やがて悲しき熱帯

鳥の血に悲しめど、魚の血に悲しまず。声あるものは幸いなり。


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採用面接をしていると「若手が活躍できる環境に惹かれました」という意見を聞きます。

「それでは同期が100人といる中で、どうやって頭ひとつ突き抜けて活躍するつもりですか?」と聞いたりします。

人それぞれ意見がありますが、ぼくは「大きい声で発言する」ことがまず第一歩だと思います。

誰かが声や手をあげるのを待っていようとか、スキルが身につくチームに入るまで待っていようとか、人や環境に期待するあまり、環境フリーライダーにならないようにしたいです。

人や環境に対して、こうなってほしいと期待するのではなくて、自分自身がまずやる。
特に、”自分がいちばんやっている状態を作る”のは本当に大切だと思います。

やってみるとたいてい上手くいきませんし、人や環境の力を借りないと達成できないです。

それでも、大きい声で「やります!」と発言して、自分がいちばんやっている状態ができたら、自分の周りに良い環境ができあがります。それはもう”環境フリーライダー”ではなく、環境を与える側の”環境ドライバー”になります。

仕事を教えてくれたトレーナー、上司や先輩。困ったときに助けてくれた恩人。働く場所を築いてくれた先人達。僕たちは周囲のいろいろな人や環境に支えられて生きています。それだけに「早く恩返しをしないといけない」と思いがちですが

「受けた恩恵はすべて次の者へ」
~原泰久 キングダム 8巻~

恩は返すのではなく、次の人に与えるもの。そうして環境は廃れることなく続いていくと思います。

「若手が活躍できる環境」にフリーライドしている限り、若手のうちから活躍なんてできないでしょう。ましてや、自分の後輩が活躍できるような環境は作れません。恩恵が自分のところで止まり、人に伝わらないからです。

「こうなってほしいな」と思ったら、人や環境に期待するのではなく「自分がまずやってみる」。そういう「自分が一番やっている状態」が作れたら、それが”環境”になるので成功まであと一歩。

その姿を見た誰かが、君が与えてくれた恩恵を、次の人に与えていたら大成功。

受けた恩恵はすべて次の者へ。そうやって人はつながっていくんです。

キングダム 8 (ヤングジャンプコミックス)/集英社

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3月になりましたので、内定している学生は入社まであと1ヶ月を切りました。

4月1日に入社すると公式/非公式問わず、いろんな情報がきっと入ってくると思うんです。特に、配属とか現場の情報とか。

これはどの会社もそうですが、新卒入社はまっさらの状態で入っていきますから、目の当たりにする情報すべてが新しい。かつ情報の受信量も何もしなくてもいっぱい入ってきます。

まず、その情報量に飲まれないようにしたいです。配属とか現場とか気になりますが、せっかく就職活動を終えて入社してきたのに、今度は配属先を見つけようと第2の就活を始めるなんてもったいないです。

それよりも、技術を身につけて将来なにがしたいのかを決めきるのが大事だと思います。それも、配属先や部署にこだわらない「これは5年つづけてても飽きないだろう」ってくらい好きなこと。

同期にはいつも圧倒されますし、配属先の様子は見えそうで見えないから、情報を集めたがる気持ちもよくわかります。でも、必要以上に情報を集めたがる気持ちの本質は、不安だから。自分でコントロールできない環境は、不安をまとうから情報で埋めたくなるんですね。

不安を情報で埋めるのではなくて、好きなコトで埋めたい。エンジニアという職業を選んだなら、それで頭をいっぱいにすれば、少なくとも不安は感じなくなるでしょう。不安になったらサンプルコードを写経すればいいのだから。

誰かと握っていることで安心したり、垣間見ただけの開発現場をわかった気になることで、不安を解消するのはしたくないですね。

確かに、配属先の誰かとつながっていると縁はありますが、その人とずっと一緒に働くわけじゃないですし、現場にジョインしたら結果を求められるのみです。むしろ、縁はその場限りで使い捨てられる切符みたいなものだと思ったほうがいいでしょう。

