それに引きかえ…?あやちゃん…。
もちろん君も悪くない。
アハハ!
(グラスを洗う音)
(伊丹憲一)これが凶器か?
(米沢守)監察医の話だとたぶんこれで頭を殴られたんだと…。
(芹沢慶二)先輩!第一発見者の家政婦さんです。
(伊丹)あ…。
あら?その本なら普段そこのカウンターの上にあったのに…。
あぁ手近な物を凶器にしてるって事は発作的な犯行ですね。
(伊丹)ウイスキー評論家か…知らねえな。
杉下警部なら知ってますよきっと。
訊きましょうか?結構!
(伊丹)この広い家に勝谷さん1人で?はあ離婚されてお子さんもいらっしゃらなくって。
離婚した奥さんに連絡。
はい。
あちらに…。
(三浦信輔)今のところ目撃者出てない。
この辺り家が少ないようだからな。
ここに座って葉巻を吸いながらこのウイスキー飲んでる時に背後からそこの分厚い事典でゴンってやつか…。
(亀山薫)うっ…うわぁ重たい本ですね。
死因が頸椎の骨折でした。
まあこんだけ重いのを頭に落とされたらねぇ。
(杉下右京)世界中のウイスキーコレクターから認められた事典ですからねぇ。
やはり杉下警部はご存じでしたか。
その世界では有名な評論家です。
生きてれば右京さんと気が合ったんでしょうね。
しかし彼の評論はウイスキーを嗜好品というよりも芸術品のように扱っていたところがありましたねぇ。
ふ〜ん…。
ウイスキーが芸術ねぇ。
そういう評論家だからウイスキーを適当に扱ってる店やバーテンにはかなり厳しい批評もしてたみたいだ。
それに…。
ん…?ガイシャの評論がきっかけで潰れた店もあったらしい。
そっちに怨恨の線がありそうだな。
(芹沢)先輩!ガイシャの別れた奥さん遺体の引き取り拒否です。
えっ!?拒否!?怪しいな。
アリバイは?ロスに住んでます。
あぁ…。
はぁ…別れた妻の線は消えたか…。
って事は潰された店。
はあ〜葉巻の灰ってこう塊で落ちるもんなんですかね。
シガーの灰は落とすのではなくこうして灰を折りながら吸うようです。
あそうなんすか。
ちなみに吸い終えたシガーは揉み消さずこうして置いておけば自然に消えるようですよ。
ほぉ〜葉巻にも詳しいんですね。
いえいえ。
ロンドンにいた時に愛好家の友人がいたものですからねぇ。
これは葉巻の吸い口を切るハサミです。
(2人)はあ〜。
これ何ですかね?何だ?これ。
いやこれと一緒にあったんですけど。
あじゃあ葉巻の道具なんじゃないですか?おや?
(米沢)被害者が殺された時に飲んでいたお酒ですね。
ウイスキーと水の層が分離しています。
オン・ザ・ロックで飲んだんでしょうな。
僕もそう思います。
これはロックグラスですからね。
この「パーチー」は現在も出回っている有名なスコッチです。
これはその1970年に瓶詰めされたオールドボトルです。
わぁ何か高そうな酒ですね。
今出回っている「パーチー」が4000円程度ですから…その100倍程度はするでしょうね。
へぇっ!?え…じゃあ40万!?えぇ〜!?であのその「パーチー」の何が気になるんでしょうか?勝谷氏がこれに氷を入れて飲みますかねぇ。
え…ウイスキーをオン・ザ・ロックで。
普通じゃないすか?「パーチー」は熟成の過程でシェリー酒の樽を使います。
特にオールドボトルは今よりも製法がしっかりと守られていますから香りを楽しむお酒と言う事が出来ます。
それに氷を入れてしまうとせっかくの香りが飛んでしまいます。
勝谷氏ならばこんな飲み方はしないと思うのですがねぇ。
