金曜プレステージ・山村美紗サスペンス 赤い霊柩車33卒都婆小町が死んだ 2014.04.18

(明子)最近墓石に文字や言葉を刻むのがはやっているようです。
(明子)愛。
絆。
夢。
わが人生に悔いなし。
思い出に微笑みを。
そしてありがとう。
故人とご遺族の気持ちが込められていてとてもすてきですね。
(明子)あちらの奥さまもご主人の墓石に刻む文字を考えていらっしゃるようです。
(妻)えーと。
何がええかなぁ。
そや。
「あばよ」と。
違うなぁ。
先に逝ってくれてありがとう。
これも違うなぁ。
(妻)これから楽しい日々が続いて幸せだわ。
長過ぎるわなぁ。
えーと。
何がええかな。
清々した。
せや。
これや。
これでいこう。
どんぴしゃや!
(夫)清々したって何事や。
そうかて本心なんやもん。
あっ。
あんた。
ちょっと。
戻ってこんといて。
(夫)そうかて墓石に刻むんやったら感謝とか愛とかあんたが死んでさみしいわとか書いてくれんのとちゃうんか?
(妻)嘘はつけへんもん。
(夫)嘘って何やそれ。
感謝はしてへんし。
(夫)うん。
愛なんて冗談やないし。
(夫)えっ?あんたが死んで悲しいわ?
(夫)えっ?何が悲しいの?全然悲しくない。
あんたそういう人やったんかいな。
(妻)どんな人や思ってました?
(夫)どんな人って。
ご飯はぎょうさん食べはるわ。
食べたらすぐに寝はるわ。
寝て掃除せえとか洗濯せえとか。
肩もめとか足もめとか。
同じ空気吸うなとか。
いちいち命令しくさって。
(妻)ついでに早帰りなさい。
(夫)はい。
ああ。
清々した。
やっぱりこれや。
これでいこう。
(夫)待たんかいな。
墓石に刻印されるお言葉は永遠のものでございます。
心が温まる一言を刻んでいただければと思います。
さて葬儀の参列者を特に親しい方だけで執り行う家族葬も多く見られるようになってまいりました。
あちらのご夫婦も家族葬を検討されているようです。
(夫)お前何読んでんねや?
(妻)家族葬やて。
(夫)えっ?家族葬って何やそれ?
(妻)家族と特に親しい故人を亡くした悲しみをホンマに共有できる人限定の葬儀やねんて。
(夫)うん。
ええやんこれ。
人数少ないさかいに安うついて。
(夫)なら何かい。
家族と特に故人と親しい人が来るわけか。
そやさかいにあんたが死んでもうちは葬式に出んでもええわけよ。
(夫)えっ?特に親しいわけでもないし。
(夫)まあまあそやそや。
そやな。
あんた親しい人っていんのか?いや。
特に親しい人おらんわ。
お前はや?特にいいひんなぁ。
(夫)うん。
ケンカして絶交した人やったら山ほどおるけど。
待てよ。
家族葬っちゅうたらやなお前が先に逝ってもわしが先に逝ってもその葬儀には誰も来てないちゅうわけや。
そういうことになるなぁ。
(夫)うん。
ああ。
そうなったらそや。
わしあっちのうちで葬儀やってもらうわ。
(妻)それがいいなぁ。
(夫)うん。
(妻)えっ?あっちのうちって何え?
(夫)いえいえいえいえ。
ちゃうちゃう。
ああいや…。
(妻)あっちのうちって何え?
(夫)いやいや。
だからあっちや。
(妻)えっ?
(夫)あっち。
(妻)あっちって何え?
(夫)いえいえ。
こっち。
こっち。
(夫)こっち。
(妻)こっちってどっちえ?
(夫)どっちってそっち。
そっち。
(妻)ちょっとあんた。
(夫)はい。
(妻)あっちにも家族がいんのんか?
(夫)いや。
そやからあのう。
ちょっとだけ。
ちょっとだけ。
(妻)ちょっとだけ?
(夫)ちょっとだけね。
ちょっとだけって何やねんさ!あんた!近年人と人とのつながりが希薄になってるのではないかといわれています。
だからこそ形式だけの葬儀ではなくこういった形も必要とされるのではないでしょうか?そんな故人への感謝と惜別の気持ちをお伝えする葬儀を執り行う際にはぜひ当石原葬儀社にお任せくださいませ。
真心を込めてお手伝いをさせていただきます。

(男性)・「千秋楽は民を撫で」・「萬歳楽には命を延ぶ」・「相生の松風…」
(菊三郎)蘭之介。
足拍子が弱い。
(菊三郎)『高砂』の神舞の位になってない。
(蘭之介)はい。
本家を継ぐお前がいつまでもそんなざまでは鷺村流は鷹次郎に継がすぞ。
今日はここまで。
(蘭之介)ありがとうございました。
(蘭之介)鷹次郎。
(鷹次郎)はい。
調子に乗って勘違いするなよ。
お前は父が誰とも知らぬ女と遊んだ結果の子だ。
そんなお前に鷺村流を継がせるわけにはいかないんだよ。
(鷹次郎)承知しています。
失礼します。

(菊三郎)鷹次郎。
また置かれてる。
いったい誰が?
(従業員)またお待ちしてます。
(美鈴)いらっしゃいませ。
(従業員)お疲れさまです。
(美鈴)いらっしゃいませ。
(美鈴)いらっしゃいませ。
(従業員)お疲れさまです。
(美鈴)いらっしゃいませ。
明子さん。
いらっしゃいませ。
美鈴さん。
こんにちは。
(美鈴)いいわ。
(美鈴)ねえ。
明子さん。
今度の日曜能があるんだけど行かない?能ですか?
(美鈴)能楽師の鷺村菊三郎さんご存じ?あっ。
もちろんです。
美鈴さんの女優時代からのお知り合いですよね?
(美鈴)そう。
その菊三郎さんが『卒都婆小町』をやるんですって。
『卒都婆小町』?
(美鈴)めったに見られない演目なの。
明子さん。
都合が合えばご招待させていただきたいんだけど。
もう。
それはぜひ。
よかったら秋山さんも良恵さんも。
それから春彦さんもご一緒にどうぞ。
ホントですか?実は今日から春彦さん京都に来ることになってるんです。
あら。
それじゃあ飛びっ切りの美人にしちゃいましょうね。
アハッ。
お願いします。
はーい。
春彦さん。
(春彦)おお。
あれ?美容院行ったね。
分かる?美鈴さんのお店。
春彦さんが今日来るって言ったら念入りにやってくれた。
どう?
(春彦)ハハハ。
奇麗だよ。
ありがとう。
(春彦)美鈴さん元気?うん。
相変わらずさっそうとしててカッコイイわ。
(春彦)そりゃそうだよね。
全国で何十店舗もやってんだから。
あっ。
そうだ。
美鈴さんがね能に招待してくれたわよ。
鷺村菊三郎さんの『卒都婆小町』ですって。
(春彦)『卒都婆小町』小野小町が99歳の老婆になったときの話だ。
能の世界では100まで生きたことになってるんですって。
ふーん。
能か。
能なんてめったに見られないからご招待受けようか。
うん。
じゃあ連絡しとく。
うん。
春彦さん。
これから講義でしょ?うん。
そうだよ。
そうだな。
夕方ぐらいには戻れると思う。
分かった。
じゃあお鍋用意して待ってる。
鍋?うん。
あの鍋?そう。
あれ。
(良恵)能ですか?行きます行きますうち。
(秋山)おい良恵。
お前そんなん行ったかて分からんて向こうでぐうぐう寝てるだけじゃ。
(良恵)何をおっしゃる秋山さん。
(秋山)えっ?
(良恵)うちこう見えて伝統芸能には少々うるさいんです。
ご存じありませんでした?
(秋山)そんなもんご存じありませんわ。
(良恵)ふーん。
中でも特に詳しいのは…。
(秋山)相撲や。
(良恵)はっけよい残った残った…。
(良恵)ちゃいますわ。
(秋山)ハハハ…。
ねえ。
秋山さんも一緒に行くでしょう?
(秋山)ええいや。
能ね。
私あんなんちょっと苦手なんどすわ。
(良恵)うん。
分かる分かる。
(秋山)えっ?何で?美鈴さん。
今日はお招きにあずかりましてありがとうございます。
(美鈴)こちらこそ。
ようこそおいでくださいました。
春彦さん。
お久しぶりです。
こんにちは。
今日はありがとうございます。
(良恵)ありがとうございます。
(美鈴)あら良恵さん。
痩せた?
(良恵)嫌やわ美鈴さん。
うち元から痩せてます。
(美鈴)ごめんなさい。
どうぞ。
はい。
(かすみ)美鈴さん。
ご苦労さま。
(美鈴)かすみさん。
こんにちは。
ご紹介するわ。
私と同じく菊三郎さんの追っ掛けで島村かすみさん。
祇園の島乃井っていう料亭の若女将なの。
(かすみ)初めまして。
追っ掛け仲間のかすみです。
石原明子と申します。
美鈴さんにはいつもお世話になってます。
(美鈴)あちらが明子さんの婚約者の黒沢春彦先生。
東京の方なんですけど京都の医大に講義しにいらしてるんですよね?初めまして。
黒沢です。
(かすみ)どうぞよろしくお願いします。
(美鈴)こちらが…。
(良恵)あっ。
藤川小蝶や。
菊三郎さんと噂のある女優さん。
年の差恋愛って。
そうなの?何しに来たの?あの人。
能見たって分かりもしないくせに。
だいたい大先輩の美鈴さんがここにいるのに挨拶もしないってどういうこと?
(美鈴)女優なんてもう大昔に辞めてるからいいのよ。
(かすみ)あっ。
そうね。
あっ。
じゃあ。
失礼します。
自分だって能は分からないただのミーハーのくせに。
どうぞ。
(男性)よろしく。
(菊三郎)ではおもてを。

