先月亡くなった俳優の蟹江敬三さん
したらおらの後輩でねえか。
「南部ダイバー」歌うか!
(一同)・「白いか」
去年放送した連続テレビ小説「あまちゃん」では主人公の祖父天野忠兵衛役で不器用ながらも人情味あふれる漁師を演じました
北三陸も東京もおらに言わせれば日本だ。
かっけ〜!
舞台映画テレビと幅広く活躍した蟹江さん。
多彩な役を味わい深く演じ多くのファンを魅了しました
銃の腕は確かだ…。
NHKでも「大河ドラマ」をはじめ数多くの作品に出演
この良正と一騎打ちせい!君はこのうちのお母さん。
一番大事なお母さん。
なあ学?もうヤダ。
私夏休みもらうから。
夏休み?そう夏休み。
これから1か月おとうさんと別の場所で暮らす事にした。
軽妙な役柄から心の機微を描いたシリアスなものまでさまざまな役をひたむきに演じ続けた蟹江さん
今日は出演作をご覧頂きながら蟹江敬三さんを偲びます
先月30日に亡くなりました蟹江敬三さん。
あのいつもにこやかでそしてはにかんだような笑顔。
一方で悲しみをたたえた表情。
またギラついたあの目。
さまざまな姿が思い浮かびます。
今日はスタジオに女優の竹下景子さんにお越し頂きました。
お話を伺ってまいります。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
竹下さんも数多く共演されてらっしゃいますけど訃報はどのようにしてお聞きになりました?私はちょうど旅先でニュースで報道で知りました。
でもとても…とても信じられなくて…。
何かの間違いじゃないのっていうぐらいの感じだったんですがそれから日を追うごとに寂しく悲しくなってきますね。
何ですかね…蟹江さんとはホントに私が20代の頃からいろいろな形で共演をさせて頂いてまいりましたので何年会わなくても「また次があるじゃないの」って。
ずっとそんなふうに思っていたもんですから。
今でもちょっと信じられないっていうか…信じたくないような思いですね。
いろいろ共演されたと今おっしゃいましたけども。
冒頭のVTRにありましたけど特にご夫婦の役を随分やっておられましたね。
そうでしたね。
よくけんかしてましたね。
でも蟹江さんって確かにすごく頑固なお父さんとか夫婦以外の役でも対立するような役の時は私最初「なんてこの人怖いんだろう」と思ったんですけどねでもそういったシーンを今思い返すとでも絶対その鋭さとかその強い言葉とか乱暴のように見えても…でもどっかに温かみがあるんですね。
それは多分蟹江さんご自身の舞台であったりその番組であったりを大事にする気持ちといいますか。
一つのチームのようになって作品を作っていますからそういう人たちへのスタッフも含めての多分気配りだったんじゃないかなって。
さあそれではまずは1997年に共演されましたドラマ「ママだって夏休み」からご覧頂こうと思います。
このドラマけんかの絶えない夫婦役を演じられました。
ホントに蟹江さんとの掛け合いが絶妙でしたね。
そうですか。
それはやっぱり蟹江さんの懐の深さだと思うんですね。
私は何をしても蟹江さんってふっと受け止めて下さるところがあったので。
だから頼もしかったですね。
ドラマの上では私は爆弾宣言をして東京のうちから南アルプスの方へ家出をしてしまう。
「夏休みを取るぞ」って宣言して出ていってしまうお母さんなんですけど。
そこに家族全員が?結局は集まってくるっていう。
また子どもたちは子どもたちで問題を抱えていてお父さん自身も抱えていて。
それでまたいろんな形での問題が起きたりして。
でもまた家族の大切さをまた確認し合うと?そうですね最後は家族がまた一つの形に戻るといいますかね。
今ちょうど後ろにお二方の写真がありますけどね。
そうですね…蟹江さん優しかったですね。
現場での蟹江さんは。
じゃあまたその辺りは後ほど伺うとしましてまずは早速あのドラマご覧頂きたいと思います。
1997年放送のドラマ新銀河「ママだって夏休み」。
最終回から11分ほどクライマックスシーンをご覧下さい。
(水の音)
(学)どうしたの?うんちょっとおかあさんとな。
私?ちょっと。
何だろう?心の声「何だろう?」じゃないよ。
あの話に決まってんじゃない。
何?話って。
考えた。
何を?だから…。
君との離婚だよ。
サインしといた。
ありがとう。
それでだ。
もう一枚ある。
え?これ…。
君のサインが欲しい。
もう一回プロポーズする。
俺と結婚してくれ。
駄目か?これ…。
婚姻届。
あなたに離婚届もらったら私…出すつもりだった。
私自分の事ばっかり考えてた。
あなたの事分かってるつもりでいたけど全然分かってなかった。
ごめんなさい。
私ねこっちに来てホントによかったと思ってる。
ここに来て私が生まれてきた答えが見つかったの。
私にはあなたしかいない。
こちらからお願いします。
もう一度私と結婚して下さい。
俺な東京へ出ようと思ってるんだ。
え?もう一度東京で働こうと思ってる。
できると思うか?うん。
まだまだ50じゃない。
これからじゃない!「まだ50」か。
そうよ。
私も「もう46」じゃない。
「まだ46」。
まだまだこれからだって!そうだよな!やれるよな!応援してる。
私にはあなたしかいない。
俺もだ。
心の声そこまでやるかよ。
(息を吹く音)
(拍手と歓声)
(一同)おめでとう!ありがとう。
(歓声)お〜めでたい。
おふくろの誕生日に裸電球から蛍光灯になった。
何かまぶしいよ。
ホントだね。
さあ乾杯しよっか。
我が家に蛍光灯がついてプロパンガスがやって来た文明開化の始まりに。
ね!よし乾杯だ。
乾杯!
