現代新書カフェ
2014年04月22日(火)

特別寄稿『ブラック精神科医に気をつけろ!』
第4回 絶望の医療裁判

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ブラック精神科医は、依存性のある抗不安薬や睡眠薬などを大量に処方する

精神医療訴訟の高すぎるハードル

ブラック精神科医たちの驚くべき生態を描いた問題作。読者から絶賛の声が続々と寄せられている⇒本を購入する(AMAZON)

拙著『精神医療ダークサイド』(講談社現代新書)では、継続中の精神医療訴訟を複数取り上げた。今回は、その続報をお伝えする。

第2章「拉致・監禁」で紹介した大阪の民事訴訟は、大阪地裁の判決が確定した。患者に入院を強制できる医療保護入院制度を悪用し、精神疾患ではない60代の女性を大阪府立精神医療センターに強制入院させた元夫が、賠償金を支払うことになったのだ。

女性は2011年1月、突如現れた男たち(民間の救急搬送業者)に拉致され、車で大阪府立精神医療センターに運ばれた。そこで「統合失調症」と誤診され、閉鎖病棟に収容された。対応した2人の精神科医(うち1人は強制入院の必要性を判断できる精神保健指定医)は、「妻には妄想や幻覚がある」などの元夫の作り話や、元夫が提出したウソの病歴書面を真に受け、健康な女性を重い精神疾患と診断し、人身の自由を奪った。

こうした場合、不当な入院は長期化しやすい。強制的に連れて行かれた病院で「私は精神病じゃない」と猛抗議したり、取り囲む医師や看護師を振り切って病院を出ようとしたりすると、それは当然の反応にもかかわらず、「病識(病気という認識)がない」「病的な興奮状態だ」などと決めつけられ、精神疾患の証しにされてしまう。その結果、鎮静の注射や電気ショック(電気けいれん療法)が行われた例もある。

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