(謡曲・演奏)
『卒都婆小町』は小野小町を題材にした7つの能のうちの一つです
99歳になった小野小町が老いて美しさを失い落ちぶれ果ててしまったことを嘆いているうちに突然狂乱する
それはかつて小野小町に翻弄されて死んだ深草少将の怨霊が乗り移ったのです

(歓声)
(菊三郎)今日は本当にどうもありがとうございました。
(女性)よかったです。
(菊三郎)すいません。
(女性)よかったです。
(菊三郎)ありがとうございます。
(美鈴)菊三郎さん。
お見事でした。
(菊三郎)ありがとう。
(かすみ)とてもよかったわ。
(かすみ)蘭之介さん。
どうでしたか?父の舞を間近に拝見できて勉強になりました。
そう。
次はいつか蘭之介さんが『卒都婆小町』を演ずるのね。
楽しみだわ。
(蘭之介)ありがとうございます。
(美鈴)しっかりやれた?
(鷹次郎)はい。
(蘭之介)鷹次郎。
皆さまに先生の記念品を。
(鷹次郎)あっ。
すみません。
すぐ持ってまいります。
持ってきてないのか?気が利かないな。
(鷹次郎)申し訳ありません。
(蘭之介)すぐ持ってこい!
(鷹次郎)はい。
(良恵)はっ。
(鷹次郎)あっ。
すいません。
大丈夫ですか?
(良恵)ええ。
失礼しました。
(良恵)いえ。
鷹次郎さま。
ハァー。
まったく。
今日はありがとうございました。
(美鈴)いいえ。
こちらこそ。
明子さん。
またあらためて。
はい。
じゃあ失礼します。
(美鈴)どうもありがとうございました。
良恵さんは?うん?良恵さん?鷹次郎さんを追っ掛けてった。
鷹次郎さんを?うーん。
じゃあ少し待ちましょうか。
そうだね。
ハァー。
ハハハ。
もう。
もう。
良恵さんどこまで追っ掛けちゃってんのかな。

(詩織)黒沢先生。
ああ。
谷原先生。
(詩織)こんなところでお会いするなんてご縁がありますね。
こちらは?あっ。
石原明子と申します。
(詩織)西京医大の谷原詩織です。
黒沢先生には大変お世話になってます。
ああ。
そうなんですか。
黒沢先生。
この間はとっても楽しかったです。
ありがとうございました。
ああ。
いえ。
では失礼します。
奇麗な人ね。
女医さん?うん。
谷原先生。
だけど何言ってんだろう?何が?何って。
だって食堂で相席になったぐらいで。
じゃあそれが楽しかったんだ。
春彦さんと相席になったことが。
楽しいっつったって10分か15分だよ。
何?何で…。
やだ春彦さん。
むきになって。
かえって怪しく思っちゃうじゃない。
そうかな?ふーん。
(良恵)鷹次郎さま?鷹次郎さま?いはらへんかな?やっぱりロビーかな?ロビーはどっから行くんやったっけな?ロビー…。
キャー!明子。
うん。
あれ?
(良恵の泣き声)
(美鈴)良恵さん。
落ち着いて。
(良恵の泣き声)
(美鈴)ねえ。
落ち着いて。
良恵さん?医者です。
かすみさん。
春彦さん。
狩矢さんに。
ああっ。
分かった。
カヤの実。

(狩矢)どうだ?
(野村)絞殺です。
吉川線もありますんで背後から絞められたと思われます。
(橋口)凶器は女性の帯締めのようですね。
(野村)被害者のものと思われますが凶器から指紋を採るのは難しいかと思われます。
ねえ。
明子。
美鈴さん大丈夫かな。
かすみさんと親しかったんだろ?うん。
そうね。
ねえ。
春彦さん。
私ね良恵さんの悲鳴が聞こえた後能楽堂出ていく女の人見たんだ。
女の人?裏口の方から。
それは変だな。
普通悲鳴聞こえたらそっちが気になるでしょ。
あの人どこかで見た気がするんだけど思い出せないの。
知ってる人?それも分からない。
ああ。
誰だったかな。
(良恵)大丈夫よ。
鷹次郎さまに危険なことがあったらうちが守ってあげる。
(秋山)何してんねん?良恵。
いざとなったらうちの胸に飛び込んでいらっしゃい。
ねえ。
(秋山)良恵って!はい。
わっ!何が「わっ」や。
おんなじ人間と思われへんわ。
何を言うてんねん。
しょうもないこと言わんと早仕事。
仕事せい。
明子はんは?おはよう。
おはようございます。
明子はん。
ちょっと。
ちょっと。
ちょっとえらいことです。
うん?ちょっと来なはれ。
この女おかしいんですわ。
朝から仕事もせんと「ハァフゥ。
ハァフゥ。
鷹次郎さん」ってこればっかり言うてますんです。
鷹次郎さま。
うーん。
ほれほれほれ。
一遍ここでばしっと言ってください。
ばしっと。
ああ。
そうね。
はい。
あっ。
うん。
(せきばらい)良恵さん。
明子はん。
あんさん社長でっせ。
ったく。
・あら。
大変。
えっ?電話電話。
・何が大変ですねん。
はい。
石原葬儀社でございま…。
美鈴さん。
今菊三郎さんのところにお邪魔してるんですけどかすみさんのご葬儀明子さんにお願いしたいの。
はい。
うちでよろしければ承ります。
で施主はどなたに?
(美鈴)施主は鷺村菊三郎さん。
かすみさんずっと菊三郎さん応援してきたんで菊三郎さんがぜひにとおっしゃってるの。
かしこまりました。
ではかすみさんのご葬儀執り行わさせていただきます。
後ほどご相談に伺わせていただきますので。
はい。
失礼いたします。
例の祇園の料亭の若女将どすか?ええ。
うわっ。
こら大変や。
良恵。
気合を入れてやらんことにはご会葬のお客は尋常やないぞ。
おい。
鷹次郎さまもいらっしゃるわよね。
うふん。
鷹次郎さま。
良恵!ちゃっちゃとやろう。
何ぐずぐずしてるねんあんた。
さっと出せ。
さっとやれ。
ホントにもう。
ああー。
良恵。
何してんねんこんなとこで。
身だしなみです。
身だしなみってそんなんうちでしてこいよお前。
女の顔は時とともに刻々と変化するのです。
お前の顔はなずっと変化したままじゃ。
後でやれ。
あきません。
何であかんねん?今日は鷹次郎さまもご会葬にいらっしゃいます。
鷹次郎さまに素顔なんか見せたら失礼に当たります。
お前なこんなことしてなした顔鷹次郎さんに見せたら余計失礼じゃ。
どういう意味です?よう鏡見てみぃ。
自分の顔。
えーっ!よ…鷹次郎さま!ご愁傷さまでございます。
(菊三郎)ご丁寧に。
よろしく頼みます。
どうぞこちらへ。