って事はどういう事ですか?この「パーチー」は犯人の偽装かもしれません。
えっ!?だとすると犯人はウイスキーに疎い人物?あ…!痛…。
どうぞ。
あぁ…。
盗み聞きかよ?いやいやいや…。
あの…被害者の執筆した本や雑誌をね借りて来いって…。
ああそう。
犯人はウイスキーに疎い人物か!何特命係の推理聞いてきてんだよ!必要なかったら無視すればいいじゃないですか。
とにかくガイシャが酷評してる店選び出すぞ。
はい。
よーしこの中で潰れた店見つけてウイスキーに疎い奴をあぶり出す…!思いっきり参考にしてるじゃないすか!こちらが現場です。
でこれが写真です。
いや〜見た事ない酒ばっかりですね。
どれもオールドボトルばかりです。
あじゃあ高いんでしょうね。
君は値段の事ばっかりですねぇ。
あっこれですね。
被害者が殺された時に飲んでたやつ。
被害者がお酒を飲んでいたのは間違いないようですね。
ええ血中のアルコール濃度が正確に測れてますから。
しかし飲んでいたのがこれではない可能性が極めて高い。
ええ。
これで偽装されていたのだとすると…。
ええ。
それでは飲んでいたのがこれではないとしたら何を飲んでいたのでしょうね。
この中にあるかもしれないと思いましてね。
あの…1つ気になる事が…。
は…?ちょっとすいません。
えーっと…。
これだけ指紋が検出されませんでした。
中身が減っているにもかかわらず指紋が検出されなかった…。
これかもしれませんね被害者が飲んでいたのは。
え…どうして?例えばロックグラスの中身をこれからこれに入れ替えた。
その際に…このボトルに付いた自らの指紋を拭き取りここに戻した。
そのため後に用意した「パーチー」のボトルには被害者の指紋を付けたにもかかわらずこのボトルにはその偽装を忘れてしまった。
なるほど。
ところでこれはブレンデッドスコッチの名品です。
氷を入れても美味しく飲めますがしかしこちらは…。
氷を入れたらシェリーの香りが飛んでしまう。
それではなぜそのような偽装をしたのでしょう?被害者がこれを飲んでいたように偽装するため。
その偽装のためになぜこれを選んだのかが重要です。
ウイスキーに疎い人物だったからですよね?そう思わせるのが犯人の狙いだったとしたらどうでしょう?ここに並んでいるウイスキーの中で氷を入れて飲むのに最も似つかわしくないのがこの「パーチー」だと僕は思います。
それを狙ってあえてこのボトルを選んだのだとしたら…。
逆に犯人はウイスキーに詳しい人物…ですな。
うーん…でもそれってあくまでも右京さんの好みですよね?はい?いやこれに氷を入れて飲むはずがないってのは。
でも酒の好みなんて人それぞれなんじゃないですか?しかし被害者はウイスキーの徹底したプロですよ。
プロにはプロの飲み方というものがあります。
そういうもんすかね。
僕はそう思いますがしかし君の意見ももっともです。
被害者が日常どのような飲み方をしていたのか調べてみましょう。
はい!
(中園照生)随分あるなぁガイシャに酷く書かれてる店。
(内村完爾)うん…怨恨の線は多そうだな。
ええガイシャに酷評された店で潰れたところもこんなに。
先輩。
ここのバーテンダーだけ連絡がつきませんでした。
藤井詠子という女性バーテンダーがやってた店で潰れたのが1週間前です。
最近だな。
それから毎晩のように飲み歩いてるようですが被害者への恨み言をこぼしていたそうです。
って事は店が潰れたのはやっぱりこれが原因か…。
一体どういう批評だ?
