消費税8%:コンビニ、自動で切り替え 深夜ににぎわい
毎日新聞 2014年03月31日 22時07分(最終更新 04月01日 10時03分)
1日午前0時、消費税率が5%から8%へ切り替わった。その瞬間、全国各地のコンビニエンスストアで会計システムが自動変更され、わずかな時間差で税率の“明暗”が分かれた。【斎川瞳、堀智行】
大手コンビニ各社は午前0時をもって適用税率を自動で切り替えたが、最初の商品のバーコードを「ピッ」と読み取った時刻が午前0時前なら、会計中に日付をまたいでも「税率5%」とした。
東京・高田馬場のセブ−イレブンで深夜、10人近くの店員が値札の張り替えに追われていた。午後11時40分ごろ、店長が「あと20分です。客も増えてくるから気合入れて」と声を掛けた。男子学生2人組が「たばこ、カートンで買っちゃおうぜ」。酒など飲み物が補充した先からどんどん売れていく。0時10分前、店員たちは「あと10分切ったよ。大丈夫かなあ」と緊張し始めた様子。
増税のタイミングを尋ねる客も多い。会計を2番目に待つ男性が日本酒のカップ酒を握りしめ、「まだ大丈夫かな、5%」。店員が「大丈夫です。あと2分ありますから」と諭すように言った。
0時5分前、アルバイト帰りの途中でビールを買った東京都練馬区の私立大3年、高橋奈生人(なおと)さん(20)は「一度帰ろうと改札まで行ったけど、増税前に買っておこうと戻って来た。これが5%での最後の買い物です」と笑顔を見せた。
午前0時すぎに店を出てきた東京都中野区の無職男性(21)は、記者の取材で「もう8%ですか」と驚き、レシートを確認。「何でも高くなってつらい」とため息をついた。
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旧税率最後の3月31日は、列島全体が慌ただしい一日となった。
小田急線新百合ケ丘駅(川崎市)では、税率5%で定期券を買おうとする客が午後8時時点で200人近くまで膨張。小田急電鉄によると発券に要する時間は1人1分半。1日午前0時を過ぎるのが確実な客には、駅員が帰宅を促した。
東京都中央区の「日本橋高島屋」は午後8時の閉店間際から、初夏向けの模様替えを始めた。例年より1カ月早い。増税後の需要落ち込みを懸念し、「夏の流行品をいち早く並べ、来店を促す」(広報担当者)のが狙い。
小売業者は釣り銭用の1円玉の確保に躍起だ。100円ショップ「セリア」(岐阜県大垣市)は、1円玉を5円玉の4倍程度確保するよう各店に指示した。商品が従来の1個105円から108円になるためだ。【横山三加子、種市房子、松倉佑輔】