西武ホールディングス(HD)が23日、東証1部に株式を上場した。初値は売り出し価格と同じ1600円で、終値は10・6%上昇の1770円だった。今後は大株主のサーベラスが株売却の目安にしているとみられる2千円台まで株価を引き上げ、影響力を薄められるかが焦点となる。

 記者会見した後藤高志社長は「上場できてうれしく、ホッとした」と語った。今後の経営方針については、「増加が見込める海外からの客を取り込みたい。強みであるホテル・不動産事業と安定した鉄道事業を組み合わせ、最強の西武をつくる」とした。

 前身の西武鉄道は2004年、有価証券報告書の虚偽記載問題で上場廃止になった。後藤社長は会見で「社外取締役を2人入れるなど、あらゆる面で法令順守を重んじる会社に変わった」と強調した。資産管理会社を通じて約4・5%の株を持つ堤義明・元コクド会長とは「一切の接触がない」とした。

 株式の35%を握るサーベラスは株の売却を見送った。後藤社長は「サーベラスはいずれ出口を考えている。しっかり企業価値を上げ、株価に反映させたい」とした上で、「個人に広く株を持ってほしい」と述べ、個人株主の優待を強化する考えを示した。

 株式総数に株価をかけた時価総額は6055億円で、私鉄としては東京急行電鉄、阪急阪神HD、近畿日本鉄道、小田急電鉄に続く5番目の規模となった。(土居新平、上栗崇)