悩みは特にありません。

くだらないことしか書かない自信はあります。

コッペコッペ。

息子(三歳)を連れて歩いていると、若いカップルの女の子が「やだーんかわいいーん」みたいなことを言って手を振ってくる、という話を夫にしたところ「そういうのは隣にいる男に『かわいいものをかわいいというかわいいあたし』を見せつけとるだけや! 媚びや!」と怒り出したので、ますます夫の乙女化が進んだなと思いまして、なぜなら媚びを許さぬ潔癖さは乙女の証ですから、でも思いますに「媚びない私」というのも一種の媚態ですし、いつでもどこでも自然体が一番かというとそうでもないですし、だって会社にいるのにお茶の間感覚でケツとかボリボリ掻かれたら嫌じゃないですか、だからそれ(媚び)でことが円滑に運ぶならばりばりおやりになったらよろしいのではないですかとわたしなんかはそう言って昆布茶をひと啜りしたいところで、夏目の漱石も『虞美人草』の冒頭らへんで「愛嬌というのは自分より強い者を倒す柔らかい武器だよ」みたいな台詞を書いてましたよ、うろ覚えだから細部は違うかもしらんけど、愛嬌じゃなくて愛想だったかもしらんけど、あと媚びと愛嬌はだいぶ違うかもしらんけど、あまりに潔癖が過ぎる夫には柔らかい武器をお勧めしたくもあり、おもしろいからそのままでいてほしくもあり、あれかな、「媚び」っていう響きがいやなんかな、「こぴ」と呼んでみたらどうだろう、「こぷ」でもいいけど「こぱ」は風水の人みたいだから駄目だね、やっぱり「こぺ」かな、コッペパンみたいでかわいいじゃないですかと鼻毛を抜きながら提案してみたらば夫が「かわいいものをかわいいというかわいいあたしをアピールするのは云々」と言い出したので振り出しに戻る。

(。を使わずにどこまで書けるか試したら最後までいけました)