フラれてやんの!えっ?何つった?光安行くぞ!樫山!江波戸!岡留!クソ!むなしい…。
監督?なぁ?どうして捕らない?何で俺が疲れんだよ?これ何の練習なんだよ!誰か1人ぐらい監督がかわいそうだとかそう思う奴はいないのか?この薄情者!何やってんだあいつら。
監督…ちょっといいですか?お前岡留にイジメられてたのか?牛丸から聞いたんだ。
あいつお前らの中学の後輩だろ?
(江波戸)はぁ。
でどうなんだ?ホントなのか?中学の間だけですけどまぁそうです。
(江波戸の声)イジメというほど大げさなものじゃなかったと思いますがあいつの子分のような立場ではありました。
ギブギブギブ…カンカンカ〜ン!ウィ〜!ウィ〜!ウィ〜!当時は今よりもっと…。
あっ先生のおっしゃるように「俺が」とは言えない性格でしたから。
付け入る隙を与えた自分が悪いんです。
何でお前が反省してんだよ。
(江波戸)いやでも思い返すたびにそう思うんです。
思い返さなきゃいいじゃないか。
それは無理です。
お前…めんどくさいな。
いやだからキャッチャー選んだのは正解だったんだよ。
あそこは次々ボールが飛んで来るから思い返すほど暇じゃない。
なるほど。
それから江波戸お前これから一切反省をするな。
えっ反省を!?そんな驚くことか?すいません。
これまで何をするにもまず反省から入っていたもので。
言ってるそばから反省をするなよ。
あっすいません…違います。
反省はしてませんはい反省はもうしません。
とにかく岡留のことは何とかするからお前は気にせず反省せず伸び伸びやれ。
分かりました。
ということだから岡留退部してくれ。
俺が辞めるんすか?そうだよ。
だってお前入ったばっかりだしそのほうが傷は浅いだろ。
勝手過ぎんだろ!だって俺に陸上部辞めさせたの監督でしょ!まぁまぁ…落ち着けよ岡留監督岡留を辞めさせたところで根本的な解決にはならないと思うんですよ。
だってほら学校では確実に会うんだし。
いいじゃん辞めてもらえばイジメなんて最低よ。
ていうかあんたいつも近過ぎ気持ち悪過ぎ離れて!あっすいません。
それだって立派なイジメだろうが!あ〜もうじゃあこうしよう。
岡留これからお前はしばらく江波戸に近づくな。
周りの奴らも警戒を怠るなよ。
2人が接近しそうになったら必ず隔離すること。
いいな?
(部員達)はい。
しばらくっていつまでですか?それはお前次第だよ。
江波戸がお前を恐れなくなるまでだ。
『堂学』からスカウト?でも白尾君は断ったんだって。
そんな話初めて聞いたな。
でもほら白尾君が通ってた『足柄中』って昔から野球強かったし。
うんまぁ白尾の実力だったら不思議な話じゃないよな。
いや何で断ったりしたんだろう?『甲子園』にしろメジャーリーグにしろ『堂学』のほうが近道だよな。
(楓)つまり遠回りでも『城徳』に入りたかったんでしょ。
はい〜。
うわっ。
もはやカレーが見えない。
あなたは家出してから明らかに栄養不足よ。
じゃあ遠回りした理由は何?理由なんて…。
彼は昔っから遠回りが好きだったじゃない。
昔から?あっそっか!何が?いや私ね実は中学の頃から白尾君のことはちょっと知ってたの。
毎朝この辺までランニングに来てたから。
えっ?白尾がここまで!?すごいでしょ!『足柄中』から片道20kmあるのによ?毎朝フルマラソンだよ。
よっぽどだな。
何が何でも『城徳』に入りたかったんだ。
それは柚子あなたもね。
だって赤岩君も入るって言うしねっ。
「ねっ」じゃねえよお前の話と関係ないだろ。
大ありよ。
えっ?アハハ…ねぇ?こないだの親善試合ではお世話になりました。
長時間お疲れさまでした。
(峠)こっちは特に疲れちゃいませんがね。
さて白尾の件なんですが…。
ええ白尾をスカウトしたのは事実ですよ。
あいつどうして断ったんすかね?『城徳』に行きたかったからでしょう。
それ何でなんだろうな。
そんなことは知りませんよ。
でも彼はきっぱり言いました。
『城徳』野球部に入り『堂学』を倒して『甲子園』に行くと。
ハハハハ…!ハハハハ…!いや笑うことないでしょ。
自分だって笑ったじゃないか。
失礼しましたお邪魔しました。
(部員)・やめ〜!こんにちは!・
(部員達)こんにちは!
