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ザ・インタビューズ> 榎宮祐のインタビュー(5件) >ライトノベルを書こうと思ったきっかけを教えてください!(※初回は編集部からの質問です)
「――ガンです」
 時を遡ること2011年。
 医師にそう宣告された榎宮は、だがどちらかというと脳裏を過ぎったのは締切だった。
 何せ当時は漫画家をやっていたのだ。ぶっちゃけ修羅場だった。締切間際だった。ごめん嘘吐いた既に〆切をオーバーしていた。割と担当にケツを蹴られていた。そのケツからちょいとタール状の血便が出たもんだから、流石にヤバいかと気楽に検査してみたらこれである。
「あ、あのー、それってぶっちゃけどのくらいやばいですか。漫画の原稿終わるまでとか待てます?」
 そう答えた榎宮を医者は――頭が――末期な患者を視るような眼で眺めて、呆れ気味に答えた。
「即刻、治療に入らなきゃ来年は生きてないでしょう、といえばわかりますかね」

 ……その言葉に、ようやく冷静になり榎宮は内心「わーお」と天井を仰いだ。
 つか冷静に考えなくてもガンつったら、放置すりゃそりゃ死ぬわ馬鹿か、と。
 漫画とイラストの仕事、〆切が続き寝不足で頭が空転していた。そう認める榎宮に医師は続ける。
「というわけで即座に精密検査後、治療をはじめます。しかし進行を考えると海外で――」
「あ、その前にすみません。僕、漫画連載やってんですけどそれは――」
「……入院して検査して手術して~って明らかに無理でしょ、つか状況を理解してますか?」

 ――ああ、理解しているとも。
 つまりこういうことであると、榎宮は冴え渡った思考で結論をだした。
 入院する都合上、アシスタントは使えないし〆切も守るのが厳しい――つまり。

 漫画は無理だが、イラストとラノベを一人でやるぶんにはオッケーだ、と――ッ!

 ……そんなノリでラノベを書きはじめたものの、言うまでもなく――ド素人である。
 ラノベの挿絵を描いていた都合上、多少読んではいたがまず何からやればいいものか。
 考えた末に榎宮はこう結論づけた。
「漫画のプロットは文章だったし、その精度を上げれば何とかなるだろ。たぶん」
 そうして見切り発車ここに極まる、入院中の執筆が始まった次第である。

2014-04-17 18:32:27


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