西川和久の不定期コラム
日本ヒューレット・パッカード「Omni 10」
〜5万円を切る10.1型WUXGA、最強Bay Trail-M搭載タブレット
(2014/4/24 06:00)
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は4月16日、1,920×1,200ドット(WUXGA)の10.1型液晶を搭載したWindows 8.1タブレットを発表。直販モデルは同日から、量販店モデルは4月25日から発売する。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けする。発表時からちょっと気になっていたタブレットだ。
32bit版Windows 8.1ながら同クラスとしては最強タブレット
2013年末、一斉に8型タブレットが出荷され、その人気に押されてか、以降10型クラスはあまり発表されなかったが、ここにきて、「5万円前後の価格」、「Bay Trail-Mの最速SKU Atom Z3770搭載」、そして「解像度は1,920×1,200ドット」と、大本命とも言える1台が登場した。主な仕様は以下の通り。
| 日本HP「Omni 10」の仕様 | |
|---|---|
| SoC | Atom Z3770(4コア4スレッド、クロック 1.46GHz/2.39GHz、キャッシュ2MB、SDP 2W) |
| メモリ | 2GB(LPDDR3) |
| ストレージ | 32GB(eMMC) |
| OS | Windows 8.1 (32bit) |
| グラフィックス | SoC内蔵Intel HD Graphics |
| ディスプレイ | 10.1型1,920×1,200ドット(WUXGA)、5点タッチ対応、Micro HDMI |
| ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 |
| インターフェイス | Micro USB、microSDカードスロット、前面200万画素/背面800万画素カメラ、ステレオスピーカー、音声入出力 |
| センサー | 加速度センサー、デジタルコンパス、周辺光センサー、ジャイロセンサー、磁気センサー |
| サイズ/重量 | 260×182×9.9mm(幅×奥行き×高さ)/約650g(本体のみ) |
| バッテリ駆動時間 | 8.5時間 |
| 直販価格 | 44,800円(税別)
※量販店モデルは55,000円(税別)前後でOffice Home and Business 2013搭載 |
SoCはAtom Z3770。4コア4スレッドでクロックは1.46GHz。最大時には2.39GHzまで上昇する。キャッシュは2MB、SDPは2W。先に書いた通りBay Trail-Mの中では最速のSKUとなる。ThinkPad 8と同じで、Atomプロセッサ搭載タブレットとしてはパフォーマンスにも期待できる。
メモリはLPDDR3で2GB、ストレージはeMMCの32GB。OSは32bit版のWindows 8.1。InstantGo対応だ。
ディスプレイは、光沢タイプで5点タッチ対応10.1型1,920×1,200ドットの液晶パネルを搭載。高解像度ながら5点タッチと少ないのは残念だが、このサイズのタブレットの用途であれば特に問題にならないだろう。グラフィックスはSoC内蔵Intel HD Graphics。外部出力用として、Micro HDMIを装備している。
ネットワークはIEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0。そのほかのインターフェイスは、Micro USB、microSDカードスロット、前面200万画素/背面800万画素カメラ、ステレオスピーカー、音声入出力。センサー類は加速度センサー、デジタルコンパス、周辺光センサー、ジャイロセンサー、磁気センサー……と、一通り搭載。また、リカバリ用のmicroSDカードも付属する。
サイズは260×182×9.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約650g。バッテリ駆動時間は最大8.5時間。
直販価格は44,800円(税別)。量販店モデルは同スペックに加え「Office Home and Business 2013」を搭載して55,000円(税別)前後と内容を考えると安価だ。ただこのOfficeの有無を直販版と量販店版で分けるのは個人的には好きではない。改善して頂きたいポイントと言えよう。
「強化プラスチック(ポリカーボネート+グラスファイバー)を採用し、9.9mmの薄型でありながら高い強度を実現した」という筐体はタブレットそのもの。ラウンドデザインとソフトタッチ処理が施され持ちやすいものの、実測で664gはそれなりに重い。
付属のACアダプタは、サイズが53×53×23mm、重量が98gと小型であるが、USBタイプではなく専用となる。試しに本体のMicro USBにPCから接続しても充電はされなかった。この点は少し残念だ。
前面中央上に前面カメラ、中央下にWindowsボタン。上部側面に電源ボタン、左側面に音声出力、右側面の裏にボリューム±ボタン、下側面にステレオスピーカー、電源入力、Micro USB、Micro HDMI、microSDカードスロットと、多くのインターフェイスは下側面に集中している。
強化ガラスの「Gorillaガラス 3」を採用した液晶パネルはIPS式ではないが、視野角は広く、明るさ、コントラストも十分。クラス以上のパネルを採用していると思われる。5点タッチだが、反応もまったく問題無い。また、10.1型なので、8型フルHDで感じた「デスクトップをタッチで操作するには厳しい」と言う雰囲気も無かった。
