今月11日、ロンドン西部のサウスイーリング地区にある美容室に地味な色の背広を着た北朝鮮大使館の館員2人が引きつった表情で現れた。館員らは美容師にいきなり「広告は不敬だ。ウインドーに張ってある広告ポスターをすぐにはがせ」と要求した。
問題のポスターは「Bad hair day?」(俗語で「きょうはついてないの?」の意)というコピーと共に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の写真が添えられている。頭皮が見えるほど周囲を刈り上げ、頭頂部の髪を真ん中で分けた金正恩氏のヘアスタイルを皮肉った広告だ。美容師は館員らに危険を感じ、いったんポスターを撤去したが、翌日再び張り出した。
今世界では金正恩氏のヘアスタイルが笑いの種になっている。新興のミニブログ「タンブラー」では、金正恩氏のヘアスタイルとオバマ米大統領やロシアのプーチン大統領など有名人と合成した写真が広がっている。
ブッシュ前米大統領、クリントン前国務長官、チベット仏教の精神的指導者ダライ・ラマ、俳優のブラッド・ピットなども金正恩式ヘアスタイルの実験対象になった。
英国のコメディアン、ドム・ジョリーはブログで、「金正恩の姿はだんだんモヒカン族になりつつある」と皮肉った。金正恩氏のヘアスタイルをめぐっては、フランスのルイ15世の愛人だったポンパドゥール夫人のヘアスタイルに影響されたのではないかという分析も聞かれる。ポンパドゥール夫人は頭頂部を盛ったヘアスタイルで知られる。ドイツのヒトラー、イラクのサダム・フセイン元大統領のひげ同様、金正恩氏のヘアスタイルが「独裁者の象徴」になっているとの声もある。