(咳払い)「女性バーテンダーは常連客と思しき老夫婦に昔から変わらぬ美味しい酒として『レッドカウ』を勧めた」お〜「レッドカウ」。
あれはいいウイスキーだ。
さすが部長飲んでるお酒が違いますね。
「しかし『レッドカウ』ほど堕落してしまった酒はない」何…!?え…あの…。
そう書いてありまして。
続けろ。
あ…はい。
えぇ…。
「彼女が真のバーテンダーであるなら同じ金額で自分の店にある素晴らしいブレンデッドスコッチをこの客に勧めるべきである。
それが出来ないこの女性バーテンダーの知識と誇りのなさに筆者は暗澹たる思いを抱いた」酷い書かれようですねぇ。
もはや悪口だ。
不愉快だ。
あ…部長!藤井詠子が被害者を恨んでも仕方ないな。
ええ無関係な部長があれほど怒るんですもんねぇ。
この女バーテンダーウイスキーの知識はなさそうだ。
ええ批評にも書いてありますもんね。
つまり俺たちの推理と一致する。
それは特命係の推理…。
よーしこの女バーテンダー藤井詠子をあたるぞ!被害者行きつけのバー調べるったって…。
どんだけあるんだよ…ほとんどバーですよ。
「Cask」…。
あっ!?三好倫太郎…!ここ三好さんのお店なんですか?そのようですねぇ。
お知り合いですか?お忘れですか?かつてバーテンダーとしての誇りを守るために彼のオリジナルカクテルを強引に商品化しようとしたオーナーを殺してしまった…。
それが三好さんです。
あっここです。
(ドアの開く音)
(三好倫太郎)その節は…。
7年ぶりですね。
いやぁ知りませんでしたよ出所されてたなんて。
(三好)いやあの時お2人に自首の扱いにしていただいたおかげで軽い刑になりました。
それでもう仮釈放。
模範囚だったのですね。
ご連絡すべきか迷ってるうちにご無沙汰をしました。
どうぞ。
(2人)ああ…。
「Cask」…確か銀座にも「Cask」という有名なシガーバーがありますが。
(三好)ええそちらの3号店です。
って事は「Cask」もあるんですよね?ええ最近閉店してしまいましたが。
確か1週間ほど前でしたね。
何か理由が?さあ…私が出所してすぐの事なので。
「Cask」とオーナーさんは同じですよね?はい。
「Cask」のバーテンダー英さんです。
でもすごいですよねぇ。
出所してすぐにこんな店任されるなんて。
英さんには本当に感謝しています。
その彼にお店を任されたきっかけは何だったのでしょう?きっかけというか英さんは私のお客様でして。
あぁ…バー「リメンバランス」の。
ええ。
服役中英さんから手紙をもらいまして出所後は私のバーで働かないかと。
よっぽど三好さんの腕を見込んだんですね。
英さんのその手紙がどれだけ心の支えになったか。
おかげで私は模範囚でいられました。
それにしても素晴らしいオールドボトルばかりですねぇ。
あぁ高そう…。
右京さんが好きそうなお酒ばっかりですよね。
(三好)今はこちらがお勧めですよ少し値が張りますが。
大変興味をそそられますが今は勤務中ですので。
何かお調べになってる…?あ…勝谷さんの事件をウイスキー評論家の。
ああ…夕方のニュースを見て驚きました。
勝谷さんご存じですよね?バーテンダーなら知らない者はいません。
(ドアの開く音)いらっしゃいませ。
(三好)詠子ちゃん…。
(藤井詠子)何かカクテルを…。
ショートの強いやつ。
悪いけどカクテルは作らないんだ。
言ったよね?私にはもうカクテルを作る資格がないんだよ。
何でもいいから三好さんのカクテルをお願い。
もう少し酔ってるみたいだね。
飲みすぎだよ毎晩。
「Cask」のバーテンダーだった藤井詠子さんです。
じゃ何かブレンデッドをストレートで。
今夜は冷えるからホットウイスキーにしようか。
お2人には何かノンアルコールのお飲み物でも。
ああすみません気を使わせてしまって。
これだけお訊きしたらすぐに退散いたしますので。
この写真をご覧になってどう思われますか?ああこれは…ちょっと変ですねぇ。
「変」とおっしゃいますと?勝谷さんがこれに氷を入れてお飲みになるとは。
やっぱ三好さんもそう思います?よくおわかりになりましたねこれが勝谷氏のご自宅だと。