(狩矢)菊三郎さん。
(狩矢)明子さん。
ご苦労さまです。
あのう。
ちょっとお話を伺いたいことがあるんですがよろしいですか?こちらで。
(菊三郎)何でしょうか?
(狩矢)実は亡くなった島村かすみさんと菊三郎さんが能楽師とファンの方という以上に特別な関係があったんじゃないかという噂を聞いたんですがね。
失礼なこと言わないでください。
彼女は私の芸を応援してくれる一人というそれだけです。
特別な関係などありません。
(狩矢)そうですか。
(鷹次郎)先生が警察に疑われてるんですか?事情を聞かれてるだけ。
鷹次郎さん。
こういうときこそ堂々としてなきゃ駄目でしょ。
はい。
(美鈴)菊三郎さん。
かすみさんにお別れしますか?
(菊三郎)ああ。
どうもお邪魔して申し訳ありませんでした。
いいえ。
あのう。
狩矢さん。
はい。
何でしょう?実は私かすみさんが殺害されたとき能楽堂から女性が一人足早に去っていくところを見たんです。
何ですって?
(橋口)どんな女性ですか?ああ。
50代ぐらいの女性でサングラスはしていたんですけど私どこかで見た覚えがあるんです。
ただどうしても思い出せなくて。
おい。
橋口。
もう一度聞き込みを徹底させてくれ。
はい。
(読経)あの人。
えっ?明子はん。
今来る方女優さんの戸羽万知子さんと違います?戸羽万知…。
はっ!そう。
えっ?思い出した。
戸羽万知子さんだ。
えっ?やっぱり。
こらちょっとまずいことになってきたな。
何が?いやいや。
昔の話ですけどね。
あのう。
戸羽万知子さんと梅渓美鈴さんですか?2人の女優さんが犬猿の仲やったって有名なんどす。
美鈴さんと犬猿の仲?ええ。
下手したらこれ葬儀の最中にまたケンカが始まるのんと違いまっしゃろかな。
そんな。
こりゃまずいわ。
(女性たち)卒都婆小町じゃない?卒都婆小町。
卒都婆小町?・
(小蝶)戸羽万知子さんですよね?やっぱりそう。
大昔の写真で拝見したことあります。
初めまして。
女優の藤川小蝶と申します。
(万知子)女優?通行人でもやってるのかしら?
(小蝶)はあ?何?このおばさん。
(万知子)菊三郎さん。
菊三郎さん。
お久しぶりです。
先日の『卒都婆小町』おめでとうございます。
菊三郎さん!菊三郎!申し訳ございません。
こちらにいらしていただいてもよろしいですか?
(クラクション)
(美鈴)昨日はごめんなさいね。
明子さんたちをあんな騒ぎに巻き込んでしまって。
いいえ。
万知子さんもよせばいいのにあんなところに現れて。
かつてはきらびやかなトップ女優だったのにあれじゃ台無しよね。
戸羽万知子さん。
卒都婆小町って呼ばれてましたけどどうしてですか?卒都婆小町ねぇ。
もう20年以上も前にさかのぼる話。
20年?
(美鈴)実は当時菊三郎さんが万知子さんをとても愛していて。
菊三郎さんの方が戸羽さんをですか?ええ。
2人の恋愛は小野小町と小町を愛した深草少将に例えられたの。
小野小町に。
小野小町に求愛する深草少将に小町は百夜通えばあなたの思いを遂げさせてあげると言った。
百夜通えば?
(美鈴)百の夜って書いて百夜通いっていうんだけど。
深草少将は雨の日も風の日も毎日通い続けた。
そしてついに100日目。
思いが遂げられるというその夜深草少将は病に倒れて亡くなってしまうの。
100日目に?あと1日で命果ててしまうなんて悲しいお話よね。
ホントそうですね。
(美鈴)それから何十年後か。
小野小町が年老いて99歳になり深草少将をもてあそんで死なせてしまった後悔を描いたのが能の『卒都婆小町』なの。
それで戸羽万知子さんを卒都婆小町って。
いまさら出てくるからそんなふうに言われるのに。
これ。
小野小町の歌碑ですね。
ええ。
「花の色はうつりにけりないたづらに」「わが身よにふるながめせしまに」この随心院は小野小町ゆかりのお寺だから。
(美鈴)万知子さんと菊三郎さんの恋も悲しい結末だった。
悲しい結末?万知子さんと菊三郎さんは結婚の約束をしたって聞いてたんだけどある日突然別れたの。
ある日突然って。
何かあったんですか?それは分からないんだけど。
その直後に事件が起きた。
万知子さんが自殺を図ったの。
自殺未遂。
それを機に万知子さんは芸能界から消えた。
あれからもう20年以上たつのに。
今でも戸羽万知子さんは菊三郎さんを?これ。
「小野小町縁の榧の実」深草少将が百夜通いをしたとき日数を数えるためにカヤの実を置いてったそうなの。
だからこの箱にあるカヤの実は…。
99個?そう。
もちろん当時のものじゃないけど。
百夜通いの日数をカヤの実で数えてた?そうなの。
だとするとカヤの実って愛の証しよね。
まあそういうことになるね。
かすみさんが握っていたのも何かそういう意味があるのかな?でもかすみさんの顔にかけられていた般若のおもて。
あれは嫉妬や恨みのこもった女の顔とされてる。
じゃあカヤの実と般若のおもては愛と憎しみ裏腹な意味なのね。
うん。
あのね。
それと万知子さんが菊三郎さんに投げた扇子。
扇子?うん。
能の演目にね『班女』というのがあるんだけど。
夏の間に愛用された扇子が秋になって涼しくなると不要になって捨てられるっていう例えを演じたものなんだよ。
秋には扇子が不要になって捨てられる。
何か悲しくなっちゃうわね。
でもね最後はその扇子のおかげで別れた2人がまた結ばれるっていう話なんだ。
だから万知子さんは扇子を持っていた?かもしれない。
はあ。
戸羽万知子の20年に及ぶ恋か。
何かすごい話ね。
いただきます。
あれ?でも万知子さんが菊三郎さんとかすみさんの関係を知っていたとしたら?えっ?じゃあ戸羽万知子さんがかすみさんを?だって能楽堂から出てったんだろ?
(良恵)鷹次郎さま。
うーん。
おいおいおいおい。
何やこれ?ようけ飾りたてやがって。
うちはプロダクションとちゃうで。
おい。
こら。
よう見てみぃこれ。
この男と私。
えっ?私の若いころの方がずっとええ男じゃわい。
そうですか。
分かってないなこいつは。
ホントにもう。
・おはよう。
あっ。
おはようございます。
あっ。
社長。
これ。
これ見んといてください。
それよりあのう。
菊三郎さんからねあのう葬儀の節にはえらいご迷惑掛けましたってお電話ございましたんです。
菊三郎さんから?はい。
ほいでわてあのう葬儀のときはこういうことはしょっちゅうあることでございますから気になさらずにってお返事返しときましたです。
ええ。
何せねぇわてこう見えても1級葬祭…。
ディレクター。
お前な全部言わさしてくれよ。
秋山さん。
はい。
私菊三郎さんのお宅に葬儀費用のご報告に行ってくるから。
あっ。
いってらっしゃいませ。
いってらっしゃいませ。
はい。
はいはい。
お前なこのなこの鷹次郎さん鷹次郎さんって飾りたてることだけなもうやめてくれ。
気色悪いから。
そうはいきません。
うち良恵は鷹次郎さまの心のしもべでございますから。
心のしもべ?どこぞの霜焼けみたいな顔してようそんなこと言うな。
鷹次郎さま。
あかん。
(狩矢)菊三郎さん。
女優の藤川小蝶さんと婚約なさるそうですね?
(菊三郎)それはまだ正式には。
(橋口)藤川小蝶さんは日本舞踊の家元のお嬢さまですしとてもいい縁談ですね。
葬儀の日にもめ事があったと伺ったんですが。
相手の女性は女優の戸羽万知子さん。
ええ。
(狩矢)戸羽万知子さんといえばかってのトップ女優で確かあなたとも噂のあった方ですよね?
(菊三郎)それが何か?いや。
彼女のことはもう遠い昔のことです。
でも最近何かがあって葬儀でのトラブルになったわけではないんですか?
(菊三郎)私にはまったく身に覚えがありません。
(蘭之介)鷹次郎。
ここで何をしている?盗み聞きか?
(鷹次郎)申し訳ありません。
さすが泥棒猫の子だけあるな。
あなたは。
菊三郎さんに万知子が来たと伝えてくださる?駄目です。
(万知子)大事なお話があるの。
(蘭之介)何ですか?あなた。
(万知子)菊三郎さん。
万知子です。
お話があるの。
(蘭之介)鷹次郎。
何をしてる。
この女を放り出せ。
(万知子)菊三郎さん。
万知子です。
お話があるの!・
(鷹次郎)やめてください。

