2006年10月14日

ダリ『天才の日記』−画家の成績表

『ダリ回顧展』が東京・上野の森美術館で開催されている。その為か、最近各所のブログで関連記事を見掛けるようになった。
さればよし、拙文もその便に乗じようか。というのだから、いい気なものである。

ダリの作品はユニークで決して嫌いではないのだが、ガラ夫人の姿を随所に見るとダリのマザーコンプレックスを見ているようで、どうも辟易してしまう。
ここでは、1964年に出版されたダリ自著『Journal d'un Genie』(邦訳『天才の日記』訳:東野芳明 二見書房刊 1971年)を紹介したい。
Journal d'un Genie.jpg
この『天才の日記』には巻末に幾つか附録がついている。附録Vのピカソに捧げた詩篇も面白いし、東野芳明氏があとがきに纏めた、瀧口修造とデュシャンとダリの幻の日記も興味深いのだが、附録Yの 『ダリ的分析に基づく諸価値比較一覧表』 はいっそう愉快であるので、以下に引用する。
        技術 霊感 色彩 主題 天才 構成 独創性 神秘性 真実性
レオナルド・ダ・ヴィンチ 17  18  15  19  20  18  19  20  20
メソニエ      5  0  1  3  0  1   2  17  18
アングル     15  12  11  15  0  6   6  10  20
ヴェラスケス   20  19  20  19  20  20  20  15  20
ブーグロォ    11  1  1  1  0  0   0   0  15
ダリ        12 17 10  17  19  18  17  19  19
ピカソ      9  19  9  18  20  16   7   2   7
ラファエル    19  19  18  20  20  20  20  20  20
マネ       3  1  6  4  0  4   5   0  14
フェルメール・デ・デルフト 20  20  20  20  20  20  19  20  20
モンドリアン   0  0  0  0  0  1  1/2   0  3.5

之は言ってみれば画家の成績表である。(構成上仕方がないのだが、レイアウトが崩れて読みにくい点をお詫びしたい。本では表形式になっているので、興味のある方は二見版を参考にされたい。)
おそらく20点満点なのだろうが、ヴェラスケス、ラファエロらが好成績のようだ。デルフトにおいては独創性以外オール20である。 モンドリアンの独創性1/2や真実性3.5などの採点法もダリらしい。

以前に触れたブグロー(過去記事)の名も見付けることが出来た。(5段目)
技術と真実性を除いて1と0が目立つ。 仏近代絵画の巨匠も、ダリ先生にあっては落第点のようである。


■生誕100年記念『ダリ回顧展』  公式HP
■『ダリ回顧展』  上野の森美術館
■ダリ略年譜  諸橋近代美術館
posted by Usher at 01:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 美術 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Usherさん、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
私は芸術のことは全く不勉強ですが、観たり聴いたりすることは大好きです!
大阪在住ですので『ダリ回顧展』には行けず、残念な思いをしましたが、今回大阪でもダリ展が開かれて、とても嬉しかったです。
ダリは随分たくさん著書が有ったようですね。
「天才の日記」に例の一覧表が有ったんですね。
これは面白そう。古本屋に行ったら、探してみます。
教えてくださって、ありがとうございました!

Posted by alto at 2007年04月09日 01:16
>altoさん コメント、来訪有難う御座います。

『ダリ展−創造する多面体』行くことが出来て何よりでした。私は首都圏に居を構えておりますが、『ダリ回顧展』にはとうとう行けずじまいでした。

御ブログ『♪Pianoと絵本で夢の国♪』大変楽しく(特にピアノのジャンルは!)拝見致しました。音楽の事を文章にするのは難しいですね。私も(少しだけ)ヴァイオリンを弾きますので、共感する部分しきりです。
Posted by Usher at 2007年04月09日 23:02
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