二十一回目ゲスト 渡辺真也
さん(SHINYA WATANABE)
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1970(昭和45)年8月10日生まれ。
代表番組
めちゃ2イケてるッ! はねるのトびら ナイナイライブ
くりいむナントカ 虎の門 〜などなど
ちょっとした趣味
趣味がないんですよね・・・
9月に子供が生まれ、父親になる予定です。
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高須 |
やっぱりさ、俺の中では渡辺は「飛鳥の秘蔵っ子」ていう印象が
強いんだよね。最近ではそうでもなくなったけど。 |
渡辺 |
確かに、飛鳥さんにはすごくお世話になってます。
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高須 |
番組の会議ってさ、立ち位置が問われるでしょ? 放送作家の仕事の
特殊なところというか。うまく説明できないんだけど。
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渡辺 |
「この番組では、自分はこういう立場だ」っていう
決まったイメージというか。 |
高須 |
そう、例えば俺は全体を俯瞰で見て
「この企画はちょっと行き過ぎ」と感じた時に戻す役目、とか。
逆に行き過ぎるほど行き過ぎた企画を出して、ダッシュし続ける役とか。
年齢というかキャリアによっても作家の立ち位置って違うやんか。
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渡辺 |
そのぶつかりあいで会議が揉まれていく。確かに役割分担あります。
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高須 |
「めちゃイケ」で渡辺が飛鳥に期待された役割は、年齢的なものあって
どっちかっていうと「損得勘定関係なく、おもしろいことを貫け」って感じでさ。
飛鳥がそういうところを渡辺にまかせてたと思うんだよね。
じつはそんなに若くないんだけどね(笑)
飛鳥もおもしろいことには貪欲だから、どっちかというと同じ流れの中に
いるイメージ。俺は、その流れを客観的に見る側の役割。
ところが、その図式が崩れた時があった。
「めちゃイケ」が裏番組の「USO」の数字が上がってきて、
かなりせっぱ詰まった状況に追い込まれたあの時期のことだよ。 |
渡辺 |
あー、数取団の企画を立ち上げようとしてた頃ですね。
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高須 |
スタッフ全員にあったのは、「なんでおもしろいことしてる俺らが負けるねん」と
いう怒りと悔しさと…。
絶対自分たちの方が「おもしろい」ことをしてるっていう自負がある。
だけど、それが数字になって返ってこないジレンマがすごくて。
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渡辺 |
みんな悩んでる中で出てきたのが「数取団」だったんですよね。
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高須 |
そう、とにかく低年齢層にでもおもしろがってもらえるような遊びを
やろうってことになって、できた企画が数取団。
要は、月曜日に学校に行ったときに話題になる企画。
みんなが真似してみたくなるっていう部分に、視聴率奪還の望みがあった。
本来なら全体のことを考えて、冷静なはずの飛鳥が妙に、
意地をはって意見を変えない時があったの覚えてる?
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高須 |
笑いに貪欲なぶん、飛鳥は必要以上に「おもしろい方」を取ろうとする。
というか面白いものを全部詰め込もうとするやんか。
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渡辺 |
あの時もそうでしたね。飛鳥さんはそうでなくちゃいけないんですけど。
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高須 |
そう、確かに飛鳥は「おもしろいことを追求するディレクター」でなくちゃ
いけない。だけど、あの時ばかりは話が違ったやんか。
「めちゃイケが死ぬかもしれない」っていう、瀕死の状態。
スタッフみんながここで踏ん張らないと後がないって分かってた。
だから、ある程度は「生き延びる」ってことを考えて、
「おもしろさ」以外の別の栄養をちゃんと摂らなきゃって方向に行ってた。
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渡辺 |
「おもしろいだろ!」で生きていられればよかったんですけど、
そうも言ってられなかったんですよね、ホントに。
当時のジャニーズバラエティの力に押されてて。 |
高須 |
それはそれで芸人たちの側に立っている「めちゃイケ」にとっては
腹が立つ部分も大きかったんだよ。
だけど、「めちゃイケはおもしろさを貫いて死にます!」みたいなことは
誰も望んでいなかったわけじゃない。だから、スタッフ一丸となって
起死回生の新企画を考え続けた。飛鳥もそういう指令を出してたし。
数取団のルールを固めようとしてたときの「矢沢ルール」って覚えてる?