(万知子)菊三郎さん!・
(鷹次郎)お引き取りください。

(万知子)菊三郎さん!戸羽万知子さん?
(万知子)菊三郎さん!せめて。
せめて話でも…。
何やってるんですか?ちょっと。
乱暴はやめてください。
大丈夫ですか?
(万知子)ええ。
何があったんですか?
(菊三郎)何を騒いでるんだ?
(万知子)ああ。
菊三郎さん。
(蘭之介)刑事さん。
この女を逮捕してください。
待ってください。
何か用事があっていらしたんだと思います。
お話だけでも聞いてさしあげてはいかがでしょうか?お引き取り願え。
(万知子)菊三郎さん。
ではこれを。
せめてこれだけ受け取って。
ありがとう。
菊三郎さん。
戸羽さん。
行きましょうか。
ありがとう。
(菊三郎)捨てとけ。
(鷹次郎)はい。
(狩矢)ちょっと失礼。
あのう。
これ拝見させていただいてよろしいですか?
(菊三郎)どうぞ。
カヤの実ですね。
(狩矢)うん。
(万知子)ごめんなさいね。
あなたにはすっかりお世話かけてしまって。
あっ。
いいえ。
どうぞ。
ありがとうございます。
失礼します。
ハァー。
ホントに私どうしちゃったのかしら。
彼のこと思うと冷静さを失ってしまって。
あっ。
恥ずかしいわ。
でもありますよねそういうことって。
あなたもそう?危ない危ない。
これをやっちゃいけないって思うことあります。
あっ。
ほれた弱みね。
はい。
でも年を取っても恋をしてはいけないってことはないわよね。
ええ。
私も幾つになっても恋をしていたいって思ってます。
そうよね。
はい。
実はね私ずいぶん前の話になるけど菊三郎さんと結婚の約束をしていたの。
あっ。
そうなんですか。
でも鷺村流の人たちに大反対されて別れさせられた。
鷺村流の人たちに?それはどうしてですか?そうね。
好きだけじゃ乗り越えられないどうにもならないこともあるってことかしら。
どうにもならないこと?あっ。
だから今になってもいつまでたっても自分の気持ちにけじめがつかなくって。
あっ。
ごめんなさい。
今お茶を入れるわ。
あっ。
私これで失礼します。
あら。
そんなこと言わずに。
いえ。
実はまだ仕事が残ってて。
あら。
悪かったわね。
今日はありがとう。
いいえ。
こちらこそとても楽しかったです。
狩矢さん?狩矢さん。
(狩矢)あっ。
お忙しいとこ申し訳ありません。
いえ。
何でしょうか?
(橋口)先ほど戸羽万知子さんが菊三郎さんに渡した封筒の中にこれが入ってたんですよ。
カヤの実ですか?
(橋口)ええ。
先日島村かすみさんが亡くなったときに能楽堂から足早に去っていく女性がいたとおっしゃいましたが。
それは戸羽万知子さんではありませんでしたかね?
(狩矢)明子さん。

(足音)
(アナウンス)おかけになった電話は電波の届かない場所におられるか…。
うーん。
(通話を切る音)・あっ。
はい。
もしもし。
もしもーし。
どちらさまでしょうか?もしもし…。

(不通音)うんっもう。
何?もう。
ハァー。
よしっと。
(キャスター)能楽師の鷺村菊三郎さんと女優の藤川小蝶さんが明日婚約発表の記者会見を開くそうです。
2人は…。
菊三郎さんが?
(チャイム)・
(ドアの開く音)あっ。
どうしちゃったの?全然連絡取れないから心配しちゃった。
うん。
ちょっとトラブルがあって。
えっ?で解決したの?うん。
うん。
あっ。
そうだ。
菊三郎さんが小蝶さんとあした婚約発表の記者会見やるってニュースが流れたの。
またずいぶん微妙な時期だね。
うん。
万知子さん大丈夫かしら。
あした会いに行ってこようかな。
狩矢さん。
(狩矢)明子さん。
どうしたんですか?戸羽万知子に何かご用ですか?ええ。
ちょっと気になることがあって。
狩矢さんは?いや。
実は島村かすみ殺害のときにあのう。
顔にかぶされていた般若の面。
あの面から能楽関係者以外の指紋が検出されていたんですがその中の一つがあの封筒から検出された戸羽万知子のものと一致したんです。
それで署の方へ同行していただいて事情聴取をさせていただきます。
おい。
(橋口)はい。
(チャイム)
(橋口)戸羽さん。
戸羽さん。
いらっしゃいますか?橋口。
そっちへ回ってくれ。
(橋口)はい。
(橋口)警部。
(橋口)戸羽さん。
(狩矢)戸羽さん。
戸羽さん。
いらっしゃいますか?
(橋口)逃げたんでしょうか?
(狩矢)ちょっと2階見てみろ。
(橋口)はい。
(狩矢)戸羽さん。
戸羽さん。
いらっしゃいますか?・
(橋口)狩矢警部!万知子さん?橋口。
鑑識だ。
(橋口)はい。
狩矢さん。
手に何か。
カヤの実。
(野村)警部。
服毒死かと思われます。
(狩矢)服毒自殺かもしれませんね。
自殺?
(狩矢)寝姿も奇麗になってましたし。
毒物が発見されたんですか?
(狩矢)いや。
それはまだですけど。
亡くなったのは何時ごろなんでしょう?
(橋口)午前2時ごろだと思われます。
午前2時?
(橋口)ええ。
(狩矢)何か?あっいえ。
奇麗にお化粧されてましたよね。
(狩矢)ええ。
そんな時間にお化粧なんて。
死を覚悟して化粧したんじゃないでしょうか。
じゃあ。
菊三郎さんが小蝶さんと婚約したのがやっぱりショックだったんでしょうか?万知子さんとても奇麗で。
まるで眠ってるようでした。
(美鈴)そう。
それならよかった。
あの戸羽万知子が最期に惨めな姿じゃ悲しいものね。

