クリスマスがやってくる。
七枷家の面々は至って普通の日常を過ごしていたが
ある時、家族が一人減ったあの日から何年も放ったらかしにされたまま
荒れ放題になっていた裏庭が目に入る。
「私が憶えてる裏庭はもっとキレイでした」
「鉢植えは色とりどりの花を咲かせ、水瓶は水で満たされ
ししおどしが澄んだ音色を響かせていた」
「それもこれも、全部、私が止めてしまったんですね」
まるでそれらが全部、自分のせいでそうなったみたいに
すまなそうな口調で琴子が言った。
この裏庭を再生させることで
今まで見ようとしなかったものを観ようとする樹。
だが、それは家族にとって、また世界にとって
超越的な存在―【システム】との闘いの始まりだった。