武器輸出:新たな「防衛装備移転三原則」決定

毎日新聞 2014年04月01日 10時24分(最終更新 04月01日 11時09分)

 ◇一定条件満たせば輸出可能に、理念も「国連憲章の順守」に

 政府は1日午前の閣議で、武器輸出を事実上禁じてきた「武器輸出三原則」に代わる新たな「防衛装備移転三原則」を決定した。「全面禁輸」を掲げつつ、必要に応じて例外として輸出を認めてきた従来の方針を転換し、今後は一定の条件を満たせば輸出が可能になる。三原則の基本理念もこれまでの「国際紛争の助長回避」から「国連憲章の順守」に変更した。

 武器輸出三原則は1967年に当時の佐藤内閣が共産圏などへの輸出を禁じ、76年には三木内閣で、全ての武器輸出を「慎む」と全面禁輸に拡大した。今回はそれ以来38年ぶりの抜本的な見直しになる。

 新原則は、日本が締結した条約・国際約束に基づく義務に違反する▽国連安全保障理事会決議に違反する▽紛争当事国への輸出となる−−場合には輸出しないことを明記した。その上で「輸出を認め得る」のは、平和貢献・国際協力の推進や日本の安全保障に資するケースに限定。目的外使用や第三国への移転について、日本の事前同意を相手国に原則として義務付けた。

 また、重要案件は政府の国家安全保障会議(NSC)で輸出の可否を審議し、政府が情報を公開する。

 新原則では、武器の国際共同開発・生産への参加や、海上安全保障に関する装備品の輸出など、これまで例外化措置で輸出を認めてきた案件が「輸出可能なケース」となる。さらに、1日に公表された運用指針により、国連や化学兵器禁止機関への装備品輸出▽米国のライセンスを受けて生産した国産部品の対米輸出▽相手国への貢献度が相当程度小さい部品・技術の輸出−−などが新たに可能になる。

 政府は従来の三原則の基本理念を「国際紛争を助長することを回避」と説明してきたが、安倍晋三首相は3月12日の参院予算委員会で「テロとの戦いなど平和と安全のための紛争があるので、『国連憲章の順守』を基本理念とする方が適切だ」と表明した。これを踏まえ、新原則には「国連憲章を順守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持する」との文言を盛り込んだ。【青木純】

 ◇防衛装備移転三原則(骨子)

<原則1>次に掲げる場合は、防衛装備の海外移転を認めない。

 (1)わが国の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合

 (2)国連安全保障理事会の決議に基づく義務に違反する場合

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