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【政治】

「平和の島に紛争火種」 与那国で陸自基地起工式

陸上自衛隊の施設建設起工式会場周辺で、抗議する反対派住民ら=19日午後、沖縄県与那国町で

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 防衛省は十九日、日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)で、陸上自衛隊駐屯地の起工式を開いた。安倍政権は沖縄県・尖閣諸島周辺に侵入する中国に対抗するため、二〇一五年度末までに沿岸監視部隊を配備する方針だが、島民からは「基地建設が中国を刺激し、かえって軍事的な緊張感が高まる」との懸念が出ている。 (後藤孝好)

 起工式には、小野寺五典防衛相や西正典次官、陸自と空自のトップの両幕僚長らがそろって出席した。小野寺氏は「沖縄での新たな部隊配備という歴史的な機会に立ち会うことができて感無量だ。南西地域の自衛隊配備の空白を埋めるもので、意義は大変に大きい」と強調した。

 これに先立ち、駐屯地建設に反対する約五十人は会場への入り口を封鎖。防衛省関係者と一時もみ合いになり、小野寺氏の会場入りが遅れ、式典は三十分遅れで始まった。

 与那国町は中国大陸に近く、台湾の東百十キロ、尖閣諸島の南百五十キロに位置する国境の島。人口はわずか千五百人で、建設される駐屯地には島民の一割に当たる百五十人が常駐する。複数のレーダーを設置し、国境付近の艦船や航空機の動向に二十四時間体制で目を光らせる。

 防衛省は尖閣諸島など南西諸島を守るため、石垣島や宮古島には離島侵攻への初動対応を担う部隊の配備を検討中だ。与那国島に新設する部隊は沿岸監視が任務だが、将来的に増強される可能性がある。

 安倍政権が離島防衛の強化を急ぐ背景には、中国との関係悪化がある。そのため、島民からは「平和の島が有事の際の軍事拠点になる」「周辺国との緊張を高め、逆に紛争の火種になる」などと心配の声が消えない。

 抗議活動に参加した泡盛の工場長の稲川宏二さん(47)は「戦争になったらレーダーのあるこの島が真っ先に狙われる。島民の命が危険にさらされる」と、建設の中止を求めた。

 

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