岩手・山田町:かさ上げの防波堤 2月に倒壊
毎日新聞 2014年04月22日 06時10分
東日本大震災で地盤沈下したため、昨年4月にかさ上げしたばかりの岩手県山田町の山田漁港にある東防波堤が2月、倒壊していたことが分かった。倒壊は防波堤の3分の1に及び、町は「大しけになれば高波が押し寄せ、漁船の係留や水揚げに支障が出る」として県に早期の再復旧を要望している。
県宮古水産振興センターによると、倒壊したのは2月16日で、三陸やまだ漁協からの通報で知った。延長151メートルのうち、突端寄りの50メートルが倒壊し、海中に没していた。
防波堤は鋼管を一列に海底に打ち込んで捨て石で支え、その上に高さ1メートルのコンクリート製上部工を載せた鋼管矢板方式で建設されていた。海底の地盤が悪いため、この方式が採用された。1978年3月の完成だが、震災で50センチ沈下。波が防波堤を越えるため、約300万円を掛けて沈下分をかさ上げした。
潜水調査したところ、鋼管が捨て石の上の部分でちぎれていた。倒壊した日、波はそれほど高くはなく、雪が降ったが重みで倒れることも考えにくいとして、鋼管の腐食による老朽化が原因と、同センターは見ている。
一方、防波堤の突端には釜石海上保安部が管理する東防波堤灯台がある。防波堤の強度が確認されるまで、維持管理にあたる職員の立ち入りを禁止した。灯台は太陽光式のため、点灯には問題がないという。
町水産商工課の甲斐谷芳一課長は「台風シーズンまでに再復旧してほしい」と要望。同センター漁港管理課の川村健司課長は「災害には該当しないと思われるので、通常の事業でやるしかない。早く復旧させたいが、予算の問題もあり時期が言える段階ではない」と話している。【鬼山親芳】