そんな切符を集めることに全力を注ぐよりも、どこに行っても活躍できるスキルを磨いたほうが良い気がします。

不安になる気持ちはわかりますが、だからこそ外部環境に左右されない。技術を身につけた先に、何をやりたいのか、軸をもっていたいですね。

入社までにあと1ヶ月となりました。1ヶ月あれば刃は充分研げますね。


就職活動をやめる。それも真剣にやめる。
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サイバーエージェントでは内定者をアルバイトとして受け入れています。

エンジニア職でプログラミング経験が浅い人は、僕たちの部署で技術トレーニングをしてから、Amebaなどのサービスに携わってもらったりします。他に社内のシステムを開発したり、統計解析の部門に携わる方もいます。

内定を決めたからには「入社前からサービス開発に関わりたい」という学生の方が多いです。ぼくも、開発経験者/未経験者問わず、1日でも早く開発現場の経験を積んだほうが良いと思っています。

その反面、スキルの低いまま開発現場で働くことのリスクも知っています。技術スキルが低いと、サイズの小さい仕事しか回せないからです。仕事は、その人に見合ったレベルのサイズをまわすのがせいぜいだからです。

3しかないスキルを3倍がんばっても9しか成果は出せませんが、10までスキルを伸ばしてキャパ3倍にすれば成果は30になりますよね。その差21。それくらいベースを伸ばすって大事なんです。数字の計算あってますか?

だからベースが薄い状態で開発現場に携わって、サイズの小さい運用しか任せることができない・・・なんてことにしたくないわけです。

誰だって仕事につく前にトレーニングを受ける期間はあります。その1日1日をムダにして欲しくないなと思います。

「早く開発現場でサービス開発したいのに、勉強をやらされている」とか
「なんか地味な社内のシステム開発をやらされている」とか
開発現場に行ったとしても「なんかプロデューサーに言われたことをやらされている」とか
そういう受け身で後ろ向きなマインドになったら、本当に思い出してほしいんです。

役員面接に来た日のことや、内定もらった時の興奮や、内定者アルバイト初日のことを。もっとガツガツしてたはずなんです。

主体性をもって内定者バイトをすべきだと思います。受け身になれば流されてしまいますから。自分の将来を守るためにも。

入社式より前に会社に入ると、いろんな仕事を目にします。いちばんやるべき仕事は、誰かが手を上げるのを待っているのではなく、自分が手をあげる。言われた勉強をして配属されるのを待つのではなく、自分でやりたいことが何か声に出して言う。それが一番大事な仕事。

環境フリーライダーになってはいけない。手を上げて声を出して、周りを巻き込んで、自分で仕事をつくる人になってほしいなと思います。

開発現場に配属されることがゴールじゃないですからね。

声をあげて扉を叩いて、開けてもらった門の先を、全力で走るためにも”技術力”が必要。開発未経験者であればなおのこと。

一番槍を果たすためにも、主体性をもって勉強してほしいなといつも思います。


内定者アルバイトを受け入れるときに気をつけていること

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我執という言葉があります。

我執とは「自分中心の心にとらわれて、そこから離れられないこと」

具体的には「自分すげーって思われたい心」ですね。周りから評価されたいとか。

サイバーエージェントでは毎年2回、社員総会が開催されます。新卒の方から「壇上に立ちたい」ってよく聞きます。面接していても「サイバーエージェントのベストルーキー賞とりたい」って言う学生に会いますし。

たぶん我執をもってると壇上に立てないと思います。

エンジニアで表彰されるような人、アメーバ大喜利のモロくん。彼の場合は「大喜利がめっちゃ面白い!スマフォで絶対流行る!」って、入社する前から言ってました。

あとガールフレンド(仮)の新卒エンジニアのヤナ坊くん。彼はひたすら謙虚で超優秀。人事本部で一緒に働いている、さくら氏や松山君も、社員総会で受賞していますが、エンジニアの彼らと同じです。彼ら彼女らには我執がないと思います。あっても外に出していない。