(足音)あっ。
谷原先生。
(詩織)春彦さんが困ってます。
すぐ別れてください。
困ってる?しつこく付きまとってるそうですね。
はあ?別れないというなら…。
これ以上春彦さんを困らせるのはやめなさい。
邪魔しないで!あっ。
・やめろ!春彦さん。
春彦さん。
大丈夫よ。
後は私に任せて。
何をしてるんだ?谷原先生。
この人が私たちの邪魔してるんでしょ?いなくなってもらうのが一番じゃない。
僕が愛してるのは明子ただ一人だ。
君じゃない!春彦さん…。
(泣き声)明子。
ホントにすまなかった。
フフッ。
大丈夫。
春彦さんのせいじゃないし。
この前遅くなったときも彼女が付き合ってくれなきゃ死ぬって騒ぎだしちゃって。
病院から出られなくなっちゃったんだよ。
そうだったの。
人を好きになると周りが見えなくなっちゃうから。
うん。
ねえ。
万知子さんもそうだったのかな?ううん。
私の見た万知子さんはそんなふうじゃなかった。
万知子さん自分のやってることを情けないっておっしゃってたし。
分からなくなってるって感じは全然しなかったわ。
じゃあ万知子さんが嫉妬に狂ってかすみさんを殺害するっていうことはない?うん。
じゃあ万知子さんの自殺は?ホントに自殺なのかしら?だって夜中の2時にあんなに奇麗に化粧してるってどうなの?それに全てが揃い過ぎてる気がする。
能楽堂を去っていった女。
能面には万知子さんの指紋。
そして手のひらには小野小町のカヤの実。
まるで万知子さんが犯人ですって導いてるみたいじゃない。
うん。
じゃあ誰かに殺された?うん。
その犯人がかすみさんも?そんな気がする。
おはよう。
あっ。
おはようございます。
明子はん。
明子はん。
うん?あれどう思います?昨日まで鷹次郎さん鷹次郎さんってアホなため息ばっかりついとったんです。
けさちょっと様子がおかしいんです。
良恵さん。
はっ。
どうしたの?明子さん。
あきませんあきません。
えっ?どうしたのよ?うっ。
知りません。
うち何も知りません!
(泣き声)良恵!ちょっとこれ。
良恵さん。
良恵さん。
ハァー。
良恵さん。
どうしちゃったの?あっ。
うち何にも見てません。
何を?鷹次郎さまが戸羽万知子とこっそり密会してたからって鷹次郎さまが犯人なんかじゃありません。
鷹次郎さんが戸羽さんと密会してたの?2人が何か言い争ってたなんてうち見てません。
言い争ってた?あっああ。
おとといの夜うち鷹次郎さまの追っ掛けをしてて。
おとといの夜?公演が終わって菊三郎さんをご自宅へ送っていかはってしばらくして鷹次郎さまが一人で出てきはって。

(鷹次郎)《何なんですか?あなたは》
(鷹次郎)《いまさら何を言ってるんですか!》「いまさら」?鷹次郎さまその後突然怒って帰ってしまわりました。
そのお顔がまたすてきで。
うちもうしびれてしもうて。
動けへんようになってしまいました。
鷹次郎さんと万知子さんが?ええ。
ねえ。
鷹次郎さんって鷺村家の分家の息子だよね?そう。
2歳のときに鷺村家の分家の杉田家の養子になったらしいんだけど。
ホントの両親は不明なの。
ああ。
それで本家の方の蘭之介さんは鷹次郎さんにきつく当たってたのか。
まさか鷹次郎さんが万知子さんを殺したなんてことはないと思うんだけどね。
ねえ。
万知子さんと何もめてたんだろう?
(美鈴)あら。
明子さん。
今日予約入ってましたっけ?あっいえ。
今日は違うんです。
美鈴さんにお願いがあって。
(美鈴)何かしら?鷹次郎さんと直接連絡を取りたいんですけど。
携帯の番号とかご存じありませんか?鷹次郎さん?偶然ね。
今日うちに来ることになってるの。
そうなんですか?
(鷹次郎)あっ。
やっぱりこういう家がいいですね。
あっ。
すいません。
私までお邪魔しちゃって。
私ホント何か手伝います。
(美鈴)いいのよ。
休んでて。
鷹次郎さんに何か聞きたいことがあるんでしょ?あっ。
(鷹次郎)何でしょうか?何日か前戸羽万知子さんとお会いになったんですって?偶然知り合いが見掛けたらしくて。
菊三郎先生に付きまとっていたのでいいかげんにしてくださいと言っただけです。
だから僕があの人を殺したとでもいうんですか?あっ。
そうじゃないの。
ただ「いまさら何を言ってるんですか?」って鷹次郎さんが怒ってらしたっていうから。
(鷹次郎)とにかく僕には能楽師としての夢がありますしそんなことは決してしないとその方にお伝えください。
そうね。
ごめんなさいね。
変なこと聞いて。
(美鈴)いつの間にか立派なこと言うようになったのね。
(鷹次郎)これでも19歳ですから。
(美鈴)あら。
りりしい。
鷹次郎さんはよくこちらにはいらっしゃるんですか?
(鷹次郎)ええ。
お休みのときはいつもここへ。
(美鈴)いい年ごろなんだから彼女のところにでも行けばいいのに。
(鷹次郎)ここが僕の実家ですから。
実家?
(鷹次郎)美鈴さんがお母さんで。
お母さん?
(美鈴)そう思ってるだけ。
僕実家がないし両親も知らないんでここが実家でお母さんです。
ここで美鈴さんとどうでもいい話をしてると気が休まるんです。
(美鈴)どうでもいいって何?いいことだって言うでしょ。
(鷹次郎)はい。
時々。
時々だって。
ねえ。
憎たらしいでしょ。
まるでホントの親子みたいですね。
美鈴さんみたいな人が本当のお母さんだったらいいなっていつも思ってるんです。
(美鈴)いいから早く食べなさい。
はい。