(谷内田)金属バットの音を聞くと鮮明に思い出す。
何を?自分の高校時代をさ。
へぇ。
『堂東学院』特別コーチ谷内田健太郎です。
『城徳高校』野球部監督田茂青志です。
『城徳』…。
まさか君がまだこのグラウンドに残っているとは思わなかった。
ここは君のいるべき場所じゃない僕の忠告はお門違いだったかな。
いえ。
いつまでも引きずってたくないんですよ。
俺は…もうあの試合のことを反省しないって決めたんで。
つまり君はあの時と何も変わってないっていうことだ。
この僕に野球をさせてくれなかったあの頃と。
いえ。
それは見解の相違じゃないですかね?俺は野球をしていたつもりなんで。
受けてみるか。
いやいや無理をなさらずに。
肩こわしたんでしょ?これが俺の野球だ。
いやそんな…そんな痛みがぶり返すほどの全力…。
いや絶対おかしいよだってこっち素手だよ…。
いや…何かいろいろ異常だよ!あんたの野球は。
ハァハァハァ…。
あっ先生。
おぉどこ行くんだ?今日も白尾君練習来てないから。
多分またあの屋上で自主トレしてると思うんだよ。
しょうがないな俺が行って来るよ。
いやいや俺も行きますよ。
あ〜お前来ないほうがいい。
えっどうしてですか?あいつ俺に野球部に戻れってあんなにしつこかったくせにひと言言ってやんなきゃ気が済みません。
後で言えよ!今言います!勝手にしろもう。
じゃあ私も一緒に…!あ〜ダメダメ!お前は…お前は絶対来んな。
ちょっと…何なのよ。
・白尾・なぁお前どうしてさ…。
白尾さお前柚子のこと好きなんだよな?えっ?好きです。
えっ!?中学の時からか。
そうです。
『堂学』のスカウトを断ってまで『城徳』に入学したのも柚子の…。
そうです。
はぁ…。
(白尾の声)樽見と初めてまともに話したのは中2の春『城徳』と『堂学』の親善試合の時でした。
こんにちははぁ…子供の頃からずっと見てるけど一度も勝ったことないんだよっていうか9回まで行ったためしがないでも『城徳』の応援を?うん何かここまで来たら情が移るっていうか一度でいいから勝つところ見てみたくて『堂学』は強いよそうねもしも勝っちゃったら『甲子園』に行けちゃうねあぁ…多分そんなことになったら最高だなフフフただ話をしただけであんな顔するんだからこれが本当に『甲子園』に行ったらどんな顔で笑うんだろうって…。
俺は…その時の樽見の笑顔が見てみたい。
いやちょっと待てって。
別に何も『甲子園』なんか行かなくたってあいつはしょっちゅうくだらないことで笑ってるぞ。
お前の前ではな。
いや別に誰の前…。
樽見が好きなのはお前だよ!それはいい。
お前はいい奴だし恨む気持ちもない別に。
だから何ていうか…俺の気持ちはそんなんじゃないんだ。
じゃあ何でこんなとこで自主練やってんだよ。
お前一人じゃ『甲子園』なんか行けないぞ。
今の野球部に戻っても監督のやり方じゃ行けません。
白尾。
樽見の悲しむ顔を見たくて『城徳』に来たんじゃないんです。
いやまぁまぁ…。
お前の気持ちはちょっとよく分からんけども俺が「弱くても勝てる」って信じてんのはあれホントだぞ。
だったらそれなりのやり方をしてほしいです。
してるよ。
