5月にグーグル、アップル、アドビ、インテルなどシリコンバレーの大企業を巻き込んだ裁判が行われます。

それは「お互いの企業からの人材の引き抜きをしない」という秘密協定を、これらの会社が結んでいたという疑惑です。

ウォールストリート・ジャーナルの伝えるところによると、来月の公判の開始に先立って、一千通を超える電子メールなどの文書が証拠として提出され、各社を代表する19の弁護士がそれらの証拠を現在、吟味している段階だそうです。

それらの公開された証拠から浮かび上がってくることは、シリコンバレーで最大のテクノロジー企業が2005年から2009年にかけて談合し、お互いの社員を引き抜かないと示し合せることで、IT社員の給与のスパイラル的な高騰を防いだとしています。

ウォールストリート・ジャーナルはスティーブ・ジョブズが特に中心的な役割を果たしたとしています。

グーグルのリクルーターがアップルの社員にアプローチしたとき、ジョブズはトップ同士の話し合いでグーグルに対し「このリクルーターをクビにしろ!」と要求しました。

グーグルはこの主張に屈し、そのリクルーターを解雇します。そのニュースを聞いたジョブズはエリック・シュミットとのメールのやりとりの中で:

:)
Steve

というスマイル・マークを残しています。

エリック・シュミットは「この談合に関してメールのやり取りをすると記録に残ってしまい、後に訴訟の際の証拠になってしまう。今後、メールでのやりとりはやめよう」とメールに書いています。

このような秘密協定に従わなかった唯一の大手企業はフェイスブックで、シェリル・サンドバーグはグーグル幹部から圧力をかけられます。

それに対しシェリルは「もう私はグーグルの社員じゃないわ」と返答し、この要求を拒否したそうです。

さて、原告側は今回の訴訟で30億ドルの賠償金を要求しています。独禁法に関するシャーマン法が適用された場合、罰金はその3倍になります。すると90億ドルが科せられる可能性があるわけです。これはいかにシリコンバレーのハイテク企業がリッチだとはいえ、かなり重い罰金と言えます。