スズメバチ:ジャワ原産の種が対馬に 強い繁殖力に懸念

毎日新聞 2014年04月22日 14時30分(最終更新 04月22日 19時20分)

長崎県対馬市で生息が確認された外来種のツマアカスズメバチ(左)。右の2匹はニホンミツバチ=上野高敏・九大准教授提供
長崎県対馬市で生息が確認された外来種のツマアカスズメバチ(左)。右の2匹はニホンミツバチ=上野高敏・九大准教授提供

 インドネシア・ジャワ島原産のスズメバチ「ツマアカスズメバチ」が、長崎県の対馬に侵入し生息域を広げていることが、九州大の上野高敏准教授(応用昆虫学)らの調査で確認された。韓国・釜山から船便に紛れて入ったとみられる。ツマアカスズメバチは繁殖力が強い上、ミツバチを捕食する性質があり、養蜂業が盛んな対馬では影響が懸念されている。上野准教授によると、外来のスズメバチが国内で確認されたのは初めてという。

 ツマアカスズメバチは体長3センチほどで、他のハチに比べて胴が黒っぽい。上野准教授は対馬の住民から「見慣れないハチがいる」との情報を受け、昨秋現地調査した。その結果、ツマアカスズメバチの中でも中国南部に多い種が、対馬北部の海沿いや平野部で広範囲に生息しているのを確認した。

 ツマアカスズメバチは働きバチが多く、繁殖力が強いのが特徴で、アジア各地に幅広く分布。韓国では貿易港の釜山に入り込み、在来のスズメバチを上回る勢いで爆発的に増えている。この一部がフェリー航路のある対馬に渡った可能性が高いという。繁殖状況から、2〜3年前に入ってきたとみられる。

 対馬では今のところ、刺されて重篤な症状になるなどの人的被害はないが、インドネシアや台湾などでは死亡例もある。加えてツマアカスズメバチはミツバチを捕食する性質があり、海外では養蜂業への被害が問題化。対馬でも被害が報告されている。対馬市は住民に注意喚起し、これまでに確認できた56個の巣のうち人家に近く危険な30個を撤去した。

 上野准教授は植木や植物に巣やハチが付着したまま運ばれてくるなどして、対馬や韓国にフェリー航路がある博多港(福岡市)などから九州本土にも上陸しかねないと指摘。人口の多い都市部で繁殖すれば人的被害の危険性も高まるため、福岡市や福岡県にも情報を提供し、注意を呼びかけることにしている。【青木絵美】

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