(聖美)柳沢陽?
(波津子)この子は柳沢家の太陽。
(波津子)「陽」という字にはあなたと同じ「清い」という意味もあるんですよ。
・
(陽)お幕!ママ。
(波津子)私に繁郎に聖美さんに陽。
この4人だけが本当の本物の柳沢家の家族。
(陽)ママ。
さみしい?
(聖美)うん?
(陽)僕がいなくてさみしいならここで寝てってもいいよ。
(聖美)さみしいけど陽が決めたんだからママも頑張ってみる。
おやすみ。
陽。
(陽)おやすみなさい。
・陽。
陽。
おはよう。
陽。
入学式いいお天気になったわよ。
お寝坊さん。
一人じゃ怖くて寝付けなかったんじゃない…。
ママ。
どうしたの?ハァハァ…。
ちょっと待ってて。
体温計持ってくる。
(繁郎)熱が?結構高いの。
38度近くあって。
風邪か?それじゃ入学式無理だな。
それがねどうしても行くって聞かなくて自分でお着替えまで始めちゃって。
そんなこと言ったって8度もあるんじゃ。
・
(波津子)繁郎!聖美さん!早く来て。
早く。
陽が。
陽が!あっ。
陽。
(波津子)陽が。
ほら。
陽が。
陽。
どうした?陽?陽。
陽!血液検査を?
(瑞穂)今緊急で検査部に分析してもらっています。
あの鼻血外傷や炎症じゃないってこと?
(諏訪)どうも熱の高さが気になって。
・
(足音)・
(百合子)先生。
結果が出ました。
諏訪先生。
あのう。
(諏訪)すぐに精密検査を受けさせた方がいい。
精密検査?
(諏訪)骨髄穿刺をしましょう。
何だって?どういうこと?何なの?骨髄穿刺って。
白血球に異常が?血小板の減少も見られます。
ちょっちょっちょっと。
あなた。
諏訪先生。
(諏訪)一時的な感染症の可能性もゼロではありませんがこの結果を見るかぎり白血病の疑いが高いと言わざるを得ません。
白血病?白血病って血液のがんっていうあの?嘘でしょう?だってゆうべまであんなに元気だったのに何で突然?間違ってんだわ。
この検査結果が。
瑞穂さん。
もう一度調べ直して。
骨髄の精密検査してもらおう。
できるだけ早く。
でも!その結果を待つしかない。
そんな。
あの子が?陽が白血病だなんて。
あーあ。
入学式行きたかったな。
(波津子)おばあちゃんも行きたかった。
でもしょうがないわね。
あんなにいっぱい鼻血が出たら。
どうってことないのに。
鼻血なんか。
あっ。
ママ。
あしたは学校行っていいよね?うーん…。
まだお熱があるでしょう?
(陽)もう治ったってば。
うーん。
あと1週間はお休みしなきゃ駄目だ。
(陽)1週間も?
(波津子)どうしてそんなに?うん?まあこの機に少し検査をしておこうってことになったんです。
検査って?何の検査?まあ色々ですよ。
せっかく家が医者なんだから入学前に頭のてっぺんから爪先までくまなく調べてみるのも悪くないでしょ?やだ。
僕やだ。
あしたから学校行く。
もう連絡しちゃったんだ。
しばらくお休みしますって。
えーっ。
ひどいよパパ。
ママ。
パパの言うとおりになさい。
先生だってお友達だってみんな陽が来るの待っててくれるから。
白血病?その可能性が高いようです。
まさか。
あんなに苦労して授かって。
大事に大事に家の宝と思って育ててきたのに。
まだ決まったわけじゃない。
決まったわけじゃありませんから。
たとえ1%でも可能性があるなら信じたい。
何であの子が病気になんか?そんなひどい話あっていいわけないもの。
ああ…。
神様仏様。
ああ。
私お参り行ってくる。
お不動さまに薬師さま。
それからお大師さまに観音様に明神さまとそれからそれからそれから…。
(泣き声)
(諏訪)ハァ。
(波津子)出たんでしょう?検査の結果。
でどうだったの?いわゆるAML。
つまり…。
(諏訪)小児急性骨髄性白血病。
今後長期にわたって徹底した管理の下厳しい治療が必要です。
誰も助けてくれなかった。
願いを聞いてくれなかった。
お大師さまもお不動さまも。
(瑞穂)お気の毒です。
陽坊ちゃま。
何ておいたわしい。
(諏訪)当面は抗がん剤により化学療法で白血病細胞をたたいていくことになります。
ただし抗がん剤には強い副作用がありますし難治性の場合どこまで効果が出るかやってみないことには。
治らないかもしれないってこと?死んじゃうってこと?あんな小さな子の体に副作用が出るような薬漬けにして。
それで治らないかもしれないなんて。
(瑞穂)大奥さま。
(諏訪)子供のAMLの生存率は大人よりずっと高いんです。
だからきちんと治療すればきっと陽君も。
ただそのためには造血幹細胞移植が必要ってことですね?造血?骨髄移植。
それなら聞いたことがあるでしょう?骨髄移植。
骨髄移植をするにはHLA抗原という白血球の血液型が一致した健康なドナーが必要です。
そのドナーさえ見つかれば。
(波津子)だったら最初からそっちをやってくれりゃいいじゃありませんか。
そうもいかないんですよ母さん。
移植をするとしたってしっかり細胞をたたいてからってことになるしそもそもHLAが合致するドナーを見つけること自体相当困難なんだから。
そうなの?