(一同)乾杯!それでお父さんいつ東京に行くの?明日だ。
こうして曲がりなりにも家らしくなったしな。
ここがこれからの私たちの家になる。
ホントはおかあさんの夏休みだけの家のはずだったんだけどいろいろあったからな。
ホント。
いろいろあったよね。
やけに落ち着いてんじゃん。
結婚決めた?考えてるとこ。
へえ〜シングルマザーやめるんだ?まだ分からないけどでもねお父さんとお母さん見てて夫婦って案外いいかもしんないって…。
大変だけどさ家族っていいかもしんないって。
へえ…。
しおらしい事言うじゃない。
うるさい!けどさお父さん就職口あるの?頑張って探すさ。
ここでおかあさんたちが待っていてくれると思えば東京で頑張る事ができる。
例の高橋さんだっけ?あの人に頼めば?それは最後の手段だ。
もう一度一からやり直す。
「もう50」じゃなくて「まだ50」だ。
やってやれない事はないと思ってる。
そうだよな?そう。
私もまだ46だし。
残念でした47!アハハッそうか!俺も東京行って本格的にバンド組んでやってみるよ。
ハートを熱くスパークさせてやるんだ。
ペンションの子にハートブレークしたからでしょ?確かにそれもある。
まあそれもいいさ。
やりたい事やればいい。
お前の人生だ。
どこにいても俺たちは家族なんだからな。
いつでもお前を待ってる。
何だよ急に。
そうよ。
お父さんとお母さんはいつでも待ってる。
家族なんだから。
家族だもんね。
ばか。
「家族家族」って家族の安売りすんなよ。
そういう言い方はやめろ。
そうよ。
お母さん分かってる。
あなたが一番家族の事愛してる。
私たち家族の事好きで好きでたまらないんだって。
どうした?俺親父とおふくろの子どもでホントよかったよ。
よかったよホント。
ロックやるんでしょ?浪花節やめなさいよ。
こら学!
(笑い声)さあ頂きましょう。
よし食べよう。
はい。
頂きます!頂きます!行ってらっしゃい。
行ってらっしゃい。
じゃあな。
(学)
翌日お父さんが東京に行った
学。
何?この間ね声が聞こえたの。
え?前にも聞こえた風が吹くみたいなヒュ〜ッて声がしてそしたらね「幸せになるんだ幸せになれるさ」って声が聞こえてきて。
ホントよ。
おかしい?ううん。
おかしくなんかない。
お母さんの笑顔最高だ!