では、何のために仕事して、何に向かっているかというと「成果」。みんな共通して成果にものすごくハングリー。

DeNA難波さんの言葉を出すと「人や自分に向かわずに、コトに向かう。」

ここ2年くらい、社員総会や締め会で表彰される若手エンジニアを見ていると「我執を捨てて、成果から目をそむけない」という共通点を感じます。

それは"自分を捨てて組織に尽くせ"って言ってるわけじゃないです。

むしろ「圧倒的な成果を出して自分がハッピーになりたければ、自分の殻や狭い自己を捨てろ」ってことです。そうなった時、エンジニアであれば技術力はものすごい伸びます。

新卒で子会社を作ったとか、新卒だけで立ち上げたアメーバ大喜利とか、今すごい成果になっています。あれは技術力がそうしたのではなく、個人が超人並にすごかったということでもないでしょう。もちろん個人スペックは高いと思いますが。

それよりもむしろ、"我執を超えて、到達したい成果があった"から。だからあそこまでいけたと思います。

なんのために技術を身につけるのか。なんのために総会で表彰されたいのか。それが我執から来ているのであれば、捨てて外に向けたいですね。

圧倒的な成果を出して、自分自信がハッピーになるために、何を捨てて何を掴みにいけばいいかをあらためて考えたいですね。


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年末に、本社機能(人事や広報や経理,法務などの部署)の事業改善会議みたいのをやりました。

5人くらいのチームを8個くらいつくって、チーム毎に事業提案を出します。役員の人がその提案に点数をつけて、基準値を超えると決済されるので、提案が実行可能になるというイベントです。

第4回 プラマイビッグプラ会議 渋谷ではたらく常務のアメブロ

その際、役員の中山さんがポロッと言った言葉があり「あれ、これは気づいてなかったかも」と思ったものがあります。

1.人は、痛いところをつかれると過剰に反応する

「人間、イタいところを突かれると過剰に反応する。これは改善しないと!って気になり、過剰な改善に走りがち」

例えば

「あるフロアの雰囲気がピリピリしてて、他の人から近寄りがたい。まるで職員室みたい」

という意見が出ていたとします。外から"職員室みたい"と言われてるなんてショックなので、オフィスの改善しようと提案したくなります。レイアウトを変更しようとか、案内ボードを明るく飾ろうとか。

しかし、そもそも中で働いている人たちは真剣に仕事してますから、当事者にとっては問題ではありません。が、外から見えると"職員室みたい"とネガティブなキーワードが当てはまり、それを解決しないといけない課題としてとらえます。

人はネガティブなキーワードを「イタい」と感じて、それを脊髄反射のごとく課題として払拭しようとします。でも、それは本当に改善すべき課題なのかということです。

2.一回り高い視点で見てみると

中山さんが言っていたのは

「そもそも、そのフロアを社員が訪ねて来るのはなぜか?電話やメールで解決できないから、直接訪ねさせてしまうのではないか?個人の貴重な作業時間を移動距離含めて奪ってしまっているのはなぜ?」

という課題の再考でした。そうすると、結論としては

「そのフロアに他の人が来ないですむような仕組みにすべき」

となっていきました。

3. 小さい問題について、大きく捉えすぎ

「小さい問題について、大きくとらえすぎる」というのはつまり、イタいキーワードがトリガーになると生じると思いました。上記の例えでは「まるで職員室みたい」です。そう思われたくない何かとか、プライドとか対面を気にして、過剰な改善策に走ってしまう。

もちろん指摘してもらえるのはありがたいことです。だからこそ

・いったん受け止める
・なんでそういう指摘になるのかの根本原因を考える
・応急対策ではなく、発生原因そのものをなくす

こういう考えが大事なのかと思います。広くて高い視野に立つための参考になれば幸いです。
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あけましておめでとうございます。

これまで僕は、実生活で退屈や不満があると、その度に文章を書く習慣がありました。それが学生時代は日記であり、社会人になってからはテキストサイトやブログであったり。退屈や不満を糧に文章を書けば、内容も毒の混じったものになりますから、誰のためにもならない文章だけが積み重なります。仕事に退屈して前職を辞める時には、薄暗い小説を書く癖にまでなっていました。