(諏訪)最も確率が高いのが本人の兄弟姉妹。
それでもおよそ25から30%にすぎません。
(波津子)きょうだいなんかいないわよ。
あの子は一人っ子なんだから。
はっ。
じゃあ親は?おばあちゃんじゃ駄目なの?
(諏訪)もちろん骨髄バンクで非血縁者のドナーを探すよりはよほど可能性は高いです。
(波津子)だったらすぐに調べてちょうだい。
この3人の何とか型っていうのを。
血なんかいくら抜いたって構やしない。
お願いします。
問題は陽にどう話すかってことだな。
話すって病気のことを?
(波津子)言えるわけないじゃない。
生死に関わる病気だなんて。
6つ7つの子に受け止められるわけがない。
病名は伏せるにしてもこれから長期入院ということになればまったく説明なしってわけには。
(百合子)なるべくさりげなく大げさにならないように少しずつ理解させてあげるのがいいと思うんです。
入院してる子たちはみんな敏感です。
大人の話や顔色をホントに鋭くキャッチするんです。
私たちナースも細心の注意を払っていきますので皆さんもどうか。
さりげなくって言ったって役者じゃないんだからそんな芝居なんかできやしませんよ。
これからそれをやってかなきゃいけないんですよ。
陽のために。
(諏訪)《小児急性骨髄性白血病》《今後長期にわたって徹底した管理の下厳しい治療が必要です》
(波津子)《治らないかもしれないってこと?》《死んじゃうってこと?》つまんないつまんないつまんない!
(弘明)分かった分かった。
そのうちまた釣りに連れてってやるからもうちょっと我慢しな。
(陽)ホント?
(弘明)ばあちゃんには言うなよ。
(陽)分かってる。
じゃあゴールデンウイークね。
・
(ドアの開く音)よかったわね陽。
でもゴールデンウイークはどうかな。
(陽)駄目なの?うん。
もうしばらく入院しなきゃいけないってパパと諏訪先生が。
(陽)えーっ。
何で?うん…。
僕何か悪いとこあったの?ちょっとだけね。
後で諏訪先生が詳しくお話ししてくれると思うけど陽の血がね普通の人より固まりにくいんだって。
僕の血が?うん。
血液ってね体の外へ出るとすぐに固まって止まるようになってるの。
でもその血がなかなか固まらないとちょっとケガしただけでどんどん外へ流れ出ちゃう。
だからあんなにたくさん鼻血が出たのよ。
学校へ行ってお友達と遊んで転んだりぶつけたりするととっても大変なことになる。
だからもうしばらく入院してその病気を治さなきゃいけないの。
もうしばらくっていつまで?うーん。
夏休みは?そうね。
そのころまでにはよくなるといいわね。
早く退院したかったらいい子にして先生の言うことよく聞いてちゃんとおとなしく治療を受けること。
(弘明)血小板の数値に問題があるんですね?陽君。
それだけなんですか?もしかしてもっと重い血液の?血液採取の痕ですね。
何のために血液検査を?HLA型を。
陽と型が合うかどうかを。
私と主人とお母さまの3人で。
AMLか。
そうなんですね?小児急性骨髄性白血病。
教えて。
弘明さん。
私あの子を産むべきじゃなかったの?何を言うんです。
私が神様の定めた摂理に逆らって不自然な形で無理してあの子を産んだから。
だからその因果があの子に?不妊治療のどこが不自然なんだ!科学の力がどれだけ人類に喜びを与えたか。
子供を望む母親たちを救ってきたか。
それが間違いっていうんなら神の摂理なんぞくそ食らえだ!チクショー。
何でこんなことに?弘明さん。
あなたも血液検査受けてくれない?あの子はあなたの手でこの世に命を授けられた。
言ってくれたわよね。
自分も陽の父親と一緒だって。
叔父とおいの間柄で型が合う確率がどれぐらいなのか分からない。
でも今はどんなに小さな可能性でもすがりたい。
すがるしかないんです。
悪いけどそれはちょっと。
どうして?受けてくれないの?何で?HLAなんてそうそう合うもんじゃない。
無駄なことはしない主義なんで。
ちょっ…。
陽が生まれた7年前お母さんの供養のためにここにこのスズランを植えたのよ。
お母さんは私のこと恨んでなんかいない。
きっと祝福してくれるはずだって信じて。
でも違ったの?