さてと!お母さんの夏休みはこれでおしまい。
やるっきゃないよな。
やるっきゃ。
(学)お父さん!どうしたんだ!?お前たち。
「どうしたんだ」って事ないでしょ。
私たちも東京に行くの。
何?家族なんだから一緒にいるのが一番でしょ?違う?だってみんなで行ったってどうしようもないじゃないの!なんとかなるって。
なんとかったって…。
(電車の警笛)電車来た。
ノモトさんホントにいろいろお世話になりました。
いえいえヘヘヘ。
ほらあなた。
いや…けどさ。
向こうでも頑張って下さい。
応援してます。
荷物はちゃんと保管しておきますから。
どうもお世話になりました。
いえいえ。
じゃあ。
今度いい女紹介するよ。
ホントだぞ?おい。
じゃあね。
しっかりな。
うん。
佐藤家の新たな旅立ちを祝しまして万歳!万歳!万歳!いい人ねノモトさん。
ああ。
それより何だよ!どうする気だ!なんとかなるって。
東京か。
久しぶりだよな。
な〜んかワクワクしてきた。
お姉ちゃんもあの人に会えるし。
ナマ言うんじゃないわよ。
いいかお前たち。
次の駅で降りろ。
あのうちどうするんだよ。
コンセントまでつけちゃって。
別荘にしちゃえば?別荘。
お前は口出すな!ガタガタ言うんじゃないの。
一家の大黒柱なんだからシャキッとしなさいシャキッと。
「ガタガタ言うな」って言うだろ普通!まだ50でしょ?しっかりなさい!だって…。
やるっきゃないんだから!よっおとうさん!
(3人)よっお父さん!
これからどうなるか分からない。
けどこうして僕んちの夏休みは終わったんだ。
これでこの話はおしまい
1997年17年前のドラマです。
そうですね。
あの最後の蟹江さんの「ふ…」ってあれは蟹江さんのふだんのお顔だなと思ってとても懐かしく思い出しましたね。
蟹江さんって現場ではとても寡黙でねこちらがお尋ねする事はもちろん答えては下さるんですけどご自分から何かおっしゃるという事がホントになくてですから今思い出しても何をおしゃべりしたかなっていうような感じなんですけどでもきれいな滝がありましたよね。
あそこが季節もよくてとてもきれいだったんでスタッフと私2人で散策に出て蟹江さんもその時いらしてでももう随分歩いたから帰ろうかって帰ってきたら蟹江さんは戻ってらっしゃらなくてそれで随分後になってお一人でフウフウいいながら戻ってらしたんですね。
私たちが迷子になっちゃったと思われたみたいなんです。
それを捜し回って?お一人であの山の中を捜して。
細い道がずっとつながっているような所だったんですがごめんなさいって言って私たちも平謝りに謝ったんですけどさっきのお顔で「フフフ」っておっしゃるだけで。
私その時ホントに申し訳なくて家族と思ってて下さったんだなって一方ではちょっとうれしくもあったんですけれどすごくその時は謝りましたね。
ホントに言葉少ななんですけどその少ない言葉の中とかああいうたたずまいの中にたくさんの思いとか愛情とか蟹江さんってお持ちだったんだなって今改めて思いますしね。
何があっても大丈夫というふうに私は思ってたし実際そういう俳優さんでいらっしゃいました。
今のお話でも寡黙だっておっしゃいましたけど蟹江さんもともと引っ込み思案でいらっしゃったそうで役者を目指したきっかけも高校の時に舞台に立って他人を演じた事で開放感を得られたと。
そういう事で役者の道に進まれたという事なんですね。
それは1964年高校卒業後に劇団青俳演劇研究所という所に入りましてそこで演出家の蜷川幸雄さんと出会ってそして1968年に現代人劇場を一緒に旗揚げして舞台で活躍するようになったんですけれどもそのころの写真があるんですね。
こういう形の実験的な演劇集団演劇の活動をしてらっしゃったんですね。
そしてこの次の写真は左側が石橋蓮司さんですが。
舞台…スタートは舞台俳優だった。
その時代のお話は少し伺った事があります。
「若い頃は新宿の地下にある映画館の映画がはねたあとに蜷川たちと芝居をやってたんだよ」という事はおっしゃいましたね。
「じゃあ蜷川さんと蟹江さんってアングラの役者さんだったんですか?」って言ったら「うんそうね」なんて。
(笑い声)そこで話が終わっちゃうんです。
終わっちゃう。
でもどうですか?話が終わっても舞台で鍛えられた演劇芝居とか心根とかそういうような何か感じられるような事ってありませんでしたか?一つの役を作り込んでいくっていうんですかね蟹江さんの芝居って揺るぎないものがいつもあってそれは物静かにしてらっしゃる時でも爆発するようなお芝居であってもそれは変わらず何か熱いものがあるっていう感じはいつもしてましたね。