文章についての明るい兆しのきかっけは2012年の夏。技術人事メンバーみんなで1日ロングミーティングした時、鷲田さんが「良い仕事をしてても、発信しなきゃ誰もわからない。ブログを書いてぼくらの仕事をちゃんと伝えよう」と言いました。それをきっかけにアメブロを始めまして、2013年は人事や新卒育成の仕事を通して感じたことをブログに書くようになり、感想をもらえたりするようになりました。

"良い仕事をして、良い文章を書く"というサイクルが自分の中で、過ごしやすい仕事のパターンにあてはまりました。これまで薄暗い文章を書くことにしか費やしていなかった文章についての何かが、うまく実生活に還元された気がして、2013年は自分にとって大きな変化が起きた年でした。

"仕事に退屈すると小説を書く"という後ろ向きな癖も、"きれいな文章でものごとを伝える"という前向きな自己研鑚のために書いてみますと手応えを感じ、ある会社の小説賞に応募してみると一定の評価をもらえました。おかげで、2013年は広報の方々と"文章"という点で接点ができ「万人に伝わる公式な文章」の書き方について仕事を通じていろいろ教えてもらえました。

"仕事で成果を出す"のは当たり前ですが、成果をどう正しく伝えるかについて2013年は大きく動けた年でした。そして何より、長年悶々と薄暗い文章を書き続けた自分のアウトプットの先がきちんと見つかり、かつ評価されたことで、良いサイクルが築けた年となりました。その結果、12月に「ベストプレイヤー賞」を受賞できました。

2014年は年明けからベトナムで採用イベントを運営してくることになります。採用や新卒研修などいろいろなことが起こりますが、楽しく過ごしていこうと思います。

"良い仕事をして、良い文章を書く"というサイクルですが、今年はもうひと回りサイズを大きくしたいと思います。願わくば、"良い仕事をして、良い小説を書く"というサイクルになれば幸いです。そこで、どこか出版社の新人賞に応募しようと思います。

今年もよろしくおねがいします。
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週末に僕らのチームのデスクを掃除しました。

若い方が多いので、放っておくとサークルの部室か、大学の研究室みたいになっていきます。そういう雰囲気も好きではあるんですが、なんとなくクサクサした気持ちになってきます。

「おまえら片付けろ、今すぐ掃除しろ、髪の毛一本残さず掃除しろ」と連日言い続けて、ついにデスクがさっぱりきれいになりました。

きれいなオフィスは気持ちがいいですね。

デスクは、相談に来てくれた人たちをお迎えする場所だと思うと、きれいにしていたいなぁと思います。相手が良い気持ちになってもらうという点では、テーブルマナーに共通する気がします。

ふりかえると、人事マネージャーの膽畑さんの席は、モノがなにも置いてありませんし、曽山さんや中山さんなど役員の部屋もとてもきれいです。身の回りをきれいにすることで、お客さんや相談に来た人を気持ちよくもてなして、いい気持ちで帰ってもらう感じがします。

デスクは、自分が気持ちよく働くためだけじゃなくて、自分を訪ねた人, 周りの人が気持ちよくなるためにも、いつもきれいにしておかないといけないなぁと思いました。
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内定者バイトのほってぃーさんがすごい良いブログを書いていて、僕は感動しました。

飛ばし読み

例えばビジネス書を読む時とかも、目次だけパラパラと読めば読んだ気になるんですが、行動に移せるまで理解できてることはないですからね。結果的に"読んだ"という事実が残るだけだから、何冊読んでもほぼ効果がないと。

"検索結果をよくわからないまま使う"とか、本を目次だけ読んで"わかったつもりになる"とかは、つまりは「筆者が見つけてくれた答えを教えてもらう」という行為ですから、本の内容を読み砕き自分で試行錯誤して見つけた答えではないわけです。

その場その場は乗り切れますが、知恵にならないからいつも検索しないといけない。これは、世の中がググれる社会になった弊害でもなんでもなくて、本や文献が存在していた時代から脈々と続いていたことだと思います。つまり「すぐに答えを知って終わりとしてしまう行為」の弊害です。