勝谷氏のご自宅へ行かれた事が?いえ。
ただ刑事さんたちが勝谷さんの事件を調べてるとおっしゃったのでそうじゃないかなと。
なるほど。
やはりこれに氷を入れて飲むのは変ですか。
(詠子)飲み方なんて人それぞれじゃないかしら…。
しかしこれに氷を入れてしまうと香りが飛んでしまいませんか?確かに風味は落ちますね。
でも人がお酒に求めるのは味だけじゃない。
とおっしゃいますと?あるバーテンダーから聞いた話なんですけど…。
(詠子の声)そのバーによく来る老夫婦がいていつも「レッドカウ」っていうウイスキーを注文したそうです。
老舗のブレンデッドスコッチウイスキーです。
でも今の「レッドカウ」は昔の「レッドカウ」とはまるで別物。
原料の麦の質が悪くなったせいか製法が変わったせいかどうしようもなく味が落ちてる。
そうなんですか?確かに僕もそう思います。
ええ残念ながら。
同じ金額でもっと美味しいスコッチはあります。
それを勧めるのがバーテンダーの仕事かもしれない。
(詠子の声)でもその夫婦がそのお酒をオーダーするには訳があったんです。
昔2人を結びつけた特別なお酒で当時は高価だったそのお酒は贅沢のシンボルだった。
それが今ではお金を気にせずに楽しめるんだからね。
本当いい時代になりましたねぇ。
(詠子の声)そんな話を聞かされてもっと美味しいお酒があるなんて言えませんよね。
そのご夫婦にとって大切なのは味ではなくお酒にまつわる思い出だったんですね。
なるほど。
勝谷さんももしかすると…。
何か思い出があってこういう飲み方をした。
あの男は思い出とかそんなものお酒に求めてない!あ…ちなみにこちらも勝谷氏のご自宅なのですがどこか不自然なところはありませんか?さあ…私は葉巻には詳しくないもので。
じゃあこれが何なのかもわかりませんよね?葉巻に使う道具だと思うんですが。
さあ…。
「Cask」の英オーナーならわかると思うけど。
(英道明)いらっしゃいませ。
…あっ!?特命係の亀山に飲ませる酒はありませんけど?お前らどうして?
(芹沢)藤井さんっていう元バーテンダー捜してて。
(伊丹・三浦)しゃべりすぎだ!藤井詠子さんですか?何で知ってるんです?今会ってきましたから。
(伊丹)どこで!?しゃべりすぎだ。
(伊丹)あっ…!?こちらの「Cask」でお飲みになっていますよ。
(三浦)行くぞ。
(伊丹)どうも。
あ…どうも。
チッ…どけよ。
あなた方も警察の方ですか?あすいませんお騒がせして。
いえ…。
勝谷さんこちらの常連だったとか。
はい。
私もいろいろと教えていただきました。
とおっしゃいますと個人的にも勝谷氏とは親しかった?いえお店だけのお付き合いです。
でもお客様とバーテンダーはそれでいいと思っております。
常に一期一会で。
なるほど。
ところでこちらはシガーバーですね?はい。
キューバ産を中心にご用意してあります。
勝谷氏はこちらでもよくシガーを?ええ。
よく買っていただきました。
携帯はされなかったのでしょうか?勝谷さんは湿度の高い葉巻がお好きのようで持ち歩くとケースに入れていても乾燥してしまいますから。
当店ならこうした道具もご用意してありますし。
あ…道具といえばこれ何だかご存じですよね?ああこれはパンチカッターですね。
葉巻の吸い口を切る…というよりえぐるんですが。
ではシガーをいただけますか?もちろんです。
どうぞ。
(2人)あぁ…。
(英)どのようなものがお好みでしょうか?僕は吸った事がないのでこちらの細いのをパンチカッターでえぐってみせていただけますか?あぁ…でしたらもう少し太い葉巻のほうが。
はい?パンチカッターは葉巻の太さを選びますので使う人が少ないんです。
なるほどそれでこちらにないわけですね。
はい。
ではこちらを。
お預かりします。
お願いします。
実は私もパンチカッターをやった事がないんですが勝谷さんの見よう見まねで。
はぁ〜。
このような形になります。
はあ〜。
さすが葉巻のプロですね。
はい。
なるほど…。
あっ…シガーのプロに見ていただきたい写真があります。