ある監督さんがうまい役者さんっていうのはホントにこのぐらいの僅かなところでの心情の機微っていうんですかねそういうものが表現できるのが一流の役者だっていう事を以前映画の現場で伺った事があるんですけど蟹江さんもそういう方だったかなって。
そんなに多くの事をいっぺんに語ったりはなさらないけど細かなところ小さなところでもどこを切ってもやっぱりこれは蟹江さんだなというところがおありになりました。
それが役者魂というか。
舞台から培われていたのかもしれませんね。
まさに原点が舞台だった蟹江さんですけれどもその後テレビ映画さまざまな活躍をされていますけれどもNHKにもたくさんの出演作が残っているんですね。
その中からごく一部ですけれども各場面をVTRにまとめました。
ここでご一緒にご覧頂きたいと思います。
薩摩藩を舞台に幕末の動乱を描いた大河ドラマ「翔ぶが如く」
剣の達人といわれた大山綱良役を演じた蟹江さん。
幕府を倒そうと集まった薩摩の若い藩士たちを止めるため決死の覚悟で説得に向かいます
一蔵どん!ちっと待ってなせえ!説得ならおいも行きます。
伏見の宿には信吾どんもおるはずや。
間違いがあっては吉之助さんに申し開きができもはん!心配なか!おいが全員無事に連れ戻すっで。
同じ薩摩藩士でありながら斬り合う事になった壮絶なシーンは蟹江さんの真骨頂と語り継がれています
(床を突く音)新七どん。
頼む…。
頼んもす!君命じゃ。
暴発はひとまずとどまってくれりゃい!事はここまで来ちょる。
おいは武士じゃ。
君命に背けば…上意討ちじゃ。
おいは君命に従う。
おわいは!じゃっどん男として暴発は捨てられん。
ここは一番斬られるほかなか。
(掛け声)や〜!奉行所の捕り手でごわす!何じゃって?おいじゃ。
大山じゃ!薩摩藩士に言う。
聞いてたもんせ!久光公はおはんたちの気持ちはようご存じじゃ。
そいじゃて…おはんたちと直接話すと仰せじゃ。
君命に従うてくれ!頼む!こんとおり!こんとおりじゃ!頼む!頼む!頼む!そいが聞けんとならおいを斬ってくれ。
命は既になかもんと決めてきた!こんとおりじゃ!頼む!一緒に…錦の藩邸に押しかけもんそう!そこで堂々と論戦をばし尽くしもんそう!信吾どん…弥助頼む。
藩邸に行こう!犬死にはやめもんそう!まめなんですね。
多くの賞を受賞した「しあわせの国青い鳥ぱたぱた?」。
孤独を抱えて生きている者たちが一緒に暮らし始め幸せとは何かを探っていきます。
蟹江さんは単身赴任のサラリーマン役を演じました
真っ黒なやつゴリゴリこそげ取ってたら…自殺したくなっちゃった。
あ〜…。
は?猫まんまにしたいんだけど…。
フフン。
身一つ一つ取らなきゃ。
やります。
いやいやいや。
いや…。
いえいいですよ。
いいんです。
あ〜!えっ?いや…あの…。
いやごはんをねおみそ汁の中に入れた方がいいんじゃないかなと思って。
邪道だけど。
フフフッ。
去年話題になった連続テレビ小説「あまちゃん」
驚くのも無理はありません
何だよ?
ついさっきアキからウニ丼を購入し今それを目の前で貪り食う初老の男。
それは紛れもなく死んだはずの祖父天野忠兵衛だったのです
ショックのあまりアキは言葉を失い…
じぇじぇじぇ…。
「じぇ」しか言えなくなっていました
痛え!痛えぞこの野郎警察呼ぶぞ!うるせえさっさと出てけ!ばっぱじいちゃん何やってんだ?ブリ大根とブリの照り焼きとどっちが食いてえって聞いたらどっちでもいいってぬかして…。
あの大吟醸さ合うのはどっちだって考えたらどっちも合うなって思ったからどっちだっていいって答えたんだべ。
ブリ大根とブリの照り焼きとおら一生懸命作るんだぞ。
どっちでもいいとは何事だこれ!あ〜もううるせえ!外で食う!行け行け!船さ乗って沖さ行け!ほれ行け!二度と帰ってくるな!あ〜帰ってこねえよ!帰った方がいい?う〜んまあ半分も分かんねがったがここが好きなのはよ〜ぐ分かった。
好きだ!東京より全然好きだ!海も人も電車もウニもまめぶも全部大好きだ。
おらも好きだ。
だったら何で船さ乗るの?何で年に10日しか帰ってこねえの?う〜んなしてだべなあ?生ぎていくため?それもある。
海が好きなのもある。
だがあえて言うならここがいい所だっていうのを確認するためだな。
ほら夏さんは北三陸から一歩も出た事ねえべ。
だからおらが代わりに世界中を旅して回ってよいろんな国のいろんな町をこの目で見て回ってよほんでもやっぱここが一番いいぞって教えてやってんだ。
東京よりも?北三陸も東京もおらに言わせれば日本だ。
かっけ〜!ん?