サウンドは、左右最大に離した場所にスピーカーを設置しているので、タブレットの割にステレオ感がある。パワーもあり、HP Premier Soundで好みの音色に調整できるなど、音楽や動画を楽しめる。
ノイズや振動は皆無。発熱は長時間使用するとほんのり暖かくなる程度で許容範囲内に収まっている。
オートフォーカス搭載のカメラは少し試したところ、このクラスとしては動画だけでなく写真もそれなりに撮れるものの、筐体が大きいことに加えISO感度が低いのか、室内など少し暗い場所だと、手ぶれが発生しやすくなる。一般的なスマートフォン内蔵のカメラの方が画質は上のため、作例は掲載していない。
このように機能面では特に不足は無く、冒頭で大本命と書いた意味がお分かり頂けるだろうか。個人的に惜しいのは、メモリ2GB、USB 2.0、パネルが非IPS式、USB充電が不可と言った点と、2-in-1用のカバー兼スタンド・キーボードが純正で無いところとなる。この辺りをどう思うかで評価も変わるのではないだろうか。
十分なパフォーマンスに加え、BBenchで10時間超え
OSは32bit版のWindows 8.1。InstantGoに対応している。メモリが2GBなので、先日リリースされたWindows Updateを適用し、少しでも軽くしたい。
スタート画面は2画面。HPアプリ以降、Windowsストアアプリが3本、デスクトップアプリが1本追加されている。今回手元に届いたのは直販版で、Office Home and Business 2013はプリインストールされていない。
デスクトップは壁紙だけの変更でシンプルな構成だ。画面キャプチャからも分かるように、microSDカードスロットには、リカバリ用のメディアが入っている。
ストレージは32GBの「Samsung MBG4GC」が使われ、C:ドライブのみの1パーティション。約28.35GBが割り当てられ空きは18.3GB。用途に応じてデータはmicroSDカードへ逃がす必要があるだろう。
Wi-Fiモジュールは、「Broadcom 802.11abgn Wireless SDIO Adapter」が使われていた。InstantGoに対応したデバイスは、ドライバの細部まで調整が入っていることもあり、同じ構成になっていることが多いのが特徴だ。
プリインストール済のソフトウェアは、Windowsストアアプリが、「HPコネクトフォト」、「HPに登録」、「Windows 8入門」と、同社関連のアプリのみになっている。ストレージ容量が少ないこともあり、必要最低限に絞り込んだ感じだ。
Windowsデスクトップアプリは、「HP Support Assistant」、「Realtek Audio Manager」、「Intel HD Graphics Control Panrel」と言った、サポート系とデバイス系のみ。こちらもストアアプリ同様数は少ない。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(4コア4スレッドで条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 4.1。プロセッサ 6.8、メモリ 5.5、グラフィックス 4.3、ゲーム用グラフィックス 4.1、プライマリハードディスク 7.1。PCMark 8 バージョン2は1194。CrystalMarkは、ALU 26782、FPU 24016、MEM 23300、HDD 12261、GDI 5571、D2D 3109、OGL 3785。参考までにGoogle Octance(IE11デスクトップ版)は4278だった。
総合こそ4.1だが、これはいつものIntel HD Graphicsのパフォーマンスに引きずられているだけで、プロセッサ 6.8、メモリ 5.5、プライマリハードディスク 7.1と、それなりのパワーを持っている。メモリ2GBで無理なく動く範囲の用途であれば、パフォーマンスに不満は出ないと思われる。
BBenchはバックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残2%で41,332秒/11.5時間。残5%でも40,507秒/11.3時間と、10時間を超えた。この点はさすがBay Trail-Mと言ったところ。
ACアダプタがUSBタイプでは無く専用だが、これだけ持てば特に問題にならないだろう。また、液晶パネルの明るさは、最少でも夜に明かりを少し落とした室内なら十分見える。実際使用しても、この結果とあまり差が無さそうだ。
以上のようにHP「Omni 10」は、直販モデルで44,800円(税別)、量販店モデルで55,000円前後(同)と、現在最上位のSKU、Atom Z3770搭載機としては、10.1型/1,920×1,200ドットのパネルも含め、かなりお買い得の価格になっている。ベンチマークテストの結果も上々。通常用途であれば問題無い処理速度だ。
ただストレージの空きが18.3GBしかなく、この点のみ不安であるが、microSDカードと併用するなど逃げ道もある。これ以外は、全体的にうまくまとまっており、10型クラスのWindows 8.1タブレットを探しているユーザーにお勧めの1台と言えよう。
URL
- 日本ヒューレット・パッカードのホームページ
- http://www.hp.com/jp/
- 製品情報
- http://www8.hp.com/jp/ja/ads/omni10/overview.html
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