どこか不自然なところはありませんか?葉巻と吸い殻と灰皿…。
特に不自然なところは…。
ではこちらは?これは「パーチー」のオールドボトル。
さすがによくご存じで。
勝谷さんこんなすごいボトルを持ってたんですか。
他にもいろいろ貴重なオールドボトルが並んでいました。
しかしこれに水や氷を入れて飲むってのはどうでしょう。
やっぱそう思います?ええ。
勝谷さんらしくありません。
勝谷氏はこちらでもオールドボトルを?いやうちはオールドボトルはほとんど置いてありません。
確かに現行の品が中心ですねぇ。
オールドボトルはそんなに手に入りませんので新たに購入できたものすべて「Cask」に。
ええ「Cask」のほうにはたくさんありました。
三好さんのところはボトルで勝負しなきゃならないんで。
これも三好さんとこにありましたね。
ああこのオールドボトルは奇跡的に2本手に入ったので1本ずつ置くようにしました。
あじゃあ結構出回ってるものなんですね。
とんでもない。
日本中に数本しかないはずです。
なくなり次第一生飲めなくなりますよ。
その目は飲みたいと訴えているのですか?だって一生飲めない…勤務中ですねはい。
構いませんよ。
え…?もういい時間です。
ホントすか?あじゃあこれ1杯お願いします。
はい。
ただこれ1杯3万になりますけど。
えっ…!?いただきましょう。
僕はストレートで。
お…俺もストレート!そうですね。
せっかくのオールドボトルですから。
はい。
(英)どうぞ。
ああ…。
あの…そちらの葉巻…。
はい?すいません。
さっきからずーっと気になってたのですが吸い口を開けましたら出来るだけ早く吸っていただいたほうが…。
よろしかったら私が火をおつけしましょうか。
あ…お願いします。
お借りします。
いい香りですねぇ。
はい…。
あ〜すっげーうめえ。
3万円…。
(ガスライターの音)どうぞ。
恐れ入ります。
ああこちらもいい香りですねぇ。
す…。
その目は吸いたいと訴えていますか?どうぞ。
あ…。
ハハ…。
(咳込み)シガーは煙を肺に入れてはいけません。
え…先に言ってくださいよ。
おやおや先にふかして見せたじゃありませんか。
注意力散漫ですねええ…。
すいません。
(宮部たまき)うちはラベルはこんなふうに切ってますけど。
普通はこうしますからねぇ。
英さんのお店でもこうしていました。
ああそうでしたっけ?注意力散漫ですよ。
勝谷氏の自宅に並んでいたボトルもやはりこうなっていました。
注意力散漫で見てませんでした。
しかしこれだけがなぜかこうでした。
何で勝谷さんの部屋にあったボトルの中でこれだけ…。
例えばこのボトルだけ犯人が持ち込んだ。
何でわざわざ持ち込むんですか?ウイスキーに詳しい犯人が詳しくないように偽装をした。
ウイスキーに詳しい犯人…?時折このようにキャップのすぐ下からカッターで切るバーテンダーがいるんですよ。
右京さんのお知り合いですか?
(芹沢)随分自宅に帰ってないみたいだね。
ねぇ〜。
勝谷誠に店を潰されてからずーっとそうだね?家に帰ったら嫌な事ばっかり考えちゃうから。
ま恨みたくもなるよね。
三好さんのカクテルが飲みたい。
(芹沢)もう十分お酒飲んだでしょう。
(伊丹)さて昨日の夜のアリバイを聞かせてもらおうか。
ホームスイートホーム…。
(3人)は…?そういうカクテルがあって…。
クッ…まだ酔ってるのかよ。
私これでも昔お酒弱かったんです。
そんなかわいいエピソード聞いてないのよ。
でもあのカクテルだけは美味しかった。
ああそうなの。
で昨日の夜のアリバイ…。
だからバーテンダーになろうって思った…。
あぁ水持ってきてやれ!ああ…。
(亀山美和子)あれ〜ちょっと仕事は?もう8時半だよ。
うん…忙しそうだね。
うん雑誌の編集者と打ち合わせ。
急な仕事なんだ。
いってらっしゃい〜。
コラ。
ちょっとぐらい奥さんの仕事に興味持ちなさいよ。
あぁ…急な仕事って?それをこれから決めるの。
急にねページが空いちゃったんだって。
来るはずの原稿が来なくて勝谷誠の。
ふーん…勝谷誠!?…ウイスキーの?