してるって。
はぁ…。
だから来るなって言ったろ。
あはい…。
すいません。
ただまぁこれで話は簡単になった。
あとは柚子が白尾にひと言…。
あっ!!何だよ?おい何だよ…。
親父!公康あっ。
あら青志君おかえり〜。
ただいまです。
(晴敏)何やってんだお前さっさと帰って来い!俺が帰らない理由分かってんだろ?いいやさっぱり分からない教えろ。
幼なじみの母親だぞ!子供の頃から知ってるおばさんだぞ!ええええ…その通りよ。
あんたが何回結婚しようが母親が何人変わろうが構わない!それはもう諦めた!でもせめて相手は選べ子供に気を使え!そうよ私嫌だよ赤岩君ときょうだいになるなんて。
付き合えないじゃん。
お前は入って来んなややこしくなるから!大丈夫よそんなことにはならないから。
えっ?ならないの?どうしてどいつもこいつもこうストレートなんだ!もっとあるだろう?「笑顔が見られるだけで幸せ」とかそういう秘めたる思いってやつがさぁ。
よせよお前青春じゃあるまいし。
私も「秘めたる思い」なんて嫌だ。
嫌がんな!来〜い。
うぃ〜。
(璃子)白尾君は戻って来そうにないけど何かこの穴を埋める秘策が?あったら教えてほしいですね。
ちょっと〜!記事にされる気あるんですか?あ〜ほら行った行った…!
(岡留)あ〜もう!何ですか?今の。
白尾!白尾君!白尾さん!ようやく戻る気になったか。
チッ『堂学』に行ったほうが盛り上がるのに。
戻ります。
(部員達)よかった〜。
よかった。
ただ!俺が戻る代わりに田茂先生…監督を辞めてくれますか?白尾君?お前何言ってんだよ!俺にとって夏の大会が最後のチャンスです。
今度こそ本気で勝ちに行きたい。
そんなの監督だって…。
辞めてください監督。
じゃ辞めよう。
ちょ…監督。
青志君。
あっけないドラマがない!
(増本)話は全て聞いたよ。
誰?うわ増本。
(部員達)あっ監督。
部長だ!いやしかしこうなった以上現場復帰もやぶさかでない。
嫌よ!樽見…。
そうだな増本監督のほうがまだ…。
ただし俺を辞めさせるには1つ条件がある。
俺のやり方が間違っているってお前が証明できたらだ。
いいでしょう!証明します。
よし。
そうそうこれよこういうのが欲しいのよ。
ルールは簡単だ3球勝負。
白尾は俺が決めたこの守備を打ち破ってホームランを打てば俺の負けだ。
ちょっと待ってください。
それじゃあ単なる俺と白尾の勝負です。
大丈夫だよランニングホームランだってあるんだから。
(部員達)えっ!?
(白尾)だったら楽だ。
ゴロでも外野を抜ければ回って来れる!
(伊勢田)監督!何だよ伊勢田!あらかじめ言っておきます。
僕の所に飛んで来ても捕れません。
それはつまり自分の所に打球が飛んで来てほしくないってことなのか?そうです。
何甘っちょろいこと言ってんの?むしろ「来い!」って気持ちで守りなさいよ!来てほしくなければそれでいい。
えっ?いいの?「来い」も「来るな」も等しく強い気持ちには違いない!だから心の底から打球が来てほしくないんだったら思いっきり「来るな!」って叫べばいい。
それは自ら勝負を仕掛けたことになる。
なるほどな…。
ウソでしょ?