(チャイム)
(狩矢)どうもお休み中申し訳ありません。
ちょいとお伺いしたいことがありまして。
(狩矢)明子さん。
どうして?ええ。
ちょっと。
あっ。
美鈴さん。
私今日はこれで。
ありがとうございました。
いいじゃない。
お食事してけば。
また今度あらためて遊びに来ます。
じゃあ失礼します。
(狩矢)あのう。
一昨日の夜おとといの夜ですがね。
梅渓美鈴さん。
どちらにいらっしゃいました?
(橋口)戸羽万知子さんの亡くなった夜です。
(狩矢)やっぱり待ってましたね。
すいません。
やっぱり気になって。
実は万知子さんが亡くなった夜万知子さんの家をこの美鈴さんが訪ねていたという目撃情報が出たんです。
美鈴さんが?
(狩矢)ええ。
それでアリバイを確認しに行ったんです。
じゃあ狩矢さん。
警察は万知子さんの死を他殺とみてるんですね。
いや。
それはまだ分かりませんが。
万知子さんが飲んだ毒物があの家のどこからも出てこない今事件性も考えなければいけない状況です。
ただいま。
おかえりなさい。
明子はん。
どこ行ってはりましたんです?えっ?また刑事ごっこでもなさってんじゃないでしょうな。
鷹次郎さま。
うるさい!困ったもんやね。
真面目にお仕事してくださいよ。
明子はん。
あんさんここの社長さんどっせ。
ホントにすいません。
ホントにもう。
ほいこれ。
えっ?古い雑誌どす。
これ美鈴さんと万知子さん?そう。
うちの押し入れの奥の方からありました。
何せ戸羽万知子さんにお会いしてから気になって探してたら出てきたんどす。
二大女優初共演。
当時の2人は犬猿の仲で初共演するっちゅうんでマスコミが大騒ぎした。
へえー。
そうなの。
ええ。
鷹次郎さま。
ほっといてくださいよ。
これは心のしもべ。
どうにもなりまへんわ。
(桂木)石原さんですか?あっはい。
(桂木)どうぞこちらへ。
これなんですが。
(桂木)おおー。
これは懐かしい。
この撮影随行記は桂木さんがお書きになったんですよね?
(桂木)ええそうです。
大変な仕事でした。
大変?
(桂木)戸羽万知子と梅渓美鈴。
(桂木)犬猿の仲の2人が共演するんで現場はぴりぴりでしたしね。
どうして犬猿の仲だったんでしょう?何かあったんですか?
(桂木)それは鷺村菊三郎のことでしょう。
鷺村菊三郎。
(桂木)三角関係でしたからね。
三角関係!?万知子さんと美鈴さんと菊三郎さんがですか?
(桂木)そう。
だから女優として演技で戦い女として鷺村菊三郎を奪い合うってんで現場は修羅場ぎりぎりでしたよ。
美鈴さんも菊三郎さんを。
戸羽万知子はさすがに名演技でしたが梅渓美鈴がうまくいかなくて毎日監督に怒鳴られてましてね。
美鈴さんが?
(桂木)でも不思議なことに撮影何日目だったか突然梅渓美鈴の演技がよくなりましてね。
突然?それから撮影も快調で。
ご覧になったかどうか。
とっても素晴らしい映画になりました。
戸羽万知子と梅渓美鈴のコンビもなぜか素晴らしくてね。
突然よくなった理由は何なんですか?いや。
それは分からないんですが。
その後戸羽万知子が鷺村菊三郎と婚約して一件落着したんだけど傷心の梅渓美鈴は女優引退した。
美鈴さんは菊三郎さんのことが原因で引退されたんですか?
(桂木)表向きじゃ色々言ってましたが真相はそうでしょ。
ああ。
そうだったんですか。
毎度。
石原葬儀社の大番頭秋山です。
今回の舞台は伝統芸能能楽。
小野小町の伝説百夜通いになぞらえた殺人事件。
般若の面とカヤの実の謎を追う明子はん。
卒都婆小町と呼ばれた女優の突然の死。
そして明子はんがたどりついた驚愕の真実とは。
皆さま最後までどうぞ楽しんでおくれやす。
三角関係?そうなんですって。
菊三郎さんを2人が取り合っていたから犬猿の仲って騒がれたみたい。
うん。
それで菊三郎さんは万知子さんの方を選んだってことか。
ねえ。
もしよ。
もし美鈴さんが万知子さんを殺したんだとしたらそれって鷹次郎さんのためってことかな?うん。
あの2人ホントの親子みたいだったんだろ。
春彦さん。
もしかして鷹次郎さんは…。
菊三郎さんと美鈴さんの子供ってことはないかしら?・
(謡曲)
(美鈴)あら。
明子さん。
こんにちは。
(美鈴)どうしたの?葬儀の請求書を持参したんです。
(美鈴)そう。
菊三郎さん今お稽古中だからここで待ってましょう。
はい。
刑事さんに聞いたんでしょ?あの晩私が万知子さんのうちに行ったこと。
はい。
私も鷹次郎さんと一緒。
「もうカッコ悪いから菊三郎さんに付きまとうのはやめて」って言いに行ったの。
「戸羽万知子が何してるの?」って。
そうだったんですか。
たった一度だけど共演もした仲だしね。
その映画のことをある方から伺ったんですけど美鈴さん大変だったみたいですね。
ああ。
犬猿の仲の2人が共演ですものね。
誰かに聞いたの?私と万知子さんとそれから菊三郎さんのこと。
はい。
それが犬猿の仲の原因だって。
もうずいぶん昔だけど私も菊三郎さん好きになって。
でも万知子さんが勝って私はきっぱり諦めたけど。
美鈴さん。
この間私が美鈴さんのお宅に伺ったとき美鈴さんと鷹次郎さんがまるで親子のように思えたんですけど。
まさか鷹次郎さんが私と菊三郎さんの子だっていうの?
(菊三郎)明子さん。
あなたいったい何を嗅ぎ回ってんですか?お邪魔しております。
(美鈴)菊三郎さん。
(鷹次郎)そのとおりですよ。
明子さん。
僕の母親は美鈴さんです。
(菊三郎)鷹次郎!明子さん。
確かに鷹次郎は私の子だ。
でも美鈴さんの子じゃない。
でもそれが何なんですか?誰の子だっていいじゃないですか。
ただでさえ殺人事件で混乱してるのに。
もうこれ以上鷺村流をかき乱さないでほしい。
私はこの流派を守らなければいけないんだ。
申し訳ございません。

