大学図書館、個性豊か 九州で建て替え次々、開放も
九州の大学で図書館を新たな「キャンパスの顔」として、大規模リニューアルする動きが広がっている。福岡大(福岡市城南区)や立命館アジア太平洋大(APU、大分県別府市)などが先行して新築や改装を終え、西南学院大(福岡市早良区)も建て替えを計画。少子化が進む中、大学側は図書館の学習支援機能を充実させ、学生の確保につなげたい思惑もある。
「単に本を読むだけでなく、食事や雑談、仮眠などもでき、朝から晩まで過ごせる場所にしたい」。3月末、新図書館の建設計画を発表した西南学院大の後藤新治図書館長(国際文化学部教授)は語った。
新図書館は、2016年の学院創立100周年を機に、現図書館の隣接地に建設する計画。17年4月の利用開始を目指す。
建物は7階建てで、1階にカフェや多目的ホールを設置。2、3階はグループ学習室など共同学習の場とし、4階から上に閲覧スペースなどを整備する。収容能力は現在の120万冊から200万冊に拡大する。
高度経済成長期に建てられた大学図書館の多くが老朽化し、首都圏の私立大を中心に建て替えラッシュが続いている。
グループ学習など双方向教育の重要性が浸透し、図書館が「学びの場」として見直されていることもリニューアルを後押し。後藤館長は「大学のブランド力を高める狙いもある」と分析する。
九州で最も学生数が多い福岡大は12年7月に収容能力約190万冊の新たな中央図書館を開館。端末操作で本を取り出せる「自動書庫」は国内最大級の138万冊を収容でき、グループ学習室などの学習支援機能も充実させた。「福岡大の図書館を使いたい」という理由で、合格した国立大を辞退して入学した学生もいるという。
留学生が多く学ぶAPUも11年に図書館を改装。可動式の机や無線LANなどを配置し、学習や対話をしやすい環境を整えた。
国公立大では福岡女子大(福岡市東区)が4月、カフェを併設した新図書館をオープン。屋根や窓から光が差し込む構造で、「明るく優しい雰囲気」を演出した。九州大も本年度、伊都キャンパス(同市西区、福岡県糸島市)で新中央図書館の建設工事に着手する。
既にリニューアルを終えた福岡大や福岡女子大は、閲覧などに限って外部の利用を認めており、西南学院大も今後、新図書館の一部開放を検討する。地域住民もリニューアルの恩恵を受けられそうだ。
=2014/04/21付 西日本新聞夕刊=