人とは違う時間がおじいちゃんの中には流れている。
世界を旅する男はスケールが違うんだ。
アキはすっかりおじいちゃんに夢中になりました
先月放送した特集ドラマ「下町ボブスレー」がNHKでの最後の出演作品となりました。
主人公の父親役でものづくりに誇りを持つ旋盤職人を演じています
えっ?昨日の注文も終わってないのにどうすんの?できるだろ?後先考えずに受けて。
経営にはマネージメントってものが必要なんですよ。
じゃあ聞くけどよマネージメントって何だ?えっ?何つうか…。
説明できねえような言葉使うな!ボブスレーっていうのは人の命を乗せて走るもんだ。
こういう事が致命的なミスにつながるんだよ!そんな否定するような事ばっか言って…。
俺は一応挑戦みたいな事はしたよ。
まあいろいろ問題あったけどそれでも前に進んだっていうか。
親父は何だよ?何十年もこんなちんけな工場で何にも新しい事しないで。
そんなヤツになんか言われたくねえよ。
ちんけな工場だと?そのちんけな工場の稼ぎでお前たちは育ってきたんだぞ!お前はそこで働いてんだぞ!別に誰がすき好んで…。
お前のために新しい機械入れたんだろが!それだってじきに時代後れだろう。
っていうかもうなりかけだし。
そんなに嫌なら辞めちまえ!おうおう辞めてやるよ!その言葉を忘れんなよ!ああ!バカヤロー!あの…。
何だ?退職願でも書いてきたか?何でそういう言い方するかな?はっきり言え。
あの…。
この間はすみませんでした。
お願いします。
あ?これ…手伝って下さい。
俺じゃどうもうまくいかなくて。
よそで聞いたらこれが一番うまくできるのは親父だって話で。
そんな事誰が言った?近藤さん。
そうか。
この間見たよ。
お前にはまだ無理だって分かってた。
…知ってたのかよ。
取り消せ!えっ?ちんけな工場っていうの取り消せ!取り消します。
建物はちんけだけど。
何だと?建物はちんけだけど親父の腕は一流です。
駄目かな?忙しいんだ。
さっさと貸せ。
やっぱり引き込まれますね。
そうですね。
あの〜まあ男優さんに限らないかもしれませんけど円熟味を増していくとどんどん役柄の方もまるくなって穏やかになって…という方もいらっしゃいますけど蟹江さんはずっとカミソリの刃みたいな鋭いところがあってそこがとても好きでした。
今の最後のあのお父さんもあの武骨なところが本当に胸を打ちますよね。
そういう役そして少しコミカルな役また「大河」の本当に壮絶な役。
本当にその一つ一つの役柄が演じてはいらっしゃるんでしょうけど…。
周りの人も一緒に巻き込まずにはいられないっていうようなそういう熱いものがおありでしたね。
でも…でもそれが過剰ではないんですよ。
だから現場にいてもすごくいい緊張感でお仕事ができるし監督さんたちもそういうところがとても信頼してらっしゃる一つの…。
まあそれだけではないと思いますけれどもすてきなところなんじゃないですかね。
でもあそこまで役になるためには一体役者は何をすればいいんだろうって思いますね。
蟹江さん常々役作りをするんではなくて役になりきる事が本当に大切なんだっておっしゃっていたようなんですけども。
現場で静かにしてらっしゃる時もそれが役だったんですかね?そこは分からない私にも。
でも余計な事はおっしゃらなかった一方で何か話しかければいつも穏やかにそれが役の事芝居の事であれプライベートな事であれちょっとこうてれたようなお顔で話して下さるのはどの現場でも変わらなかった。
でも役になるとあんなふうに壮絶な役をなさるんですもんね。
本当の俳優さんというか役者さんだなと思いました。
本当に人前で話される事が苦手だったという蟹江さんでいらっしゃいますけどとにかくトーク番組の出演の依頼があってもお断りになってNHKにはインタビューの肉声がほとんど残っていないんですね。
ただ今回いろいろ探しましたところ高知放送局にドラマの収録現場を取材したVTRがあったんです。
その一部ご覧頂きたいと思います。
2010年放送の大河ドラマ「龍馬伝」。
蟹江さんは香川照之さんふんする岩崎弥太郎の父親役で出演しています
村の寄り合いに行っちょったがじゃないがか?寄り合いで酒が出たがじゃ。
あっ!お父!この銭をばくちに使うたがか!?すまん!すまん!弥太郎…。