自分の視野や見識を広めようと、本を読んだり、誰かの話を聞くのは大切なことです。ところが「あぁこれはこういう話だよね」とか「あー結論、こういうことでしょ」という"自分の経験則と照らしあわせてカテゴライズする"ことをしてしまい、自分の中で決めた予定調和の結論に落ち着かせようとするので、結果的に視野や見識は広がらない。

むしろ、自分を囲う壁の中に、外の世界や他人の思考を押し込めたうえで「自分が望む答え」としてしまう。こうして自分の理解力や能数の限界を、自分の経験や知識が決めてしまい、精神的な成長を妨げてしまうことになります。

本を読む時や、誰かの話を聞く時、新しいことをする時や、誰かの指摘を受ける時、なるべく「今初めて聞いたよ!」という姿勢でありたいと思います。

ほってぃーさんありがとう。
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戦争や政治のシミュレーションゲームが好きで、Civilizationやトロピコが特に好きですが、まぁ本当に下手くそでして、せめて快適に遊べるくらい上手になろうと、本を読んだりして勉強しているのですが、あまり進展はありません。そんな中、戦争運用の本質を書いたとされる、名著「補給戦ー何が勝敗を決定するのかー」を読みました。

補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)/中央公論新社

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0.聞いたこともない用語がたくさん

この本に書いてあるのは「戦争における補給」の話です。兵站(へいたん)と呼びます。百年戦争から第2次世界大戦まで、歴史に名を残す作戦について、その運用方法や成功/失敗の要因を「補給」に着眼して書いた作品です。この「補給と運用」という概念は、会社のお仕事でも役に立つと思います。

さて、この本の良いところは、聞いたこともないおいしそうな用語が出てくるところです。「野戦パン焼き部隊」ですよ。プロイセン軍が導入したそうです。おいしそうですね。

「機動 肉焼き部隊」ですよ。聞くだけでおいしそうな匂いのする部隊です。ぜひ合流したいです。ナポレオン戦争の敗因の一つに、ロシア進軍時にビスケットをうまく焼けなくて苦戦してたとか。料理好きにはたまらないですね。

書籍の内容のほうも、よく焼き締めたパンでアツアツの牛肉を挟んだかのように分厚いです。


1. 現地調達最高だよ!コストかからないし!

16世紀の戦争では、補給は現地調達だったそうです。つまり、略奪しながら戦うというスタイルですね。補給線をもたないと、物資の調達が安定しなさそうですが、戦争は維持できていたらしいです。

物資さえ補充できていれば良いわけですから、常に略奪しながら進軍してれば、戦線では勝てると。ここらへんはチェ・ゲバラが『ゲリラ日記』でも同じこと書いてます。「敵と同じ武器を携行してれば、補給の心配はしなくて良い」みたいな。

それよりも、風紀が乱れることのほうが問題だったそうです。これ気付きです。

調達にいったまま帰ってこなかったり、勝手に村をおそったり。脱走したり。作戦が守られないというのが、戦争維持の点では一番の問題点だったんですね。その点、19世紀に登場したナポレオンは、補給を官吏にまかせて物資を町や村から買い上げて分配とかしてたそうです。官吏や従軍商人もそれなりに不正や横領してたのでしょうが。


2. 鉄道?なにそれオーバーテクノロジーなんだよ!

19世紀になると鉄道が発明されますからね。これ使ってガンガン兵隊を輸送したくなるじゃないですか。鉄道で高速長距離輸送できるとおもったら全然できなかったんですって。

だって戦線が伸びたりしたら線路ひかないといけないし、鉄道なんて時刻表どおりに運用できないから。運行がカオスになって、補給品が腐ってたり、終点でかっぱらわれたりしてたそうです。たしかに、戦争中に効率的な鉄道運用なんてできるわけないですよね。日本の鉄道ダイヤとかすごい管理してあってスゴイですけど、人身事故ひとつあればあの状況ですし。