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渡辺 |
どれだけ数が増えてても、「矢沢」が出てきたら単位
が必ず「ひとり」に
なるってやつですね。 |
高須 |
そう、矢沢だけはひとり。そして、またもとの数に戻していくっていうルール。
確かにおもしろいけど、初めてオンエアする企画は
シンプルなほどいいじゃない。
ただでさえしりとり侍より、数取り団の方がルールがややこしくなっているし、
小学生には矢沢が何だか絶対分からない。そのルールの意味が分からない。
絶対とっつきにくいって思ったのよね。
飛鳥はこの矢沢ルールがおもしろいから、絶対やろうって言い出して、
俺が「いや、ちょっと分かりづらくなるよ?」って止めて。
それでも「おもしろいからやる!」って飛鳥はきかなかった。
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渡辺 |
高須さんと飛鳥さんの話で、会議が妙な空気になりましたもんね。
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高須 |
で、周りにもどっちにつくか、みたいな空気が会議の場で流れて。
みんな明らかに矢沢ルールがおもしろいのは分かってる。
おいおいルールを足すのはいいけど、一発目には情報が多すぎて、
今の体力が衰えてる「めちゃイケ」で
「分かりづらいけど、おもしろいからやる」っていう選択肢は無理だと感じた。
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渡辺 |
そこ、多分飛鳥さんも分かってたと思うんですよ。
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高須 |
そうね。
あのとき飛鳥が本当に止めてほしかったのか、
番組と心中してもいいから信念貫きたかったのかは分からない。
だけど、みんな「なんでもいいから、今は生きなきゃ」っていう
意識のほうが 強かったと思う。
で、会議が矢沢ルールを入れる入れないでピリピリしたときにさ、
渡辺が「僕もそのルールは分かりづらいと思います」って言ったやん。
あの瞬間に飛鳥はめちゃくちゃ腹が立ったらしいのよね。
こいつ、何を言い出すねん、と。お前がそんなことを言うのか、と。
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高須 |
会議の後、飛鳥にちょっと別部屋に呼ばれて、「なんか、すいませんでした」って
謝られたのよ。実は飛鳥も途中から、なしでいいと思ったらしいのよ。
ただ若い作家までが面白ことより、成立を考え出したから、
なんか腹が立ったらしいのよ。
飛鳥の中にはいろんな思いがあったみたいで、会議の後に
「高須さん、渡辺がああいうことを言うとは思いませんでした」って
漏らしてたよ。 |
高須 |
でもさ、作家ってディレクターとは違ってて、
番組別、局面ごとに応じたバランスを身につけていかざるをえない。
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渡辺 |
そうですね。ディレクターは1本の番組に命かけられるけど、
僕らの仕事は複数の番組をやってかなきゃどうしようもないわけで。
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高須 |
しかも社員じゃなくてフリーだから、ある程度は番組の寿命にも神経使わないと
ダメなわけで。 「おもしろいからそれでいいだろう」みたいなことって、まずない。
できないし、求められない。
本当はそれができたらどんなに幸せだろうと思うけど。
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渡辺 |
ほら、ダウンタウンさんがそういうのをうまく実現してたりする場合が
あるじゃないですか。例えば「おっさん人形」とか「ワールドダウンタウン」とか。
「ガキ」もそうかな。僕はああいうのがうらやましかったりするんですよね。
やれるのならやりたいって思う。でも、すべては土台あってのことです。
土台がないのに無茶をすれば、命を失うことになる。
やっぱり「めちゃイケ」に対しての思いは特別で、
僕も「おもしろいこと」を最優先したいのは今も昔も変わらないですよ。
ただ…あの時は本当に状況が厳しかったから、
まずはこの番組を守りたいってことが頭から離れなかったんですよね。
守ってさえいれば、また絶対おもしろいことやれるから、と考えるようにして。 |
高須 |
飛鳥にとっては「めちゃイケ」って仕事でありながら作品やからさ、
守りたいのと、走り続けなきゃっていうのでせめぎあいもあったんだろうね。
芸人とそれを支えるスタッフとしてのプライドの問題もあるだろうし。
数取団のあの一件は、そういう意味ですごく印象的だったなぁ…。
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渡辺 |
いや、あの時はみんなつらかったんですね。
飛鳥さんも、高須さんも、たぶん岡村さんも……。
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高須 |
最終的に「矢沢ルール」が入らなかったからいい結果
が出たと思う。
すごく単純でわかりやすく完成させられたし。数字も戻ってきたし。
長い目で見たときに、ハッピーな結果が出せた。
後から振り返れば、あれは「めちゃイケ」スタッフみんなが
成長できた時期だったのかもしれないなぁって思うね。
なんか、熱い話になってきたな(笑)。 |
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