(佳代子)《あんた間違いなく不幸になるよ》あれからもう9年。
僕らが結婚したその日に君のお母さんが自ら命を絶ってもう9年か。
すっかり忘れていたわ。
結婚記念日も命日も。
いつも陽の誕生日と一緒に結婚記念日をお祝いしてたのにな。
聖美だけでも行ってきてくれないか?命日の墓参り。
怖くなったんだよ。
聖美がよく言ってたこと思い出して。
私が言ってたこと?お母さんが君を呪ってるって。
《お母さんが邪魔しようとするのよ私の幸せを》《私を憎みながら死んでったあの人が》陽を連れてかないでください。
医者の身でこんな非科学的なことを言うなんてどうかしてる。
でも頼んでほしいんだ。
お母さんに。
陽を連れていかないでくださいって。
あなた。
愛美?愛美。
愛美。
愛美。
お母さん。
愛美は元気だった?どんな様子だった?お母さん。
お母さん。
お母さんお願い。
・ただ今帰りました。
お母さま!ちょっと。
あっ。
ちょっと。
やっ。
あっ。
放してちょうだい。
あっ。
身代わりになってもらうのよ。
ああ…。
この幼い童子の面を形代にするの。
形代?陽の代わりの人形よ。
面を犠牲にして陽の命を助けるの。
ああ!あっ。
ちょっと。
やめ…。
何かあったんですね?ああ…。
もしかして血液検査の結果が?駄目だった。
私もあなたも繁郎も。
誰一人陽と型が合わなかった。
3人とも?私の命を今すぐあの子にくれてやれたらどんなにいいか。
悔しいのよ。
何もしてやれない自分が歯がゆくてならないのよ。
弘明さんに頼んでいただけないでしょうか?お母さまから。
弘明に?断られてしまったんです。
陽のために血液検査を受けてほしいってお願いしたら。
でもきっとお母さまの言うことだったら。
私への当て付けね。
わざと断ったのよ。
あなたの頼みを。
どうしても私に頭を下げさせたい一心で。
あなたが流産したときに私がああ言ったから。
《今後どんなことがあったって二度とあなたに頭を下げることはない。
覚えとくがいい》何て姑息なことを。
駄目ですか?頼んでいただくことはできませんか?この期に及んでプライドもへったくれもあるもんか。
100回だって1,000回だって頭下げてやる。
陽のためなら何一つできないことなんかありゃしないよ!
(弘明)ふーん。
すっかり様変わりですね。
殺風景だった部屋が。
この背比べの傷陽がうらやましがってたわ。
自分も比べっこする兄弟が欲しいって。
考えてみようかしら。
陽のこれからのために。
どういう意味ですか?まさか陽のためにもう一人産もうってんじゃ…。
(波津子)陽のために血液検査を受けてください。
私たち3人とも型が合わなかったの。
残る頼みは弘明さんだけなの。
お願いします。
(弘明)あっ。
いやでも3人が駄目ってことは俺だって。
院長。
一致しました。
弘明先生のHLA型陽君とぴったり一致しましたよ。
ホントですか?あなた。
2014/04/16(水) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #12[字][デ]【突然息子を襲った病魔】
聖美(東風万智子)は念願の男の子を出産。姑・波津子(丘みつ子)も跡取りができたと喜ぶ。7年後、その息子が原因不明の高熱にうなされ、検査の結果、白血病とわかる…
詳細情報
番組内容
聖美(東風万智子)が産んだ息子、陽(平林智志)の小学校入学式当日のこと。陽は原因不明の高熱にうなされ、大量の鼻血を出してしまう。
病院で診断した結果、至急精密検査の必要があることが分かる。小児科医の諏訪(古山憲太郎)から白血病の疑いがあると告げられ、聖美は取り乱す。後日、出た結果はやはり小児急性骨髄性白血病だった。
番組内容2
陽の命を救うため、聖美たち家族は骨髄移植が可能か検査を受けることに。聖美は弘明(金子昇)にも検査を受けてもらうよう頼むが、弘明は暗い顔をして聖美の頼みを断る。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:藤木靖之
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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