銀座:「昭和の空間」また一つ 最後の店舗、27日に別れ
毎日新聞 2014年04月21日 18時17分
今も、客は親しみを込めて「信ちゃん」と呼ぶ。明朗な人柄にひかれて、深夜までにぎわう。土地柄か、往年の名女優や著名な芸術家も隠れた常連だ。閉店を惜しんで地下街存続を求める署名は2000人を超えた。だが、時代の流れには抗しきれなかった。
不思議なことに、解体時期や今後どう整備するかなど、肝心なことは明らかになっていない。都監察指導課の五十嵐純係長は「三原橋は撤去する方向だが、いま検討しているところ」と話す。人間に例えれば還暦を超す歴史を刻むというのに、地下街の公的資料は驚くほど少ない。開業時、地下街の用途をめぐって、結果的にまた貸しして風俗業を入居させた都と、それに異議を唱えた中央区、地元とが対立したことも尾を引いているのか。
「この街が好きだから銀座で商売を続けたい。でも、三原橋のような場所はもうないよね」と吉田さん。店先には「ありがとう50年」と書かれた虹色のポスター。小学1年の孫娘が描いた。橋のアーチは虹の弧に重なって見えたのだろう。