(編集者)毎月これにお酒のコラムをお願いしてました。
次回の原稿はいつもらう予定でしたか?昨日です。
だけどあんな事になっちゃって…。
バーテンダーについてのコラムだったんですよね?バーテンダーとはどなたの事でしょう?
(編集者)さあ…ただお酒を出す資格のないバーテンダーだと。
お酒を出す資格のない…。
「バーテンダーはバーのテンダー」というのが先生の口癖です。
バーテンダーはバーで最も紳士じゃなくちゃいけない。
だから人にお酒を出していいんだと。
(編集者)でも中にはお酒の事で揉めてオーナーを殺してしまったバーテンダーがいるって言ってました。
それって…。
それでもまだバーテンダーをしてるのが許せないって。
つまりそういう原稿を書く予定だった。
先生の事ですからきっとまた超辛口だったでしょうね。
でも殺害現場にそんな原稿はなかった。
ええ。
出来上がる前だったか犯人が持ち去ったか。
動機出てきちゃいましたねぇ。
出てきちゃいましたねぇ。
でも三好さんはかつて犯した罪でカクテルを作る事を封印してます。
そんなバーテンダーがまた人を殺したりしますかね?人は追い詰められれば自分さえ裏切ります。
おとといの夜11時から深夜1時ですか…?はい。
12時まで営業してその後は1人で片付けを。
車を飛ばせば勝谷氏のご自宅まで往復1時間です。
一度罪を犯すとフッ…何度でも疑われるんですね。
「勝谷氏ならこんな飲み方はしない」…そうおっしゃいましたね?ウイスキーをよく飲む人なら誰でもそう思います。
だからこのような偽装をした。
捜査の手が近づかぬよう犯人をウイスキーに疎い人物だと思わせるためにあえてこのボトルを選んだ。
だとすると逆にウイスキーに詳しい人間ですね。
ええ。
あなたのように。
私が犯人なら動機は?例えば勝谷氏の原稿。
勝谷さんは雑誌にあなたの事を書く予定でした。
あなたのかつての犯罪を告発するような内容を。
ご存じでしたよね?いいえ。
そうなんですか?これは勝谷氏のご自宅にあるボトルです。
キャップを見てください。
ミシン目に沿って切ってあります。
一方これは偽装に使われたオールドボトル「パーチー」。
キャップの切り方がこちらにあるものと…全く同じなんですよ。
そう勝谷氏のご自宅にあるボトルの中でこの「パーチー」だけがキャップの切り方が違うんですよ。
なぜでしょうか?それは犯人が偽装をより完璧なものにするために自分の店から持ち込んだからではないかと。
(三好)フフフ…こんなふうにキャップを切るのは私だけじゃありませんよ。
しかも動機があります。
動機だけで私に罪を認めろと?無理があるでしょうか?もうよろしいですか。
お客様がいらっしゃる時間です。
あぁ…では僕たちも1杯いただきましょうか。
勤務中なんじゃありませんか?はぁ…飲みたい気分なんですよ。
じゃあこれをストレートで。
昨日飲んでうまかったんで。
では僕もストレートで。
かしこまりました。
あれ…?どうかしましたか?あいえ別に…。
(三好)何か不都合でも?あいや…すごくうまいです。
(スプレーの音)亀山君お手柄です。
は…?右京さん何なんですか?お手柄って。
昨日と同じお酒のはずなのに味が違った。
ああそうなんですよ。
俺は何か今日飲んだほうが好きですねガツンときて。
昨日のほうがもう少しまろやかでした。
そうなんです。
でも何でですかね?同じウイスキーなのに。
それをこれから確かめに行きましょう。
窒素ですか…。
ええ。
ワインを飲みかけにする場合よくボトルに窒素を注入するお店がありますねぇ。
ええワインの酸化を防ぐために。
三好さんがウイスキーにそれをしていたものですから。
(スプレーの音)ああ彼ならそこまでこだわるかもしれませんね。
ちなみにこちらのお店では?あいえうちにはあっちにあるような高価なオールドボトルはほとんど置いてませんから。
あでもこれは1杯3万円。
