小さな旅「水ぬるみ 春輝く」 2014.04.19

(テーマ音楽)
人影が映っては消えきらきらと輝く水面。
寒さが緩む春です
「小さな旅」では水を慈しみ暮らす人たちを見つめてきました
1〜2匹は絶対釣りたいよね。
釣りたい釣りたい。
まだ一度も釣れた事がないからな。
3つの水の物語をふるさとの風景と共につづります
まだ雪を頂く富士。
おととし5月の風景です
その北の麓標高940mの高地にある山梨県忍野村です
村の至る所から湧き出る水は富士の伏流水です
山肌の雪解け水や雨水が地下にしみこみおよそ80年の歳月をかけて湧き出たと言われています
村には「忍野八海」と呼ばれ神の泉とあがめられた八つの池があります
澄んだ清れつな水はこの池だけでも毎秒20。
絶える事はありません

富士の水は水路を伝い代かきの終わった田へと流れ込みます
一方で冷たい湧き水は稲作に適さないため人々は工夫を凝らしました。
「手溝」と呼ばれる水路です。
田の周りを巡らせてから水を引き入れます
手溝を流れる間に日ざしで水温を上げ稲を傷めないようにしました
豊かな水は村の暮らしも潤しています
湧き水と共に暮らす一軒のお宅がありました
富士山麓の伝統野菜鳴沢菜やねぎほうれんそうなど家族で食べる野菜を育てている…
そして…
取ったばかりの野菜を洗うのは庭にある泉です
こんこんと湧き出る富士の伏流水。
100年以上前ひいおじいさんが湧き水の源を見つけここに家を構えました。
飲み水洗濯お風呂全てこの水を使っています
この川の方から入る風は特に涼しい風が入りますから。
目の前で湧いてる水でね日常の生活ができるという事で家内は言わなくても心の中でいいとこにお嫁に来たなと感じているんじゃないですか。
ほんとにこれがね自然の宝物だよと思いますね。
売り買いもできないような宝物のそばで生活できるなんていう事はこれは幸せな事だと思いますね。
よし子さんが同じ忍野村から嫁いできたのは62年前。
村では「水を見て嫁に来る」と言われるほどどの家も湧き水や地下水を生活に取り入れてきました
義理の母親と並んで洗濯したのも水をくんで手料理を教えてもらったのもこの泉の前でした
苦楽を共にしてきた。
だから…よく言われましたよ。
苦楽を共にした水ですから…。
私の人生この水がみんな知ってるんじゃないかね。
ハハハ!
早朝。
村の田んぼにはふるさとの風景が浮かびます
青き富士
水が映し出した母なる山です
こちらは東京湾に面した千葉県習志野市
市街地の中にぽっかりと残る谷津干潟。
真上を鉄道や高速道路が走ります
一周およそ3.5km。
東京ドーム9個分
周囲の埋め立てが進む中守られてきました
春は渡りの季節
南半球で越冬し繁殖のためシベリアなどへ帰るシギやチドリが旅の途中で立ち寄ります
2本の水路で東京湾とつながっている谷津干潟。
潮の満ち干でがらっと変わります
満ちている時は水深1m

潮が引くとこのとおり
泥の中に住むカニやゴカイなどは鳥たちのごちそうです
4月から5月にかけてここで栄養を補給した渡り鳥は繁殖地を目指して再び旅立ちます
干潟のほとりにある習志野市の自然観察センター。
運営は民間の団体が担い干潟の自然を解説するスタッフが4人常駐しています
(星野)こんにちは。
こんにちは。
エリマキどこら辺?エリマキシギは今ハマシギの群れの中にいます。
探しましょうか?すみません。
(男性)エリマキいます?エリマキシギ今日…今入りました。
繁殖の時期になると襟巻きのような羽をつけるエリマキシギです
星野七奈さんたちスタッフは干潟に来る鳥の数や種類羽の色などを毎日観察しています
繁殖を控えたダイサギは目の周りが青く変化していました
その日その日の鳥たちの様子
潮の満ち干や干潟の小さな生き物まで。
記録に残していく事できめ細かい案内に役立てます
一見何もいないような場所でよく見ると鳥がいたりカニがいたり潮の流れがあって刻々と移り変わっていく。
そういう自然の豊かさとか発見する事の面白さっていうのがあるんだよっていうのを伝えたいですね。
かつてこの辺り一帯は広大な遠浅の海。
谷津干潟はその一部でした
しかし昭和30年代後半から東京湾の埋め立てが本格的に開始。
多くの漁師が漁業権を放棄する中かつての塩田で国有地になったここだけは残りました
谷津干潟の周りには今50ほどのマンションが建ち並んでいます。
星野七奈さんはここで育ちました
一家がこの町に越してきたのは昭和50年代。
湾岸道路や京葉線が開通を控え東京への通勤が一段と便利になろうとしていました
小さかった星野さんにとって干潟の周りが遊び場でした。
どんな虫も怖がらず手でつかんで飛び回っていました
ベランダが一番落ち着きますね。
干潟も見えますし。
家の中にいても鳥の声がしたりとか夜とかでも鳴き交わしてたりとか飛びながら鳴いて干潟に降りてるんだなというのが気配で伝わってきますね。
いつもそばにいてくれる存在というか安心する場所ですね。

