日銀短観:景況感5期連続改善 3カ月先は「悪化」予想

毎日新聞 2014年04月01日 14時28分(最終更新 04月01日 14時38分)

大企業の業況判断DIの推移
大企業の業況判断DIの推移

 日銀が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI=景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた数値)が大企業・製造業で前回12月調査より1ポイント高いプラス17、大企業・非製造業も4ポイント上昇のプラス24となった。いずれも5期(15カ月)連続の改善で、製造業は2007年12月以来約6年ぶり、非製造業は1991年11月以来約22年ぶりの高水準。ただ、3カ月後の先行きは製造業で9ポイント下落のプラス8、非製造業で11ポイント下落のプラス13となり、消費増税後の景気冷え込みに警戒感が広がっていることが裏付けられた。

 大企業は全28業種中、17業種のDIが改善した。消費増税前の駆け込み需要に伴う販売・生産増や、円安基調の継続による収益改善が反映された格好だ。業種別では「自動車」が前回調査から5ポイント上昇のプラス36、自動車業界などに鋼材を供給する「鉄鋼」が19ポイント上昇のプラス19。増税前の消費が堅調な「小売り」が13ポイント上昇のプラス24となったほか、「建設」が10ポイント上昇のプラス37だった。

 中小企業の景況感は製造業が3ポイント上昇のプラス4、非製造業は4ポイント上昇のプラス8。それぞれ07年6月と91年11月以来の高水準。駆け込み需要の恩恵が中小企業にも広がっている。

 一方、3カ月先のDIは、消費増税の影響で消費、生産の落ち込みが見込まれるため、大企業は全28業種中25業種で悪化を予想。非製造業では全12業種が悪化した。駆け込み需要が好調だった「自動車」が38ポイント下落のマイナス2、「小売り」が29ポイント悪化のマイナス5と大幅に悪化した。中小企業なども含めた全産業でも11ポイントの下落を見込んでいる。

 14年度の事業計画で前提とする想定為替レートは1ドル=99円48銭で、13年度(98円37銭)より1円程度円安方向に設定された。14年度の設備投資計画は大企業・全産業で前年度比0.1%の微増だった。【工藤昭久】

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