(伊勢田)来るな〜!来るな〜!来るな〜!こっち来んな!来るんじゃねえ!来るな。
来るな!絶対来るな〜!来ないで。
・来んな!来んな来んな!・・来んな!来んな!・・ここまで来んなよ!・・ホントに嫌だ!来んな!・・来んな!・さぁ行け!赤岩。
赤岩君頑張って!監督を辞めさせないで!楽に行け代わりはいるぞ。
絶対に…。
来るな!
(増本)おっ!
(璃子)いきなり?ファウル!あと2球!
(白尾)次!おう!
(樫山)監督!!何だよ樫山!ダメですやっぱり僕は捕れません!お前また「僕は」って言ったな。
(樫山)あっ…。
「僕が」だよ!僕が捕る!いや俺が捕る!「俺が俺が」でいいんだ野球は。
常に自分を主役と思え。
そんなの今しか言えないぞ。
これは大人になったら嫌われるからな。
「俺が俺が」は今だけなんだよ。
(亀沢)俺が捕る!絶対に捕る!いや〜!俺が捕る!俺が捕る!僕が捕る!俺が!俺が!お…俺が俺…俺が捕ります!赤岩!お前が投げないんだったら俺が投げるけど?俺が投げます!俺が〜!走らないのか?ド…ドンマイ!岡留!ドンマイ!岡留!ドンマイ!ドンマイ!ドンマイ岡留さん!・ドンマイ!・・ドンマイドンマイ…!・ドンマイ!ドンマイ!
(璃子)予告ホームラン?白尾君!あんた本気で監督辞めさせたいの!?赤岩君!絶対打たせないで!いやそりゃ俺だって…。
来い!赤岩!俺が投げる!あっホントに打った…。
(増本)これ文句なしだな。
白尾お前の勝ちだ。
(白尾)はい。
(増本)あのでもやっぱり田茂先生やられたほうが…。
辞めないでください監督。
絶対辞めないで!そうよ!これじゃあ連載が…。
じゃあ今の勝負は一体何だったんだよ?いやそうですけど…。
だったら俺が辞めればいい。
監督に不満持ってるのは俺だけなんだから。
俺が俺が!
(白尾)何だよ急に。
ダメだよ白尾!辞めるな!えっ?おい白尾江波戸の言うことには従えよ。
何でだよ?決まってんだろそれはこいつがキャプテンだからだよ!ああそうだ!俺がキャプテンなんだ!キャプテンの俺が辞めるなって言ってんだ!もうどっちでもいいよ。
せっかくグラウンドが使えるんだ時間がもったいない。
よし。
しゃ〜!お〜い!よっしゃ!少〜し『甲子園』に近づいた?1つ貸しですね。
何が?いいじゃない?・俺が俺が!・・俺が!・・俺が捕る!・・俺が俺が!・行くぞ!
(部員達)来い!サード!・来い!・
(江波戸)ドンマイ!・今度こそもう一回!・・志方!・・ドンマイ!・・ドンマイ!・・ドンマイ!・よいしょ。
2014/04/19(土) 21:00〜21:54
読売テレビ1
弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜 #2[字][デ]

城徳高校野球部の監督となった青志(二宮和也)。だが、青志のやり方に城徳唯一の天才球児・白尾(中島裕翔)は反発し、野球部を去ってしまう…。そこにはある恋心が…。

詳細情報
番組内容
城徳高校野球部の監督となった青志(二宮和也)。
しかし、青志の指導は野球のセオリーを全く無視。それに対して城徳唯一の天才球児・白尾(中島裕翔)は猛反発!「普通の野球部に近づきたい」白尾と「普通になる必要はない」と言う青志は対立、白尾は野球部を去ってしまう…。そこにはある恋心が…。
一方、青志の因縁の相手である谷内田(市川海老蔵)がライバル校・堂東野球部コーチに就任。2人は再会を果たすが…
出演者
二宮和也
麻生久美子
福士蒼汰
有村架純
中島裕翔