ああ〜!わしゃどうしょもない親じゃ!生きちょってもしょうがない!わしゃ腹を切る。
やめや!わしも武士の端くれじゃ!やめや〜!そうか。
(屁の音)ああ〜…。
(泣き声)よ〜いスタート!弥太郎ここで待っちょき。
弥太郎の少年時代を描いたシーンの収録現場。
立ち居振る舞いや土佐弁の抑揚などを繰り返し確認します
れっきとした侍ぜよ。
おまんに言われる筋合いはないぜよ。
おまんに言われる筋合いはないぜよ。
ないぜよ。
おまんに言われる筋合いはないぜよ。
どこの馬の骨か分からん者から買えんちや。
わしを誰やと思うちゅうがじゃ!井ノ口村の岩崎弥次郎じゃ!れっきとした侍ぜよ!土佐弁っていうのはあれですねニュアンスが出しやすいっていうか人格が出やすいっていうかそういう非常にこう言葉の持っている豊かさみたいなのを感じますね土佐弁にはね。
わしを誰やと思うちゅうがじゃ!井ノ口村の岩崎弥次郎じゃ!れっきとした侍ぜよ!ほう。
お侍様がどういて鳥籠を売りゆう?おまんに言われる筋合いはないぜよ。
ちぇ!どうせ地下浪人じゃろう。
わしら百姓と同じじゃ。
斬られたいがか!
役者として心掛けている事を色紙にしたためていました
下手だな〜。
ちょっとまあ下手くそですけど「ひたむきに生きる」。
ひたむきじゃないと人の心は打たないですよね。
やっぱりひたむきに生きるっていうのが志ですかね。
蟹江さんらしいですね。
言葉もそれから字そのものも。
字そのもの。
物語っているように飾り気のないね…。
「ひたむきに生きる」そういう事はどんなふうに聞かれました?普通てれるでしょ?ひたむきとかねいちず…。
でもそれがスッと似合う…似合われる。
それはもうそのとおりに脇目も振らずにやっていらっしゃるからこそだと思いますね。
蟹江さんは一つの役を演じる時に役者の方が役に近づいていく役の作り方とそれから役を自分の方に近づけるっていう演じ方と2通りあるっていうような事も何かおっしゃってたかもしれませんね。
でも私が見ている蟹江さんは役の方を蟹江さんのいろんな顔を持ってらっしゃる中に引っ張り込んでいくような…。
でも最終的にはそれは蟹江さんご自身のような。
ですから存在感もあるし愛すべき人…。
そんなに簡単にはくくれないのかもしれませんが魅力的な人物ですよねどの役柄を拝見していても。
きっとご自分の中に全部取り込んでそしゃくをしてそれでもホントに血を流すような一方では苦労だと思うんですね。
蟹江さん…やっぱり演じる事に全てを懸けてらっしゃるんでしょうね。
その一つ一つの役との向き合い方…。
こんなにも役を演じるという事をやっぱりひたむきっていう言葉に総括できるのかもしれませんけれどね。
その役そのものをきっと…どこかでは愛し抜くっていうかねその役と心中するみたいに演じられてる。
すごい事ですね。
最後に共演されたのがNHKのドラマになりますね。
竹下さんと蟹江さんが最後共演されたドラマが2011年「胡桃の部屋」。
これは向田邦子さんの原作なんですね。
今回のドラマ化にあたっては大幅に脚色がされていてすごくドラマの起伏が大きくなって…でもう最初から家庭が崩壊しつつあるようなところから始まっていくんですが。
でもそれだけでは終わらない夫婦のあや家族のあやっていいますかそんな父親と母親でしたね。
蟹江さんリストラに遭って失踪してしまう役なんですね。
そうですね。
ええ。
あんまりご一緒に演じるシーンはそう多くはなかったんですよね?そうですねはい。
ですけれど少ない中でも会うとうれしいしでもうれしいと思っちゃう自分がちょっとしゃくだしそういうふうに思わせる相手は憎らしいしって。
そんなふうに思いながらやってましたね。
それではご覧頂きたいと思います。
2011年放送のドラマ10「胡桃の部屋」のダイジェストですね。
15分ほどご覧下さい。
これが私の家族です。
ちょっぴり騒がしくてけんかしたり仲直りしたりどこにでもいる普通の家族
姉の結婚式から5年がたち私は出版社で絵本の編集の仕事をしながら家族と一緒に暮らしています
だらしないわね女の子が。
頂きま〜す。
来年のカレンダー予約しといたから。
そう。
ごちそうさま。
今日は…遅いんですか?いや普通だ。
行ってらっしゃい。
行ってらっしゃい。
行ってらっしゃい。
お父さん忘れてる。
お父さん!忘れ物!