アハハ…そうでしたね。
うちは葉巻を吸うお客様がほとんどですからね。
とおっしゃいますと?いや確かにこういう古いお酒は開けると特に酸化が進みます。
窒素を注入すればそれが抑えられる。
ええいつも開けたての味が楽しめますよ。
でもそれはボトルで熟成するのを止めてしまうって事なんです。
なるほど。
葉巻には熟成した味が合う。
ええまあ。
ですがそんな味の差なんてよほどの舌を持った人じゃないとわからないんですけどねぇ。
だそうです。
はぁ…。
であの…何がお手柄だったんでしょうか?このボトルに残っていたウイスキーを調べたところ通常よりも多くの窒素が含まれている事がわかりました。
つまりこの「パーチー」は窒素処理されていたんです。
犯行の動機キャップのシールの切り方窒素処理…この3つがすべて揃っているバーテンダーは世界広しといえどもあなただけでしょうねぇ。
あなたなら有無を言わさぬ証拠を持ってくる。
そんな予感が当たってしまいました。
それは自白という事ですか?私の過去の過ちが著名な勝谷先生によって公にされる…私はそれにおびえました。
いつそれをお知りになったのでしょう?事件の前日ここで…。
(勝谷誠)私はこれでも公明正大な人間のつもりだ。
だからこそあらかじめ君に書く事を伝えたい。
書き上げたものもぜひ君に確認してもらいたい。
(三好の声)そしてあの夜…。
私は勝谷先生の家に呼ばれ原稿を読みました。
公にしないようにお願いしました。
でも勝谷先生は…。
(英)違う。
そんなはずはない!
(三好)英さん…。
(英)三好さんは過去の罪を悔んでいた。
それを私はよく知っている。
そんな彼に人殺しなどまた出来るはずない!英さんもういいです!よくありません。
なぜ三好さんが殺していないと断言できるのか…。
それは英さん…あなたが犯人だからですね?杉下さん何を言ってるんですか!?やったのは私です!いいえ。
最初にお目にかかった時から英さんの言動には不自然なところがたくさんありました。
勝谷さんはこんなすごいボトルを持ってたんですか。
なぜこの写真が勝谷氏の自宅だとわかったのでしょう?我々が説明する前に。
それは…。
勝谷氏とはお店だけのお付き合いのはずでしたねぇ。
個人的にも勝谷氏とは親しかった?いえお店だけのお付き合いです。
さらに葉巻の吸い口を開けてもらった時あなたはこうおっしゃいました。
実は私もパンチカッターをやった事はないんですが勝谷さんの見よう見まねで。
あなたはなぜ勝谷氏がパンチカッターを使っていたのをご存じだったのでしょう?それは…勝谷さんのパンチカッターを渡されたから。
俺たちはこれが勝谷さんの物だとは言ってませんよ。
うちの店で使ってるのを見た事があったんです。
おやあなたは確かこうおっしゃったはずですよ。
勝谷さんは湿度の高い葉巻がお好きなようで持って歩くとケースに入れていても乾燥してしまいますから。
当店ならこうした道具をご用意してありますし。
だとするならばあなたは勝谷さんがパンチカッターを使っていたのを知りえないはずです。
あなたは勝谷氏の家に行った事があったんです。
彼が家でパンチカッターを使っていたのをご存じだったんです。
ではなぜあなたはそれを隠そうとしたのか…。
そう考えた時僕は殺人犯と偽装者が別人である可能性を考えました。
もしも現場を偽装したのがシガーに詳しい英さんならばシガーも偽装しなければ不自然です。
例えば灰皿に残っていた灰を粉々にするとかシガーを揉み消すとか。
しかしシガーは偽装されていませんでした。
なぜなら偽装した人はウイスキーには詳しくてもシガーには詳しくなかったからです。
さらに偽装した人にはそうしてまでも犯人をかばう動機があるという事になります。
以上すべての条件を考えた結果…。
犯人は英さん偽装者は三好さんという事になりました。
いかがでしょう?私はあの日開店前に三好さんから話を聞いて…。
