「はだしのゲン」13自治体に撤去要請4月22日 4時09分
漫画「はだしのゲン」を学校や図書館から撤去すべきだという要請が東京都や北海道など全国13の自治体に寄せられていたことが分かりました。
原爆投下後の広島で生きる少年の姿を描いた漫画、「はだしのゲン」を巡っては、「過激な描写がある」などとする地元議会への要請をきっかけに、松江市の一部の小中学校が、自由に閲覧できない「閉架」の措置を取ったことが、去年、明らかになっています。
NHKが都道府県と県庁所在地の市、それ以外の5つの政令指定都市、それに東京23区の、全国121の自治体を対象に調査したところ、「はだしのゲン」を学校や図書館から撤去すべきだという要請が、東京都や北海道、大阪市など全国合わせて13の自治体に寄せられていたことが分かりました。NHKの調査に対し、これらの13の自治体は、いずれも「本の管理は学校が自主的に判断している」などとして、「閉架」などの措置を取っていないということです。また、今回の調査に伴って、全国7つの地方議会にも「はだしのゲン」の撤去を求める意見書などが寄せられていることが、分かりました。
特定の本の撤去を求める要請が相次いでいることについて全国の公立図書館などで作る日本図書館協会の山家篤夫さんは「大切なのは自主的な読書で、『はだしのゲン』がよくない本だと最初から子どもたちに感じさせることは、読書をゆがめることだと考えている」と話しています。
撤去要請されたのは
「はだしのゲン」を撤去するよう要請されたのは、▽北海道、▽札幌市、▽仙台市、▽東京都、▽千代田区、▽新宿区、▽港区、▽大田区、▽豊島区、▽練馬区、▽文京区、▽大阪市、▽鳥取市の、合わせて13の自治体です。
また、撤去を求める意見書などが寄せられたのは、▽仙台市議会、▽中野区議会、▽足立区議会、▽神奈川県議会、▽松江市議会、▽高知市議会、▽鹿児島県議会の、7つの地方議会です。
作者の中沢啓治さんの妻は
漫画「はだしのゲン」の撤去を求める声が相次いでいることについて、「はだしのゲン」の作者でおととし亡くなった中沢啓治さんの妻、ミサヨさん(71)は、「『はだしのゲン』は連載が始まってからことしで40年になるが、なぜ今になってこんなに騒ぐのかという思いがある。読みたい人は読み、読みたくない人は読まない、選択が自由にできるよう学校や図書館には置いてもらいたいです」と話しました。
そのうえで、「はだしのゲン」に込めた中沢さんの思いについてミサヨさんは「自分が子どもの時に受けた原爆の被害を次の世代の子どもには負わせたくない、二度と戦争はいけないという思いから書いたのです。一部の表現にとらわれず、作品全体を読んでこうした思いをくみ取ってもらいたいです」と話しました。
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