私たち家族にはこんなふうにずっと平凡だけど平和な毎日が続くのだとそう思っていました
お父さん!はい。
風邪ひいちゃうよ。
すまん。
行ってらっしゃい。
気を付けてね。
ああ。
その朝会社に出かけたはずの父が…
失踪してしまうまでは
行方をくらました忠はおでん屋を営む女節子と出会い彼女の部屋で暮らし始めます
回想私としてもつらい決断だったよ。
分かってくれるね?三田村君。
お世話になりました。
ただいま〜。
暇だから早じまいしてきちゃった。
はい。
これ残りもんだけど。
まだ温かいわよ。
は〜疲れた。
こっち来たら?寒いでしょ?いやここで結構。
タバコ買ってきたわよ。
あとこれ…。
安かったから。
せっかくだが持ち合わせが…。
いいのよ。
あんたの靴質入れたお金だもん。
えっ!?あれいい革なのね。
盗まれたかと…。
もう要らないでしょあんな靴。
こんなとこじゃホント盗まれるだけだし。
は〜痛い…。
ねえ肩もんでくれない?それぐらいしてよ。
お家賃代わり。
失敬。
痛っ!痛いちょっと…。
それじゃちょっと弱いわよ。
あ〜そうそうそう。
あ〜気持ちいい…。
お久しぶりです。
あっ…すいません先日アパートに伺って。
そこに立つな。
はい?邪魔になる。
すいません。
そろそろ戻ってもいいんじゃないですか?大丈夫ですよ。
まあ…多少は怒られるでしょうが…って頭を下げて帰っちまえばなんとかなりますって。
待っておられますよ奥さんも娘さんたちも。
なっ…面白いもんだな。
えっ?誰も俺たちを見ない。
たまに見ても看板だ。
どんな人間が持ってるかなんて誰も気にしやしない。
これまでもずっとそうだったんだな。
会社の看板しょって必死に働いてたつもりでもはたから見りゃどれも同じ歯車だ。
要らなくなりゃいくらでも取り替えも利く。
裏切られたの何だの…。
歯車が文句言ったってむなしいだけだな。
僕らにとっちゃ取り替えの利く上司じゃなかったですよ。
歯車同士でそう思えてりゃ上等じゃないですか。
部長まだ終わるには早いですよ。
ほかでやり直す事だってできるんですから。
もういいんだよ。
部長はよくても…。
お前に…!何が分かる?ただいま。
ねえ桃子お母さんそんなに駄目な女房だった?お母さん。
おとうさんがつらいの分かってあげられなかったけどこんなふうに捨てられるほど悪い事したのかしら。
お母さん待ってよ。
ばかばかしい。
戦後の大変な時期を必死で乗り越えてきたのよ。
化粧品の一つもきれいな着物も全部我慢して女を犠牲にして自分はたくあんかじったっておとうさんには栄養のあるもの食べさせなきゃって必死で尽くしてきたのよ。
ちょっと会社に裏切られたからって自分勝手に家族捨てて若い女のとこ逃げて…。
お母さん。
私のどこがそんなに悪かったの?お母さん!桃子!私の人生一体何だったのよ!分かってるよ!お父さんきっと全部分かってる!じゃあ何で出てったの?何で私を捨てたのよ!捨ててないよ!捨ててないよ!お父さんだって苦しんでるんだよ!あんたなんかに何が分かるの!いつもそうして食べるのかね?ええ?フフフッ…これ?やった事ないでしょ?部長さんは。
おいしいのよ。
下品な食い方だってよく叱られたけど。
誰に?昔の亭主。
こうしてやると喜んで食べてね。
誰が?息子。
さすがにもうやんないだろうけどね。
今年で14だし。
あんたも大概よね。
2か月以上人んちに住んで私の事何にも。
名前も知らないんじゃないの?まさか。
下の名前。
ま…ま…。
「ま」?あ〜いや…。
節子よ。
恩田節子。
信じらんない。
申し訳ない。
まあ私もした事なかったけどね男に身の上話なんか。
父親を知らない女は男を見る目がないっていうけど本当かもね。
ようやくまともな男と結婚できたと思ったらこれがまた小さい男。
疑い深くてマザコンで。
ホステス上がりは信用できないなんて今更みたいに言いだしてさ。
息子ぶんどられてポイよ。
息子さんの名前は?マコト。
誠実な人。
からしも入れんの。
はい。
アハハハッ…。
(ノック)は〜い。
ちょっと待って。
早いのねいつも呼ばなきゃ来ないのに…。
こんにちは。
構わないで下さいな。
妻の綾乃が忠と節子が暮らすアパートを訪ねました
急にごめんなさいね。
お休み中でいらした?…すいません。
服や何かは買えばいいけどこういうものはね…。
これはいいものだから捨てるのももったいないし。
うちでは着物着るのが好きだからたまには着せてやってちょうだい。
