資生堂は21日、毛髪の再生医療の研究拠点を、5月1日付で神戸市に開設すると発表した。カナダのバイオベンチャーと提携し、毛根の細胞を培養して移植する技術を、2018年ごろに実用化することをめざす。

 「細胞加工培養センター」で、ポートアイランド内の神戸医療産業都市にある賃貸ラボ施設「神戸バイオメディカル創造センター」の一室(約200平方メートル)に設ける。

 資生堂はここで、昨年7月に提携したレプリセルライフサイエンス(カナダ)の技術を活用。頭皮の一部を切り出して毛根の細胞をとり出し、一定の条件で増やしてから脱毛部分に注入。毛穴の奥にあり、毛を生み出す「毛包(もうほう)」を、患者自身の細胞で再び活性化させ、毛髪の再生につなげる移植医療を研究する。

 神戸医療産業都市では、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った世界初の臨床研究が行われるなど、再生医療関連の研究施設が集まっている。新規医薬品などの承認審査を担う医薬品医療機器総合機構の出張所もあることから、資生堂は神戸を、毛髪再生の新技術を発信する拠点にしたいと期待する。(下司佳代子)