2014年4月21日22時59分
愛知県一宮市大和町の名神高速・一宮ジャンクション近くで観光バスが対向車線に突っ込んだ多重交通事故で、バスを運転していた男性運転手(63)が愛知県警の調べに対し、「居眠りをしていた」と話していることがわかった。男性運転手は事故の約8時間前にも約200キロ離れた長野県内で追突事故を起こしていて、大阪府の会社に戻る途中だったという。
愛知県警によると、観光バスは20日午後6時ごろ、名神高速の中央分離帯のガードレールを突き破って反対車線に進入。トラックなど9台とぶつかり、男性運転手のほか、4~62歳の男女8人がけがをした。
事故現場には目立ったブレーキ痕はなく、県警が21日午前、入院中の男性運転手から当時の状況を聞いたところ、居眠りをしていたことを明らかにしたという。
また長野県警によると、この男性運転手は20日午前10時15分ごろ、同じ観光バスを運転中、同県安曇野市豊科南穂高の市道交差点で、信号待ちをしていた乗用車に追突する事故を起こしていた。バスには台湾人の旅行客と添乗員の計30人が乗っていたが、けが人はなかった。
男性運転手は「山の景色に見とれていて、前をよく見ていなかった」と話したという。
旅行客は安曇野市を観光後、名古屋市に向かう予定だったが、ツアー会社が手配した別のバスに乗り換えて旅行を継続。男性運転手は事故を起こしたバスを運転し、自らが経営するバス会社「NEK交通」(大阪府能勢町)に向かう途中、再び事故を起こしたことになる。
愛知県警は21日、自動車運転過失傷害の疑いで同社に家宅捜索に入った。
■事故起こしたバス会社、過去に3度処分
21日に「NEK交通」へ特別監査に入った近畿運輸局によると、同社は道路運送法に基づく行政処分を過去3回受けていた。
運輸局によると、同社の事業許可は1999年。2009年7月に新潟県で男性をはねて死亡させる事故を起こし、乗務時間の順守違反など10件の違反が発覚。10年2月にバス3両で延べ215日の運行停止の行政処分を受けたという。
11年2月には監査を拒否したとして延べ60日の停止処分を受け、12年12月には乗務員の雇用時期や健康状態を記載する台帳を作成する義務に違反したなどとして延べ165日の停止処分を受けたという。
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朝日新聞社会部
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