それから血圧が高いんです。
ああいうものはなるべく食べさせないでやって頂けます?あんまりお料理をなさらないのかもしれないけど体の事考えるとやっぱりね。
あっお芋。
じゃがいもは食べるんですけど里芋は駄目なの。
あのネバネバが嫌なんですって。
あれがおいしいのにね。
なるほどね。
けんか売りに来た訳ね。
「私とあんたじゃ人間が違うんだ。
住む世界が違うんだ」って見せに来たんでしょ?いいえ。
三田村をよろしくと頭を下げに来たんですよ。
どうか支えになってやって下さい。
何よそれ。
何なのよそのきれい事。
腹立ってんでしょ?悔しくてたまんないんでしょ?罵ったらいいじゃない!ほっぺたの一つや二つひっぱたいたらいいじゃないよ!殺したいほど憎いわよ。
相手の女も一緒に死んでくれればいいって何度でも思うの。
でも結局最後に思うのはねどこにいてもいいから元気でいてほしい。
幸せに暮らしていてほしいって…。
きれい事なんかじゃなくて心の底からホントにそう思うのよ。
切ないですね。
すてきでしたねやっぱりこの時の蟹江さんね。
すてき。
うんすてきでしたね。
今こうやって見るとホントにそう思いますね。
やってる時は「何で私を捨てたのよ」っていう思いももちろんある訳ですけどね。
この物語の最後の方で蟹江さんが病院で伏せっているシーンがあるんですね。
意識がね戻らないまま。
その回復を願って家族がそばに寄り添っている訳ですけど綾乃さんが爪を切ってあげるシーンがあって「蟹江さんこれ本番の時私ホントに蟹江さんの爪切っても大丈夫ですか?」って伺ったら「うんいいよ」っておっしゃって収録の時はホントに右手の爪を伸ばしてきて下さって。
あっそうですか。
優しかったです。
ですから…作品をホントに大事にしてらっしゃったんだなと。
それは恐らくどんな役を演じていらっしゃる時もそういうふうに思って…。
役と心中するみたいに演じていらしたんでしょうね。
今日ホントに竹下さんと共に蟹江敬三さんのドラマご覧頂いてきた訳なんですが改めて今…ずっと涙ぐんでいらっしゃいましたが改めて今どんなお気持ちでいらっしゃいますか?こんなに早くお別れするなんて思ってもいなかったですけれど悔しいですね。
まだ69歳でいらっしゃいますからね。
もっともっと違う蟹江さんの演技が見たかったです。
でももしかしたらご本人も「もっと芝居がしたい」って思っていらっしゃるようにも思いますね。
「これでいい」なんて思われないんじゃないですか蟹江さんは。
それだけにホントに悔しいし残念ですね。
ご一緒させて頂いた事が私の中の宝物ですね。
ありがとうございますっていう気持ちでいっぱいです。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
今日は竹下景子さんとご一緒にですね蟹江敬三さんのお話そしてドラマをご覧頂きました。
本当にどうもありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
2014/04/19(土) 14:00〜15:07
NHKEテレ1大阪
ひたむきな役者人生〜蟹江敬三さんをしのぶ〜[字]
個性的な演技で舞台・映画・テレビと幅広く活躍した蟹江敬三さんが先月亡くなった。「あまちゃん」や「龍馬伝」などNHKドラマでの演技を観(み)ながら蟹江さんをしのぶ
詳細情報
番組内容
3月30日に亡くなられた蟹江敬三さん(享年69)をしのぶ特別番組。スタジオゲストにドラマ新銀河「ママだって夏休み」やドラマ10「胡桃(くるみ)の部屋」で夫婦役を演じた竹下景子さんをお招きし、これらのドラマをふり返りながら、蟹江さんをしのぶ。このほか連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)、特集ドラマ「下町ボブスレー」(2014年3月)などをダイジェストで紹介。
出演者
【ゲスト】竹下景子,【司会】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – その他
ドキュメンタリー/教養 – その他
ドラマ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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