棚田は田植えの季節を迎えていました。
愛知県の東部奥三河の山懐に開かれた新城市四谷です。
空に向かって積み上がっていく棚田は「四谷の千枚田」と呼ばれています
棚田は標高差210m。
22戸が兼業で米を作っています
四谷の千枚田は一枚一枚が小さく形もさまざまです
大型の機械が入れないため多くが人の手で植えています
300年続くという農家の高橋庄一さん。
21枚の田で家族や親戚で分け合うほどの米を作っています
高橋さんの田も隅の方は機械では植えられません。
使うのは「センヒキ」と呼ばれる道具です
引いた線の上に手で苗を植えていきます
狭い田を少しでも有効に使うための知恵です
水を管理する技術も代々受け継がれてきました。
沢の上流から割った竹の水路を通して水を引き入れる見事な仕組み。
屋根の樋に似た形「トヨ」と呼ばれています
どこで調整するんですか?
(高橋)トヨを平らにすると…。
うわ〜どんどん入っていくわ。
もうちょっと少なく。
(高橋)はいはい。
こうすると…。
水を多くしたい時はトヨを平らに。
少なくしたい時は傾けます
天候で変わる沢の流れなどを見ながら毎日トヨを調整します
かつて奥三河の山あいに住む人にとって稲作ができる所は限られていました。
この地区に田がつくられたのは700年以上前。
日当たりのよい南西の斜面を切り開き一枚一枚開墾していったと言われています
しかし急な斜面では地滑りが度々起きました。
村の人たちは山の石を積み上げ支えました
隙間なく積み上げられた石の一つ一つに先人たちの汗がしみこんでいます

6月上旬
田植えが無事に終わった事を祝う集落の行事です
山から切り出した竹にろうそくの火をともしあぜ道を照らしていきます
代々続く田を守ってきた高橋庄一さんです
1,600本のともしびには苦難を乗り越え棚田を守り続けてきた先祖への思いも込められています
棚田があるという事と田植え終わったというまさに感謝の気持ちが沸々として感慨ひとしおちゅうか大げさな事言うと。
そういう気持ちです。
改めて認識する。
俺はここに住んどるんだというような意味合いを含めてさ。

今日も田に水を巡らせます

(テーマ音楽)
千枚田の水鏡。
積み上げられてきたふるさとの輝きです

(テーマ音楽)2014/04/19(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「水ぬるみ 春輝く」[字]

小さな旅では、水を慈しむ人たちを見つめてきました。山梨県忍野村。千葉県習志野市の谷津干潟。愛知県新城市の「四谷の千枚田」。3つの水の物語を故郷の風景とつづります

詳細情報
番組内容
寒さが緩み、水ぬるむ春。小さな旅では、水を慈しむ人たちを見つめてきました。山梨県忍野村。富士の伏流水は村の至る所からわき、田へと流れ、青き富士を映します。千葉県習志野市の市街地に残る谷津干潟。渡り鳥の舞う自然を解説する若い女性がいます。空に向かって積み上がっていくような棚田は、愛知県新城市の「四谷の千枚田」。先人の築いた田を、大切に守り継いでいます。3つの水の物語を故郷の風景とともにつづります。
出演者
【語り】国井雅比古

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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