4. 自動車って維持が大変だよね

第1次世界大戦になると自動車が発明されますからね。これ使ってガンガン兵隊を輸送したくなるじゃないですか。自動車を大量生産したはいいけど、タイヤとかガソリンなど、消耗品が追いつかなくて運用できなかったんですって。それと、鉄道統括と自動車統括が別の部署で、ぜんぜん連携とれてなくて、タイヤとか燃料輸送するための鉄道が活用できてなかったと。まるで日本のよくある会社の風景ですね。


5. 完璧な作戦を立ててみたら木っ端微塵に

仕事とかで「もっと時間をかけて計画をきっちり練っておきたい」って思ったりしますよね。その最たる例が「第2次世界大戦のノルマンディ上陸作戦」

18ヶ月前から計画して、輸送・運搬・物資・装備などありとあらゆる情報を、緻密な数字とシミュレーションで計画しきった壮大な作戦だったそうです。計画に費やした時間と思案は、人類史上最大だったのではというくらい大規模です。

実際に上陸作戦を実行してみると、台風で船は沈むわ、物資は違う船に載せられて運ばれているわで現場は大混乱だったそうです。この作戦を成功させるために、最も効果的なのは「作戦を無視する」という選択肢。「作戦を無視することが最良の作戦行動になった」とさえ書かれていました。

つまり、ノルマンディ上陸作戦は、計画に従って遂行されたのではなく、計画なしで進み、現場の決断と判断で成功へとつながったとのこと。その原因は、計画立案者たちが準備段階の価値を過大評価しすぎ、現場の決断や常識、即決処理の有用性を過小評価していたからだそうですが。

6.仕事で役立つ「補給戦」

この本を読むと、補給や物資について意識が芽生えます。あとおもしろいのは「補給や輸送計画」の大切さを書いてるように見えますが、最後の章で全部ひっくりかえしてるところです。

つまり「作戦計画はもちろん大事だけど、戦争に勝つにはまず”決断力”だよね。ナポレオンやパットンが戦争で強かったのはこれだよ」と言ってるところです。ここらへんはタイトルや書籍紹介文と真逆なところがおもしろかったです。

めっちゃ分厚い本で、解釈がいろいろありそうですが、読んだ限りはこんな感想でした。ぼくも「野戦パン焼き部隊」と合流したいです。

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仕事をしていると、根拠や原因を探ることがあるかと思います。

Why(なぜ?)を見つける作業ですね。トヨタ式だと「Why?を5回繰り返す」と聞きます。

ふと振り返ってみると、"Why"から考えるのは実は楽だったりします。課題を見つけやすいですし、見つけた課題は潰しやすい。おまけに潰せば手応えがあります。

Why?の他には"5W1H"とか"結論を先に言う"とか。

言ってみれば「ビジネス用の思考モデル」です。

ところが、仕事のキャリアが積み重なってくると、"Why?の癖"がしみついていたり、"結論から言うメソッド"がしみついていたり、それから、相手との「気持ちの対話」ができなくなっていたりします。

そうして、いつしか未来を語れなくなっている自分にふと気づいたりします。しがらみなく過ごした学生時代の、絶え間なく続けた気持ちの対話も、無責任に描いた夢も、過去の話 今じゃもう。。。というのは大げさですが。

忘れてはいけないのは「if...」から考えること。

「もし、今のチームがこうなっていたら・・・」とか
「もし、今の会社が何年後にこうなっていったら・・・」とか。

思い描いた未来をゴールとして設定するから、その過程で達成すべきことも見えてくる。思い描いた未来があるから、足元の仕事に光が照らされて、モチベーションがあがるのではとおもいます。

まさに、キャリアを積んでいるからこそ、未来を語る癖をもつ必要があります。失敗や成功経験があるから、きっと無責任に描いた夢とはならないはず。

学生の時に描いた空想ではなくて、将来実現しちゃうかもしれない未来。まさに「10年以内に人類を月に送り込む」「1000曲をポケットに」みたいな、誰もが希望をもてて、そこに向かって進んで行けるような未来。

"言葉"が人を動かすなら、やはり"未来は言葉でつくられる"っておもいます。


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