(蘭之介)石原さん。
ああ。
蘭之介さん。
(蘭之介)二度と父の前で戸羽万知子の話や鷹次郎の話をしないでいただきたい。
それはどうしてですか?鷺村家では決して触れてはならないことだからです。
決して触れてはならないこと?これ以上父の気持ちをかき乱さないでいただきたい。
明子。
どうだった?ううん。
鷹次郎さんは美鈴さんと菊三郎さんの子供じゃなかった。
そう。
ただ菊三郎さんが父親であることは間違いなかった。
美鈴さんが母親じゃないとすると…。
万知子さんってことになるのかしら?だけど2人は婚約までして何で別れなきゃいけなかったんだろう?万知子さんは鷺村流に大反対されたって言ってた。
鷺村流!?うん。
さみしそうに笑って。
好きって気持ちだけじゃ乗り越えられないこともあるって。
乗り越えられない?菊三郎さん鷹次郎さんの母親を探られることについてすごく警戒してる。
それは鷺村流に関わること?そう思う。
蘭之介さんが鷺村流にとって決して触れてはならないことって言ってたし。
何か秘密があるわね。
菊三郎さんと万知子さんの結婚が反対されていたときの宗家っていうのは…。
菊三郎さんのお父さんの菊之助さん。
ねえ。
菊三郎さんは先妻の子で継母がいたんだけど失踪してるわ。
失踪?それ捜索願って出てないかな?あした狩矢さんに聞いてみる。
うん。
それいつ?えっとね。
あった。
昭和33年。
33年?何?いや。
これちょっと見て。
いい?先代宗家の一番弟子で鷹作さんって人がいるんだよ。
これがその年出てんだけどよくとしには一覧に出てないんだよ。
出てない。
引退したってことかな?いや。
そう思ったんだけど他の人の引退は記述があるんだけどこの鷹作さんのは記述がないんだよ。
それが昭和33年?そう。
じゃあおんなじ年に菊三郎さんの継母と鷺村流の一番弟子が姿を消したってこと?
(狩矢)鷺村菊之助さんの奥さん。
確かに捜索願が出ていたんですがすぐに取り消されていました。
取り消されていた?それはどうしてですか?いや。
それがですね宗家の後妻は他の男の子供を妊娠して駆け落ちしたんだそうです。
妊娠して駆け落ち?明子。
その相手って。
一番弟子。
うん。
(美鈴)それは私も能のファンだから決して口外してはいけないことだと思ってるんだけど。
菊三郎さんのお父さんの後妻さんが駆け落ちした相手というのは先代の一番弟子鷺村鷹作さんですか?そのとおりよ。
宗家の奥さまが一番弟子と駆け落ちだなんて大変なスキャンダルだから当時鷺村流だけじゃなくて能楽界全体にかん口令が敷かれたそうなの。
その後のお二人の消息は?そこまでは知りませんけど。
駆け落ちしたとき後妻さんって妊娠されていたんですよね?そのお子さん無事に生まれたんでしょうか?美鈴さん。
もしかしてその子が万知子さんなんじゃありませんか?つまり戸羽万知子さんは駆け落ちした鷺村流の先代宗家の後妻さんと一番弟子の鷹作さんの子供だった。
鷺村流を裏切った2人の。
そう。
万知子さんは鷺村流にとって禁断の子だったの。
禁断の子。
その禁断の子とよりによって鷺村流の次期宗家菊三郎さんが愛し合い婚約してしまった。
だから鷺村流から大反対されたんですね。
そのときに菊三郎さんは万知子さんの出生の秘密を知り結婚ができないことを知った。
それで婚約を破棄した。
そのことを万知子さんご存じだったんですか?ええ。
別れるときにホントの事情を知ったんでしょうね。
二度と菊三郎さんと結ばれることはないと思って万知子さんは自殺を図った。
鷹次郎さん。
万知子さんの子だったんですね。
ええそう。
でもこのことは決して口外しないでください。
鷹次郎さんの未来が閉ざされてしまうわ。
私は何をやっても万知子さんに勝てなかった。
でもあの人にも一つだけできないことがあった。
そう。
あの人に母親は無理だった。
とにかくもう鷺村流のことは詮索しないで。
ねえ。
美鈴さん今でも菊三郎さんを好きってことはないのかな?もしそうだとしたらかすみさんと万知子さんを殺す動機にもなる。
女の嫉妬?般若の面もあったし愛の証しであるカヤの実も持たされていたでしょ。
ああー。
でもやっぱりあり得ないわ。
だって噂どおりの犬猿の仲だったら万知子さんが産んだ菊三郎さんとの子供鷹次郎さんをあんなにかわいがるわけないもの。
おい良恵。
お前鷹次郎さんの次はまんじゅうか?いつ仕事に入るんや?もちろんこれ食べてからです。
これこの前能見に行ったときに鷹次郎さまから記念にってもろたおまんじゅうなんです。
また鷹次郎さんか。
鷹次郎さまの愛が詰まったおまんじゅう。
お前賞味期限切れてるで。
これ。
えっ!?ただいま。
(2人)あっ。
おかえりなさい。
ホントにもう。
わあ。
ねえねえ。
ちょっとおいしそうね。
ああー。
もうかびてます。
鷹次郎さま。
ごめんなさい。
あんまり大事にし過ぎたおかげでおまんじゅうにかび生えさせてしまいました。
おわびにうち一生あなたさまについていかしていただきます。
ねえ?良恵さん。
これって私たちが見たときの『卒都婆小町』の写真?これ違います。
これはついこないだまた『卒都婆小町』やらはったときの写真です。
じゃあ私たちが行ったときの写真って持ってる?持ってます。
えっとね。
確か…。
あっ。
これです。
お忙しいところをお集まりいただいて申し訳ありません。
(菊三郎)いったい何事ですか?実は一連の事件の真相が分かったのでお話しさせていただきます。
(美鈴)一連の事件って。
万知子さんは自殺でしょ?いいえ。
万知子さんは殺されたんです。
かすみさんを殺害した犯人に。
いいえ。
万知子さんは殺されたんです。
かすみさんを殺害した犯人に。
菊三郎さん。
あなたが殺したんですね?鷺村流の秘密を守るために。
どうして私が?菊三郎さんのお父さま菊之助さんのことを調べさせていただきました。
あなたのお父さんの後妻さんは一番弟子の鷺村鷹作さんと駆け落ちをした。
そうですね?そしてそのお二人の間に生まれた子供が戸羽万知子さんだった。
万知子さんは鷺村流にとって禁断の子だった。
そしてそのことは能楽界と鷺村流以外には決して漏らしてはいけない秘密だった。
でも何も知らないあなたと万知子さんは愛し合い婚約した。
当然鷺村流からは大反対され菊三郎さんも事情を説明され別れざるを得なかったんでしょう。
でもそのとき万知子さんのおなかにはお二人の子供が宿ってたんですよね?それが僕?かすみさんはそのことであなたに迫ったんじゃありませんか?小蝶さんとの婚約は許さない。
自分と結婚しろと。

