アメ村:違法テラス満席 自治会「危ない」に店側「好評」

毎日新聞 2014年04月19日 15時00分(最終更新 04月19日 22時03分)

公道にせりだして椅子やテーブルを置いて営業する飲食店=大阪市中央区で(一部画像を加工しています)
公道にせりだして椅子やテーブルを置いて営業する飲食店=大阪市中央区で(一部画像を加工しています)

 大阪・ミナミの繁華街、アメリカ村(アメ村)で、道路上にテラス席を設ける飲食店が増えている。観光客らに人気がある一方、歩行者や車の通行の妨げになり、違法とされている。地元自治会は大阪府警と協力して店側に撤去を要請し始めたが、店側に応じる気配はない。

 飲食店や衣料品店など2000店以上が軒を連ねるアメリカ村。現在、15店以上の飲食店が市道脇をふさぐようにテーブルや椅子、パラソルを置き、テラス席にして深夜帯も営業する。商業施設「ビッグステップ」西側、在大阪韓国総領事館の裏側に多い。

 道路上に通行を妨げる看板や机を置くことは、道路法や道路交通法で禁止されている。南署によると、アメ村の市道の大半は一方通行で、幅員が約6メートルと狭い。道路脇がテラス席でふさがれた付近では、歩行者が道路中央を歩く姿が見られ、事故の危険性もある。

 長女(1)ら子ども3人を連れて来ていた大阪市西区の母親(36)は「テラス席などもあり、歩きづらい。子どもが安全かどうか、ずっと見ていないといけない」と語った。

 市もアメ村を巡回し、路上に置いたテーブルなどの撤去を店に求めているが、改善に応じる気配はないという。市の担当者は「どうやって一斉撤去させるか難しい」とこぼす。

 ある店の男性従業員は「ダメと言われても、他の店も出している。テラス席でにぎわえば街が元気になる」と話す。従業員によると、夏場に人気が高く、観光に訪れる外国人らにも好評という。冬はビニールなどで風よけを設ける店もある。

 地元住民らによる御津(みつ)連合振興町会は、撤去のための「クリーンアップキャンペーン」に乗り出し、先月11日、南署員や市職員らとともに計約50人でアメ村を巡回、路上で違法営業する店に撤去を求めた。多くの店が応じたが、翌日には路上に椅子や看板が再び置かれる状況になったという。

 同会の中川雅己理事(64)は「街のにぎわいは大事だが、安全でなければならない。みんなが再訪したくなるような街を目指したい」と話している。【千脇康平】

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