(三好)すいません。
せっかくお声をかけていただいてあのようなお店まで用意していただいたのに…。
(英)まさか三好さん…。
(三好)店を辞めさせていただきます。
(英)そんな…勝谷さんが何を言おうとあなたが辞める事はないじゃないか。
(英の声)このままでは三好さんまで詠子ちゃんのように潰されてしまう…そう思いました。
(英の声)それでその夜早めに店を閉めて勝谷さんの家に行きました。
そこで原稿を読まされ愕然としました。
これを読めば三好さんだとわかってしまいます。
(勝谷)そうだろうねぇ。
三好さんはやっとやり直すチャンスなんです。
彼にバーテンダーの資格はない。
(英)先生は以前もそう言ってうちの藤井詠子をダメにして…。
彼女は問題外だ。
ウイスキーの知識が全くない。
そうやって何人バーテンダーを潰せば気が済むんですか!!
(勝谷)私は酒を冒涜するバーテンダーは絶対に許さない。
あなたにはバーテンダーがまるでわかってない!それは君のほうだろう。
君が選ぶバーテンダーは問題児ばかりじゃないか!ああもういい!帰りなさい。
あなたは…人間の事がまるでわかってない。
(勝谷)私は人に言われて自分の信念を曲げるつもりは…。
(勝谷)あっ…!!ああ…。
それを原稿の確認に呼ばれた三好さんが見てしまった。
三好さんは勝谷氏の死体を発見しすべてを悟った。
三好さんは英さんを守るため現場の偽装を思いつき店に戻り最も偽装に適したウイスキーを持ってきた。
しかしその三好さんの偽装が僕にすべてを教えてくれました。
私が過去から逃げていた事が英さんを犯罪に走らせてしまった。
違う!私は勝谷が許せなかっただけだ。
私のほうこそ三好さんを巻き込んでしまったんだ。
(詠子)こんばんは!あオーナー仕事終わりですか?私は今まで警察に。
証拠不十分で解放されましたか?真犯人がわかったみたいで。
伊丹に連絡しました。
三好さん!今日こそカクテル作ってください。
なぜカクテルを封印されたのでしょう?どんな過去であっても記憶しておく事からすべてが始まるのではないでしょうかねぇ。
記憶思い出…あなたがおやりになっていた「リメンバランス」というバーはそういうお店でしたね。
そうカクテルの美味しいお店だった。
カクテルは何をお作りしましょうか?作ってくれるの?じゃあホームスイートホーム!ああ…あれは美味しいカクテルでしたねぇ。
あ…飲んだ事あるんですか?僕が初めて飲んだ三好さんのカクテルです。
家に帰れない客を帰すために作ったというカクテル。
その時エピソードもお聞きしました。
うん今の私にピッタリ。
では僕もホームスイートホームを。
あっ俺も。
じゃあ私のも入れて4人。
かしこまりました。
いいバーを見つけました。
ありがとうございます。
お〜ホットなんだ。
温まりますよ。
フフ…おかしい。
どうした?ウイスキーメーンのバーなのに誰もウイスキー飲もうとしないなんて。
あ本当だ。
これだけオールドボトルがあるのにね。
でもそれでいいんじゃないすかね。
誰がどこでどんなお酒をどんなふうに飲むのか…人はそれぞれですからねぇ。
ホームスイートホームです。
どなた様もいつか必ず帰れますように…。
おぉ〜。
2014/04/16(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season6[再][字]
「琥珀色の殺人」
詳細情報
◇番組内容
相棒 シーズン6!杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑みます!豪華ゲストもお見逃しなく!
◇出演者
水谷豊・寺脇康文 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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