(かすみ)《何かしら?》
(かすみ)《小蝶さんと婚約しない決心がついたの?》《違うの?》《だったらマスコミに全部流すから》《あなたがかわいがってる鷹次郎さんは万知子さんという鷺村流にとって禁断の子の息子だって》
(菊三郎)《かすみ》
(かすみ)《あなたはいいかもしれないけど鷹次郎さんはこれで終わりね》《能楽界には二度と足を踏み入れられなくなる》《ハハハ!》
(菊三郎)《君って人は》《結婚してくれたら黙っててあげるって言ってるでしょ》《よく考えてね》
(菊三郎)《待て!》
(かすみ)《あっ!?》《何するの!?何するの!?嫌!嫌!あっ!?》
(菊三郎)《そんなことはさせない》違いますか?私ではない。
かすみさんの顔にかぶせられていた般若のおもてには万知子の指紋が付いてたんだろ?かすみさんの顔に般若のおもてはかぶせていないしカヤの実も握らせていない。
そうですね?そうだ。
万知子さんです。
万知子さんはおそらくあなたがかすみさんを殺害した現場を見てしまったんでしょう。
万知子が指を?そうです。
あなたを守るために。
そしてあなたにだけ分かるようかすみさんの手にカヤの実を持たせた。
なのにあなたその万知子さんも殺してしまったんです。
なぜ殺したんですか?あんなにもあなたのことをいちずに愛して守ってくれた人を。
あなたを脅したりしましたか?以前明子さんが戸羽万知子さんの部屋へ行ったとき壁にはこの能面が飾られていたそうです。
しかし先日戸羽さんが亡くなったときにはこれが消えていた。
(狩矢)そうですね?明子さん。
菊三郎さん。
あなたはこの能面をかぶって『卒都婆小町』を舞っていらっしゃいましたよね?私たちが拝見したときとは違うこの能面で。
(狩矢)裏には鷺村菊之助と銘が打ってあります。
あなたのお父さんのものですね?そしてこれは大変な名品だそうですね。
そんな大切な能面がなぜ万知子さんの家にあったんでしょうか?かつて一番弟子の鷺村鷹作さんと駆け落ちしたときに持っていかれたんじゃないですか。
そうです。
その能面は万知子の家から持ってきました。
(菊三郎)万知子はかすみを殺すところ見てたんです。
だから殺すしかなかった。
鷺村流を守るには。
(菊三郎)《般若のおもてやカヤの実や》《どうしてあんな細工をしたんだ?》《私を脅そうとでも思ったのか?》《脅す?何言ってるの?》《私があなたを脅すなんてそんなことしないわ》《それよりこれをお返しするわ》《いつかそれをつけて舞ってほしいの》《鷹次郎と一緒に》《菊三郎さん?》《すまない》《どうして?私はただ…》万知子さんはただそばにいたいだけだったんだと思います。
菊三郎さんと鷹次郎さんの。
僕と?そうですよね?美鈴さん。
明子さん。
万知子さんは自殺よ。
大女優として潔く自らの命を絶ったのよ。
私今やっと分かりました。
美鈴さんホントは万知子さんと犬猿の仲なんかじゃなかったんですね。
同じ道を歩む戦友だった。
美鈴さんが万知子さんのお化粧されたんですね。
(美鈴)あの日菊三郎さんと小蝶さんの婚約のニュースがあって。
私万知子さんが心配になって会いに行ったの。
そしたら万知子さん…。
(万知子)《ただ3人で一緒に暮らしたいだけなのにね》《うまくいかないものね》
(美鈴)落ち着いてたから大丈夫だと思って一度は帰ろうとした。
でも何か嫌な予感がして戻ったら…。
《菊三郎さん?》
(美鈴)《万知子さん!?》《万知子さん!大丈夫?万知子さん!》《美鈴さん?》《しっかりして。
救急車呼ぶわ》《駄目。
駄目。
このまま。
このままにして》《でも!》《しかたがないのよ。
3人一緒になんか暮らせるはずがないんだから》《万知子さん》《美鈴さん》《お願いがあるの》《菊三郎さんのこと守って。
お願い》《ええ》《よかった》《ありがとう》《あなたいい女優さんだったわ》《ありがとうございます》《私の次にね》《万知子さん》《万知子さん。
万知子さん!万知子さん!》100個目のカヤの実ですね。
そう。
やっと小野小町と深草少将が結ばれる100個目。
(鷹次郎)どうしてあんな人のために美鈴さんが?あんな人なんて言ってはいけないわ。
万知子さんは。
あなたのお母さんはとってもすてきな人だった。
お二人が初共演なさった映画である日を境に美鈴さんの演技が変わったというお話を聞きました。
それも万知子さんが関係してるんですか?
(美鈴)あの映画のとき私があんまりひどくて撮影が滞ってついに監督が怒鳴り散らし始めたの。
(監督)《はいカット》《だからそうじゃないだろ》
(美鈴)《すいません》
(監督)《何回やり直せば気が済むんだよ?》
(美鈴)現場のスタッフはもう私にあきれ顔でそんなとき万知子さんが突然大声を出したの。
「何してんのあなた!」って。
付き人を怒鳴ったの。
「喉あめがないじゃない」って。
「いつも用意しときなさいって言ってるのにどうして買ってないの?」って。
それで私はうまく演技できなくて駄目だったし万知子さんも怒り始めたんで撮影は休憩に入ったの。
それで私すぐ万知子さんに謝りに行ったの。
そしたら万知子さん知らん顔で「これどうぞ」って私に喉あめを差し出したの。
(万知子)《はいどうぞ》最初からあったのよ。
最初からあった。
それじゃあ万知子さん美鈴さんのために?
(美鈴)そう。
現場で孤立してスタッフみんなが冷たく見てるのを見て私を助けるために付き人を怒鳴ったの。
それからは万知子さんがいい気になってるとか陰口をたたかれるようになって私への矛先が少し万知子さんに向くようになった。
それも計算して万知子さんは美鈴さんを助けてくれたんですね。
そう。
あれは一生忘れないわ。
犬猿の仲だっていわれてたけど私もともと万知子さんを女優として尊敬してたし憧れの人でもあった。
鷹次郎さん。
あなたは女優戸羽万知子の息子であることを誇りに思いなさい。
胸を張って生きてくのよ。
鷹次郎さん。
万知子さんが菊三郎さんに送っていたカヤの実。
あれは菊三郎さんへの愛の証しだけではなかったと思います。
カヤの花言葉に努力っていう意味もあるんだ。
努力。
お母さんから息子への励ましの言葉でもあったんじゃないかしら?お母さん。
(狩矢)鷺村菊三郎さん。
署の方で事情聴取をさせていただきます。
(菊三郎)刑事さん。
能面をお返しいただけますか?
(狩矢)どうぞ。
(菊三郎)ありがとうございます。
鷹次郎。
鷺村流を頼んだぞ。
はい。
(狩矢)梅渓美鈴さんもご同行願います。
(美鈴)はい。
申し訳ありませんでした。
美鈴さん。
女優戸羽万知子の最期のお化粧。
とても奇麗でした。
そう。
よかった。
大女優の最期ですものね。
私にできることを精いっぱいやらせていただいたの。
はい。
(狩矢)さあ。
(狩矢)お願いします。
ライバルって素直に友達にはなれないのかしら?うん。
それは難しいね。
お互いプライドあるだろうし。
でもお互い認め合ってはいるのよね。
そりゃ苦労分かってるからさ。
心は親友ねきっと。
唯一無二の親友だね。
私たちはどうなの?うん?心は親友?唯一無二の…。
恋人。
ありがと。
でも妻でもいいのよ。
唯一無二の。
それはそうなるんだけど。
京都への転勤話が進まないんだよ。
ハァ。
早くしてね。
もうカヤの実33個もたまっちゃってるんだけど。
ただいま。
おかえりなさい。
おかえりなさい。
明子さん。
うち思うんです。
うん?何を?小野小町みたいな絶世の美女に生まれんでよかったなって。
どうして?絶世の美女ってね結局不幸になるでしょ。
クレオパトラも楊貴妃も。
せやさかいにうちホンマよかった。
ぎりぎりで。
えっ?ぎりぎりって何や?お前。
いや。
せやから絶世の美女とぎりぎりでそこまでいかへんっていう…。
明子はん。
次の葬儀の話…。
ああ。
そうそう。
秋山さん。
そう思うでしょ?うちぎりぎりで。
お前うるさいねん。
あっち行けや。
心の霜焼け。
もう。
あのな絶世の美女とぎりぎりでしょ。
うち。
ねえねえ。
そう思わへん?あのなぎりぎりってわしお前と付き合いたくないぎりぎりや。
2014/04/18(金) 21:00〜22:52
関西テレビ1
金曜プレステージ・山村美紗サスペンス 赤い霊柩車33卒都婆小町が死んだ[字][多]

最新作は恐ろしき女の闘い!能楽堂で発見された死体は般若の面!能楽師の男を巡る女達の嫉妬に潜む殺意…ストーカーへと堕ちた大女優が企てた恐怖のプロットとは

詳細情報
番組内容
 フジテレビ系が誇る2時間ドラマの人気シリーズ『山村美紗サスペンス 赤い霊柩車』の第33弾が放送される。『赤い霊柩車』シリーズは、葬儀社社長・石原明子(片平なぎさ)と婚約者の医師・黒沢春彦(神田正輝)が、遭遇した事件を推理し真相解明に乗り出す、京都を舞台とした異色サスペンスである。
 33作目となるこの作品は、元女優で美容院の女社長・梅溪美鈴(藤真利子)に誘われて人気能楽師・鷺村菊三郎(三浦浩一)
番組内容2
の「卒都婆小町」を明子、春彦、内田良恵(山村紅葉)が見に行くところから始まる。公演終了後、菊三郎の付き人・鷹次郎(中山優馬)に一目ぼれした良恵が鷹次郎を探してうろついていると、菊三郎の追っかけ・島村かすみ(田中広子)の死体を発見する。般若の面を被せられ、手のひらには榧〈かや〉の実が一つ・・・それは、近頃、菊三郎のもとに時折届けられているものと同じであった。
番組内容3
ファンの域を超えていたというかすみのうわさ。そして、その日会場に来ていた菊三郎の恋人の女優・藤川小蝶(篠原真衣)、かつて美鈴と犬猿の仲といわれたベテラン女優・戸羽万知子(池上季実子)。「卒都婆小町」とあだ名される万知子と菊三郎の関係は?能楽を舞台に次々起こる殺人事件。果たして榧の実の意味とは・・・。
出演者
片平なぎさ 
神田正輝 
大村崑 
山村紅葉 
若林豪
 ・ 
藤真利子 
三浦浩一 
中山優馬 
池上季実子
スタッフ
【原作】
山村美紗「卒都婆小町が死んだ」より 

【脚本】
石原武龍 

【監督】
本橋圭太 

【編成企画】
太田大(フジテレビ) 

【プロデューサー】
八木亜未(大映テレビ) 

【企画協力】
野木小四郎(大映テレビ) 

【制作】
フジテレビ 
大映テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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