フランス:北朝鮮工作員を摘発 国連機関職員ら3人

毎日新聞 2014年04月23日 02時30分(最終更新 04月23日 08時08分)

 【北京・西岡省二、パリ宮川裕章】フランスを中心に活動していた北朝鮮工作員ら3人が国連憲章などに反したとして当局に摘発され、制裁を科されていたことが22日、分かった。工作員は海外工作活動の統括機関「偵察総局」に所属。国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部・パリ)や国連世界食糧計画(WFP、本部・ローマ)の職員として働きながら、秘密工作に携わっていた疑いがもたれており、当局が実態解明を急いでいる。

 2月4日付の仏経済財務省官報によると、3人は平壌出身。うち2人は偵察総局に所属するキム・ヨンナム(66歳または71歳)▽息子のキム・スグァン(37)の両職員。残る1人は朝鮮統一発展銀行のキム・スギョン国際関係局長(41)。

 3人は、北朝鮮の核実験や挑発行為に対する国連憲章第7章(平和に対する脅威などに関する行動)に基づく制裁や、欧州連合(EU)の対北朝鮮制裁によって禁止された行動を取った。仏当局は3人の財産や金融商品、財源を凍結対象としたが、「違反行為」の詳細は明らかにしていない。

 偵察総局は、工作員の養成から破壊工作まで手がけるとされる。最近の韓国の報道によると、偵察総局は情報戦に力を入れ、ハッキングを任務とするサイバー部隊を組織。また、韓国で相次いで見つかった無人偵察機の製造・運用に関与した可能性が高いとされる。

 現地関係者によると、偵察総局に所属する2人はユネスコとWFPに分かれ、それぞれ職員として働いていたという。この関係者は「仏当局としては、国際社会と同調して制裁を発動することで、工作員の活動を封じ込める狙いがあるのだろう」と分析している。

 北朝鮮は1998年にユネスコ加盟。2004年に高句麗古墳群が世界遺産に登録された。13年には開城(ケソン)の歴史的建造物群と遺跡群も登録されている。WFPは、慢性的な食糧不足が続く北朝鮮に食糧支援などを続けている。

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